塩田武士の作品一覧
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Posted by ブクログ
2児同時誘拐事件の時効後に新聞記者が真相を再調査するお話
1991年に神奈川県で発生した2児同時誘拐
子供の一人は保護され、一人は連れ去られたまま
しかし、その子は3年後に祖父母の家に戻ってきた
結局、犯人は確保できずに事件は時効を迎えた
新人の時に事件に携わった新聞記者の門田は、過去の精算のために事件の振り返りのために調査を始める
祖父母の家に突然現れた内藤亮は、礼儀や言葉遣いなどがしっかりしていて、絵が相当に上手くなっていた
空白の3年間に彼はどのように過ごしていたのか?
被害者である彼が真相を語らないのはなぜか?
事件を調べていくうちに、とあるの画家の存在が見え隠れしてくる
「罪の声」を読んだことがあるので、冒頭の誘拐事件で嫌な予感がして若干の警戒心を持ちつつ読んだ
でも、読後感が全く違う
これは家族愛の物語
画家という存在、特に写実という分野の解像度がちょっと上がる
「芸術は完成しない、そこに諦めがあるだけだ」(ゲーテ)
特に写実の分野ならそれは顕著かもしれない
売り絵でないのであれば、いくらでも描き足す事ができる
でも、売るためにサインを入れるというシーンがちょっと切ない
画壇という分野のグロテスクさ
芸術は権威からの承認が必要だけれども
ここまであからさまなものなのか?
まぁ、書道の業界でも似たような話を聞いたし
どこの分野でも派閥や権威からの承認というのは一緒なのかもね
「写実」が芸術の分野として今も尚存在している意味
写真の普及と共に廃れたと思っていたけれど
写真とは異なる部分もあるのですね
写実は写真と違って特定の場所にピントを合わせる必要がない
「みんなといっしょで、ずっとくらしたい」
という叶わない願いが切ない
生みの親より育ての親という言葉
まさしく家族だったんだなと思う
子を想って手放す事も親の愛
瞳もネグレクトな母ではあるけど
失って初めて大切さに気づいたのか、ハガキは大事に持ってるものね
野本貴彦の行方がわからないのも
定住すると兄がどこかから探り当ててやってくるからでは?
亡くなっているという予測もできるけど、どこかで生きていて欲しい、生きていると思いたい
門田の「私は人間を書きます」というセリフ
結局、何を書いたのでしょうね?
この小説を読んだ時の感想と同じように、愛が感じられる文章のような気がする
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平成3年、神奈川県で発生した2児同時誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「現在」を知る。
未解決のまま異様な展開をたどった事件の真実を追ってきた刑事たちの求めから、門田は再び30年前の事件と向き合うのだった。
そして取材を重ねていくなか、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
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Posted by ブクログ
前半こそやや難解でなかなか進まないものの、後半は真相が気になりページを捲る手が止まりませんでした。
空白の3年間の真相に迫ったとき、思わずうるっとしてしまいます。
この著者はいつも、すぐに手に入れられる信憑性のない都合のいい情報だけでなく、自分の目で見た確かなものを信じろというメッセージがあるような気がします。
情報の先には、確かに実在する人がいるんだと、その存在をしっかりと見ろと。
以下、本文よりー
「これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ「存在」が大事なんだ。世界から「存在」が失われていくとき、必ず写実の絵が求められる。それは絵の話だけじゃなくて、考え方、生き方の問題だから」