哲学・宗教・心理 - 筑摩書房作品一覧

  • 非戦の哲学
    4.0
    同時多発テロを契機に、アメリカ主導の「世界戦争」が始まった。帝国化するアメリカの要請に唯々諾々としたがって、日本は自衛隊を海外に派遣し、国是である平和憲法は空洞化しつつある。国連や国際法が無力化しつつある中で、日本はどのような道を選ぶべきなのか。「文明衝突戦争」の時代における日本の平和主義を再構築し、地球的平和への寄与を提唱する。
  • 現代語訳 武士道
    4.0
    日本人は、宗教なしに道徳をどう学ぶのか―こうした外国人の疑問を受け英文で書かれた本書は、世界的ベストセラーとなった。私たちの道徳観を支えている「武士道」の源泉を、神道、仏教、儒教のなかに探り、普遍性をもつ思想であることを鮮やかに示す。日本文化論の嚆矢たる一冊を清新かつ平明な現代語訳と解説で甦らせる。
  • 意味とエロス ――欲望論の現象学
    4.0
    現象学こそがわれわれがとりうるもっともラディカルな哲学態度であり、そして、その可能性をさらに推し進めることのなかにこそ、現代思想の混迷を突破する道がある。著者の哲学的デビューの書であり、その原点をいまもくっきりと指し示す本書は、読者に哲学することの意義と歓びを感じさせずにはおかない。
  • 死んだらどうなるの?
    4.0
    「あの世」はどういうところか。「魂」は本当にあるのだろうか。誰もが知りたい永遠の疑問を芥川賞作家で副住職でもある著者が、宗教的な観点をはじめ、科学的な見方まで縦横無尽に語りかけてくれる。読んだ後には今までと「世界」が違って見えるシンプルながらも奥の深い一冊。
  • 無思想の発見
    4.0
    日本人は無宗教・無思想・無哲学だという。さて無思想とは、どのような事態か。もしかするとそれは、「ゼロ」のようなものではないのか。つまりゼロとは、「なにもない」状態をあらわしつつ、同時に数字の起点でもある。ならば、「思想がない」というのも、ひとつの「思想」のあり方ではないか。日本の風土と伝統が生んだ「無思想という思想」を手がかりに、現代を取り巻く諸問題、さらには、意識/無意識とはなにかを、大胆に、されど精緻に考え尽くし、閉塞した現代に風穴を開ける。
  • ジンメル・コレクション
  • 恋愛論
    4.0
    恋愛――人生で一度は心を奪われる、このあらがいがたく不思議な力はなんなのか? 恋が過ぎ去ったあと、そのリアリティが失われるのはなぜなのか? 「恋愛」がもつ意味とは? プラトン、ゲーテ、ドストエフスキーらの格闘の軌跡を辿り、永遠不滅のテーマ「恋愛」を哲学する。人間の「実存」に新たな光をあたえた名著。
  • フーコー入門
    4.0
    「真理」「ヒューマニズム」「セクシュアリティ」といった様々な知の〈権力〉の鎖を解き放ち、「別の仕方」で考えることの可能性を提起し続けた哲学者、フーコー。我々の思考を規定する諸思想の枠組みを掘り起こす〈考古学〉においても、我々という主体の根拠と条件を問う〈系譜学〉においても、彼が一貫して追及したのは〈思考のエチカ〉に他ならなかった。稀代の哲学者の変容しつつ持続する歩みを明快に描き出す、新鮮な入門書。
  • 正義論の名著
    4.0
    「公正さとは何か」「正しさの基準はどこにあるのか」などなど、今日でも論じられる「正義」について、大思想家たちの「名著」は大きなヒントと刺激を与えてくれる。プラトン、アリストテレスから、ホッブズ、ロック、ベンサム、ニーチェ、さらにはロールズ、デリダ、サンデル…。主要な思想のエッセンスがわかる一冊。
  • おんなの浮気
    4.0
    「ウチの妻に限っては大丈夫」は妄想だ。浮気は男の甲斐性とみなされた時代は過ぎ去り、いまや、夫や恋人をもちながら他の男と色恋を愉しむ女性が少なくない。文学作品や映画、はたまた生々しい現実のエピソードを手がかりとして、女が浮気へと導かれるゆえんに迫る。複雑怪奇な女心の秘密を明かすための有益な一冊。
  • 中学生からの哲学「超」入門 ――自分の意志を持つということ
    NEW
    3.9
    自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか……。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。
  • ブッダという男 ――初期仏典を読みとく
    3.9
    ブッダは本当に差別を否定し万人の平等を唱えた平和主義者だったのか? 近代の仏教研究は仏典から神話的装飾を取り除くことで、ブッダを平和主義者で、階級差別や男女差別を批判し、業や輪廻を否定した先駆的人物として描き出してきた。だがそれは近代的価値観を当てはめ、本来の内容を曲解したものにすぎない。では、ブッダの真の偉大さは一体どこにあるのか。これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。
  • アイデンティティが人を殺す
    3.9
    集団への帰属の欲求とは何を意味するのか。この欲求が他者に対する恐怖や殺戮へとつながってしまうのはなぜなのか――。グローバル化の進展は、さまざまな文化の保持者たちの基盤を揺るがし、時に偏狭で排他的な帰属意識を生み出してしまう。複数の国と言語、そして文化伝統の境界で生きてきた著者は、本書のなかで新しい時代にふさわしいアイデンティティのあり方を模索する。鍵となるのは、「言語」だ。言語を自由に使う権利を守ること、言語の多様性を強固にし、生活習慣のなかに定着させること、そこに世界の調和への可能性を見る。刊行後、大きな反響を呼んだ名エッセイ、ついに邦訳。文庫オリジナル。
  • 「死にたい」と言われたら ――自殺の心理学
    3.9
    「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。
  • 現代思想の教科書 ──世界を考える知の地平15章
    3.9
