★5 射る、伝える、蘇らせる… 様々な能力が飛び交うコトダマシリーズ第2弾 #デッドマンズ・チェア
■あらすじ
ある隕石が落下した時から、人類はコトダマという超自然的な特殊能力を得た。コトダマを使った犯罪者に対抗するため、警視庁でもコトダマ能力者を集めた部署、コトダマ犯罪調査課が立ち上がっていた。
山下公園で鳥たちが殺害されている事件が発生、それは「射る」能力が使われた形跡があり、コトダマ犯罪調査課の刑事坂東や桐山たちは犯人を追う。一方「伝える」能力を持つ沙雪は、中国人の少年と少女につかまってしまう。少年たちも組織に追われているらしく、さらにその少女は「蘇らせる」能力をもっており…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろい! 前作『バーニング・ダンサー』に続くコトダマ犯罪調査課シリーズの第2弾。できれば前作から読んだほうがベター。
阿津川辰海先生の力作ですね~ 明らかに楽しんで書いてらっしゃるのがわかる。そしてもう次回作が待ち遠しい。
明らかにジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズをオマージュされてますよね。次々と場面が展開したり、チームを組んで捜査したり、捜査情報をまとめるフェーズがあったり、いきなり急カーブなネタが仕掛けられていたり。とにかく読者を飽きさせないよう、いいとこどりしたエンタメに仕上がってます。
さらには本シリーズは警察小説でもあり、また超能力をつかった特殊設定ミステリーでもあるんすよね~ そりゃ面白くないわけがない。
ただ前作はチャレンジングなところは凄いと思ってたんだけど、若干のごちゃつき感・詰め込み過ぎ感があったんです。しかし本作は悪くないですよ、むしろ阿津川辰海先生の強みである緻密な組み立て&エンタメが上手にブレンドされてて高品質な一冊になってます。
さて本作は主に二つの視点で物語が進行。ひとつは双子の姉妹小鳥遊沙雪と、中国人少女美鈴&少年李のストーリー。3人はある目的のために街中を奔走する。そしてもうひとつは刑事坂東や桐山たちによる事件捜査、「射る」能力をつかった人物を探すことになる。
本作のニクイところは、特殊能力があればすぐに事件なんて解決するでしょと思いきや、全くそうじゃないのよ。敵と戦う時なんて、ほぼ無敵なんでしょと思いきや全然違います。むしろ敵も能力持ってるから超能力バトルになる。
このコトダマ能力者同士の戦いが熱くなるところなんだけど、それぞれの能力で出せる条件ってのが決まっているし、さらに相手がどんな能力をもっているのか、また発動条件は何かってのがわかんないのがウマイ設定ですよね~ 読み合い、情報の探り合い、化かし合いが面白し、思った以上の展開になるから目が離せないのよね。
ストーリーも二転三転、ほとんど同じシーンや同じ情報が停滞するようなことがないのがスゴイんだよなー。小説が躍動している感じ。
そして物語が終盤に近づいてくると、いよいよ事件が収束してくる。沙雪と中国人少年少女はどうなるのか、「射る」能力をつかった殺人事件は解決するのか。放たれる真相がロジカルであり、衝撃的でもあり… なんか急に自分の時間を大切にしたくなっちゃうんすよね。何を言っているのか、読んでいただければわかります。
そして前作から続く本シリーズの最大の謎、例の人物、例の能力ですよね~。果たして本シリーズの行方はどうなるのか、続編にも期待しちゃいます!
■ぜっさん推しポイント
本作は舞台が横浜なんです。事件や捜査の現場は、山下公園、中華街、スタジアム周辺など馴染みのある場所。そんな街並みを刑事たちが躍動するなんざ、カッコいいすよね~。やっぱり『あぶない刑事』じゃないけど、刑事ものっていったら横浜だよね。
舞台背景を上手に活かしているのも本作の推しどころだと思いました、映像化されたら、きっと見栄えのある画が取れるに違いない!