あらすじ
平成3年、神奈川県で発生した2児同時誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「現在」を知る。
未解決のまま異様な展開をたどった事件の真実を追ってきた刑事たちの求めから、門田は再び30年前の事件と向き合うのだった。
そして取材を重ねていくなか、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
第9回渡辺淳一文学賞受賞、2024年度本屋大賞第3位、
「本の雑誌」が選ぶ2023年度ベスト10第1位!
質感なき時代に「実」を見つめる著者渾身の長編小説が遂に文庫化。2027年映画化決定!!
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Posted by ブクログ
2児同時誘拐事件の時効後に新聞記者が真相を再調査するお話
1991年に神奈川県で発生した2児同時誘拐
子供の一人は保護され、一人は連れ去られたまま
しかし、その子は3年後に祖父母の家に戻ってきた
結局、犯人は確保できずに事件は時効を迎えた
新人の時に事件に携わった新聞記者の門田は、過去の精算のために事件の振り返りのために調査を始める
祖父母の家に突然現れた内藤亮は、礼儀や言葉遣いなどがしっかりしていて、絵が相当に上手くなっていた
空白の3年間に彼はどのように過ごしていたのか?
被害者である彼が真相を語らないのはなぜか?
事件を調べていくうちに、とあるの画家の存在が見え隠れしてくる
「罪の声」を読んだことがあるので、冒頭の誘拐事件で嫌な予感がして若干の警戒心を持ちつつ読んだ
でも、読後感が全く違う
これは家族愛の物語
画家という存在、特に写実という分野の解像度がちょっと上がる
「芸術は完成しない、そこに諦めがあるだけだ」(ゲーテ)
特に写実の分野ならそれは顕著かもしれない
売り絵でないのであれば、いくらでも描き足す事ができる
でも、売るためにサインを入れるというシーンがちょっと切ない
画壇という分野のグロテスクさ
芸術は権威からの承認が必要だけれども
ここまであからさまなものなのか?
まぁ、書道の業界でも似たような話を聞いたし
どこの分野でも派閥や権威からの承認というのは一緒なのかもね
「写実」が芸術の分野として今も尚存在している意味
写真の普及と共に廃れたと思っていたけれど
写真とは異なる部分もあるのですね
写実は写真と違って特定の場所にピントを合わせる必要がない
「みんなといっしょで、ずっとくらしたい」
という叶わない願いが切ない
生みの親より育ての親という言葉
まさしく家族だったんだなと思う
子を想って手放す事も親の愛
瞳もネグレクトな母ではあるけど
失って初めて大切さに気づいたのか、ハガキは大事に持ってるものね
野本貴彦の行方がわからないのも
定住すると兄がどこかから探り当ててやってくるからでは?
亡くなっているという予測もできるけど、どこかで生きていて欲しい、生きていると思いたい
門田の「私は人間を書きます」というセリフ
結局、何を書いたのでしょうね?
この小説を読んだ時の感想と同じように、愛が感じられる文章のような気がする
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平成3年、神奈川県で発生した2児同時誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「現在」を知る。
未解決のまま異様な展開をたどった事件の真実を追ってきた刑事たちの求めから、門田は再び30年前の事件と向き合うのだった。
そして取材を重ねていくなか、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
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Posted by ブクログ
存在とは?存在のすべてをなに?
