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薩摩の「ばい船」
薩摩(さつま)国の沖にある三島(さんとう)と呼ばれた島々でとれた砂糖きびは黒砂糖に加工されたかたちで藩が買い上げていた。しかも文政年間のおふれで島のお金はすべて無くなって物々交換のとりひきになっていた。 島の少年の杉平は恋人の少女「かな」を連れ去った傘印の屋号をもつ豪商の手代が「かな」の父に乱暴するのを目撃する。 そんな時、誰も御用商人に逆らえぬ島内に迷いこんだ大陸人に杉平と十蔵は出会う。異民族に支配された大陸を解放のために他の国に助力をもとめようと各地の特産物をもとめていると言う劉梅邦に杉平と十蔵は黒砂糖を集めるための協力を申し出る。島内のしきたりに一杯食わしてやりたい気持ちからだった。 計画をたてる杉平と十蔵を待つ運命は何か。 -
最後のペスト大流行~コロナ禍で振り返る100年前のペスト大流行~
100年前に、高知県足摺岬の隣の集落で「日本最後のペストの大流行」があった。 それを早く収束させようとした警察隊は、症状が回復した一人(筆者の伯母)を毒殺した。 そのペストの流行は市史にも記載されていないので、このまま歴史から消すには忍びなく、証言を集めて作品にした。 ペスト感染予防の歴史を紐解くと、日本の北里柴三郎が大きな役割を果たしていた。 -
実録・嫁さらい婿さらい~昭和の時代まで続いた略奪結婚の記録~
私の郷里には、嫁さらい・婿さらいの風習があった。私の母は父にさらわれて結婚し、親しい女性は青年団に頼んで屈強な男性をさらって結婚した。 嫁さらいは応仁の乱のころにはあったとされている。その風習は500年以上続いて、なくなったのは昭和の時代だった。 これは、それらの体験者に話を聞いてまとめた証言集である。 -
あすかの妖花
【前編~黒姫の巻~】 大学テニス同好会の夏合宿で、一行は信濃黒姫高原の民宿にいた。キャプテンの大起雄太の肉体をめぐって額田貴美子と大田姫子が激しく奪い合いをするが、やや押され気味の姫子は夜間に貴美子の部屋を直撃し、二人は口を塞ぎ合ってオンナ同士の魅力比べ合戦をした。他にレズッ気のある若菜や姫子の妹の讃良が絡み、個性的な男子メンバーもいて、舞台は長野善光寺の戒壇めぐり、戸隠高原と歴史伝説の地を巡って、学生達のまぶしい青春模様が展開する。 【後編~万葉姫の巻~】 「テニス同好会」の女子大生は「歴女の会」でもあり、奈良飛鳥の額田貴美子の実家の旅館を拠点に万葉の旅をした。大田姫子は、自分と似た名前の大田皇女の悲しい運命に同情したが、自分にも悲劇が待っているとはまだ知る由もない。野天風呂での若い女達の華やかな生態、貴美子と姫子は互いにお腹の出具合を盗み見合っていた。大起雄太は、姫子の忘れ形見の子を苛める我が子可愛さの後妻讃良をいつしか嫌い、貴美子とレイプ魔の間に生まれた美しい少女に心惹かれていた。 -
新今川記
もし桶狭間の合戦で今川義元が織田信長の軍勢を撃退していたら、その後の戦国史はどう変わっていただろうか――。織田家復興を密かに狙って何処かへ身を潜める信長、義元の秘蔵っ子ながら複雑な思惑を胸に秘める松平元康、偉大な父を持つことによるプレッシャーに悩む今川氏真、そして木下藤吉郎、明智十兵衛など飛躍の時を待つ面々……。多士済々な顔ぶれが織り成すダイナミックな戦国仮想絵巻。 -
これが真相! 光秀と盟友細川藤孝が知る「本能寺の変」
明智光秀と盟友細川藤孝の視点で「本能寺の変」をまるごと明らかにした、変の通説・新説、読者もひっくり返る上中下の三巻。 「神君伊賀越え」の一行に三河一向一揆の武将が多く、本多正信・鳥居元忠がいない謎。自筆本『信長公記』の改竄とその目的。連歌と源氏物語の繋がりや愛宕山と光秀・藤孝・島津家・朝廷・本願寺・徳川家の深い関係。また光秀天海説では、天海の関与した建造物に、必ず左甚五郎の彫物があるという謎など、多くのテーマを満載し究明した書。 -
「さようなら」は、出逢いの始まり……そして、小樽
