伊藤邦武のレビュー一覧
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今年1月からスタートした「世界哲学史」、8巻でついに完結!!!!!
近代に入ってからは、概ね、1冊で1世紀というスピードで進んできていて、この最終巻も20世紀〜現在という概ね100年間の話し。
この世界にとっても、哲学にとっても激動の100年をどう1冊にまとめるのだろう?と思っていたんだけど、なんと最初の3章100ページ足らずで、欧米系の哲学の100年が語られている!!!!!扱われている視点は、分析哲学(いわゆる英米系哲学)、ヨーロッパ系の哲学(大衆社会とか、現象学とか、ハイデガーとか)、ポストモダン哲学。
これは予想を遥かにこえた圧縮度、スピードなのだけど、なんだか、とてもスッキリした -
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プラグマティズムは「開かれた柔軟な哲学」であるという。そのプラグマティズムを「源流のプラグマティズム」ではパース、ジェイムズ、デューイ、と始祖たちに遡って要約・紹介される。第2章では「少し前のプラグマティズム」としてクワイン、ローティ、パトナムが同じように要約・紹介される。そして、最後に「これからのプラグマティズム」としてブランダム、マクベスとティエルスラン、ハークとミサッックがこれまた要約・紹介される。
多元的につかみどころのない思想のようで、色々な思想家、哲学者たちが色々なことを考えて新しい哲学を構築している、あるいは構築しつつあるという現状が垣間見られた。ただ、やはり数学の哲学化?の辺 -
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全8巻の世界哲学史シリーズも第7巻となり、大詰めを迎えつつある。本書は「近代Ⅱ 自由と歴史的発展」という副題で、まず伊藤邦武先生のいつもながら見事な要約(「第1章理性と自由」)に続き、ドイツ観念論哲学の発展過程(「第2章 ドイツの国家意識」)、ショーペンハウアー、ニーチェによる西洋哲学の転回を扱った「第3章 西洋批判の哲学」、そして「第4章 マルクスの資本主義批判」「第5章 進化論と功利主義の道徳論」と続く。
本書で一番難解なのは、「第6章 数学と論理学の革命」。私はまったく歯が立たず、撃沈。
ここで1回本書を閉じようとしたが、アメリカのプラグマティズムを扱った「第7章 「新世界」という自 -
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『世界哲学史6』は近代Ⅰで啓蒙と人間感情論について概説されている。理性と感情という人間精神の2つの柱の間の揺れ動きを世界哲学史というパースペクティブにおいて捉え直すというのが、本巻の目的である。スコットランド啓蒙の話、社会契約論のロジック、啓蒙と革命、啓蒙と宗教、植民地独立思想、そしてカントの批判哲学の企てまでで一区切り。第8章〜10章でイスラーム世界での啓蒙主義、9章では中国の感情の哲学、最終章では江戸時代の「情」の思想が取り上げられている。
それぞれに興味深いが、個人的には徹底的に理性主義と普遍主義を追求したカントの批判哲学に惹かれる。「スミスの道徳感情論にも、知的能力による自己批判とい -
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世界哲学史も西洋の歴史区分でいう中世から近世へと時代が進んできた。近世をアーリーモダンというならば、すでに近代の賭場口か。
自分自身の本巻への興味関心は何と言っても「第3章 西洋中世の経済と倫理」に集中するのだが、「第2章 西洋近世の神秘主義」ではあらためて「知への愛」に気がつかされたし、「第5章 イエズス会とキリシタン」では東アジアから西欧へのインパクト、あるいは「理」と理性をめぐってのスリリングな東西の議論、「第7章 ポスト・デカルトの科学論と方法論」ではホッブズ、スピノザ、ライプニッツそれぞれの「方法と自然哲学」の比較考察が興味深かった。
第3章の叙述によれば古代以来の「等価性を基本 -
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哲学から、西洋哲学、東洋哲学といった枠を取っ払い、あらためて世界的、普遍的な視座から構成し直そうという壮大な試み。同様の動きは歴史学にもあるが、グローバル化の進展する世界にあって、当然の流れかもしれない。新書ではあるが、内容はなかなかに高度で読みこなすのは相当にしんどい。個人的には西アジアの章が刺激的だった。学生時代に学んでいたエジプトの論考がほとんど無かったのは残念だったが、メソポタミアの時代から不可知論が議論されていたことに驚かされた。その一事だけでも文明の進化論には懐疑的にならざるを得ない。あとがきによると、世界哲学の構想は日本発とのこと。以後の続刊にも要注目。
