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Posted by ブクログ
ジェイソンが外部犯でなく内部犯であるという根拠は非常に明瞭で納得のいくものだった。
また、メイントリックである「一度自分が死んだように見せかける」というトリックも、シンプルでありながらコロンブスの卵で面白かった。更に、このトリックの一番の難点である事件後の自身の存在についても、そもそも参加者全員の殺害を目論んでいたことと照らし合わせると整合性が取れていて解消されている。トリック、動機、設定の兼ね合いがぴたりとはまっているように感じ、読後感が良かった。
動機については、最愛の妹のためとはいえ、イニシャルがSKの人間を皆殺しすることで復讐を達成したかったというのは、常軌を逸しているように感じた。
ただ、動機面では、甲田医師が罪の意識に苛まれている描写が物語全体に渋みを与えていて良かった。中盤で金田一が言った、人が人を殺すのは想像を絶する苦悩の末の最終手段であり誰も殺人なんかしたくない、たとえ逃げおおせたとしても罪の十字架を背負うのは苦しいはずだという言葉が、甲田の過去と呼応しているし、終盤でその甲田が自ら進んで死を受け入れる描写も良い。