    現在、私たちを取り巻く「知」の数々は、20世紀以降の世界がおかれた4つの状況から発生する。本書ではそれを、ポスト・グーテンベルク状況、ポスト・モダン状況、ポスト・ナショナル状況、ポスト・ヒューマン状況と名づける。そして、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」「情報とメディアの思想」「ナショナリズムと国家」など、15個のトピックスに切り分け、ソシュール、レヴィ=ストロース、フーコーという巨人たちの思想を読みなおしていく。ありきたりの哲学教科書では学ぶことのできない、現代思想における全ての最重要論点を、一から平明に解く15章の徹底講義。
  • プラグマティズム入門
    3.9
    十九世紀後半にパースが提唱し、ジェイムズが定義づけたプラグマティズムは、従来の西洋哲学の流れを大きく変えた。二〇世紀半ばにはクワインによって再生されたことで、今やアメリカ哲学の中心的存在となったその思想運動は、いかなる意味で革命的だったのか。プラグマティズム研究の日本における第一人者が、その本当の狙いと可能性を明らかにし、アメリカでの最新研究動向と「これからのプラグマティズム」を日本で初めて紹介。いま最も注目される哲学の全貌を明らかにする。
  • 方丈記
    3.9
    日本古典文学中屈指の名文『方丈記』。著者鴨長明が見聞し体験した、大火、大風、遷都、飢饉、大地震などが迫真の描写で記録され、その天災、人災、有為転変から逃がれられない人間の苦悩、世の無常が語られる。やがて長明は俗界から離れ、方丈の庵での閑居生活に入りその生活を楽しむ。しかし、本当の心の安らぎは得ることができず、深く自己の内面を凝視し、人はいかに生きるべきかを省察する。本書は、この永遠の古典を、混迷する時代に生きる現代人ゆえに共鳴できる作品ととらえ、『方丈記』研究第一人者による新校訂原文とわかりやすい現代語訳、理解を深める評言によって構成した決定版。
  • 哲学入門
    3.9
    神は死んだ(ニーチェもね)。いまや世界のありようを解明するのは科学である。万物は詰まるところ素粒子のダンスにすぎないのだ。こうした世界観のもとでは、哲学が得意げに語ってきたものたちが、そもそも本当に存在するのかさえ疑わしい。「ことばの意味とは何か」「私たちは自由意志をもつのか」「道徳は可能か」、そして「人生に意味はあるのか」…すべての哲学問題は、根底から問い直される必要がある!科学が明らかにした世界像のただなかで人間とは何かを探究する、最もラディカルにして普遍的な入門書。他に類を見ない傑作です。
  • 道徳を問いなおす ――リベラリズムと教育のゆくえ
    3.9
    「人に親切にしろ」「故郷を愛せよ」「社会のマナーは守ろう」。学校の道徳の時間に教えられてきたのは、このような徳育でしかなく、こういった言葉はもう十分、聞き飽きた。では、いまの時代・社会にフィットした道徳とは何か?また、それをどのようにして、子どもたちに教えたらよいのか?本書では、様々な倫理学の知見を掘り下げながら、哲学的にその本質に迫っていく。ひとりでは生き延びることができない時代に、他者と共に生きるための道徳が求められる。
  • 日本語の哲学へ
    3.9
    「日本語の哲学」を目指すとは、いったいどんなことなのか。―少なくともそれは、古代ギリシャに始まった西洋の哲学をただ日本語で受容する、ということではないはずである。かつて和辻哲郎が挑んだその課題は、いま、もっとも挑戦しがいのあるテーマとして研究者を待ちかまえている。ここに展開するのは、パルメニデス、デカルト、ハイデッガーといった哲学者たちと、「日本語」をもって切りむすぶ、知的バトルの数々である。これまでに類を見ない知的冒険の姿がここにある。
  • 世界をよくする現代思想入門
    3.9
    難解で役に立たないと思われがちな「現代思想」。しかし、それらの思想が、どんな「目的」を持って、どういう「道筋」や「思考の技術」を使って展開されているのか、を見ることによって、「難解さ」は解消し、「役に立たない」という批判は誤解にすぎないことがわかるでしょう。本書では、「現代思想」によって、「幸福」や「よさ」を追求するための技術を解説し、それが日々の生活の中で使えるようになることを目指します。繰り返して参照するのにも便利な「ブックガイド」「キーワード解説」付き。
  • 分析哲学講義
    3.9
    フレーゲとラッセルの論理学研究に始まり、クワイン、ウィトゲンシュタインらの活躍を経て、現在では哲学の全領域に浸透した分析哲学。言語や概念の分析を通じて世界を捉えるその手法は幅広い。哲学史上の優れた議論を素材に、その先を自ら考えるための一冊。「道具」としての分析哲学を伝える、珠玉の入門講義。
  • 生命観を問いなおす ――エコロジーから脳死まで
    3.9
    環境破壊から脳死問題まで、現代社会は深刻な事態に直面している。このような現代の危機を生み出したのは、近代テクロジーと高度資本主義のシステムである。生命と自然にかかわる諸問題に鋭いメスを入れ、欲望の充足を追求する現代に生きる私たちの生命観を問いなおす。生命と現代文明を考えるためのやさしいガイドブック。
  • 「わかる」とはどういうことか ――認識の脳科学
    3.9
    人は、どんなときに「あ、わかった」「わけがわからない」「腑に落ちた!」などと感じるのだろうか。また「わかった」途端に快感が生じたりする。そのとき、脳ではなにが起こっているのか―脳の高次機能障害の臨床医である著者が、自身の経験(心像・知識・記憶)を総動員して、ヒトの認識のメカニズムを解き明かす。
  • ミシェル・フーコー ――近代を裏から読む
    3.9
    フーコーは、私たちが自明視する世界のありようを、全く違ったしかたで見せる。最高傑作『監獄の誕生』を糸口にフーコーの思考の強靱さと魅力を描き出す。正常と異常の区分を生み出す「知」の体系と結びつき、巧妙に作用する「権力」。そうした秩序が社会の隅々にまで浸透する近現代の先に何を見定めたのか。革命的入門書。
  • 宗教なんかこわくない!