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「古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開」の副題をもつ第2巻はローマ哲学、キリスト教の成立、大乗仏教の成立、古典中国の成立、仏教と儒教の論争、ゾロアスター教とマニ教、プラトン主義の伝統、東方教父の伝統、ラテン教父とアウグスティヌスの各章が並ぶのをみてわかるように「宗教と哲学」、そしてその世界的な広がりを捉えようとする。
後半はほぼ知らないことばかり。ゾロアスター教って何? マニ教?聞いたことはあるけど重要なの? といった感じ。ニーチェの「ツァラストラはかく語りき」は読んだことあっても、そのペルシャ語読みがザラスシュトラというのははじめて知った。
そんなド素人が読んだ第2巻全体の印象は、善悪二元論と超 -
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西欧中心の「哲学史」を世界的な「哲学史」に再構成しようというチャレンジの2巻目。
1巻目では、ギリシア、インド、中国などの文明において、ほぼ時を同じくして立ち上がってきた「哲学」が並列的に(といってもやっぱギリシャ〜ヘレニズムの記述が多いが)紹介された。
この同時性に驚くところはありつつ、最後の方ではギリシャ思想とインド思想のコミュニケーションの話はでてくるものの、各地域における哲学は基本独立した動きであった。
まあ、こんなものかなと思って、第2巻にはいると、途端に「世界哲学」な議論が増えて、とてもスリリング。
それは、文明間の交流が盛んになったということなのだが、
・ギリシア哲学がロ -
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哲学史というと、普通、ギリシア哲学から始まり、西欧の「大陸系」と英米の「分析哲学」という西洋哲学の流れの説明というのが一般的で、日本、アジア、イスラム圏というのがでてきても、それは「思想」、というか、西洋哲学との比較で論じられてきたのだと思う。
それを「世界哲学」として、時代ごとに論じていこうというチャレンジ。そして、これがその1巻目。
といっても、こうした「古代」においては、文明圏間の交流、影響関係はあまりなさそうなのだが、不思議なことに同じような時期に、同じようなことが当時の先端の文明の各地で問題として浮上してくるということが不思議。
もちろん、問題に対する答えは違うのだけど、、、、 -
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「哲学思想としてのプラグマティズム」について、その全体的像をわかりやすく解説。プラグマティズムについて、「源流のプラグマティズム」(パース、ジェイムズ、デューイ)、「少し前のプラグマティズム」(クワイン、ローティ、パトナム)、「これからのプラグマティズム」(ブランダム、マクベス、ティエルスラン、ハーク、ミサック)という流れで概観している。
プラグマティズムと一口にいっても、それに属するとされる哲学者の考えにはとても多様性があるのだということがよくわかった。ただ、プラグマティズムの思想の根幹にある「真理の探究は可謬的なものであり、真理とはわれわれの行動にとって有用な道具である」という考え方には、 -
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プラグマティズムの過去と現在について簡潔に紹介している本です。
パース、ジェイムズ、デューイというプラグマティズムの創設にたずさわった哲学者たちの紹介から始まり、クワイン、ローティ、ブランダムらのネオ・プラグマティズムの思想についても概観し、さらに現代におけるパースの再評価の機運についても触れています。おそらく著者自身の関心と重なるのでしょうが、パースの思想の意義を取り上げなおすことによって、数学におけるプラトニズムの問題を克服する道を探ろうとする、ティエルスランやマクベス、ハーク、ミサックといった現代の哲学者たちの仕事についても解説がなされています。個人的には、内部実在論以降のパトナムの思 -
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鶴見氏の著作にて知った『プラグマティズム』の入門書
その歴史とプラグマティスト達の思想とその変遷が
わかりやすく書かれてあります。
文書は平易で読みやすいのですが、いかんせん
思考力がついていかず内容的には、入門書といえども
難解な部分もあって、読み終わるのに時間がかかって
しまいました。
パースの反デカルト主義。ジェイムスの信念と意思と心理。
デューイ。
クワイン・ローティー・パトナム・プランダム・マクベス・
ティエルスラン・ハーク・ミッサク。
それに、ヴィドケンシュタインの言語論など割と個人的には
理解しやすい理論のような気がします。
例えば、昔々学校で習うことについての根本的な疑問。
