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Posted by ブクログ 2019年03月10日
偉そうだが「東京プリズン」という小説はそもそも小説技術において稚拙だった。個人的感情を含めての近代史論を展開するには小説は本来もってこいの手法だったはずだが、技術が惜しくも追いつかず作者の思惑が十分に表現できなかったように思う。翻って本作は、エッセイとしていわば「東京プリズン」のサブテキスト的に読ん...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年07月06日
アメリカ的近代民主主義に対する戦後日本のラカン的受容(「他者の欲望」の欲望)を指摘し、これを外来の概念を内実の理解を伴わないまま「外来語」としてそのまま受容してしまえる日本語の特質に帰するあたりの言語感覚はさすが。論旨の流れにとっ散らかった印象を受けないではないが、高度成長期から東日本大震災に至るク...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年12月31日
同い年の人が書いた文章は歩みが違っても共感性が高くなる。これが同時代性というものか。ただ同時代を生きながら、その中心にいるのではなく、辺縁を歩いているからこそ共感できるのかもしれない。この本のテーマは「物語」か思う。著者の問題意識は、「私たちの現在は、明治維新と第二次世界対戦後と、少なくとも二度、大...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年07月24日
凄まじい。
プロローグ、第一章「母と沈黙と私」と読んですでに「確かにあったのに、誰も語らなかったこと」が横溢している。
第三章「消えた空き地とガキ大将」は、単独で優れたドラえもん批評。マンガと社会と歴史、現実と願望の関わりに迫った奇跡みたいな評論だ。
第四章「安保闘争とは何だったのか」 こちらもまた...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月02日
戦争は永久に之を放棄
すると、
いまや日本人自ら決意
したかの如く喧伝され
ますが、
戦後、アメリカにそう
言わされたのであって、
私たちの当事者意識は
あるようでありません。
平和や反戦を私たちが
誇る至上の美質と語る
ことは、
与えられた美辞麗句に
便乗してるだけの欺瞞
とも感じてしま...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月31日
小説は読んだことないけど、講談社現代新書のモテ本は読んだ記録がありました。その頃からこのテーマは考えられていたのですね。
前半は小説家の視点からの日本近現代史という意味でとても興味深い反面、現代社会批評的な部分はあまり共感できないものがあった。
憲法の憲という漢字の意味とか、日本国憲法草案の英語原文...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年01月14日
ぼんやりした近現代史のとらえかたで生きているからこそ、現在に生きるぼくらの精神構造に少なからずその影響があり、よくわからない矛盾や苦悩が、意識上か意識下か、そのすれすれのボーダー付近から生じたりする。本書は、そのような、ぼんやりとしかわかっていないひとの多い近現代史を、自らもぼんやりとしかわかってい...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年12月18日
硬直的でないのは、著者が自分の良心に誠実に向き合って出てきた言葉を紡いでいるからで、そこにちゃんと迷いや葛藤がある。重心の置き場は読者と違うかもしれなくても耳を傾けられるのは、ちゃんと自分の意見を冷静に見つめる視座があるからだと思う。なかなか大っぴらに提示しにくい問立てだけれど丁寧に自分を語ることか...続きを読む
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