あらすじ
『東京プリズン』から6年。発売前より各紙話題騒然。日本人の行方を問う、衝撃の天皇小説!平成の終わりに、天皇自身に退位の真意を問い、「おそるべき力業」(毎日新聞)と絶賛。
本物の箱は、右?左?
マッカーサーから本物を奪還し、平成の天皇に退位の真意を問う。
マリとアメリカの戦いが、いま始まる!
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読み終わって、普通に言う「読書」とはまったく違う体験をしたような感覚に陥っている。予定調和の物語は掻き乱され、混合され、そしてまた再生される。そこにあるのは、それ以前とは何かが変わった物語である。「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の2篇が収録されている。政治的な信条や文化的な理屈や理論を超えて問いかけてくる、体感としての天皇と津波がここにある。そこに描かれたものに素直に共感できることも読書の楽しみのひとつだけれど、今まで思いもつかなかった角度での物事の見方が体験できるのもやはり読書の醍醐味のひとつだと気付かされた。「東京プリズン」もそうだったが、自分の中からは決して生まれない視点がここには詰まっていた。そのことだけでも、この作品をを読む価値はあった。
念のために記しておけば、それは「天皇」や「津波」に関する事柄というよりは、日常の風景、出来事に関する新しい発見、気付きということである。
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天皇は象徴である。象徴とはなにか?
日本国憲法の原文は英文である。
英語で象徴はシンボル。
さて、会社のシンブルはなに? ロゴやマーク。
そうすると天皇陛下はマークか?
そうなのです。
明治維新で徳川は錦の御旗(シンボル)に負けたのです。
天皇はずーっと「シンボル」なにのです。
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「箱の中の天皇」
「東京プリズン」の時も思ったけど、攻めるなぁと。
こういう小説は赤坂真理さんにしか書けないのではないか。
ちゃんと読めたかどうか全く自信はない。自信がないのでネットで書評を読もうと思ったが、数が少ない上にあまりピンとこない。中島京子さんの読みたいのに何行かしか読ませてもらえない。
小説の感想にはならないが、この小説を読むことによって、天皇についていろいろ考えた。
今の天皇が誰にもよくわからない「象徴」という意味を考え、行動、実践されてきたことに対し、敬意を改めて持てた。誰にでもできることではないと思う。
本来なら私など「天皇制反対」みたいな方に行きそうなのだが、あのお二人を見ていると、全くそうは思えない。よくいてくださった、と思う。
昭和天皇の戦争責任、という問題ももっともっと議論され続けても良さそうなのに、あのお二人のお姿を見て、なんだか緩んでしまってると思うのは私だけか。
そして、天皇というのは代替わりをするとモードが変わる、という指摘にそうだよなと思った。
天皇の「お言葉」を引用しながら天皇の小説を書くって、やっぱりやることがすごい。
「大津波のあと」
こちらもちゃんと読めたか全く自信がない。感想難しい。
2作品とも現実世界と虚構の世界が混じり合って、だからこそ描ける大問題が迫力を持って迫って来る。このままでいいのか!考えろ!立て!と迫って来る。
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天皇論。今上帝が退位されるこの時期、なんとなく思っていた事を文章で読み、思ってもいなかった事を指摘され、読み終わる頃には、頬を叩かれ目を覚ませと言われたような気分でした。あと一遍は、3.11に関する物語。
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『東京プリズン』ってすごく有名になったと思うのに、なかなかレビュー数が伸びない感じがする。
どうしてだろう。
「天皇」をこういう形のモチーフとして描いた小説って、実はそんなにないような気がする。
記事とか評論になると、膨大な量が出ているのに。
「人は、そういう存在です、たまはいつも外にあります、そちらが本体です。たまは肉体に宿るというよりは、まとうような、付着させるようなものです。天皇様はその象徴です。でも、たまの遷移の技能に長けているという意味で、特別な人たちです。」
読み終わってから、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」も読んだ。
自分で自分のことを、象徴と言い、その象徴的な生き方を見つめることに、色んな感情が混じる。
「彼がしたことは、共に在ることだった。
それだけといえば、それだけだった。
それが、象徴的行為なのか?
無力。無力と言えば無力。でもーー
『あまりに無力と言われると……やはり悔しいような気持ちになるのです』」
マリの言葉に、GSの女性は「無力さほど普遍的なものはない」と返す。
天皇制がたとえばなくなっても、私たちは一人の有名なタレントを失ってしまった“程度”にしか捉えることはないんだろうか。
本当に?
でも、一方で、ニュースの端々に“だけ”登場する、天皇の生き方に、それほどの関心を持って来なかった自分もいる。
赤坂真理は、空箱の虚しさと、そこに込められた“空”の意味を提示する。
色即是空、空即是色。
お坊さんが唱える、この二対のことばが頭に反復した。
在るから見ること、でも、見るから在ること。
私たちと、その対象との関係で、それは箱という外形を成すのではないかと思う。
けれど、天皇は生きている。不定ではない。
そんな一つの生き方を、あなたはどう考えるのか。
大切な問いだと思う。
「日本に近代は、一九四五年まで、こなかった。」
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【箱の中の天皇】
赤坂真理
「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の2つの短編小説が収録されている。前者は現・上皇様の退位に関する「お言葉」の話も絡め、主人公のマリが戦後間もない頃の日本でマッカーサーと関わっていく幻想に入り込んでいく話。天皇制という制度に関する在り方を一人の人間を見つめる目線で投げ掛けている。
後者は東日本大震災の四年後の福島を舞台に新聞記者の主人公がやはり幻想に入り込んでいき、震災当日の感覚を体験する。後半はほぼ全編が詩で書かれたような不思議な世界観だ。そしてどちらの話も、かつてうまく向き合えていなかった父の存在が根底にある。
流し読みをしてしまったので雰囲気を味わったくらいなのが正直なところだが、特に後者の話はかなり幻想的に、生と死の狭間で人が見るであろう風景を悲惨な中にも美しく描いていたと感じた。
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天皇退位を問う、マリの物語。「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の二編。
現在とマリの幻想で物語は流れつつ、象徴としての天皇を考察している。元号が変わるにあたり、華やかな面しか見えていなかったけれど、この本により色々気づきがありました。タイトルの箱というのもそういう意味なのねと。日本人の行方を問う、天皇が変わるまさに今読む、今の本。天皇についてこれだけ書ける小説もないかなあ。
Posted by ブクログ
中編2編
表題作はさらっと読めるが,内容は結構深いところをえぐっている.
「大津波のあと」は流行りの震災ものとはまた切り口が違って,アメリカの黒人の生きづらさなどにも触れている.エレキギターのテレキャスターが核にあるが,これも電気がないとならないという皮肉.でも,全体につまらなかった.