    3.9
    宗教とは、この現代に生き残っている過去である――だから、「宗教とはなんなのか?」ということを考えるのだとすると、その過去の集積=歴史を頭に入れなければならない。――オウム真理教事件を契機に、日本人が本当の「近代」を獲得するために著者が宗教について真っ正面から取り組んだ一冊。「信仰」「思想」「主義」「歴史」とは? 「ものを考えること」とは? 新潮学芸賞受賞作。
  • アリストテレス入門
    3.9
    プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。われわれがさまざまな事柄を考える際の思考法そのものに関わる問題を、彼はどのように追求していったのか。本書は、そのねばりづよい知の探求の軌跡をたどるアリストテレス再発見の試みである。
  • 現代語訳 論語
    3.9
    温かく、刺激的で、ときには厳しく、ときにはユーモアが漂う孔子の言葉をすっきり読めるかたちで現代語訳。「学び続けることの中に人生がある」――二千五百年もの間、読み継がれ、多くの人々の「精神の基準」となった古典中の古典を紐解けば、いつでもどこでも生き生きとした精神に出会うことができる。
  • 青色本
    3.9
    「語の意味とは何か」ーー本書はこの端的な問いかけから始まる。ウィトゲンシュタインは、前期著作『論理哲学論考』の後、その根底においた言語観をみずから問い直す転回点を迎える。青い表紙で綴じられていたために『青色本』と名付けられたこの講義録は、ドラスティックな思想転回が凝縮した哲学的格闘の記録である。
  • 宗教学の名著30
    3.9
    宗教学は経験科学の発達を背景としてヨーロッパで誕生した歴史の短い学問である。近代人は宗教に距離を取りながらも人類が宗教を必要としてきた理由を理解し、時に知的反省を加えてきた。本書は古今東西の知から宗教理解、理論の諸成果を取り上げ、現代人にとっての「宗教」の意味を考える決定版ブックガイドである。
  • 心理学をつくった実験30
    3.8
    パヴロフの犬、ミルグラムの服従実験、マシュマロテスト、セリグマンの学習性無力感……。心理学の魅力は、精緻に練り上げられた実験手法と、それがあぶり出す人間の知られざる一面にある。「心」とそれにまつわる人間の活動を科学的に解明することをめざした近代心理学は、その当初から実験研究を重視してきた。本書では、そのなかから広く知られ、大きな影響力を持った30の実験をセレクト。それぞれの実験を心理学の流れのなかに位置づけ、その内容と影響を紹介していくことで、心理学という学問の歴史とその広がりを一望する。
  • 四角形の歴史
    3.8
    犬は風景を見るのだろうか? 四角い画面。四角いファインダー。その四角形はどこからやってきたのだろう……。前衛美術家・漫画家・芥川賞作家である赤瀬川原平が、晩年に遺した「こどもの哲学 大人の絵本」第2弾。文明論的な考察にまで思索をめぐらせ、読者を「眼の冒険」にご招待します!
  • 自分の謎
    3.8
    どうしてぼくは、ここにいるのか。誰とも違う・誰にでもある。自分は世界にひとつだけ。自分が自分であることの不思議について――。前衛美術家・漫画家・芥川賞作家である赤瀬川原平が、晩年に遺した傑作絵本。言葉からイメージへ、あるいは逆に、イメージから言葉へ。自在に往環し、読み手の思考を揺さぶる。「こどもの哲学 大人の絵本」第1弾!
  • ホモ・エコノミクス ──「利己的人間」の思想史
    3.8
    自分の利益を第一に考えて合理的に行動する主体=「経済人(ホモ・エコノミクス)」――経済学が前提とするこうした人間像はどこで生まれたのか。多くの批判にさらされながらも、それが世界を動かす原動力でありつづけているのはなぜか。「金儲け」が道徳的に蔑まれた古代・中世そして非近代の社会から、近代経済学が確立する「限界革命」の時代をへて、ホモ・エコノミクスが社会の広範な領域に浸透する現代まで。「自己利益の追求」が当たり前の価値として受け容れられるに至ったからくりを、思想史の視座から解き明かす。
  • ようこそ、心理学部へ
    3.8
    犯罪から食欲、記憶から感情までを扱い、生理的仕組みを解明し日常的な行動の改良を目指す――。ひと口に心の学問というけれど、その世界は深くて広い。講義形式で心理学を体験できる入門書。
  • 哲学は対話する ──プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉
    3.8
    哲学は、「根源的真理」を問うものではない。その最大の目的は、一人ひとりの生き方と社会のあり方をよりよくすることであり、その方法は、プラトンが描くソクラテスにはじまり、フッサールの現象学にて真価を発揮した「対話」である。そうしてお互いが納得しうる「共通了解」をつくりだす哲学の営みは、分断が極まった現代において、人びとをつなぐ大きな可能性を秘めている。渾身の力を込めて、いま哲学の課題、目的、方法を問いなおす。
  • 1968年
    3.8
    先進国に同時多発的に起こった多様な社会運動は、日本社会を混乱の渦に巻き込んだ。その結果生まれたウーマン・リブ(→フェミニズム→男女共同参画)、核家族化(=儒教道徳の残滓の一掃)、若者のモラトリアム化(→「自分さがし」という迷路)、地方の喪失(=郊外の出現)、市民の誕生と崩壊、「在日」との遭遇などの現象は相互に関連しながら、現代社会の大きな流れを形作っている。前史としての“60年安保”から、ベ平連や全共闘運動を経て三島事件と連合赤軍事件に終わるまでの“激しい時代”を、新たに発掘した事実を交えて描く現代史の試み。
  • 宇宙はなぜ哲学の問題になるのか
    3.8
    「宇宙に果てはあるのか」「広大な宇宙の片隅に住む私たちとは何者なのだろう」──誰もが一度はとらえられるこうした問題。プラトンもカントもウィトゲンシュタインも、その哲学の原点は宇宙への問いだった。宇宙を切り口に学ぶ、いちばんやさしい哲学入門。
  • 「いじめ」や「差別」をなくすためにできること
    3.8
    自分が直面しなくても、誰かが「いじめ」や「差別」の被害にあっていると気づいた時、どうすればいいの? 見ないふりをしないで、見ること、そして同意しないこと。そして、もしも被害にあったら逃げ出すことも大事!!
