あらすじ
焼き魚定食、冷やし茄子うどん、串カツ、茄子と胡瓜の糠漬け、ウニ載せ煮玉子、マグロの漬け丼──姑の一子、嫁の二三、若頭の万里、三人で営む佃の「はじめ食堂」は、昼は定食屋、夜は居酒屋。メニューが豊富で、なんでも美味しく、財布にも、疲れた心と身体にも優しい。だが、常連のはなの姿が最近見えない。どうやらストーカーされているらしいと万里に相談があり……。続々重版の大人気シリーズ、第十弾。
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Posted by ブクログ
相変わらずの安定感。
美味しそうっぷりもますますアップ。
個人的には、食べることに苦痛を感じることもある発達障害の子どもたちが登場したことに拍手。
うちの子は「定食系ビジュアル(お皿がたくさん並ぶパターン)」がダメで、なんでもいいからワンプレート、もしくは丼ものにしないとどんどん痩せる、と言う時期があった。
知り合いには、みそ汁の具が3種類以上になると口の中が混乱する子、どんなに細かく刻んでも人参を検知する子、空腹が自覚できない子など、食が楽しみからほど遠い場所に存在する現実がある。
そんな子たち自身の思い、親の苦労、とりわけ父親と母親の温度差が描かれていることが嬉しかった。
Posted by ブクログ
「食堂のおばちゃん」シリーズ第10弾。
前回は、コロナによるパンデミック真っ只中での、なんとはなしに落ち着かない気分で読んだ。
作品中にも、僅かに翳りが見えていた気がする。
今回は、すっかり元のパワーを取り戻した感じ。
季節も秋から冬へのエピソードを扱い、特に美味しいものがたくさん。
「はじめ食堂」は、メインはもちろん、副菜も、ワンコインの麺類も、季節感たっぷりでとても美味しそうだ。
日常のしあわせを感じる。
今回は、「食べられないものが多くて悩む子供とその親」
「一人暮らしの老親が無くなった後の空き家の問題」
「外面ばかり見栄をはり、心根の卑しい男たち」
などが問題として取り上げられる。
無理強いや型にはめることで人は幸せにならない。
力を抜いて、一息入れて。
他人が決めた最高級の基準しか認められない人は、幸せを味わえる瞬間がごくまれで毎日を不満の中で暮らす。お気の毒なことだ。
個人的に、焼肉よりもスコッチエッグが印象に残った。
ひき肉だんごだけでも美味しいのに、メンチカツはさらにきつね色の衣に包まれている。
そして中心には、お日様のような半熟卵のオレンジ色。
温かい心を秘めた食べ物である。
人もこうありたい。
第一話 食育は豆腐ハンバーグ
第二話 空き家とタコライス
第三話 おにぎり、ふしぎ
第四話 焼肉で勝負!
第五話 運命のスコッチエッグ