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なぜ、私たちはこんなに歴史と切れているのか? あの敗戦、新憲法、安保闘争、バブル、オウム事件、そして3・11……。〈知っているつもり〉をやめて、虚心に問うてみたら、次から次へと驚きの発見が噴出! 『東京プリズン』の作家が、自らの実体験と戦後日本史を接続させて、この国の〈語りえないもの〉を語る。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
アメリカから帰ってくる際に、日本の戦後を理解する必要を猛烈に感じた。 そのため、白井聡と内田樹を読みながら、そうだ、赤坂真理も読もう!と思った。 自らの半生を振り返りながら、戦後とはなにか、アメリカとの関係とは何だったのかを振り返る姿勢はとてもよいと思う。
偉そうだが「東京プリズン」という小説はそもそも小説技術において稚拙だった。個人的感情を含めての近代史論を展開するには小説は本来もってこいの手法だったはずだが、技術が惜しくも追いつかず作者の思惑が十分に表現できなかったように思う。翻って本作は、エッセイとしていわば「東京プリズン」のサブテキスト的に読ん...続きを読むだが、むしろ感情的にも伝わって小説的な感動も受けたのだ。エーリッヒ・フロムや岸田秀あたりをおそらく経ずにほぼ同じような知見に達していることが驚かされる。英語原文からの日本国憲法の条文解説は、非常に面白い。これだけで一冊さらに掘り下げてほしいくらいだ。
東京プリズンとパリティになっている。 現代に至る「日本」というキーワードで隠語として隠されているものをむき出しにする感覚。まるで曼荼羅の様に読者個人の日本人観を再構築させる感覚を持った。
アメリカ的近代民主主義に対する戦後日本のラカン的受容(「他者の欲望」の欲望)を指摘し、これを外来の概念を内実の理解を伴わないまま「外来語」としてそのまま受容してしまえる日本語の特質に帰するあたりの言語感覚はさすが。論旨の流れにとっ散らかった印象を受けないではないが、高度成長期から東日本大震災に至るク...続きを読むロニクルを経て、受容したものを結局理解できずに放り出して明治憲法以前に回帰しようとする現代日本のレジームに対する視線は、温かみのある文章に彩られてはいるが痛みを伴うほどに穎敏だ。 個人的には、偶然にも少し前に読んだ中公新書「昭和天皇(古川隆久)」と同様、「決断させてもらえない天皇」に触れている点が興味深かった。本書ではシステムとして利用される対象としてだけしか言及されていないが、本質を突いていると思う。
同い年の人が書いた文章は歩みが違っても共感性が高くなる。これが同時代性というものか。ただ同時代を生きながら、その中心にいるのではなく、辺縁を歩いているからこそ共感できるのかもしれない。この本のテーマは「物語」か思う。著者の問題意識は、「私たちの現在は、明治維新と第二次世界対戦後と、少なくとも二度、大...続きを読むきな断絶を経験していて、それ以前と以後をつなぐことがむずかしい」そのため「自分たちが、自分たち自身と切れている」ことを出発点に戦後の歩みについて著者が探していく「物語」である。最後にたどり着く結論は、「物語」はマジョリティを作り出す、そしてマイノリティを区別し、暴力性を持つ。だから「物語は弱者(マイノリティ)にこそ必要なもの」との結論に到達するところが救われる。作家が書く文章なので読ませる文章であり、読後感は良かった。
凄まじい。 プロローグ、第一章「母と沈黙と私」と読んですでに「確かにあったのに、誰も語らなかったこと」が横溢している。 第三章「消えた空き地とガキ大将」は、単独で優れたドラえもん批評。マンガと社会と歴史、現実と願望の関わりに迫った奇跡みたいな評論だ。 第四章「安保闘争とは何だったのか」 こちらもまた...続きを読むハッとする。日米安保の原文は、日本がアメリカに保護をお願いし、アメリカがそれを受け入れる、という書き方である、という指摘。 安保闘争は自国民による戦争裁判だった、参加者は一つ前の戦争と同じく特攻と玉砕で消えた、という指摘。 第五章「一九八〇年の断絶」はちょっと残念。1980年頃のテレビドラマなどから当時の「空気」を描こうとしているため、当時、自宅にテレビのない小学生だった私には「共感をもって」読むことができない。 (分かる人には分かるんだろうなぁ。) これだけバラバラなトピックを扱い、その中にこれだけ共通する通奏低音を掘り起こしている。 素晴らしい。 経済成長人口増加のおかげで隠せた難がついに隠しきれずに露わになった今、私たちは何ができて何をするべきなのか。そのヒントが記されている。 ドラえもん。日本語。日米安保。安保闘争。バブル。オウム。住民自治。天皇。憲法。これらを貫く「語りえないもの」について語っている。 愛と暴力。 誰の、誰に対する。 それに対する物語の役目と限界。 うん、いい本でした。宿題をたくさんもらいました。
内田樹さんとトークショーの日に購入 サイン本 『東京プリズン』を書くにあたって考えたであろう様々なテーマ。 一見すると、バラバラの事柄のようだが、それらは互いに関連しているのだと見抜く直感。 ほぼ同年代の作者の、強烈な言葉による問いかけに何度もハッとさせられた。