  • 行動する仏教 ──法然・親鸞の教えを受けつぐ
    3.8
    従来の仏教は、生きる上での「苦」の原因を、前世からの因縁や個人の心の奥底に巣食う強烈な自我に求めてきた。しかし、戦争で命を落としたり原発事故の被害に遭うことは、個人の過去や心のありように原因があるのだろうか。そうではなく、政治や社会構造に問題があるのではないか。ならばその苦の原因を取り除く行動を、いまや仏教は起こさなければならない。「すべての衆生を救わずにはいられない」という仏教徒の第一の使命に立ち返り、法然・親鸞によって確立された浄土仏教を受け継ぎながら、その教えの中味を現代的な形に作り変える。行動する仏教=エンゲイジド・ブッディズムの意欲作。
  • 古代インドの思想 ――自然・文明・宗教
    3.8
    最大の民主主義国家であり、多様な民族・言語・宗教の坩堝であるインドをまとめる価値観とは何か。緻密な哲学思想や洗練された文学理論など、高度に発達した「知の体系」は、いかに生まれたか。厳しくも豊かな自然環境がインド人に与えた影響とは。外の世界から多くを受け入れながら矛盾なく深化・発展させることで、独自の文化や思想を生み出し、世界中に波及させてきた。ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教……。すべてを包み込むモザイク国家「インド」の源流を古代世界に探る。
  • 群衆――モンスターの誕生
    3.8
    群衆とは何か。近代資本主義の誕生とともに、歴史と社会の表舞台に主役として登場してきた群衆。二十世紀のナチズムもスターリニズムも群衆社会がつくりだした全体主義の脅威であったことは記憶にあたらしい。一体われわれは、激流のような群衆化傾向に対して抵抗できるのだろうか。ポー、ボードレールやニーチェ、メアリー・シェリーらの群衆への驚き、カネッティやモスコヴィッシの群衆分析、トクヴィルの民主主義論、ルボン、タルド、フロイトらの心理学的考察など、さまざまな視点からその怪物的性格を明らかにし、現代人の存在のあり方を根源から鋭く問う群衆社会批判。
  • サバイバル! ――人はズルなしで生きられるのか
    3.8
    日本海から上高地へ。200kmの山塊を、たった独りで縦断する。持参する食糧は米と調味料だけ。岩魚を釣り、山菜を採り、蛇やカエルを喰らう。焚き火で調理し、月の下で眠り、死を隣りに感じながら、山や溪谷を越えてゆく―。生きることを命がけで考えるクライマーは、極限で何を思うのか?その洞察に、読者は現代が失った直接性を発見するだろう。“私”の、“私”による、“私”のための悦びを取り戻す、回復の書。驚異の山岳ノンフィクション。
  • 哲学の道場
    3.8
    哲学は無害なもの、品行方正なもの、そして立派なものとして語られることが多い。けれども、それはあらゆるものへの根源的な懐疑から出発するという点で病気に近いものであり、凶暴で、危険で、しばしば反社会的でさえある。では、なぜ人は宗教ではなく、哲学を必要とするのか。日本語で哲学するとは、具体的にはどういうことなのだろうか。死の不条理への問いから出発した著者が、哲学の神髄を体験に沿って解き明かす。
  • よく生きる
    3.8
    「よく生きる」。これは人間にとって究極の問いである。人は強くて、同時に弱くなければならない。人は強くなければ自分の存在を守れない。しかし、それは動物としての生存の維持である。人は、弱くなったとき、他者の心を理解し、真の交わりに入る。古今東西の哲学、宗教、文学を通してこの真実を明らかにする。
  • 解離性障害 ――「うしろに誰かいる」の精神病理
    3.8
    「うしろに誰かいる」という感覚を、頻繁に訴える人たちがいる。また、かれらは同時に、体外離脱や「霊」体験があるといった共通点をもつ。このような症状が高じると、リストカットや大量服薬をして、精神科を訪れることになる。さらに高じると、解離性同一性障害(多重人格)とよばれ、ときに暴力的にもなる。本書では、現代日本の解離の姿を、具体的な症例をあげて描き、寛解に至る道筋を照らし出す。
  • 高校生のための哲学入門
    3.8
    どんなふうにして社会はここまできたのか。西洋も日本も「近代」を通過することにより、自分で自分の生き方を決められる社会になってきた。しかし「個人」は一人では生きられない。他者との関係の中で自分の道を見きわめていくにはどうしたらいいのか。「知」の在り処を探ってきた著者が書き下ろす、万人のための哲学入門。
  • ギリシア神話
    3.8
    恋多きゼウスと、嫉妬に狂う妻ヘラ、その子ヘーパイトスと美の女神アプロディテ、恋の矢をもつエロス……。オリュンポスの神々はいかに戦い、いかに恋したか。「遠いむかしに語られ書かれたように、わたしのギリシア神話を書きはじめよう」と著者は言う。しなやかな哲学者による、ギリシア神話入門の決定板。
  • 恋愛力――「モテる人」はここがちがう
    3.8
    「恋愛力」は「コメント力」だ! 村上春樹の小説の「僕」や『世界の中心で愛を叫ぶ』の主人公、『冬のソナタ』のヨン様から「光源氏」はては「電車男」まで、恋愛力の高い男たちのセリフを分析。どんな場面でどうコメントすれば、女性の心をつかめるのか? 気のきいた会話が苦手でデートが盛り上がらず、いつもフラれてばかりでも「言葉のチカラ」を借りれば、「恋愛力」が身についてくる!