それが気になって最後まで夢中になって読んだ。
これはミステリーと言うより切ない愛の物語だった。
どうかどうか幸せな人生を歩んでいてくれますように、と祈りながら読んだ。
読み終わってから来年映画化されることを知り、風景や絵画を見たいので映画も観たいな。
Posted by ブクログ
「存在」の言葉が出てきたときに、揺さぶられた。
読む前は、本の厚さにたじろぐ気持ちもあったけれど、事件が起き、さまざまな人が登場し
それぞれに想いがあって。
ページを進むほどに先がどうなるの、どんな展開が待っているのかと夢中になっていた。
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前半こそやや難解でなかなか進まないものの、後半は真相が気になりページを捲る手が止まりませんでした。
空白の3年間の真相に迫ったとき、思わずうるっとしてしまいます。
この著者はいつも、すぐに手に入れられる信憑性のない都合のいい情報だけでなく、自分の目で見た確かなものを信じろというメッセージがあるような気がします。
情報の先には、確かに実在する人がいるんだと、その存在をしっかりと見ろと。
以下、本文よりー
「これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ「存在」が大事なんだ。世界から「存在」が失われていくとき、必ず写実の絵が求められる。それは絵の話だけじゃなくて、考え方、生き方の問題だから」
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今のところ今年No.1
映画化の主要キャストもわかっているので映像想像しながら一気読み
野本貴彦と岸朔之介の俳優は未発表なのでそこは自分であて読みで
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これは深い。読んで良かった。ミステリーという名の愛の物語。途中まで読みかけ、最初に戻って登場人物をフルネームでメモする。一瞬の交錯があって、巻末まで幸せを祈りながらひたすら読む。ラストは涙。
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これはすごい!!
2児同時誘拐の被害者1人が辿る運命と、巻き込まれた夫婦の生き方。写実画家の夫婦がすごい。BGMには
longing/LOVE
今年1番泣いた。
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塩田武史さんの作品はこれで2作目。1作目は「罪の声」。そして、本作品を読み始めて初っ端からの感想が、やっぱり塩田武史さんはすごい、、。本当にこの一言が深くしっかり感じられた。
実際に、本作品を読み進めるにあたるロジックが徐々に明かされ、こんな緻密な内容の構想にしているのかと驚く他ないし、良い意味で予想通りにはいかない。作品の素晴らしさ、本作品が語りかけるこの世の中のリアル感。
映画が公開される前に、ぜひ一度読んでほしい。
Posted by ブクログ
3年の空白期間があったからこそ生きてこられた。
4歳で誘拐された少年が7歳になって戻ってきた。未解決の誘拐事件、事件を担当していた親友である刑事が亡くなったことをきっかけに真実を追い始める記者。誘拐された少年の高校時代の友達。
当事者にしか分からない悲しみや葛藤、そして喜びや幸福。確かにそこに存在していて、そして永遠に完成することの無い、完成させることなど出来ない3年間の家族の形に涙。
Posted by ブクログ
推理小説と思って読み始めたら、
いい意味で裏切られた。
3人の「家族」の別れの場面では、
電車の中だけど、涙を堪えることができなかった。
Posted by ブクログ
読み返したい!って気持ちと
分厚すぎて読み返したくない!って気持ちが
葛藤している(笑)
絵画がつむぐ物語に、心を揺さぶられた。人と人とのつながりや、言葉だけでは伝えきれない想いの深さを感じた。何が真実なのかを知ることだけでなく、その人が何を想い、どのように生きてきたのかを想像することの大切さを教えてくれる作品だった。
映画、みたい!!西島さん適役すぎる!!
