(2012/7/10)
神保 哲生, 宮台 真司, 神野 直彦, 高橋 洋一, 野口 悠紀雄, 波頭 亮, 大野 更紗, 武田 徹
「日本の財政再建のためには消費税増税はやむを得ない」という輩が増えている。
お叱りを受けるかもしれないが、私はこれは官報複合体のなせる業だと思っている。
記者クラブメディアはいつの間にか増税やむなしを連発しており、
その記事の、放送時間の量に従って、増税やむなしが増えている。
物わかりがいいというかなんというか。
本当に国を憂いているのか、生活にゆとりがあるのか、増税デメリットがある立場にいるのか、、、
その真意はわからないが、そういう方々にはまずこの本を読んでもらいたい。
私はこの本を読むずっと前、父親の相続で苦労してをして税金のからくりがわかって以来増税反対だが、
その考えをあらためて整理確信できる内容になっている。
目次に沿って自分の考えと合わせてみよう。
プロローグ 「足りないから増税」ではなく、税を通して国のあり方を議論する好機に 神保
「納税」でなく「払税」(古川元久衆院議員) これは初めて知ったがいい概念。
確定申告。そう、これをするかしないかで税に対する意識は変わる。
1 すぐ捻出できる200兆円を隠してまやかしの増税に走る財務省の罪
(元財務官僚・「政策工房」会長・高橋洋一 神保哲生 宮台真司)
高橋さんの本やお話しは何度か読んだり伺う機会があり、少なからず私の財政に対する考え方を構成している。
歳入庁を作ると国税庁がその管轄下になり財務省の権益がなくなるからできない、、。
80万の法人が税は払うが保険料は払っていないというのに。
日銀がお札を刷って国債を買えばいい、という説。金融緩和派。
2 貧しい人がより貧しくなる税制から「分かち合い」の税制へ
(東京大学名誉教授・神野直彦 神保哲生 宮台真司)
公共サービス。
私は大きな政府には反対だが、学校は教育バウチャーにして親の負担をなくし、
しかし私立であれ公立であれ親が学校を選ぶ権利を与えるべきだと思う。
競争のない、あるいは中途半端な公立学校に任せられないというのは持論。
それを強調させるような悲しすぎる事件が大津で起こってしまったが。いじめ-自殺。
教育委員会管轄の中途半端な競争原理のためいじめを隠し被害を大きくしたといってもいいだろう。
3 産業構造が変わらない限り日本経済は再生しない
(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問・野口悠紀雄 神保哲生 宮台真司)
金融緩和ではだめ、と、高橋説を否定。インフレターゲットも否定。官僚批判も否定。
日本は廃墟にならねば立ち直らぬと。産業構造改革。
延命措置で死ぬべき産業を生きながらえさせたために現状があると。
日本の医療と一緒。
体がダメになってなくなるべき人を生かして、医療と年金に膨大な費用をかける。
使命を終えて終焉を遂げるべき企業を、雇用政策とか何とか言って、税金を使って生き延びさせる。
どちらも税金が延命に使われてる。
4 医・食・住に困らない社会を作るための増税/分配論
(経営コンサルタントXEED代表・波頭亮 神保哲生 宮台真司)
大前さんの元弟子の波頭さん!
ベーシックインカム月8万円であとは余計なことはしない!
たしかにすっきりする。
役所、官僚の余計な采配はいらない。
ただね、医療はほっとくと際限ない。まあ8万円だけ配ってあとは払いたければ自分で、とやればいいのか。
ここで波頭さんと宮台さんがミルトン・フリードマンを持ち出す。ネオリベラリズムとして。
私は大学時代からフリードマン派。「選択の自由」は何度も読んだ。今やネオリベラリズムは世間では否定的?な気がするが、
私は今もこれが一番と思っている。
先ほどあげた教育バウチャーも彼の発案。素晴らしいと思う。
宮台さんもフリードマンの考えに近いといっている。だから彼の主張が聞きやすいのかな。
マイナスの所得税、小さな政府。
そう、国は余計なことをしないほうがいいのだ。何が余計か、を決めるのが難しいが、
少なくとも変な外郭団体作って天下りして補助金を操作するのは余計でしょう。
国家権力の名のもとに税金を国民から搾り取って、わけのわからぬ分配、分捕りをする姿をよしとは絶対言えない。
必要悪とも思わない。
5 「困ってるひと」から見た「弱者」と愛と社会保障
(作家・大学院生 大野更紗 武田徹 神保哲生 宮台真司)
そこにこういう人が出てくるからややこしい。
困ってるひと、は私も読んだ。
カンボジア難民を支援する活動をしていた上智大生が難病にかかり、
自ら病気難民になって、闘ったという本。
苦しい闘いをコミカルに表現している本だった。
しかし、彼女の闘病は国の支援なくしてはありえない。
そうでなければ親が破産する。
これに対しどう考えるのか。
めったにない難病だから高額をかけても助けるのか、
こんな本が書ける才能があるから助けるのか、
とにもかくにも助けるのか、
その金は誰が出すのか、
いくらまで出すのか。
海外心臓移植手術のためのかんぱ、
なんてニュースを時々見ることを考えると、
正解はわからない。
感情移入しちゃうからね、本読むと。
でも私は否定的。
助けるのは国ではない、国民の税金なのだ。
6 自己改革できないまま日本がクラッシュする前に
(神保哲生 宮台真司)
二人の意見はここ数年よく聞くので、目新しいことはない。
むしろ状況がシビアになっているのを感じる。
クラッシュしかないのか。野口さんの意見からきているが。
ハイパーインフレになって、結果資産を持っている人から搾取する、、
これが現実的かもしれない。
いつの世もそういう形でリセットしている。
エピローグ 既得権を移動させるために私たち消費者ができること 宮台
自ら考え発信する。
そうありたい。こんなブログ、なんの役に立つのかと思わないでもない。
最低自分の備忘録であればいい、が、
少なくとも泣き寝入りはしたくない。犬の遠吠えであろうとなんだろうと、
自分で考え、発信したい。