誰 -
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『経済学の哲学』というのは変わったタイトルだなと思ったら、どうも「経済学の哲学」(Philosophy of economics)という学問領域があるようです。これは、経済学における基礎的諸問題(存在論/認識論/方法論/価値論など)を扱い、科学哲学、政治哲学、知識社会学などにまたがる学際的分野だそうです。
著者の伊藤邦武氏は、経済学者ではなく、龍谷大学文学部教授、京都大学名誉教授の哲学研究者です。「アメリカの哲学者の中で最も独創的且つ多才であり、そしてアメリカの最も偉大な論理学者」と言われ、プラグマティズムを創始したことで知られているパースを研究しています。この『経済学の哲学』は、単にラスキン -
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何か自分に不調があった時、「それは精神的な問題ですね」とか、「体が疲れているんだろう」などと私たちは心と体を分けて考え、それに応じた対処を取ることができる。また、自分に心があることは認めても、部屋の中にある椅子や机、その辺に転がっている石などに、心があるなどとはまったく考えない。心は動物に、しかも高等動物に、特有のものだと信じている。
しかし、それは当たり前のことだろうか。もし当たり前でないとしたら、なぜそう信じていられるのか。心とは、いったいどのように在るものなのか。
こうした問いのひとつの行き先がこの本にはある。これは、過去の哲学者たちが「心」をどのように捉えようとしてきたかの歴史=物語 -
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哲学は非常にとっつきにくい分野である。複雑な用語、難解な文脈、思想家同士のさまざまな影響関係など非常に分かりにくい。高等な言葉遊びのような感覚すらある。
また、哲学を知ってどうなるという思いもある。英語を学べばコミュニケーションができるし、工学を学べばテクノロジーの何かが分かる。料理法を学べばおいしく体にいい料理ができるようになるし、スポーツの技術を学べば試合に勝てるし、場合によってはそれが金にもなる。哲学はどうだ。いくら学んでも何一つ身につかない。体も健康にならない。コミュニケーション能力が上がるわけでもない。むしろ、哲学を学ぶあまり心身ともに不調をきたすという例もあるではないか。何のた -
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3000年にわたる哲学の歴史を、主たるテーマの流れがどのようになっているか、なぜそのような流れに至ったのかという説明を重視して記述する。あたかも、ある川の流れを淵源から下流に向かって一体感を持った解説を行うような趣がある。
人類の知の営みのエッセンスともいうべき内容を、わずか1000円未満の本一冊に入れ込んでいる。ともすると倫理の教科書のような「スケルトン未満」の内容となったり、逆に一つ一つのパーツが虫眼鏡が必要なほどごちゃごちゃしてしまいそうなものだが、この本は大きな絵柄を見ることに心がけているので、読みやすく、かつ適度な知的刺激が得られると思う。著者と編集のGood-Jobだ。
例えて -
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『世界哲学史』シリーズ全8巻は、時間的には古代から現代まで、空間的には世界全体を視野に入れて哲学史を叙述するという壮大な企図の下に編まれたプロジェクトであったが、本巻では、十分論じき切ることのできなかった問題を取り上げるということで、新たに13の論考が収録されている。
「デカルト『情念論』の射程」「インドの論理学」「イスラームの言語哲学」「イタリアの現代哲学」「ポスト世俗化の哲学」「正義論の哲学」など、タイトルを見ただけでもバラエティに富んでいるのが分かるが、その内容自体難しいことに加え、それぞれの論考が分量の制約もあり短めなので、なおさら一般読者には敷居が高い。自分の興味が湧く論考に付 -
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【分析哲学の興亡】一ノ瀬正樹
エルンスト・マッハの要素一元論@世紀末ウィーン
思惟経済
→ウィーン学団の「論理実証主義」
→分析哲学
カルナップの原始的、AJエアの倫理
ヒュームの法則であるからべきへ→自然主義的誤謬
べき=論理的規範
クワイン「経験主義の2つのドグマ」→オースティンの言語行為論
【ヨーロッパの自意識と不安】檜垣立哉
ベンヤミン「暴力批判論」「複製技術時代における芸術作品」
【ポストモダン、あるいはポスト構造主義の論理と倫理】千葉雅也
現代思想=否定神学システム(東)
思弁的実在論
フランソワ・ラリュエル
→非標準哲学=メタ・メタ哲学
カトリーヌ・マラブー
→外部なしの内在