  • 禅的生活
    3.8
    生きにくい世の中である。不況、雇用不安などの外圧もさることながら、個人の内部に深く根差した、生きるための目標、足場の固め方までもが見えにくくなっている。だけど、しょせん人はこの身と心で生きてゆくしかない。それならいっそ、ものの見方をがらりと変えて、もっと楽に生きるための思考方法を身につけてしまおう。作家にして禅僧である著者が、禅語をもとにその世界観をひもときながら、「今」「ここ」を充実させるための様々な智慧を、坐禅なしに伝授してしまおうという画期的にしてフラチな人生指南&禅入門の一冊。
  • レヴィナス入門
    3.8
    フッサールとハイデガーに学びながらも、ユダヤの伝統を継承し、独自の他者論を展開した哲学者エマニュエル・レヴィナス。自身の収容所体験を通して、ハイデガーの「寛大で措しみない存在」などは、おそるべき現実の前に無化されてしまうと批判する。人間はどれだけわずかなものによって生きていけるのか、死や苦しみにまつわる切なさ、やりきれなさへの感受性が世界と生を結びつけているのではないか。こうした現代における精神的課題を、レヴィナスに寄り添いながら考えていく入門書。
  • 思考の補助線
    3.8
    幾何学の問題で、たった一本の補助線を引くことが解決への道筋をひらくように、「思考の補助線」を引くことで、一見無関係なものごとの間に脈絡がつき、そこに気づかなかった風景がみえてくる。この世界の謎に向き合う新たな視座を得ることができる―。「知のデフレ」現象が進む日本で、ときに怒りを爆発させながらも、「本当のこと」を知るために探究をつづける著者の、情熱的な思索の過程が本書である。自由軽快に、そして粘り強く考えるヒントを、自らの一身を賭して示す。
  • シュタイナー入門
    3.8
    「シュタイナー教育」や「人智学」で広くその名が知られるルドルフ・シュタイナー。だが、アカデミズムからは「胡散臭いオカルト」の烙印を押され、一方の受容する側にも、その思想への盲目的な追従、偶像化が見られる。本書は、彼が立脚した第一次大戦下ドイツの時代状況やドイツ精神史における思想系譜、歴史経維に広範な省察を加え、その生を内側から活写することで、「みずから考え、みずから生きること」への意志を貫いた「理念の闘士」の思想的核心を浮き彫りにする。
  • 職場のメンタルヘルス・マネジメント ──産業医が教える考え方と実践
    3.7
    社員が急に会社に来なくなった。部下が鬱になった。職場全体が疲れている……。深刻化する職場のメンタルヘルス問題。その多くに社内の人間関係が絡んでいる。心のあり方は人によってさまざま。上司は部下のパーソナリティについて理解し、相手にあわせた立ち振る舞いをしなくてはならない。産業医としての豊富な経験と精神医学の最新知見をもとに、管理職や人事労務担当者が押さえておくべきポイントを丁寧に解説。予防メンタルヘルスの基本がこれ一冊でまるごとわかる!
  • 生命倫理のレッスン ――人体改造はどこまで許されるのか?
    3.7
    美容整形やスマートドラッグなど、人体を改良するための技術利用は「私の自由」といえる? 未来社会や現代人の自由をめぐる、生命倫理の対話の世界へようこそ!
  • 悪い言語哲学入門
    3.7
    「あんたバカぁ?」「このタコが!」「だって女/男の子だもん」。私たちが何気なく使う言葉にも、悪い言葉がたくさん潜んでいる。では、その言葉は本当はどこが悪いのか? さらには、どうしてあの言葉はよくてこれはダメなのか? 議論がつきない言葉の善悪の問題を哲学、言語学の観点から解き明かす。読み終えると「ことば」への見方が変わるはず。
  • 教養としての仏教思想史
    3.7
    紀元前6世紀頃にゴータマがインドで始め、現在も日本文化に深く根を張る仏教。神を絶対者として崇める西洋的な宗教とは一線を画すこの信仰は、時代と地域を超えていかにして現在の形になったのか。上座部、大乗、密教、禅宗など、数多く存在する部派・宗派を歴史の中に位置づけ、それらの発展に秘められた膨大な知の全貌を俯瞰。さらに中国、朝鮮半島をはじめ地域ごとの展開にも目を配り、わかりやすく解説する。これだけは知っておきたい仏教の知識が満載の決定版入門書。
  • ヒューマンエラーの心理学
    3.7
    たとえば直観的に動いて失敗した。だから今度はじっくり考えて行動したのに、やはり選択を誤ってしまった。または、はっきり記憶している経験が、実はぜんぜん違うものだった……など誰でも体験があるだろう。人間とは、間違える動物である。それは認知的な処理能力に制約や限界があるため。だが、それらを知って上手にいかせば、ミスを減らすことができる。自分のことは当然ながら、仕事や教育、災害現場などで、他人を思い通りに動かせるかもしれない。不思議な錯覚・錯視から危険な認知バイアスの理由まで、心理学が解き明かした、人間の知覚の本質とは。
  • ニーチェはこう考えた
    3.7
    熱くてグサリとくる言葉の人、ニーチェ。だが、もともとはまじめで弱くて、斜に構えた青年だった。徹底的に挫折しても、再び立ち上がることができるのはなぜか? 不安で不確実な現代に、等身大のニーチェがいま、よみがえる。
  • ニーチェ入門
    3.7
    現代思想に多大な影響を与え、今なお多くの著作が読み継がれているニーチェ。しかしアフォリズム的に書かれたその文章は、他の哲学者にはない魅力である一方で彼の思想の核心を捉えにくくもしている。ニーチェは終生何について考えていたのか? 実はそこには「健康と病気」をめぐる洞察がある、と著者は述べる。みずからも病に苦しみつつ、その経験の中から「身体の健康とは何か、精神の健康とは何か」という身近な問題意識への思索を深めていったのだ。ニーチェの生涯や思想、キーワードを平明に解説し、その思想のもつアクチュアリティを浮かび上がらせる入門書。
  • 終わりなき日常を生きろ ──オウム完全克服マニュアル
    3.7
    「さまよえる良心」と「終わりなき日常」をキーワードに、今最も活発な発言を続ける著者が、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。その後の事件、状況分析を加えたあとがきを新たに付す。
  • 聖書の起源
    3.7
    キリスト教の正典、「聖書」──その奥にひそむのは、古代オリエントやギリシアのあらゆる神々の姿が織り込まれ、ユダヤ民族悠久の歴史が幾重にも積み重ねられた、多文化的な空間であった。異教のバァール神話の死と復活のドラマ。ギリシア神話のアドニスとアフロディテの出会いと別れの物語。エーゲ海であがめられた治療の神アスクレピオス。治癒神イエス登場の背後には、これら異端の神々の系譜を透かし見ることができる。従来の宗教学的解釈では光をあてられることのなかったこの歴史を、宗教人類学の視線から掘り起こし、のちの聖書の読みを決定づけた古典的名著。
  • イスラーム思想を読みとく
    3.7
    現代イスラームの「過激派」と「穏健派」の争点はどこにあるのか? なぜ、同じスンナ派同士で争うのか? 「穏健派」のムスリムは、なぜ「過激派」を「破門」しないのか? イスラーム神学、古典イスラーム法学、現代イスラーム思想を横断し、問題の背景と核心に迫る。「イスラームのテロ」に警鐘を鳴らすのでも、「平和な宗教」としてイスラームを擁護するのでもなく、対立の思想的争点を浮き彫りにする一冊。
  • 英米哲学史講義
    3.7
    英米哲学の諸潮流は、「経験」を基盤に据えるという発想に導かれている。それは、ロックやヒュームらの「経験論」を共通の源泉とするためだ──。ベンサム、J.S.ミルに発する「功利主義」。フレーゲとラッセルを先駆に、ウィトゲンシュタイン、クワインをへて現代に連なる「分析哲学」。パースが提唱しアメリカを体現する思想となった「プラグマティズム」。そして、ロールズやノージックらの「正義論」。本書は、こうした英語圏の哲学的系譜を、経験論を基点として一望のもとに描き出す。主要哲学のつながりを明快にとらえる、入門書決定版!
