検索結果

  • もの言えぬ証人
    3.9
    ポアロは巨額の財産をもつ老婦人から命の危険を訴える手紙を受け取った。が、それは一介の付き添い婦に財産を残すという問題のある遺言状を残して彼女が死んだ二カ月後のことだった。ポアロとヘイスティングズは、死者からの依頼に答えるとともに事件に絡むテリアの「ボブ」の濡れ衣を晴らす。

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  • ひらいたトランプ
    3.8
    名探偵ポアロは、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬシャイタナ氏のパーティによばれた。が、ポアロを含め八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間でシャイタナ氏が刺殺された。しかも、客たちは殺人の前科をもつ者ばかり……ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。

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  • 葬儀を終えて
    4.3
    リチャードは殺されたんじゃなかったの――アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の妹のコーラが口にした言葉。すべてはその一言がきっかけだった。 翌日、コーラが惨殺死体で発見される。要請を受けて調査に乗り出したポアロが一族の葛藤の中に見たものとは?

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  • お菓子とビール
    -
    時流に乗ることに憂き身をやつす知り合いの作家に、近年亡くなったある大家の伝記を書きたいので協力してくれと頼まれる作家の「わたし」。破天荒なその大家のことは、「わたし」は私事にいたるまで知悉していた……作家の世界、ジャーナリズムの世界、社交の世界を皮肉たっぷりにえぐってみせるモームの快作。きれいごとのお菓子と、苦味があるが飾り気のないビール……ここには小説を読む醍醐味が。

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  • 月と六ペンス
    -
    ストリックランドは妻も子供もあり、ロンドンでなに不自由ない暮らしを送る株式取引所員。その男がある日、なんの前触れもなく、なんの書き置きもなく突如として失踪する。パリに出て絵を描くために! ゴーギャンの絵と生涯に魅せられたモームが長い熟成期間ののちに発表した傑作。

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  • 大いなる手がかり
    4.0
    街は降り続く三月の雨に煙っていた。パトロール警官のジェネロはバス停に置き忘れられた鞄を開けてみた時、思わず顔を歪め反射的に手を引いた。無理もない、なんと、手首から切断された巨大な人間の手が出てきたのだ! 果して被害者、そして加害者は? 手掛りを求め雨の街に散る刑事たち。
  • クレアが死んでいる
    4.7
    カルヴァー街の本屋で暴漢が拳銃を乱射したとの通報をうけキャレラとクリングはただちに現場に向った。血に塗れた三人の男たち。第四の被害者を見たクリングは絶句した……それは、恋人クレアの惨死体だった。復讐の念に燃えた刑事たちの執拗な捜査活動をリアルな筆致で描く渾身の作。
  • 死が二人を
    4.0
    警察に日曜日はない。その日もキャレラは妹の花婿となるトミイの電話でたたき起された。出掛けていった彼がトミイの自宅で見たものは、なんと小箱にうずくまる猛毒の黒後家蜘蛛だった! 晴れの結婚式の当日に次々と起る忌わしい事件をセミドキュメンタルなタッチで描くシリーズの逸品。
  • 死にざまを見ろ
    3.0
    炎暑にうだる七月、87分署の刑事たちは、管区内に潜んでいると噂される老婆殺し、ペペの行方を追っていた。町のチンピラに聞き込みを続けるのだが、ペペを英雄視する彼らはなかなか口を割らなかった……。年若い殺人犯を追うかたわら、青少年犯罪の実態をドキュメンタリ・タッチで描く!
  • 被害者の顔
    4.7
    被害者の名はアニイ・ブーン。胸に銃弾を撃ちこまれ、血にまみれて死んでいた女。が、捜査が洗いだしていったのは、彼女の複雑な顔だった。貞淑な妻、優しい母、インテリ女性、情婦、酔いどれ……。どの顔が残忍な殺人者を招いたのか? しかし、容疑者はいずれも堅固なアリバイを持っていた
  • 愛国殺人
    3.6
    歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。なんの悩みもなさそうな彼に、自殺の徴候などなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか? マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞ポアロが追い詰めたものとは?

