松本俊彦の作品一覧
「松本俊彦」の「死にたいと言ってください ―保健所こころの支援係―」「アディクションとしての自傷」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
往復書簡形式で、軽やかな語り口でありつつも、依存症(アディクション)や社会問題、福祉について広く分かりやすく書かれていました。付箋をたくさん貼りながら読んでしまいました。
依存症は自己治癒的なところから陥りやすいこと(=ストレス社会において、誰のすぐ横にもあるものなのかなと思いました)、そして何よりも、コミュニティへの所属や人との繋がり、自分自身の「回復したい」という気持ちが回復には大切であること。なんとなく理解していたものの漠然としていた知識を、少しクリアにできたように思います。
社会や家族のあり方についても考えることができた良書でした。
「ダメ、ゼッタイ」のような啓発や、トー横での排除アートなど、なんでもそうですが、そこに至ってしまった人の背景への考慮が足りていないように感じます。また、そうした対応によって、かえって支援から遠のいてしまう人がいることの危険性についても考えさせられました。
少し踏み外した人を排除していくような社会ではなく、その背景を理解し、必要な人がきちんと支援につながれる社会であってほしいなと思います。
そういう人に必要なのは排除ではなく支援であり、そういうところに税金が使われてほしいと願います。
Posted by ブクログ
ヘミングウェイの小説「誰がために鐘は鳴る」のタイトルから受け継いだであろうタイトル。調べてみるともともと、17世紀の詩人ジョン・ダンの言葉が最初で、「誰かの死は他人事ではなく、自分事である」という意味だそう。精神科医として患者の自殺も経験し葛藤しながらも、人に寄り添い続けてきた共感力・責任感のある人柄がうかがえる。
ヘミングウェイ自身、自身の執筆のためにスペイン内戦や第二次世界大戦に参加しつつも、晩年アルコール依存や精神を患っていたらしい。それらも踏まえて、「誰がために医師はいる」とつけられているのだろう。
まず医師とは思えないほどの文才に驚かされる。読書好きというのも納得できる。過去の歴史や臨床現場で経験されたことをもとに、物事を俯瞰し、分かりやすく言語化されている。自分にはなかった視点がたくさんあり、とても勉強になった。
例えば、「良い薬・悪い薬があるのではなく、良い使い方・悪い使い方がある」というもの。何かの薬物に対する規制は、もともとの薬物を改変しより害のある薬を生み出す。そして、かつてのアメリカの禁酒法時代ように、アルカポネのようなギャングを生み出す。意外と知られていないが、大麻は上手く付き合っている人が多く、規制されていないアルコールのほうがよっぽど他者との衝突を起こす事例が多いということ。市販薬や覚醒剤についても同じことが書かれていた。
「困った人」は「困っている人」というフレーズがとても印象的だった。上手に人を頼ってSOSが出せない、人間不信だからこそ、薬物やアルコールに依存してしまう。依存症になるとその依存症に対する解決を求めがちだが、(例えば、ある薬物を規制したり、依存症治療をするなど)もともと抱えている生きづらさ・苦しみが解決されない限り、他の方法に代わるだけだということ。
必要とされるのは、安心・安全が保障された社会をつくっていくということ。逮捕による差別(実名報道)など、誰しもが辱めを受けず、「社会やコミニティに安心して居場所があることの大切さ」を思い知らされる。果たして、私たちはそのような社会をつくっていけるだろうか。まずは自分自身から変わりたい。