  • 親鸞
    3.7
    人はだれしも存在の不条理や不安を抱えながら生きざるをえない。だからこそ、その人生を心底納得して死んでゆくための物語=宗教が必要とされる。親鸞とは、何よりも、「末法」という大転換期にあって、その時代に生きる人々が切に必要とする新しい「物語」を、仏教の中から引き出した人であった。ひたすらに念仏することを説いた法然の教えを伝承し、なぜ念仏すれば仏になることができるのか、人間の真実に照らし、その根拠を明らかにしようと努めたのである。親鸞の手にした「信心」の全貌を、現代に生き生きとよみがえらせる一冊。
  • 仏教と日本人
    3.7
    水子地蔵、閻魔が死者を裁く地獄、妻帯する僧侶、神仏の併用、そしてお葬式……インドに発し中国を経て伝来した仏教は、わが国独特のすがたに変容し、定着した。こうして日本人の心情に深く根ざした仏教は、では、どのような民族的精神風土の上に受け容れられたのか。また、仏教とふれることで、日本人の宗教意識にどのような変化が生まれたのか。日本文化のはらむ「業」、その光と影を透徹した思惟で見定める一冊。
  • 心理学の名著30
    3.7
    人間の心への興味はつきることはない。それらに答える心理学はジャンルも多岐にわたるため、なにを読んで学べばよいか、迷う人も多い。そこで本書では、「生物としてのヒト」「個人的な人生を展望する存在としてのひと」「社会的な存在としての人」という三つの側面に着目して、それぞれの名著を一気に紹介する。加えて、それぞれの研究者の関わりが描いているため、心理学の展開も理解できる。古典から最新の理論までを網羅する入門書!
  • 神社ってどんなところ?
    3.7
    七五三や初詣でで神社を訪れる人は多いでしょう。日本に約八万社あると言われる神社ですが、訪れた神社の由来を知っている人は少ないのではないでしょうか。身近にある神社についてもう少し深く知ってみませんか?
  • フェミニズム入門
    3.7
    男性の、男性による、男性のための思想体系がいかに虚構と欺瞞にみちているか。フェミニズムの問題提起によってなんとあっけなく揺さぶられるものにすぎないか。近代主義から近代批判、イリガライやクリステヴァなどのポスト・モダンに至るまでのフェミニズム思想の破壊力の変遷をたどりつつ、さらにリプロダクション、性暴力、国家と性など最も現代的なテーマに果敢に挑戦する。現代の生と性の意味を問いなおす女と男のための痛快なフェミニズム思想入門。
  • 思想なんかいらない生活
    3.7
    「思想」というものは、私たちの生活に必要なのだろうか?あるいは、思想や哲学が、今のこの状況下の私たちに、果たして有効な何かを示唆してくれるのだろうか?本書では、日本の各方面で活躍中の知識人を片っ端から取り上げて、彼らの思考・表現活動が、いったいどれだけの意味をもち、一般読者大衆にどれだけの影響を与えているのかを考え、「ふつうに暮らすふつうの人びと」の立場から「思想・哲学」を問いなおす。
  • 社会思想史を学ぶ
    3.7
    九〇年代以降、明日への不透明感は増す一方であり、人びとの抱く閉塞感も高まるばかりだ。社会思想史を学ぶとは、まさに、過去の思想との対話を通じて現代世界を眺める座標軸を獲得することにほかならない。近代啓蒙からポストモダンまで、重要思想の核心をクリアに一望する入門書決定版。
  • 保守思想のための39章
    3.7
    バブル崩壊と冷戦の終焉から十年すぎた。しかし今なお、経済の立て直しから有事への対処などに至るまで、依然として議論だけが続いている。しかも、その空疎な対立と不毛な論争の蔭で、学級崩壊、官民を問わない不正行為の続出、各種犯罪の増加など、日常の社会そのものは緩慢な自死の過程をたどりつつある。そして、資本主義の挫折と帝国主義の再来、それが世界の大状況となっている。この危機に、私たちはどう臨めばよいのだろうか。単なる郷愁やかたくなな復古ではなく、美徳と良識にもとづいて公共空間を再建するため保守思想の真髄をさぐる。
  • 独学の精神
    3.7
    なぜ私たちはかくも「無教養」になったのか。本書は、現代の日本人が見失った「独学の精神」をめぐる思索である。「ほんとうに大事なことは何ひとつ教えることなどできない」「学ぶことは身ひとつで生きる自分が学ぶというあり方でしかなされえない」―単純で大切な事実について、根っこから考え抜く。
  • 心の底をのぞいたら
    3.7
    自分で自分がわからない、つかまえどころのない自分の心。知りたくてたまらない他人の心。動物の心と人間の心はどうちがう? 身近で遠い、なぞにみちた心の中をわかりやすく案内し、無意識の世界へ誘う。若い人のための心の名著。
  • 哲学思考トレーニング
    3.7
    哲学は工夫しだいで思考のスキルアップに直結する。分析哲学、科学哲学、懐疑主義、論理学、倫理学などの思考ツールを使いこなす術を完全伝授! もっともらしい屁理屈や権威にだまされず、筋道を立てて考え抜くコツが身につく。すぐにも応用可能なノウハウを習得しながら、哲学的思考の真髄も味わえる知の道具箱。
  • 哲学マップ
    3.7
    哲学の多様さと難解さにひるんでしまう人は多い。しかし、各思想のエッセンスと思想間のつながりを押さえて眺めると「なぜそれが問題になるのか」「どうしてそういう考え方をするのか」という勘所が見えてくる。古代ギリシアから現代哲学まで、西洋形而上学から東洋思想までを網羅し、哲学を活用するためのガイドブック。
  • アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門
    3.7