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  • 赤毛
    -
    星くずのように島々が散在する南太平洋はモームの好む舞台である。この文化果つるところで文明への郷愁に狂う西欧人「マッキントッシュ」、可憐な現地民の娘との美しい恋も、島を離れてみれば美しい自然が生んだ幻想でしかなかった「赤毛」、この2編の他に「エドワード・バーナードの堕落」を収めた。
  • アシェンデン
    -
    英国の作家アシェンデンは第一次世界大戦中、ふとしたきっかけから英国陸軍諜報部の要員である大佐Rにスカウトされ、秘密諜報部員の仕事をすすめられる。アシェンデンは数カ国語に通じていたし、作家という職業が恰好の隠れみのになると言葉巧みに奨められ、これを承諾する。それは命がけの任務であり、たとえ成功したとしても誰からも感謝されず、面倒なことが持ち上っても誰も助けてはくれないことを知っていたが、人生への熾烈な探求欲が彼に承知させたのだ。彼は手始めにジュネーヴに向って出発する。だが、そこではすでに罠が待ち受けていた。迫力ある連続短編!
  • 雨

    -
    「雨」はモームの短編の代表作。魔窟から魔窟へ流れ歩く年増女のただれた魅力。情欲に狂う水夫と現地人の女たち。雨季のサモア島を舞台にくりひろげられた宣教師と娼婦との霊肉の闘争は、予想外な結末を告げた。他に心にくい短編の技巧を見せた「ホノルル」、《東南アジアの植民地もの》の「東洋航路」を収める。
  • 怒りの器
    -
    「南海もの」といわれるモームの短編集の総決算『阿慶(アーキン)』から「密林の足跡」「機会の扉」「怒りの器」の3編を収録。「私の観察によると、いかなる場合でも、善人と悪人との間には、世の道学者流が私たちに信じさせようとしているほどの違いは、ないように思われる」と書いたモームの姿勢がよくうかがわれる。
  • 息がつまりそう
    -
    この集には、婚約時代の若いカップル、長年連れそった夫婦間の機微など、男と女のお話を、苦味のきいたユーモアで描き出した作品を中心に、私達の周囲によく見かける典型的庶民の笑いと哀歓を描いた作品――「息がつまりそう」「大都会」「お食事」「一方的陳述」「結婚記念日」「憩いの館」「愛の巣 」「金婚旅行」の8編をおさめてある。

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  • エッセンシャル タオ
    -
    私の碁の友だちで、詩人の加島祥造が雑誌「学燈」に「伊那谷の老子」と題するエッセイを連載して、老子のことを紹介しはじめましたが、その文章が自由訳ともいう形で実におもしろい。これは私の見たところでは、世界中のどんな老子訳よりも自由で、まさに加島による独自の創作といった感じがしますが、実にそのためにかえって老子の真が出ていると思います。――〈中野孝次「生きる知恵」より〉
  • 園遊会まで
    -
    短編「手紙」「環境の力」とともに、「カジュアライナ樹」と題された短編集に収められた、モームのいわゆる「南海もの」に属する作品。「奥地駐屯所」「臆病者」「園遊会まで」の3編を収録。どれもマレー半島やボルネオの旧英領植民地に住む英国人たちをとりあげ、その生態をモームならではの視点から浮き彫りにしている。

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  • 「おっぱい」は好きなだけ吸うがいい
    -
    数多くの古典翻訳で名高い英文学者にして、タオイストである著者が、D・H・ロレンス、フォークナー、マーク・トウェイン、幸田露伴など、偏愛する作家たちと老子思想とのふしぎな共通性に触れながら、今ここにいる喜びと、究極のエナジーの源泉について語った。齢九十一歳、「大自然(タオ)の母親のおっぱい」を追い求める旅は、終わることがない。政治学者・姜尚中による解説も収録。【目次】序章 大地の「おっぱい」を求めつづけた「先だつ」のことを語ろう/第一章 西欧の伝統精神と火花を散らした、ロレンスの自由精神――D・H・ロレンス/第二章 「タオ」につながるグレートなバランス感覚――ウィリアム・フォークナー/第三章 「初めの自分」につながる、ということ――マーク・トウェイン、ウィリアム・ジェイムズ、ラジニーシ、幸田露伴……/終章 タオの山脈の連なる解放区へ/加島祥造という人 姜尚中/略年表/主な著作/老子・TAO関連著作/主な翻訳書
  • かみそりの刃(上)
    -
    モーム晩年の70歳の作。1944年、米国滞在中に書かれ、第二次大戦中だったため、主人公ラリーの生き方に共感した米国の青年たちに歓迎され、熱狂的に読まれた。物語はモームによって語られる。モームはたまたま立ち寄ったアメリカで旧友エリオットから、姪のイザベルと彼女の婚約者ラリーを紹介される。ラリーは第一次大戦で親友を失い、途方にくれ、道を求めてヨーロッパを放浪する。当然ながら婚約者イザベルはついてゆけず別の男に嫁した。ラリーはさまざまな体験を経て、最後にはインドで自分の人生の目的を悟る。この本筋のなかに、エリオット、シュザンヌ、ソフィらを巡る数々の物語が組み込まれ、全体は周到なエンターテイメントになっている。
  • 完訳 ハックルベリ・フィンの冒険(上) ――マーク・トウェイン・コレクション(1)
    -
    腕白少年のいたずら冒険物語と思われているが実はヘミングェイが「アメリカ文学はみんなこの小説から出てきている」と言っている古典の完全訳。窮屈な生活から逃げ出したハックは、逃亡黒人奴隷のジムとミシシッピーを流れる筏の上で自由な生活を始める。当時は奴隷制度は当然のこと。ハックもジムの逃亡を助けることに良心の呵責を感じるものの、彼の深い人間性に触れ「逃亡を助けたために地獄に落ちるのならそれでもいい」と自分の感じたことに忠実に生きてゆくようになってゆく。
  • 雲をつかむ死
    3.2
    パリからロンドンに向かう定期旅客機が英仏海峡にさしかかった時、機内を蜂が飛びまわり始めた。乗客の一人が蜂を始末したが最後部席には老婦人の変死体が。そしてその首には蜂の毒針で刺されたような痕跡が残っていた……大空を飛ぶ飛行機という完全密室で起きた異様な事件。居合わせたポアロが調査を開始する。