奈津子は、札幌の企業コンサル会社「北海キャピタル」で、若手ながら腕を磨く。そんな奈津子に、同僚の美沙は、自分の甥っ子で自立心旺盛な佐川祐樹を紹介する。 祐樹は、東京の大学に入学したが、大都市の人間性に失望して小樽へ帰り北大に再入学。その卒業前に奈津子と知り合う。 出来たら「北海道」へ帰りたいと望む祐樹の会社へ、小樽市から安倍川政権のカジノ解禁の話の相談に乗ってくれるように依頼が入る。当然のように、我が町小樽の活性化の問題であり、自分から社長に出向を願い出る。 小樽では、眠っていた子供が起こされて泣きじゃくるような騒ぎ! この小樽プロジェクトで、幾度も出会いと別れを繰り返した奈津子と祐樹の間に、男女としての出逢いも始まる… -
ギリシャ神話<付 北欧神話>
本書が完成するまで30年を要したという。「近代文学」によっての活動の一方、童話への取組から二大神話のひとつギリシャ神話へと関心が移行していった結晶として、永く読み継がれる名作が誕生した。付・北欧神話。 -
弊風一斑蓄妾の実例
「萬朝報」紙上で、権力者の醜行を執拗に攻撃したため涙香は「まむしの周六」と渾名されたが、本書では、男の玩弄物である妾の実例を暴露。犬養毅、山県有朋、井上馨、伊藤博文、榎本武楊、文化人では森鴎外などが俎上にのせられた。 -
現代金権史
本書は、明治中期から大正初期にかけて活躍した史論家・ジャーナリスト山路愛山の代表的作品の一つ。山路家は幕府天文方を歴任した家系で、愛山の武士のエイトスと科学的思考の背景をなすことは、「政商論 附福沢先生」の章から窺える。 -
日本すみずみ紀行
著者は映画評論でなじみ深いが、都市空間のなかで作家を描く作品でも知られる。『荷風と東京』『林芙美子の昭和』『郊外の文学誌』などがそれだが、その向こうに原風景を求めてひとり歩くというジャンルがあり、本書はその一書。 -
ギリシャ悲劇
ギリシア悲劇の名作15篇を物語として描き、舞台を前に観客に解説するように表現してあるので読者は場面を想像しながら読むことができる。舞台劇の悲劇を文学として成立させている。入門書としても最適。 -
ドイツ中世英雄物語
ドイツ中世の騎士物語のほとんどを網羅したもの。ジークフリードが裏切りにあい謀殺される話を軸に、波乱にみちたストーリーが展開される。男女を問わずその人物像の荒々しさと力強さに、ロマンに昇華される以前の物語の原型を見る。 -
新編 世界むかし話集
「ムーミン」やアンデルセン童話など、北欧・児童文学の研究・翻訳に生涯携わり、子供たちには夢を、大人にはやすらぎを与え続けた著者・山室静の世界むかし話集第1弾。 <イングランド>ネコの王さま/カメの遠足/最初のバナナ/三びきのクマ/ロンドン橋の上で/ジャックと豆の木/他8編 <コーンウォール>ベッチィ・ストーグの赤ちゃん/頭から下に向かって/他3編 <スコットランド>ヒース酒の秘密/詩人トマスの話/他5編 <ウェールズ>長すねグウィスの嘆き/他3編 <アイルランド>白いマス/笛吹きとプーカ/他9編 -
漢文入門
著者の専門は言語学、中国文学だが、漢文教育に新生面を開いたことでも知られる。まだ学んでいない人、相当に学んできた人、専門に教えている人に、ひとしく読んでもらえるよう欲張ったと著者のいう通り、知的刺激を楽しめる。 -
明治四十三年の転轍~大逆と殉死のあいだ
石川啄木は明治43年を「時代閉塞の現状」ととらえた。明治国家体制がほぼ構築されたとき、12名が大逆をもって処刑された衝撃は大きかった。本書は、乃木希典とその殉死を軸に出来事の関連と群像を重ねて、「明治の深層」を描いた労作。 -
源氏物語入門 新版
約一千年前に書かれたこの物語がなぜ人々を捉えるのか。その物語の魅力、紫式部の人物像などの謎を探って、しかも作品鑑賞の手引書を目ざすという希有な試みを両立させ、「源氏学の泰斗」と称されるにふさわしい名著。 -
ニーチェ ツァラトゥストラ
『ツァラトゥストラはかく語りき』ほど19世紀の思想に衝撃を与えた書はない。ヨーロッパ近代の精神的危機に対する、ニーチェ思想のすべてが盛り込まれた哲学的叙事詩を、難解な語句をさけ、物語風にまとめた労作。 -
歎異抄入門
