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4.0逞しく成長していく若き幕末商人の熱き物語。 長年仕えた店主に気に入られ、勘七は養子になって日本橋の紙問屋永岡屋の主となった。その頃、小諸藩から藩札を納めるという依頼が舞い込んでくる。大仕事に沸き立つ永岡屋だったが、藩には跡継ぎを巡って二分する内紛があった。ある日、店は襲われ藩札は奪われてしまい、父親の善五郎はその時のけががもとで、亡くなってしまう。小諸藩からはわずかばかりの金が払われただけで、2千両もの借金を背負ってしまった。 桜田門外の変で殺された親友の直次郎の墓に詣でた勘七は、紙の手配で話を交わしていた弘前藩のご祐筆・松嶋に会う。直次郎は、松嶋の従弟だった。松嶋は、本名のお京となって実家の日本橋松嶋屋に戻ってきていた。仕事の話をするうちに、二人は心を通わすようになる。 官軍との戦争が始まると噂される江戸は、景気と治安が悪くなる一方だった。勘七は、新三郎や紀之介、勝麟太郎、浜口儀兵衛といった人々との交流を通じて、商いを学んでいく。巨額の借金をどう返済していくのか。 そして、お京との仲は。 友情あり、恋あり、涙あり。熱い思いに満ちた、幕末青春ビジネス小説。 『旅立ち寿ぎ申し候』で刊行された単行本の書名を変更しました。
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3.6仕事も恋も「迷子」の梓が、同じ名前の特急列車で旅に出る! 空回りしがちな仕事と、望まない結婚を迫る恋人を置いて、介護福祉士の梓(あずさ)は、新宿駅から特急あずさに乗り込んだ。上諏訪駅で下車し、諏訪湖畔で途方に暮れる梓に声をかけたのは、陶芸家の桂だった。泊まるところのない梓は、桂に連れられ長野・高遠町の民宿「すやすや」へ。雄大な自然とのんびり暮らす人々に囲まれて過ごし、心は揺れ動くが……。高遠と東京を行き来しながら、新しい生き方を見つけていく女性の姿をいきいきと描く。新しい人生に出会えるハッピーストーリー。『迷子の大人』として刊行された単行本に、掌編「花の咲くころ」を加えたオリジナル版。
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3.3金四郎が掴んだ花魁の死の真相と切ない思い。 吉原日本堤の外に広がる田んぼで、稲本屋の花魁・雛菊が刀で斬られて亡くなっていた。見つけたのは、昨夜雛菊と話を交わしていた、18才の遠山金四郎だった。金四郎は、実は旗本家の跡継ぎだったが、複雑な家族関係から遠山家を継ぐことは当分無く、家を出て歌舞伎の森田座で笛方をしていた。 金四郎は、旧知の狂歌師・太田南畝、浮世絵師の歌川国貞とともに、彼女がだれに殺されたのかを探り始める。調べを進めていくと、雛菊があるときから店に来る男たちに心中を持ちかけていたことを知る。 彼女は、なぜ心中を望むようになったのか。 金四郎は、いつしか雛菊の暗い心のうちに踏み込んでいく。そして、彼女に関わっていた男たちも、いろいろなものを抱えて生きていることに気づき、簡単には変えられない世の中の非情さと己の無力さを知るのだった。 雛菊の死を巡る謎は意外な真実が待ち受けており、全編サスペンスに溢れた優れたミステリーにもなっている。 第11回小学館文庫小説賞の受賞作。文庫化にあたり、「恋の手本となりにけり」から題名を変更し、著者が大幅に加筆したものを電子化しました。
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