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  • 拳銃売ります
    4.0
    一匹娘の若い殺し屋レイヴンが手がけた大臣暗殺事件は、戦争勃発の危機をはらんで意外な方向へ・・・・・・そして二重三重の追跡劇が始まった!スリリングな展開をみせる著者初期のエンターテイメント。
  • 幸福
    -
    「獅子の皮」「山鳩の声」「人生の実相」「マウントドレイゴ卿の死」「幸福」の5編を収めた短編集。人生の驚くべき諸相に強烈な関心をいだきつづけた作家の到達点。
  • ここではお静かに
    -
    おなじみの野球もの「ハーモニー」「相部屋の男」「でっちあげ」のほか、「キャディの日記」「一族再会」「コンラッド・グリーンの一日」「ここではお静かに」「冷たい女が好き」のヴァラエティ豊かな5短編、「ブルペンにて」「トムプスンの休暇」の短い戯曲2編、最後に「短編小説の書き方」というおどけた短編集の序文をいれて、ラードナーの多彩さを盛り込んである。
  • 死が最後にやってくる
    3.8
    傲慢で美貌の愛妾ノフレトを連れて族長が帰ってきた。その日から一族のなかには反目や憎しみが。そしてノフレトが崖の小径から謎の転落死を遂げた。これで平和が戻ってくるかに思われたが――紀元前二千年のナイル河畔で起こった恐るべき惨劇! エジプトの古代都市を舞台に華麗な世界が展開する異色ミステリ。

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  • 社交意識
    -
    本書はモームの手になる短編集Cosmopolitansの中から23編を収録している。他の6編は弊社刊行のモーム短編集「誘惑」に収めてある。この短編集はモームがアメリカの雑誌の「コスモポリタン」に依頼され、雑誌の見開きで完結する物語をシリーズとして書いたもの。「ここに集められた話をいちどに全部読むとすれば、たいへん退屈するかも知れないが、ほかに何かもっとましなすることがないようなとき、折りにふれて、手にしてみてほしい」ここには作者の矜持がみてとれる。
  • 書物袋
    -
    本書には、短編集『阿慶(アー・キン)』に収められた、「書物袋」と「この世の果て」の2編を収めた。これらは「南海もの」と呼ばれるモームの一連の作品群にふくまれる。数回にわたる南海への旅行はモームに多様な人間と接する経験をさせ、文明社会ではなかなか期待できない赤裸々な人間の姿に接する体験を得させた。「ああした熱帯地方にあっては、人間はそれぞれの特異性癖を、他の土地にあっては想像できないほどの程度にまでたっぷり発展させる機会を与えられる」『阿慶』に添えた序文のなかで、モーム自身はこう説明している。
  • 十二人目の妻
    -
    モームの短編集『一人称単数』First Person Singular, 1931 から選んだ「創作衝動」「変り種」「十二人目の妻」の3編を収録する。どの作品にも、独自の人間観察眼が光っている。
  • 諜報員アシェンデン
    5.0
    イギリスの作家モームの、実体験にもとづくスパイ戦の実相。女スパイあり、革命の志士あり、革命の敗者あり、売国奴あり、れっきとした外交官のスパイあり、全16章はそれぞれが独立したエピソードからなり、多種多様な人たちが姿をあらわし、さながら短編連作集のおもむき。哀歓の渦中にはモーム独特の皮肉な側面もしばしば顔をだす。