原典は、弟子の唯円が師の言葉を聞き書きし鎌倉中期に完成させたもの。人生や社会についの懊悩のはてに到達した親鸞の思想は、現代人にも通じるところが多い。財界人などからなる在野の研究成果として定評あるもの。 -
近松名作物語
西鶴、芭蕉とともに元禄文学を代表する近松の文体は現代語に写すことが困難といわれたほどだが、原典の味わいを失わず、特に心理描写などにこなれた訳をほどこした定評の書。「曾根崎心中」など世話物八篇を収録。 -
物語 史記
本紀12、年表10、書8、世家30、列伝70巻からなる中国最初の通史。黄帝より古代王朝を経て、前漢の武帝に至る壮大な史書。巻頭に司馬遷自身の「太史公自序」を配し、本紀・世家・列伝より15篇を一般向けに訳出。 -
新版 文章を書く技術
書きたいという気持はあっても、書き言葉に表現することはやさしいことではない。内容を文章に定着させる技術が身についていないからだ。感動や思想さえあれば書けるというこれまで文章常識を変えて、書くというわざを上達させる書。 -
下層社会探訪集
『日本の下層社会』は日本のルポルタージュ、社会学の古典として有名だが、その成立前後にまとめられた貴重な作品。描かれている庶民たちは、高度経済成長期まで生きていた、まさしくオンリー・イエスタディーの日本人の群像であった。 -
非命の譜~神戸・堺浦両事件顛末
幕末・明治維新の背後で、急転回ゆえの惨劇が生じていた。首謀者12人目の切腹が行われようとしたとき、フランス側立会人が怯懦によって退席したという一件の堺事件と、神戸事件であった。大岡昇平の鴎外批判に触発されてなった労作。 -
新版 囲碁名言集
「のぞきにつがぬバカはなし」「裾あき囲うべからず」など、囲碁には独特の格言・金言があり、いずれも陥穽に落ちこむことをいましめる合理性がある。文壇本因坊として知られた著者が、盤面を人生に見立て軽妙に語った名著。 -
満州、少国民の戦記
執筆の動機は、父親から「お前は新聞記者だが、一度は自分の歴史を調べて書くべきだ」と言われたことによる。昭和20年8月、8歳だった著者は、ソ満国境に近い興安街を脱出、朝鮮との国境の町の安東に辿りつく。付「子供の戦記」。 -
東京震災記
島崎藤村『破戒』と並び、田山花袋の『蒲団』は性の赤裸々な暴露を描いて、自然主義文学の代表作と評された。それだけに、実地踏査と細密な観察にもとづく大震災直後からの被災の実態描写は、記録文学の金字塔ともいうべき名作となった。 -
シャルルマーニュ伝説
この物語は、野上弥生子訳の「ギリシア・ローマ神話」「中世騎士物語」と伝説三部作を成すもので、「アーサー王物語」と人気を二分する。有名な「ロランの歌」を含み、古代・中世の文学的遺産に親しむための絶好の入門書。 -
平家物語
著者は源平合戦の話を祖父から聞かされて育ったという。平家物語はいわば著者にとって歴史のアイデンティティーを辿る研究でもあっただけに、「語り物」としての古典の特徴が見事に再構成され、読物に昇華されている。 -
青春は築地小劇場からはじまった~自伝的日本演劇前史
恐慌の嵐が吹き荒れる1930年代、劇作家として世に出たが、世は治安維持法下にあって「左翼劇場」に所属した著者は官憲にマークされる。「ムーラン・ルージュ」や「新派」などを舞台に、日本演劇の重大な変革期の記録として貴重な証言。 -
日本人漂流記
本書は、漂流を海事史的、海外交渉史的、社会史的、文化史的見地から一般向けに書かれた名著。その実証性には定評があり、作家や研究者に高く評価されている。大部かつ充実した密度の高い内容ながら、読み物として知的刺激に富んでいる。 -
新版 学生に与う
河合栄治郎は戦中、軍部ファシズムを臆せず批判した人物として知られる。本書は、彼が平賀粛学と呼ばれる裁定によって東大の教壇を追われ、加えて出版法違反で訴追されるなか、若い人々へ心血をそそいで発したメッセージ。 -
日本笑話集
笑話は昔話のなかのひとつのジャンルで、日本人が本来おおらかな民族性であったことを伝えている。真似そこない話、おろか者の話、大話、業くらべ、智巧譚などを、方言、語り口をいかして収録。終章で、笑話の起源と変遷を辿る。 -
