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「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。
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Posted by ブクログ
自殺リスクが高まる条件、いろいろな状況への対応方法の例示、自殺の現状と現在の取り組み、何が課題でどうしていくべきかなど、網羅的にわかりやすかった。
ちくまプリマー新書なので、10代向けに書かれているが、要点がよくまとまっていてわかりやすく読みやすい。 「はじめに」にも書いてあるが、本の題名を見て、「読むタイミングが今ではない」と思ったら無理して読むことはないと思う。 しかし、知識として勉強になることが多かった。 特に第4章は興味深く、死を...続きを読むいろいろな角度から検証して、というのが勉強になった。 第1章自殺はなぜ起こるのか ・自殺はわからないことも多い ・自殺の大人関係理論 自殺ほ危険性は 「自殺潜在能力」「所属間の減弱」「負担感の知覚」の3つの要因が合わさったときに最も高くなる 第2章「死にたい」と言われたら ・死にたい、自殺したいと言う人は、今すぐ自殺を試みて実際になくなる可能性は低いが、自殺の危険因子はかなり保有している。 ・死にたいと言う気持ちを打ち明けるのは、重大な秘密である証拠。その人だからこそ打ち明けたもので、特別なつながりを感じている可能性が高い。 ・自殺の対人関係理論の優先順位 ①自殺潜在能力への対応 自殺する手段を使えないようにする (首を吊るために用意した紐を預かるなど) 「死ぬための具体的な手段は考えているのか? それはどれくらいちゃんと用意しているのか?」 →聞いても大丈夫 「死にたい」という自己開示を重く受け止めてくれたからこそ出てくる質問 ②所属感の減弱への対応 関係性を密にする、孤独を癒す ×話題を逸らす 励ます、激励、助言 (がんばれと言われてもこれ以上頑張れない) ◯話をじっくり聞く 感情を理解する 理解したことを伝える(表情、トーン、相槌も◯) 「死にたい」には波がある ③負担感の知覚への介入 周囲の人の負担になっている、 役立たずだと自分で思う(自尊心が低くなっている) ◯感情的に納得できること その人が周囲の役に立つことをしたときに しっかり指摘し、感謝する ×論破 ・「死にたい」への対応は大変なので、 チームで対応したり対応する人も専門家に相談したりした方が◯ ・「死にたい」という衝動を乗り切るポイントは他者との関係性 第3章死にたいと思ったら ・相談する事は難しいことではない。 ・各種相談窓口はあるが、ミスマッチを避けるために誰が何をしてくれるのか可能性が高いか知っておく必要がある。 ・死にたい気持ちになってる時は、ただでさえ、心理的視野狭窄(心の視野が狭くなっている) 他の人から見れば、何らかの手段で解決から見えることも本人はそれが見えなくなってることが起きやすい。 だから、自分の気持ちが落ち込んだとき、何をすべきなのか、あらかじめ決めておき、可能であれば、その計画を信頼できる人と共有しておけばベスト ・死にたい気持ちに圧倒される時、最も重要なのは、誰かとつながり、自分1人しないこと。 ・ストレス対処方法をたくさん持とう ・薬物使用、自傷行為は、短期的に見ると、ストレスを軽減する方法ではあるものの、 長期的に見ると、自殺のリスクを増やす時限爆弾の側面を持っている ・幸せに生きる事は、自殺をしたくなることの裏返し 政情が不安定になり、経済的にやっていけなくなり、健康が害され、自分はお荷物で迷惑をかけるだけで役立たずと感じ、他者と切り離されて孤独に陥ると死にたくなる。 ・対人関係を充実させ、幸せになる簡単な習慣としては、他者に感謝し、その感謝を伝えること、親切にすること ・自分のことはわかっているようで、わかっていないことが多い。 だからいつどんな時に辛い気持ちになるのか、どんなふうに対処したら、記録として残して自分の行動パターンを見る。 ・ネガティブな感情にどんな意味はあるのか? 生きていく上に必要な感情 人生を豊かにするために役立つサインとなるかも。 ひとりで考え込むのではなく、 誰かと共有すること。 第4章自殺は悪いことか ・人は老いて死ぬからこそ美しいのかもしれない ・生物にとって死は進化の過程で獲得された多様性の確保と環境適応のための優れた手段でもある ★例えば何らかの理由で瀕死の重傷を負った人がいて、その時代の医療技術では、回復が見込めないにもかかわらず、 親族が自らの生存や繁殖の機会を犠牲にしてまで献身的な対応をすれば、それは一族の共有する遺伝子において自殺のような行動が適応的なものになったのだろう。 自殺のような行動を単なる異常や病気だと決めつけるのは、それはそれで生き物に広く備えているこうした傾向を無視した近視眼的な発想でもある。 ★死は良さと悪さを兼ね備えた両義的なもの。 死は退屈からの退出、対人関係の充実、人生の意味を創出と言ったよきものを生み出す可能性もある。 ★自殺以外の形で死ぬということは、外的な要因で、突如として死が訪れるのだから、自殺以外の死は死ななければ得られたであろう良きことを喪失せる可能性を常にはらんでいる ・予防すべきではない自殺をするためのハードル ①他者に迷惑をかける行為 (鉄道、事故物件など) ②他者により多大な悪影響与える可能性 (経済面にも、さらには心理的にも) ③理想的な自殺をする際には、自殺したとしてもしなければ得られたであろう良きことが失われる事は無いことを合理的に判断する必要性 ★われわれは、適当に意思決定する癖がある。 それが自殺と言う重大事でも。 自殺するときは、心理的視野狭窄の状態にあるため、苦痛を感じる意識を何らかの形で紛らわせることをしようとする。その究極的な形が苦痛を感じる意識を停止する選択、つまり自殺をするということ 第5章幸福で死にたくなりづらい世界の作り方 ・費用対効果を測定するのが難しい
自殺は「いけないこと」なのかと問いかけ、安楽死との関連づけて述べられていたことで、自殺のリスクをより理解することができた。実際に自殺を試みた人は、何か物凄い決意してやったのかと思えば、状況的に「やれたからやった」、亡くなった人は「成功してしまった」というのが納得した。「あの時、死なずによかった」と思...続きを読むえる時までやりすごす。シンプルにも、時間の経過が解決することがあると述べられていたことも印象的であった。
自殺は悪いことかという章で、生物の生存するための観点から読み解けたことは良かった。また他にも図で説明しているものもあり、自殺を少し距離を置いて冷静に知識として認識出来て良かった。
著者は祖父を自殺で亡くしたことから、自殺について深く考えるようになったのだとか。長年の研究で得た統計や肌感覚から、自殺に向き合う方法を丁寧に説いてくれます。アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読みたくなりました。→ 100分de名著を観よう。
死にたいと思う人は、国民の2、3割。そしてそののうち2%弱自殺が占めている。と言う事は、実際に死ぬ人はかなり少ないと言うことだ。 死にたいと言われたら、まず自殺潜在能力への介入をする。具体的には、自殺の準備状況の確認であり、準備がなされている場合には、それを物理的に使えないようにすると言うこと。第...続きを読む二にやるべき事は、所属感の減弱への介入であり、それは、関係性を強化することで、所属感を作り、孤独な状態を解消すると言うものです。そのためには、絆または関係性を作るために話を聞くことが重要でした。 自殺を予防しようと思うのであれば、このような不確実性に耐えるために、チームで助け合いながら、人との関わりを続けていくしかありません。 自分自身の自殺を予防するには、周りの人に小さな贈り物をするというのがある。贈り物もらうとお返しをしたくなるので、贈り物すればするだけお返しが来る確率は高くなる。対人関係を充実させ、我々を幸せにしてくれる簡単の習慣としては、他者に感謝をし、その感謝を伝えること。また親切にすることなどが挙げられます。心身の健康のために軽いスポーツや運動の習慣をつけ、きちんと睡眠をとること。 自殺は予防すべきか?自殺対策基本法と言う法律の中に第五條国民は、生きることの包括的な支援としての自殺体対策の重要性に関する理解と関心を深めるよう努めるものとする。あるので、日本国民として自殺予防の対策に励む必要がある。
自分の体をマストに縛る計画を立てる(セイレーンの声を聞かない為に)。ストレスへの対処方法のストックを探す。思考記録をつける。
自殺の起こる構造的な要因や個人的な要因などをWHOのレポートやジョイナーの対人関係理論等を用いて整理しつつ、自殺の相談をされたらどう対応すればいいか、自殺をしたいと思ったらどう考えればいいか、自殺に対する社会の受け止め方やあり方などについて、やさしく解説しています。年間で約2万人が自殺で亡くなり、そ...続きを読むれによって年間10万人以上の人が少なからぬ影響を受けるということであれば、自殺は社会全体の一つの大きなテーマであり、ひいては我々1人1人が今後きちんと向き合っていくべき課題なのだと思います。
自殺対策に携わる支援者が知っておきたいリスク要因の話などが簡潔にまとまっていた。新書なので一般の人にも読みやすく、誰もがこうした事態に遭遇したときに、まず何をするのか・何をしないのかがよくわかる。 似たような書籍は他にもあるが、本書の特徴は「自殺が悪いことなのか」について議論している点ではないかと思...続きを読むう。ここでは、ヒト以外の動物の自殺行為を例に挙げて説明しており、種の存続のためのメカニズムとして自殺が選択肢にあることが知れて興味深い。一方で、人間の自殺に種の存続としての機能があるのかと言われると、それは違う気もする。自殺の対人関係論の中では「負担感の知覚」がリスク要因として挙げられているが、本人が周りの負担を減らしたいと思って自殺に至るなら、それは多少なりとも種の存続に寄与しているのだろうか。それでもやはり、ネガティブな影響が上回りそうな気がする。
感想 知性ある生物の宿命。自分の生命を終わらせてしまう。そこに感情を織り交ぜてしまう人間。大切な人の死を食い止めたい。だが少し考える。
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