作品一覧 2023/04/26更新 愛読の方法 試し読み フォロー 小津安二郎の喜び 試し読み フォロー 沈黙するソシュール 試し読み フォロー 独学の精神 試し読み フォロー 日本人の信仰心 試し読み フォロー 批評の魂 試し読み フォロー 民俗と民藝 試し読み フォロー 保田與重郎の文学 試し読み フォロー 1~8件目 / 8件<<<1・・・・・・・・・>>> 前田英樹の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 保田與重郎の文学 前田英樹 とてつもない読書体験だった。 一冊の本読み終えて、これほど深い感銘を受けたことがこれまであったろうか、とわが読書人生を振り返させられた。 ここに描き出された保田與重郎という人物のなんと魅力的なことだろう。 文学の歴史を語っても、美術の歴史を語っても、凡庸な学者が教科書的に知識を羅列すると全く対照的...続きを読むに、物事の本質と核心に真っ直ぐに向かい、それを剔出してきて、端的に示す。 そのようにして示されたわが国が守るべきものは、「日本」ではなく「くにがら」である。 そのくにがらとは、天照大御神がその孫に授けた「稲穂の神勅」に始まる。この「事(言)依さし」によって、神と人が共に働く。米作りをする。その勤労のすべてがそっくりそのまま祭りの暮らしであり、神と共に生きて働く至上の喜びである。 これこそ、平和に人々が暮らしをたてるための究極の道であると。 さらに保田は断言してみせる。 この道を伝えることができるのは、文学だけなのだ、と。 そしてそれを伝えてきた隠遁詩人の歴史を語るのである。 それにしても保田與重郎という人物の眼力と文章力、そして何より自らがその文学の力と使命を体現せねばならないという覚悟の透徹を、かくまで清澄で味わい深い文体で、しかも保田の内側に深く入り込んで描き切った、前田英樹のこの文業は特筆すべきである。 読むことも、考えることも、感じることも、味わうことも、生きることなのだと、生きることの真髄を教えられた読書体験だった。 これから、折に触れ、読み返すことになるだろう、大切な本だ。(だから一切書き込みや棒線引きはできなかった) Posted by ブクログ 日本人の信仰心 前田英樹 ずっと積読だった本を、日本人の原点について考えていてあらためて手に取り、読んで深く心を揺さぶられ、かつ、驚嘆した。 日本人には宗教あるいは信仰心と呼べるものが希薄、というイメージが浸透しているが、著者はそうではないと言う。 日本人にも信仰はある、などという軽々しいことを主張しているのではない。 日本...続きを読む人の宗教には経典という形でまとめられた教義がないために宗教の存在が疑問視されるが、ことは逆さまである。日本人の信仰はその立ち居振る舞い、行動、とりわけ祭りという営みの中に端的に表現されているのだという。 そして祭りの根源は、年祈祭であり、新嘗祭であり、とどのつまりは稲作民が神に祈り感謝し、神とともに稲の収穫を祝うという生活そのものである。 このような米づくりそのものの中に生き生きと生きている信仰は、一神教のような闘争や競争、ひいては殺戮など起こしようがない。 すなわち最も根本的なレベルでの平和の原理なのである。 人が人を貪り食うカニバル(共喰い)資本主義がはびこる現代、人類の未来へのひとすじの希望がここにしたためられている。 そしてこの本から教えられたことで、個人的に極めて大きかったのは、それまで読んだこともなかった保田與重郎という強靭な文人・思想家の存在である。 これから少し保田を読まねばならない。 Posted by ブクログ 独学の精神 前田英樹 二宮尊徳のことから始まって目から鱗の連続だった。自らの無知を恥じ入るばかりだ。目次から内容が予想できなかったここ最近初めての本である。最後は具体性をもって、幸福と平和の本質に迫っていた。 ・畏怖や讃仰のないところに、教育は成り立ちようがない。 ・人生のなかでほんとうに考え、学んだことは、みな口には...続きを読む出し難いものだ。 ・国際人である必要など少しもない。 ・進歩の思想ほど退屈なものはない。 ・何から何まで人任せで、あれが旨いだのまずいだのと言っている。このことが、精神の独立性に影響を与えないはずはない。 ・戦争の残酷さ、怖さを伝えるのは逆効果だろう。 ・努力して生きることへの根本からの自信のなさがある。 Posted by ブクログ 独学の精神 前田英樹 民芸品は芸術作品なのか、もやもやしていましたが、著者は明快に示してくれます。著者の価値観に共感できる人には、星5つ Posted by ブクログ 独学の精神 前田英樹 ほんとうに大事な事は何ひとつ教えることなどできない。 学ぶことは身ひとつで生きる自分が学ぶというあり方でしかない。 こうした単純で大切な事実について、その当たり前の事実が行き着く先について、根っこから考え抜く。 学問とは生きるために必要な事であり、それこそが大学で学ぶべき「教養」というもので...続きを読むあると思う。 この三章で建築について少し焦点を当てているが、建築以外の人が語った方がその真理に近いと思う。 Posted by ブクログ 前田英樹のレビューをもっと見る