花岡事件の人たち ~中国人強制連行の記録
「この著の中心をなしている三人の話は、生き方の強さ、戦争のむごたらしさと同時に、戦争責任とは何か、人間が生きるとは何かということを、日常の生活感覚のなかで『問い』かけている」十数年にわたる聞き書きによってなし得た労作。 -
デカメロン物語
『十日物語』は七人の貴婦人と三人の紳士の十人が、毎日一話のわりで語り、十日間で百の物語が成立するという構成。最も有名な三十話を訳出、ベネチアやフィレンツェなど主題となる都市ごとに編集した名編。 -
東京近郊 一日の行楽
日露戦争のとき写真班として従軍し、その従軍記を著すなど紀行文を多く残した。時代は明治後期から大正初期。東京近郊の風景・風俗、事件・事故、花鳥風月、事物の来歴、文学的エピソードがこれでもかと盛り込まれた、なつかしい東京。 -
内なるシベリヤ抑留体験
「すなわち最もよき人びとは帰ってこなかった」とは名著『夜と霧』の冒頭部だが、この三人の軌跡を語ってあまりある。自己に誠実であり、他者を助けることをいとわなかった人びとは、祖国に居場所を見つけることができなかった。 -
現代語訳 学問のすゝめ
日本近代におけるマニュフェストともいえるもので、明治の精神形成の一方の旗幟をなした古典的名著。文語体としては画期的に平易な文章で書かれていたが、本書では全17篇を読みやすい現代語に全訳した数少ないもの。 -
中国の故事・ことわざ
中国に生まれたものが、日本の成語として通用するにはわけがある。いわば民族の境をこえた、人間としての知恵をひそませているからだ。なかには受け入れられなかったもの、変形したものもあるが、筋道をたどって知恵のありかを集成。 -
妖精の誕生 フェアリー神話学
「世界中のフェアリーの特徴を調べたい人は、トマス・カイトリーが書いたこの本を読むことからはじめるのがいちばん」と評される名著。フェアリーという概念の起源、説話の発生地、伝播の道筋など、ファンタジックな世界の入門書。 -
幸福論
「我思う。ゆえに我あり」のデカルトにつらなる思想家アランは、「行動としての思索を、思索して行動を」という哲学的立場にすすんだ。その『幸福論』は時代・世代を超え、名訳を得て多くの読者に支持されている。 -
日本怪談集
科学上の常識では実在しないはずが、なぜ人は幻視・幻覚をかくも長い歴史のあいだ経験し続けてきたのか。それがなぜ、伝承や文芸として同じように造形化されたのか。民俗学的視点からまとめられた、日本初の「幽霊体験資料集」。 -
王子クレオマデスの冒険 ヨーロッパ中世ロマン
十字軍の遠征は、サラセンという新しい文化を大陸にもたらした。この物語もそのひとつで、サラセン文化が開花していたセビリアを舞台に展開する冒険物語。空飛ぶ木馬は『千夜一夜』などの挿話に見られ、混交する物語として楽しめる。 -
一茶名句
「七番目の日記」「おらが春」「一茶発句集」から、いかにも一茶らしい代表作を季題ごとに取りあげ解説を加えながら鑑賞の仕方を案内。巻頭の「一茶の生活とその句」以下、鄙の俳人の感性がイメージ豊かに描かれる。 -
江戸川柳で知る故事・伝説
古川柳の作者は、大名など武家から教養ある町人までさまざま。共通するのは、歴史や文学、中国の書物に通じていたこと。本書では、中国の故事・伝説などを題材にした川柳を時代順に収録。江戸教養人の受け取り方や考え方が浮き上がる。 -
日本のことわざ
ことわざは民衆が実生活の体験のなかから、人間や人生に対する批評として生み出されたものであり、逆にそれらをくだけた言葉として伝えるコミュニケーションの手段でもある。その意味でことわざは、伝えられたい文化遺産といってよい。 -
ニッポン奇人伝
「奇人とは、稀人であり、貴人でなければならない」と本書は規定する。永井荷風、坂口安吾をはじめとする作家、中江兆民、石原莞爾、阿部定など明治から昭和までの多士済々。独創性や個性、「貴」なるものを排除する日本に稀な人々。 -
小野小町論