Posted by ブクログ
刑事モノやミステリーというよりも、重厚な伏線の折り重なった人間模様を描きだした小説
写実絵画とピアノの旋律を想像しながら、一気に読み終えた
映画公開前には原作を読んでおきたい
余談だが、西島秀俊を写した映画公開記念カバーをみて(あの風貌は)てっきり刑事だと思っていたが記者だった
Posted by ブクログ
30年前に起きた2児同時誘拐事件
誘拐された子供とその家族、追いかける警察と記者、その他の関係者たち、登場人物も多くて時系列も行ったり来たりするので、集中力がないときついかも笑
空白の3年間で温かみに触れていなければ、亮もチンピラになっていたかもしれない。子供は親を選ぶことができない。
「これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ「存在』が大事なんだ。」
これは画家じゃなくても現代に生きる私達に刺さる言葉。映画が楽しみです。
Posted by ブクログ
未解決のまま30年が過ぎ、時効となっている2児誘拐事件。
定年した後も密かにその事件を追っていた刑事の後を引き継ぐように、その事件の取材を再開した記者。
地道な捜査による細い細い道筋をたどっていくと、事件は思わぬ方向へと繋がっていった。
誘拐された内藤亮の空白の3年間。
その時に彼に何があったのか…
最初に抱いたイメージが途中ガラリと色を変えるところに引き込まれて一気読み。
ラスト、再会のところやエピローグをもう少しゆっくりと味わいたかった。
捜査がとても丁寧に描かれていたからこそ、ラストの展開が呆気なく感じてしまって寂しい。
Posted by ブクログ
泣くなんて予想していなかったが、まさかのところで涙が出た。丁寧に丁寧に言葉を紡ぎ、浮き上がってきたそれぞれの人生に思いを馳せ、いつの間にか感情が揺さぶられていた。
出会えてよかったと久々に思った本。
美術については無知だけど、それでも読めるし、描写がとにかく美しい言葉で散りばめられていて、一語一句読み落としくないと思いながら読んだ。
登場人物が多くややこしいが、整理しながら読んでいくと伏線が軽やかに回収されていく。
読後感はすっきりするものではないが、だからこそ余韻が残り、あれこれと思索する時間も愛おしいと思える作品。
私はきっとまたどこかでこの小説を読むと思う。
Posted by ブクログ
なかなかの長編だったが飽きることなくスルスル読めた。かりそめの親子の絆が切なく、映画『八日目の蝉』のシーンを思い出す事多々。想像をかき立てられる写実画の表現が多く、こちらの映画化も必然と思われ、楽しみ。
しかし、中盤までの警察や報道側の視点が丁寧に描かれているわりに、終盤が物足りなく思えたのは残念。大事な核心部分、3人の親子に思い入れが強まったところで、最後この3人は救われたのか、どうなのか?あえて読者の想像に任せたのかもしれないが、もう少し書いてほしかった。
Posted by ブクログ
出会いがあれば別れもあるというが、今作の別れほど切ない話は無いと思う。自分が貴彦と優美なら、どのような選択をしただろうか?と考えてしまう。客観的に見れば、違う選択をした方が良かったのではないか?と思う。しかし、子供には不思議な力があり大人の心と身体を動かすのだと思う。子供はとても尊い存在だ。
Posted by ブクログ
2026.09.22〜10.05
人が生きる理由、生かされる理由。
考えたら、キリがない。今は、深く考えずに、いよう。
そして、しばらくしたら、再読して、考えてみる。
そのくらい、私には重く、深く刺さってしまった。
Posted by ブクログ
塩田武士さんの作品は「罪の声」以来です。ひょんなことから重要な根拠を手にしてしまったが故に着々と真実に迫る緊張感は読み手にもダイレクトに伝わってくる。
今回の舞台は神奈川県。観光名所も登場するので親近感があり風景が鮮明に想定できた。2つの事件が名所の横浜とB級グルメで名が知れた厚木。位置関係も主要な都市と郊外の拠点となる場所、事件の重さもそれに比例する形で進んでいく。
身代金を渡せなかった人質が戻ってくるまでの空白の数年にあった事は苦渋の切なさが伴う。その記録は事細かに描写される作品が物語り、時を経て見る人が解き明かす。この過程も多角的に進められてニアミスがありながら再会の時をもたらす。幾重にも重なる想いが幾つもの感情を表していて読後も暫く回想と共に楽しませていただきました。
