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Posted by ブクログ
まずはNHK取材班の地道で粘り強い調査取材に敬意を評したい。時に政権におもねるようなことをする信用できないメディアに思われることもあるが、このように優秀で気骨のある記者たちがいるのだと改めて認識する。言葉では言い尽くせない未曾有の危機の連鎖の中、命を賭して事故対応に尽力し続けた吉田所長はじめ東電職員の姿に、深く心を揺さぶられた。ここで語られている失敗の本質は、国民に深く根ざしたものかもしれず、将来再び突きつけられることもあるだろう。もはや忘れ去られようとしている気の遠くなるような廃炉作業を負うのは、NHKなど見ない未来の若者たちだ。外国人問題などよりこっちの方がずっと差し迫った危機だと思うんだけどね。
Posted by ブクログ
まず、その取材力に驚いた。深堀りし続ける探究心と熱意。未曾有の事故を何とか教訓として次世代に活かし、同じような災害を招いてはいけないとの思いがひしひしと伝わってきた。
その中で導き出されたポイントを自分なりに噛み砕いたものとして簡単に列挙してみた。
①日本人らしい特徴なのか知識のみの机上の空論が主体となりやすく、一方で職人気質の経験のみに頼ってしまうという2パターンに陥る傾向にある。そのため、不足の事態に対して経験がないから動けない。もしくはブラックボックス化した属人性のみでしか対応できず、チームで動くことができないため、軋轢や混乱が生じる。まず、精緻なマニュアルもしくは履歴を残し、知識として伝達していきながら組織として定期的に訓練もしくは練習の必要がある。
②アメリカは国民性なのか取り敢えずやってみるといった経験による伝達、継承。文章で残すといった情報の共有及び見える化がしっかりとなされている。それは、多民族国家であり契約社会の国だからかもしれない。
③組織の反省点。今回はいくらリーダーが優秀であってもそれに頼りすぎであり、そもそも仕組み自体が1人に情報と判断が集中化されリスク管理が不十分だったことが浮き彫りになり、その先には精神論が重視されていたようにも感じた。実際に人間は72時間で気絶し、36時間後に体力、集中力の限界を迎えると言われている。今後の対策の一つとしてオンラインの活用含めてツールをうまく使い複数人での対応ができるように仕組みを考えることが必須であり、また、不慮の事故にも対処できるようなシフト体制も重要になってくる。合わせて、他部署、本店、支店と違った視野からの意見も取り入れることができる体制がリスクヘッジとなり不可欠だと感じた。
最後にこういった問題点は通常の会社業務においても大なり小なり共通している課題であり、解決するヒントとして大変参考となる内容だった。
とにかく、現場のリーダーであった故人の吉田所長に対してご冥福をお祈りしたい。
Posted by ブクログ
3基もの原子炉がメルトダウンした福島第一原発事故において、事態の悪化を一気に加速させたきっかけは最初に水素爆発を起こした1号機でした。1号機の冷却には「イソコン」と呼ばれる非常冷却装置があったのにも関わらず、事故当時その設備が稼働していなかったという致命的な誤認がありました。1号機運転開始から約40年間、「イソコン」を訓練でも実際に稼働させてこなかったことが原因でした。なぜ原子炉冷却に最重要な設備の訓練が実施されてこなかったのか、関係者への取材と資料をもとに追及していきます。
後半は膨大なテレビ会議の記録から、なぜ「イソコン」の稼働状況を誤認するに至ったのかをAIを用いて解析した結果を報告しています。
NHKスペシャル取材班による丹念な取材を新書1冊にまとめた福島第一原発事故の記録です。NHK記者による執筆だけあって、文章が非常にわかりやすく読みやすかったです。
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