ある作家の文学的才能と選ばれたテーマとの幸運な出会いというものがある。その時、作家の資質に情熱がこもり、美しい作品として結晶する。本書はまさに、そういう珍しい例のひとつ。探偵小説の翻案、「萬朝報」創刊者として知られる。 -
魔眼 フランス幻想小説
「ワイルドとかゴオチェとかいふような絢爛とした小説が好きであった」と芥川龍之介をはじめ、日本の近代文学作家に大きな影響を与えたフランス幻想作家の作品集。怪異、霊異への偏愛が、怪しい作品世界を造形する。表題作他2編収録。 -
中国怪異集
中国四千年の歴史は、中国民衆のものの見方や生きる知恵の、革袋のなかの酒ともいえます。「竜女を妻にした男」「象の贈り物」「仙人だった兵士」「空を飛べる薬」他、蛇、竜、狐、虎、仙人などに仮託された二十二の怪異譚を集成。 -
モンテーニュ 随想録
この思想家が特記されるのは「私は何を知っているか」という命題から出発し、予断、断定、差別、高慢を排し、そのため『随想録』は事柄を並置、対比することに徹し、エッセーという新しい叙述方法が生み出された。 -
吉原はこんな所でございました
ひとりの女性の半生を通して語られる吉原の移り変わりの詳細な記録。徳川時代、官許の場として集められた女たちは、時代を経て戦中には軍の徴発を、戦後は占領軍対策にあてられた。長じて松葉屋の女将となる少女が見た廓と女たち。 -
中国笑話集
中国は笑話の歴史もまた古い。それを集大成したのが明末の馮夢竜の『笑府』13巻で、本書はこの『笑府』を中心に周辺の笑話のなかから、中国民族の生活と文学を知るに役立つと考えられる話を選訳。民衆の思想史、生活史として読める。 -
明治の東京
内容は、震災復興事業でできた環状道路・明治通りを自動車で回った印象記などと、大衆芸能や芸人に関するものに大別される。学識や趣味の広さと文壇閲歴の永さが孤蝶の随筆集を特徴づけていて、「日本のアナトール・フランス」と呼ばれた。 -
物語 三国志
三世紀前半、魏、呉、蜀の三国が新たに興り中原に覇を争った……。日本の物語にない、かなたを思わせる厖大な世界を内蔵するところに着目すべきだとする訳者の読み込みが、新しい三国志として凝縮されている。 -
魯迅に学ぶ批判と抵抗~佐高信の反骨哲学
「辛口とか激辛とか評される私の社畜批判の原思想は、ドレイ的精神を排する魯迅にあるのであり、思い屈した時、私はしばしば、思想的故郷としての魯迅に還ります」。佐高信の、さらに魯迅の哲学と思想を読むための格好の書。 -
禅語百話
生活の指針となる禅のこころと神髄を、簡潔な一話一話のかたちで解説。例えば「冷暖自治」。わかりにくいか説明のつかないようなこと、冷たい、あついも、自分で一度触ってみなければ理解できない。それをあえて教えないことをいう。 -
明治富豪史
日露戦争をはさむその前後に、横山の畢生の願望であった労働問題の解決という課題は、実際の運動としては潰滅させられ、筆鋒をもってこれに当たることになる。下層研究から後、富豪史、植民問題研究へと多元的展開をみせていく。 -
ケルト幻想民話集
ケルト民話のなかでだれが一番美人か。「ケルトのヴィーナス」はディアドラかグラーニアか。ディアドラであるに違いない。なにしろ彼女は生まれる前からその美貌が国に災いをもたらすと予言されたのだから。では、一番の英雄はだれ? -
雨月物語・春雨物語
歌人、茶人、浮世絵草子・譚本作者で江戸中期の国学者上田秋声の短篇怪奇譚集の現代語訳。中国や日本の古典を素材として怪異出現の必然性、怪異描写の迫真性は類をみない。超現実・非現実の奥行きを読む格好の書。 -
フランス幻想民話集
「恋人たち」「悪魔」「領主」「求道者」「死者」「亡霊」の6章構成。「幻想文学の世界はわれわれの住む現実の外にあるのではない。反対に、現実の中から理解しがたいものとして突然浮かび上がってくるもの」人々を惹きつける理由である。 -
バビロニアの幽閉塔 ヨーロッパ中世ロマン
『王子クレオマデスの冒険』に続くロマン。バビロニアにある謎にみちた塔に幽閉された乙女。すべての試練を突破して乙女との再会をはたした王子の知恵と勇気。異文化の香りが、物語の展開に彩りをそえるファンタスティックな作品。