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  • 手紙
    -
    「手紙」はモームの数多い短編小説のなかでも最もよく知られる名作。完全な正当防衛とみられた殺人事件が、一通の手紙の発見から崩れ去り、驚くような結末が。あわせてもう一編の短編「環境の力」を収めてある。どちらも舞台はマレー半島の奥地であり、植民地に住むイギリス人の心理と暮らしが鮮明に浮かび上がる。

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  • 毒入りチョコレート事件
    -
    不可解な殺人事件の解決に乗りだす犯罪研究サークルの6人の会員たち。それぞれが得意にするアプローチに頼って、推理をおしすすめるが…本格推理の種々の手法を縦横に駆使して読者をうならせる傑作。高村薫氏いわく「バークレーは名投手のピッチングのように、速球、変化球、内角外角、高さ低さを見事に使い分け、向かってきます」「解決場面だけが続くようなミステリーがあったら…と空想する人にはたまらない、夢のような本です」。

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  • ナイルに死す
    4.2
    美貌の資産家リネットと夫サイモンのハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。轟く一発の銃声。サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけていたのだ。嫉妬に狂っての凶行か? ……だが事件は意外な展開を見せる。船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外な真相とは?

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  • 夏の黄昏
    5.0
    南部の小さな町に育った十二歳の少女。背丈ばかりのびて、近所の子どもから仲間はずれになっている少女の夏の出来事。この少女の心の孤独感は、仲間はずれになったことのある誰の心にも消えがたく残っている。そして自分がどこかのグループに属したい、誰かに認められたいという願望も。この作品はこの深くて鋭い心情をとらえて、あますところがない。しかしその卓越している点は、空気さえ感ぜしめる描写の力だ。人は空気によって生きるように、この作品の三人――少女と少年と黒人女性――は作中の暑い夏の空気を呼吸して生きている。その空気は狭いキチンにいる三人の息遣いを伝え、その絶妙の会話を伝える。外で遊ぶ子供たちの叫び、ピアノの調律音、猿まわしの演奏するオルガンの音、照りつける街なかの白い光などを伝え、その脈搏によってこの作品を日常の次元よりも高い、不思議な雰囲気のものにしている(訳者あとがき)。「結婚式のメンバー」という訳書もあるマッカラーズの代表作。
  • 人間的要素
    -
    モームの短編集『一人称単数』First Person Singular, 1931 から選んだ「ジェーン」「人間的要素」「美徳」の3編を収録する。どれも男女関係、結婚を扱った作品で、「幸福」の質にもいろいろなレベルのものがあることがテーマになっている。
  • 人間の絆(上)
    -
    モームの精神的自伝であり、今世紀英文学の最高傑作のひとつ。「えび足」という宿命の劣等感にさいなまれながら真摯に生き抜くフィリップの姿を、みじめな少年時代から、パリでの画家志望の暮らし、悪女ミルドレッドとの果てしない葛藤、医学への転身、サリーとの邂逅と愛の希望まで、徹底的にほりさげ描ききった大河青春文学。