Posted by ブクログ
映画化のニュースを見て文庫を手に取った。以前読んだ、罪の声、は本も映画もどちらも良かった。本作も、罪の声と同じく、未解決事件と巻き込まれた子どものその後の人生がテーマになっている。
平成中期、2件の子どもの誘拐事件が同時に起こる。身代金の受け渡しに緊迫する警察。一方は子供が戻るが、もう一方は身代金の受け渡しに失敗し、子供が戻ってこない。それから3年。ある日、祖父母の家のチャイムが鳴る。そこには、攫われた男児が7歳になって戻ってきていた。
戻ってきた子どもは、とても良く躾けられ、きちんとしたものを身に着けていた。抜けた乳歯は、どこの歯が抜けたのかわかるような手作りのケースに収められていた。生みの親より育ての親…。祖父母はつぶやく。攫われる前、子どもの母親は片親で、家を勘当されており、子どもはネグレクトされていたのだ。
そこから更に月日は経ち、物語は群像劇になってゆく。SNSで話題の謎の写実画家と、行方知れずの20年前の孤高の天才写実画家が物語の鍵になる。このふたりの画家の謎を追いつつ、過去の2児同時誘拐の事件の真相を、新聞記者が日本全国を周りながら追う、という複雑なミステリー紀行。
読み応えばっちり。秋の夜長にぴったり。ラストは涙なくして読めない。誘拐犯との逃避行を経たこの子どもにさちあれ。愛情たっぷりの人生が待っていますように。
Posted by ブクログ
1991年の不思議な誘拐事件、真相が分からないまま30年が経つが、諦めてなかった元刑事たちからの情報を元に記者が真相を突き止めていく。そこには、嘘だけど強く結びついた家族の絆が隠されていた。その複雑な糸を解きほぐす側、秘密を支える側、成長したその子と高校生時代に触れあって想い続けていた側が重なり合う時、真相が明らかになり、かつ再会していたことが描かれて、ラストになる。
読んでいる途中で観た「時には懺悔を」の映画でも、誘拐した子(こちらは重度障害児だけど)を育てて疑似家族になっていたのを暴いていくストーリーなのとシンクロした。
Posted by ブクログ
場所や事件の詳細などが鮮明でホントにあった事件かと錯覚しそうになった。
親子の別れのシーンは泣かずにはいられなかった。
終盤にわかるタイトルの回収もよかったです。
Posted by ブクログ
結構な長編ですが、かなり面白かったです。
終わってほしくない。
でも続きが気になるし面白いから読みたい!ジレンマでした。結局は読み終わりましたが。
作中に登場する写実画というのを鑑賞したことがないので一度みてみたくなりました。そういうのも小説のいい所ですね。自分の知らない世界を知れるという。
作者が登場人物に語らせていた内容で心に残ったところをメモしていたのが出てきたので追記。
SNSが発達した昨今では、報道される、社会で共有すべき事柄(成功、失敗、偉業また失敗)に対して関心が薄い。若者に限らず現在の風潮として、事件の被害者=人権保護の名の下に詳細を知る事さえ憚られそのうちに関心が失せ、すぐに事件自体も忘れられる。報道によって本来人々にもたらされるはずの、ある種の社会的共有財産が定着せずただ失われている。そのくせ愚にもつかない個人情報をあけすけに晒して悦に入っている。
結構辛辣だよなと思うが、確かにと頷くのも事実。
Posted by ブクログ
三十年前に起きた二児同時誘拐事件の真相を追うミステリー。
六百ページあるんだけど、この子はどうなるんだろう、この絵画には何の意味があるんだろうと真実が気になり過ぎてあっという間に読んだ。
途中から切なくて哀しくて、辛かった。
Posted by ブクログ
色んな視点で話が進んでいくのですが、途中で度々ページが進まない…。綺麗で少し神秘的な雰囲気がある。色々とはっきり書かずに読者に委ねる感じのストーリーが好きならいいかも。面白くないというより、個人的にはあまり好みではなかった…。
Posted by ブクログ
鳥肌
点と点がじわじわと繋がってゆくあの感じ
家族の在り方はひとつではなくって
幸せに生きられるためにはこうすべきだったのかもしれないし、しないべきだったのかもしれない。そんなのはもう分からなくって、考えれば考えるほど良い方向を見失ってしまうものなんだと思う。
存在のすべてを、鳥肌だった