世界三大宗教の1つに数えられる仏教。その成立から、宗派への分裂、アジア諸国への広がり、そして近現代の状況に至るまで、仏教の全貌をわかりやすく解説する書籍。
仏教は、約2500年前の北インドで、ゴータマ・シッダッタが開いた教えである。彼は29歳で出家し、35歳の時に悟りを開く。以後、人々にブッダと呼
...続きを読むばれた彼は、説法の旅を始める。
ゴータマの死後、弟子たちは、教団の統合を維持するため「結集」と呼ばれる集会をもつ。だが、一部が独自のグループを結成し、仏教教団は二分された。これを「根本分裂」という。
紀元前1世紀頃、「大乗仏教運動」が起こる。その最初期では、「布施」(執着心を離れて財物を与えること)をはじめ6つの波羅蜜(究極的実践)の実践が掲げられたと思われる。
現代の仏教は、ゴータマ以来の伝統を大切にする保守派の「テーラヴァーダ系」と、「大乗系」の2種類に大別できる。
仏教は中国、さらに東アジアへと広まった。中国へ伝来した仏教は、中国の思想・文化と衝突し変容して「中国仏教」となり、東アジアでは独自の「東アジア仏教」が現れる。
日本で本格的な仏教の学習・研究が開始されたのは、聖徳太子の時代である。その後、着実に社会に浸透した仏教は、平安末期の社会の変化に対応し、「鎌倉新仏教」が出現する。
仏教は、安土桃山時代以後、政治権力の統制下に置かれる。そして、慶応4年(1868)には神仏分離令が出され、廃仏運動が起こる。これに危機を感じた仏教界は、改革に取り組む。
現在、タイや韓国などの仏教国に多くの宗派はない。一方、日本の仏教界は、多数の諸宗派に分かれて活動している。