    大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起……。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。
  • 公共哲学とは何か
    3.7
    シニシズムや無力感、モラルなき政治家や経済人、軍事力を行使したがる大国―こうした事態に直面して、いま「公共性」の回復が希求されている。本書は「個人を活かしつつ公共性を開花させる道筋」を根源から問う、公共哲学の世界に読者をいざなう試みである。「知の実践」への入門書決定版。
  • バタイユ入門
    3.7
    聖なるものへの覚醒とはなにか。エロチシズムとはなにか。熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人、バタイユ。ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、「非-知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。現代のヨーロッパはいまだ彼が投げかけた問いの内にあり、そこにまたバタイユの思想を問う意味がある。「死とエロチシズム」の思想家の活動の全貌を新たな視点から明快に解き明かす入門書。
  • 死にいたる病
    3.7
    絶望とは、人間の精神のみが罹る「死にいたる病」である。キリスト教会の欺瞞を批判しつつ、無限なる神との関係における有限なる自己(単独者)をめぐって、絶望と罪との諸形態を徹底的に分析し、考え抜く――精神の教化と覚醒のために。自己疎外に陥った現代人の魂の、その核心への肉薄が、今なお鮮烈に読む者を捕えて離さない実存主義哲学の古典。20世紀の思想に広範な影響を与えたキルケゴール晩年の思索を、デンマーク語原点から訳出し、詳細を極める訳注と解説を付す。
  • 知的創造のヒント
    3.7
    あなたに最適な知的創造のヒントがここにある。常に心構えを柔軟にしておくコツから忘却の効用、雑談のすすめ、メモをとる是非や本の読み方まで著者の実践法を紹介します。個性的な思考スタイルを身につけ、知的創造性を発揮するための実践トレーニングが満載の一冊。あきらめていたユニークな発想ができるようになる知的習慣術。
  • 戦後の思想空間
    3.7
    いま戦後思想を問うことの意味はどこにあるのか。戦後民主主義を潮流とする戦後知識人の思想は、米国を中心とする世界システムのマージナルな部分として位置づけられた戦後空間の中で醸成された。しかし70年代を転回点に、米国の善意を自明の前提とした構造はリアリティを失っていく。こうした状況を踏まえて、西田幾太郎、田辺元の京都学派や和辻哲郎などによって唱導された戦前の「近代の超克」論を検証し、ポストモダンから〈戦後・後〉の思想へと転換する思想空間の変容を、資本の世界システムとの関連において鋭く読み解く戦後思想論講義。
  • 「覚える」と「わかる」 ──知の仕組みとその可能性
    3.6
    「理解する」とはどういうことか? 空気を読む際、私たちの頭と感覚は何をどう察知しているのか? 丸暗記、身体で覚える、まねるといった学習の基本から直観、批判的思考、知の可能性までを探っていく。
  • もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら
    3.6
    シド・ヴィシャスの生まれ変わりと囁かれる新進気鋭のパンクロッカーまなぶ。彼の前に立ちふさがる謎の宗教思想「仏教」! その教えにリアルパンクロックを見たまなぶは、恐るべき腕力を誇る老僧に導かれ、仏の道へと足を踏み入れる……。吹き荒れる暴力と悟りの果てに青年は何を見るのか。本邦初、ヴァイオレンス仏教解説!シャル・ウィ・ニルヴァーナ!!
  • ハンナ・アーレント ──屹立する思考の全貌
    3.6
    何ものにも依らないユニークな「手摺なき思考」が注目されたアーレント。本書は、全体主義が勃興して消えて行った激動の現代史を考察し続けた彼女の思索の最深部に迫る一書である。哲学、政治、思想という三つの補助線を駆使しながら主要な各作品を詳細に読みとき、時代を超えて屹立する思考の全貌を把握する。悪の問題、世界疎外、経験と思考、……人間の現実を徹底して追究した問題群を、いま改めて問いなおす。
  • 決定版 感じない男
    3.6
    オトコという存在は実は「不感症」ではないのか。だからこそ、美少女写真集を見てはあらぬ妄想を膨らませ、一人でしては空しさに襲われる──。少なくとも自分にはそうした側面があると気づき、この問題を深く掘り下げ、論じ切った衝撃のセクシャリティ論。男女を問わず大きな反響を呼び、「男の性」の必読本となったこの書に、「その後の、感じない男」についての章を加えた、増補決定版。
  • レジリエンス入門 ──折れない心のつくり方
    3.6
    人生には心が折れやすくなる時期が必ずやってくる。どうすればそれを乗り越え、成長へとつなげられるのか。「レジリエンス」=心の自然治癒力を高めれば、さまざまな困難に対処することができる。その方法をわかりやすく解説する。
  • 1995年
    3.6
    1995年とは地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災という二大事件の起きた年だ。またウィンドウズ95の発売などでインターネット元年と呼ばれ、“失われた20年”と呼ばれる経済停滞が始まり、戦後初の社会党政権の時代でもある。戦後50年にあたる1995年は、ここから現代が始まった「戦後史の転機」といわれている。この1995年に、何が終わり、何が始まったのか。その全貌を解く衝撃の現代史!