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  • 人間の絆(上)(新潮文庫)
    3.6
    幼くして両親を失い、牧師である伯父に育てられた青年フィリップ。不自由な足のために劣等感にさいなまれて育ったが、いつしか信仰心を失い、芸術に魅了されてパリに渡る。しかし若き芸術家仲間と交流する中で、自らの才能の限界を知り、彼の中で何かが音を立てて崩れ去る。やむなくイギリスに戻り、医学を志すことになるのだが……。誠実な魂の遍歴を描いたS・モームの決定的代表作を新訳。
  • 野郎どもと女たち ブロードウェイ物語1
    -
    米国の作家デイモン・ラニアンは日本ではほとんど知られていない。今回紹介する4巻の短編集「ブロードウェイ物語」が初めての登場である。訳者は「まずここに収めてある短編を先に読んでほしい、作家について知る前に。〈サン・ピエールの百合〉〈血圧〉〈ブッチの子守唄〉をすすめたい。これらはラニアンの最初期の作品だから」と語る。ラニアンはジャズエイジ時代の雰囲気を濃厚に伝える新聞記者あがりの作家で、当時は英国やフランスでももてはやされ、愛好者によるラニアン・クラブまでできた作家だった。
  • 毎日をいきいきと生きる100のヒント
    -
    大ヒット『求めない』の著者、珠玉の金言集。 『求めない』『受いれる』など多数の著書を通して、現代社会であえぐ私たちに優しく語りかけてくれた加島祥造さん。本書は生前最後に手がけた本となりました。晩年は自然を愛し、伊那谷で暮らしますが、生まれは東京、落語を愛する下町っ子。そんな加島さんの講演会は、いつも笑いが溢れ、親しみのある雰囲気に包まれていました。本書は、数多くの講演会から100の名言、名フレーズをセレクト、文章では出合えない本音の語りが飛び出します。そばに置いて、お好きなページからめくってみてください。失敗や不幸を喜びや発見に変えていく、知恵と勇気の言葉が飛び出します。
  • 魔術師
    -
    モームは、アレスター・クロウリーという特異な人物とパリでめぐりあった経験をもとに、オリヴァ・ハドゥーなる悪魔的怪紳士を創作し、それにふさわしい怪奇な筋をもつ一編の怪奇小説、恐怖小説を造りあげた。それが本書である。「常識」と「迷信」との対決という主題を掘り下げたのであるが、こうしたプロットを効果的に運ぶためには、作者は自身の経験にもなく、知識もなかった《魔術》という奇怪なカルトが、現実のヨーロッパ社会に存在していることについて、同じく無知な読者に納得させなくてはならない。すなわちこの小説は、小説としての意匠から必然的に、魔術とは何か? という問いに対する解明と考察とを含む一種の思想小説、文明批評小説として仕立てあげられることになった。
  • メジャー・リーグのうぬぼれルーキー
    -
    原題はYou Know ME ALで、「アルよ、君はおれのこと、よく知ってるよな」という意味。アルは友達の名だ。この作品は投手としては抜群だが田舎者でウヌボレ屋でケチなジャック・キーフという青年が、アルに書き送る手紙でできている。1910年代の小説だが、実在のチーム、選手、監督を織り交ぜて描いて大好評を博し、ユーモア小説、野球小説の古典的名作となった。作者ラードナーは野球物のあとで中流層の市民たちを描いたユーモアと諷刺のきいた諸作品によっても高く評価された。アメリカン・ユーモア小説はマーク・トウェイン→ラードナー→デイモン・ラニアンと受け継がれていく。
  • 野生の棕櫚
    4.2
    「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」 1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」) 1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」) 二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。 アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。 本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。 他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。 また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。 その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。 その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。
  • 誘惑
    -
    「読ませる小説」の技術と良心をもち、人間の魂を描きつづけたイギリス文学の巨匠の短編集。「昼食」「蟻とコオロギ」「約束」「ルイーズ」「物知りさん」「察しの悪い女」の6短編と、モームの短編のなかでは最も長いものの一つ「誘惑」を収めた。
  • ランベスのライザ
    -
    ロンドンの貧民窟ランベス街。母親を養い工場で汗を流すライザは、明るく魅力的な町一番の人気娘だ。真面目でおとなしい青年トムは彼女に熱を上げるが、どうした運命のいたずらか、ライザがひと目ぼれした相手は、妻子ある中年男のジムだった。美しい悲恋を描いて好評を博したモームの処女作。モームが自身の全作品の出発点と位置づけ、みずからの作品選集の冒頭に選んだ作品でもある。出版は一八九七年、彼は23歳の医学生だった。本訳書では選集に付加された「はしがき」を冒頭に掲載、作家としての覚悟をうかがうこともできる。
  • ロータス・イーター
    -
    「三人の肥った女」「良心的な男」「掘りだしもの」「ロータス・イーター」「ジゴロとジゴレット」の5編は、「世の中には、いつになっても、これはと驚くようなことが決してなくならない」という作者の信条の結晶である。
  • 微笑がいっぱい
    -
    リング・ラードナーは、単なるユーモア作家でなく、アメリカ有数の風刺作家と称され、「アメリカのスウィフト」「マーク・トウェインにつぐアメリカ的作家」とさえ呼ばれる。この集には、ユーモラスなプロ野球小説(『弁解屋アイク』『当たり屋』『ハリー・ケーン』)を中心に、「微笑(わらい)がいっぱい」「メイズヴィルの吟遊詩人」「チャンピオン」「この話もう聞かせたかね」「保養旅行」「古風なクリスマス」の9編を収録した。この作家に長いあいだ親しんできた訳者の選による、またとない好編。

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