戦争は永久に之を放棄 すると、 いまや日本人自ら決意 したかの如く喧伝され ますが、 戦後、アメリカにそう 言わされたのであって、 私たちの当事者意識は あるようでありません。 反戦の精神を私たちが 誇る至上の美質と語る ことは、 与えられた美辞麗句に 便乗してるだけの欺瞞 とも感じてしま...続きを読むいます。 「一億総火の玉だ」と 猛り狂う気質は変わる ものなのか。 アメリカの庇護が消え 隣国の脅威に晒される いま、 当事者意識のもと憲法 を見直してくなかで、 それでも戦争は永久に 放棄すると言えるのか。 そのメッキが剥がれる ときは近いのでは?と 思うのです。
小説は読んだことないけど、講談社現代新書のモテ本は読んだ記録がありました。その頃からこのテーマは考えられていたのですね。 前半は小説家の視点からの日本近現代史という意味でとても興味深い反面、現代社会批評的な部分はあまり共感できないものがあった。 憲法の憲という漢字の意味とか、日本国憲法草案の英語原文...続きを読むとか、言葉は大切にしなければというのは法律家の端くれとしてハッとさせられた。憲法とは何かと問われて法律的(というか芦部的)な説明しか頭に浮かばないのは思考停止ですね。 そもそも法律家として憲法に触れなすぎる。
近現代史ってよくわからなくないですか? なぜ太平洋戦争が起きたか、 それ以前に、なぜ大東亜共栄圏のもと、 満州や朝鮮、台湾などを支配していたか、 についても、その動機や当時の民衆の考え方や空気が イマイチつかめなかったりしますし、 そういう方ってけっこういらっしゃるのではないですか。 ぼんやりした...続きを読む近現代史のとらえかたで生きているからこそ、 現在に生きるぼくらの精神構造に少なからずその影響があり、 よくわからない矛盾や苦悩が、 意識上か意識下か、そのすれすれのボーダー付近から生じたりする。 本書は、そのような、ぼんやりとしかわかっていないひとの多い近現代史を、 自らもぼんやりとしかわかっていないことを認め、前提にして調査し勉強して、 なにか「よすが」のようなものを見つけていくエッセイ。 赤坂真理さんは小説家でもおありなので、 出だしなどは、小説のそれのように、そして気合も乗っていて、迫力十分。 また、肩に力の入った文章に読めますが、 読んでいくうちにそれも気にならなくなっていきました。 迫力に押されてしまったのかもしれません。 終盤に近いところで、 「自分が現在だけにぽつんと置かれたようなよるべなさ」と書いてあって、 これって多くのひとが感じていることだろうなあと思いました。 歴史の連続性を感じ得ずに、 現代という舞台にいきなりいる感覚って、 勉強不足という言葉では片付けられないものなんじゃないでしょうか? そして、「それは自尊心を蝕む」と続くのでした。 現代の日本人はこれだけじゃなくて、 いろいろ分裂した概念の板挟みになっていると説明されている。 政治に文句は言うけれど選挙に行ったことがない、というひとだとか、 社会上の分裂した概念が基盤になってしまっているからかもしれない。 60年安保闘争、70年安保闘争、80年代というもの、 そして、オウム真理教についてのこと、 個人体験としてのこの日本の政治感覚というもの、 最後に、憲法、をみていく。 憲法改正の動きはSNSなんかでも知識人がいろいろ考えを述べていらっしゃいます。 賛成、反対、いろいろありますが、 本書の著者の立場は、どっちかといえば反対、というところ。 自民党の改憲案には驚きますよね。 97条の「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は(中略) 現在および将来の国民に対し、侵すことのできない 永久の権利として信託されたものである」 という文言を削除して、 102条には「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と追加してる、と。 その他、天皇を象徴ではなく元首と改める(明治期に戻す)、だとか、 民主国家色を極端に薄くして、国家主義国家色を濃くしようとしていますね。 まあ、ここで、天皇を元首というのはアレコレという意味で……というような、 解釈の忖度はしないほうがいいです。 そのような曖昧な語句を今の世代がうまく解釈しても、 後の世代が自分勝手に解釈する余地を与えてしまうからです。 これは、たとえば、本書に書いてありましたが、大日本帝国憲法で、 天皇に権威を与えながら実権は政府が握れるようにしたシステムを、 昭和期に軍部が暴走できるシステムに解釈したのと似たようなことです。 日本の近現代を、論考、思索する旅をともにする意味で、 このエッセイは非常におもしろかったです。 序盤では、著者の頭のキレのよさに、 大丈夫かなと逆に心配になったくらいですが、 後半、文章から力が抜けていくのとともに、 安定していったように読めました。 著者は、若い頃に留学したのをきっかけにか、 英語に明るい方なので、 そういった点での言葉へのスポットライトの当て方が見事で、 彼女ならではの視点からの論考プレゼンがありました。 意外とさらっと読めてしまいますので、 現代人の内面に宿る不安定なフワフワ感ってなんだろう、 と疑問に思うような方は、ご一読をおすすめします。
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