  • 日本思想全史
    3.6
    この国の人々は選択的に外の思想を受け入れつつ、あるべき人間とは何かという問いを立ててきた。ではその根底にあるものは何だろうか。思想史を俯瞰してそれを探るには、日本の内と外の両側から眺める視点が必要である。そしてそのような内と外の意識こそ、古代からこの国で綿々と受け継がれてきたものだ。神話時代から現在までの各時代の思想に、外部的視点からの解釈を押し通すのではなく、内在的視点をもって丹念に光を当てる。一人の思想家による、初めての本格通史。
  • 日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか
    3.6
    一般に世界の別れ言葉は、「神の身許によくあれかし」(Goodbye)か、「また会いましょう」(See you again)か、「お元気で」(Farewell)のどれかである。なぜ、日本人は「さようなら」と言って別れるのだろうか。別れ言葉にこめてきた日本人の別れの精神史を探究する。
  • 入門 老荘思想
    3.6
    2009年1月、ほぼ完本の『老子』竹簡群が、北京大学に運び込まれた。これは、墳墓から盗掘され香港の骨董店を経由して海外に流出するところを、大学関係者が買い取り、寄贈したものである。諸子百家の中にあっても、儒家等とは大きく異なる主張を唱えたとされる道家であるが、その評価は果たして正しいのだろうか? 新資料を踏まえて、『老子』『荘子』の言葉をじっくり読み解くことで、その謎に包まれた思想がいま解き明かされる。さらに、後年の中国思想家や仏教への影響、江戸期の日本やその他ヨーロッパ諸国での受容にも目をむける。
  • 人はなぜ宗教を必要とするのか
    3.6
    宗教なんてインチキだ、騙されるのは弱い人間だからだ―「無宗教」を標榜する日本人は、たいていそう考える。しかし、そんな「無宗教」者も、「本当の生き方」を真剣に模索しはじめたとき、また、人の死など身にあまる不条理を納得したいと願ったとき、無宗教ではいられなくなってくるのではないだろうか。宗教に対する誤解にひとつずつ答え、そもそも宗教とはどういうものなのかを説き、「無宗教」から「信仰」へと踏みだす道すじを平易に語っていく一冊。
  • ブッダの幸福論
    3.6
    私たちの生き方は正しいのだろうか? ブッダが唱えた「九項目」を通じて、すべての人間が、自分の能力を活かしながら、幸せに生きることができる道を提案する。【目次】序章 ブッダの生きた幸福の境地/第1章 「生き方」はどうすればわかる?/第2章 正しい生き方をやってみる/第3章 慈しみの心を育てる/第4章 人生に意味はあるのか?
  • デカルト入門
    3.6
    「私は考える、ゆえに私はある」―近代精神の確立を宣言し、現代の知の枠組みとなる哲学の根本原理と方法を構築した近代哲学の父デカルト。コギトの確立に体系の集約点をみるドイツ観念論の桎梏を解き放ち、デカルトの真実の姿を見いだそうとする本格的な入門書である。デカルトの思想を現代的視座からも読みなおす意欲作!
  • キリスト教を問いなおす
    3.6
    平和を説くキリスト教が、なぜ十字軍など戦争を起こしてきたのか? キリスト教信者には偽善者が多いのではないか? 信仰心に篤い人が、不幸な目に遭ったりするのはなぜか? キリスト教徒によるユダヤ人迫害などの事例から、神とは何かを真摯に問うラディカルなキリスト教思想の入門書。
  • プラトン入門
    3.6
    ヨーロッパ哲学の絶対的な「真理」主義の起源をなす人物として、ポストモダン思想家から最悪の評価を与えられている人、プラトン。しかしプラトンこそ実は、異なった人間どうしが言葉を通して共通の理解や共感を見出しうる可能性を求めた「普遍性」の哲学者であった。プラトン評価を逆転させる、目から鱗の一冊。
  • クオリア入門 ――心が脳を感じるとき
    3.6
    人間を世界のほかのあらゆるものと区別するのは「心」の存在だ。そして、われわれの心の中のすべての表象は、クオリアというそれ以上分割できない単位からできている。風にそよぐ木々の動きや葉の色、鼻孔をふるわす芳香――さまざまなクオリアたちを表象する〈心〉が、脳内にいかにして現象するか。さらにクオリアと「私」の心を結ぶ「志向性」の新たな展開とは? 脳科学の現在から「私の心」の見取り図へ。模索する独創的思考の息づかいが感じられる格好の入門篇。
  • ハイデガー入門
    3.6
    二〇世紀哲学における最大の巨人と称されるハイデガー。半世紀以上にわたり、彼の思想はあらゆる知の領域に圧倒的な影響を及ぼしてきた。哲学史上最重要な作品の一つとして、大いなる成功と絶望的な無理解の断層に屹立する哲学書『存在と時間』。そこに隠された真の狙いとは何なのか? 本書は難解で知られるハイデガーの思考の核心を読み解き、プラトン、アリストテレス以降の西洋哲学が探求し続けた「存在の問い」に迫る。ハイデガー哲学の魅力の源泉を理解するための一冊。
  • 主権者を疑う ──統治の主役は誰なのか?
    3.5
    近年の改憲ムーブメントで連呼された「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様です!」――私たちは改めて主権者としての自覚が求められ、いよいよ最後の出番に呼び出しがかけられている。しかし、主権とは何で、主権者とは誰なのか? 本書は、神の至高性に由来するこの“取り扱い注意”の概念を掘り下げ、新たなトリセツを提示する。ロゴスから意思へ、神から君主そして国民へ、魔術から計算へ、選挙からアルゴリズムへ――中世神学から現代の最新論考までを包含しためくるめく“主権者劇場”がここに開幕!
  • 入門講義 ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
    3.5
    哲学の役割は物事を丸ごと説明するテーゼを提示することではない。ウィトゲンシュタインはぼやけた物の見方を論理的に明確化し、世界や人生のディテイルから目を逸らさぬようにと、私たちをガイドする──。20世紀最大の哲学書『論理哲学論考』とはどのような本なのか。独特の概念を一つずつ押さえ、難解かつ複雑に枝分かれした『論考』の議論をわかりやすく読み解くとともに、世界的な解釈論争にも分け入り、後期哲学への連続性も視野に、ウィトゲンシュタインの思考を生き生きと描き出す。

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