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Posted by ブクログ
同じ著者の「なぜ日本は原発をやめられないのか」を読んだので、選考出版社された本書読んでみた。原発事故直後は「プロメテウスの罠」なども出るたびに読んでいたのだが、読まなくなってしまった。
この本の出版が2018年3月だから事故から7年後である。
原発事故関連死、原発の現地採用者の声、形式的で本当に除染しようとはしていない除染、安全でないのに奨励される帰還、官僚の本音、原発いじめ、支援打ち切りされる避難者などについてよく取材をして書いている労作だと思った。
どの問題も奥が深く、ただただ当事者が不幸になっていく原発事故の知られざる側面をよく教えてくれたと感謝する。
被災者の苦労や悲しみもわかるが、行政もまた仕方なくやっているというのも感じれた。例えば100%の除染なんてとても実行不可能なのだが、そう言ってしまうと保証だなんだとの話になり、これで安全ですよ一旦線を引いているということなんだと思う。そういう現実に目をつぶるという政策があちこちで齟齬を生んでいるといことをこの本で色々知ることができた。
Posted by ブクログ
時代によって”不都合な現実”とされている事は常に在るのだろう。
福島とそこにまつわる人々の現実は、そんな”不都合な現実”の一つなのかもしれない。
だからと言って、都合よく扱われて、無かったことにされて済むことでは無い。
まずは、自分にとって”知らなかったこと”にしないことだと思う。
それは、現実なのだと、認識することだと思う。
著者青木美希さんのドキュメンタリーを、本書も含めて数冊読んできた。
物語ではなく、その根源に在る、人々の声をすくい上げた著作は、今私たちにとって必要なのだと思う。
多くの情報が氾濫する中で、生の声に耳を傾けることが極端に少なくなっている気がする。
あるいは、都合の悪い話しはさらに聞こえてこない。
考える為の生の現実にこうして出会えた事に感謝する。
コロナ渦だからこそ読むべき本
メディアで大きく取り上げられなくなった、福島原発の事故とその後についてよく分かる。
福島原発のせいで普通の日常を送れなくなった人々の苦しみは今も続いていること。また、政府のとった非情な政策が与えた影響が分かる。
もしかしたら自分が被災者側になるかもしれないということを常に忘れては行けない。
Posted by ブクログ
地図から消される街 青木美希 講談社
副題に「311後の言ってはいけない真実」とあるこの本は
朝日新聞の特別報道部の記者によって書かれたもの
自分の足で集めた証拠をもとに書いた「手抜き除染」の報道後に
書き起こした力作だ
政治や行政のお為ごかしの仮面や利害に群がる業者の
目的を履き違え当事者を踏みにじる実態が見せる問題の深さと渡り合い
客観性を大事にする記事ができるまでの努力と試行錯誤の
歯痒い過程を見せてもくれる
板挟みの正義ある行政官の死や
被災者同士のいがみ合いを助長しているのが
当の政治であり行政であり
避難者をイジメる井戸端会議や学校の陰湿な体質など
にっちもさっちも行かない腐った共食い現象を浮き彫りにしている
結局解決策は国会を取り戻し三権の談合を解散させることであり
こうした現実に痺れを切らした国民の民意が爆発する以外の
ありえないのだろう
一人ひとりが事実と向き合い
権力層によって煽れれている共食いと分断に気付いて自ら止め
声を揃えて「NO」を突き付ける以外にない
Posted by ブクログ
福島原発の事故によって避難を余儀なくされ家族が離れ離れになった人、避難先で差別によるいじめの被害にあった人、被爆した放射線量も分からないまま除染作業に従事させられる人、先の見えない状況の中で自ら命を絶つ人がいる。ニュースだけでは見えなかった現実に向き合うことができた。
こうした被害を踏まえると、国や東京電力の責任は非常に大きい。安全神話のもとでリスクが過小評価され、事故後の対応も十分だったとは言い難い。本書は、その責任の所在を曖昧にせず問い続けている点に大きな意義があると感じた。
一方で、原発の是非については単純に「なくせばよい」とも言い切れない難しさがある。原発で生み出されるプルトニウムは原子爆弾に利用でき、核抑止力となっている。技術・研究の継続性、安全保障との関係など、エネルギー問題は複雑に絡み合っており、原発を無くすという判断は容易ではない。
だからこそ重要なのは、「ゼロか継続か」という二択ではなく、現実的な落としどころを探ることだと感じた。例えば、既存の原発をどう安全に管理するか、再生可能エネルギーをどこまで拡大できるか、事故時の補償や避難体制をどう整えるかなど、具体的な制度設計が求められる。本書は、感情的な賛否を超えて、「私たちは何を引き受けて生きていくのか」を考えさせる一冊だった。
Posted by ブクログ
青木美希氏は、札幌市出身、1997年に北海タイムスに入社、北海道新聞を経て、2010年に朝日新聞に入社。朝日新聞社の原発事故検証企画「プロメテウスの罠」に参加し、以降一貫して福島第一原子力発電所事故のその後を追い続けている。
本書は、上記原発事故を7年に亘り取材した内容をまとめて2018年3月に発表され、貧困ジャーナリズム大賞、日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞した。また、2021年4月には、続篇『いないことにされる私たち 福島第一原発事故10年目の「言ってはいけない真実」』を出版している。
「はじめに」で著者は次のように書いている。「私は7年間、福島第一原子力発電所事故を追い続けている。この間、避難者に向けられる目は次々と変わった。当初は憐れみを向けられ、次に偏見、差別、そしていまや、最も恐ろしい「無関心」だ。話題を耳にすることが激減した。関心が薄れてきたところで、政府は支援を打ち切り、人々は苦しんでいる。・・・結果として、不都合な事実を「なかったこと」にして揉み消そうとしている国家権力の思惑通りになってしまった。これを許したのは、新聞やテレビ、各報道機関の敗北でもあると言われても仕方がない。我が身を含めて、あまりにも無力だったと猛省する。・・・痛烈な自己反省を込めて、私は「不都合な事実」をここに記そうと思う。」
そして、本書では、東京電力の現場で働いていた人々の苦悩、形ばかりのいい加減な除染、原発維持・国防のために進められる帰還政策、帰還政策を進めるために「事実を曖昧にする」政府・官僚たちの行動、避難者に対するいじめ、避難者への支援の打ち切りなど、様々な「不都合な事実」が明らかにされている。
それらの「事実」は唖然とするようなものばかりであり、事実を曖昧にする政府・官僚は言うに及ばず、いい加減な除染についても、いじめへの対応についても、いずれも看過できることではないのは言うまでもないだろう。しかし、その一方で強く感じたのは、白黒のつけられない問題があることの難しさである。多少のリスクは受け入れて(或いは、受け入れざるを得ずに)その地域に住み続けたり帰還をする人々と、リスクを避けて非難を続ける人々の間に生じた軋轢。。。これは、どちらかが正しく他方が間違っていると言えるものではないし、また、今となっては(悲しいことではあるが)元の関係に戻すこともできないのだ。
原発事故が引き起こしたそうした複雑な状況を考えたときに、幸運にも原発事故の影響を受けなかった地域に住む人間にできることは何なのか? それは、本書のエピローグに引用された作家・渡辺一枝の言葉「私たちが忘れないこと」であり、また、他人事ではなく自分事として考えることではないだろうか。
福島第一原発事故後の闇を明らかにし、我々に問いかける力作ルポルタージュである。
(2021年9月了)
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