坂本あおいのレビュー一覧
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ニルス13歳、ベンヤミン9歳、ピエール7歳の三兄弟は、湖畔のコテージで水泳競争をしたり森で探検したりして過ごす。
両親は、彼らを見ているようでいて関心がないのがわかる。
三兄弟は、楽しんでいるようには見えなくて、ただ時が過ぎるのを待っているような気がして仕方ないのだが…。
彼らの少年時代を振り返りながら…それはベンヤミンの記憶だったが、思いだしながら現在と過去を行き来する。
20年後、母親の骨壷を持って湖畔のコテージに戻ってきたのは…。
彼ら兄弟は、何を思ったのか。
両親をどう思っていたのか。
そのなかでもベンヤミンの歪んだ記憶が修正されたとき、こんなにも記憶に蓋をするような出来事だったのか -
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ネタバレ法人類学者デイヴィッド・ハンターと同じ作者だったので。
秘密を抱えて逃げてきた男と、
秘密を抱えて逃げることのできない女。
読んだことはないはずなのに、
映画化もされていないのに、
こんな映画を見たことがあるような気がした。
いや、映画ではなく、アメリカのドラマ、
異常心理の犯罪を追うFBI行動分析班「クリミナル・マインド」で
似たような話を見たのかもしれない。
パリで英語教師をしていたイギリス陣の男性は、田舎に逃げてきて足に怪我をしたため、
とある農場に留まることになってしまった。
助けてくれた女性は、息子、父、妹とともに暮らしているが、
町の人々とは付き合いをしていないらしい。
女性 -
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著者は「宝島」「ジキルとハイドなど」のスティーヴンスン。
悪漢が闊歩するヴィクトリア朝ロンドンで、ボヘミアの魅力的な王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐の冒険譚です。
しかし…この作者は、スティーブンソン、スチーブンソン、スティーヴンソン、スティーヴンスン。。などなど翻訳者さんにより表記が違うので、検索するときに非情に見つけづらい!!ヽ(`Д´)ノ
『自殺クラブ』
自殺志望者が集まる秘密結社『自殺クラブ』を巡る3つの物語。
ロンドンに滞在するボヘミアの王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐が訪れたバーで、人々にクリームタルトを配って回る若者が現れた。若者は、生きることに絶望して -
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ネタバレハヤカワミステリー文庫から出版されていること、エドガー賞の候補作、タイトル…それでもあえて先に言っておく重要な感想は、この小説は所謂ミステリー小説ではないってこと。そこを大きく期待してしまうと「で、オチは?」とのたまう無粋関西人のような感想を持ってしまうと思う。
既定のジャンル枠にとらわれず、現代インドのスラムの闇も病みも汚れをも、子供目線で照らしつける小説とだけ頭の隅に置いて読めば、この本にどっぷり嵌れると思う。
行方不明となった同級生を探す、無邪気な少年探偵団たちが次第に自信を失い、世界の無情にさらされ、ついには「僕はもう探偵じゃないから…」と言わせてしまう、なんともニヒルな成長譚。
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19世紀のロンドンを舞台に、アラビアンナイトを下敷にして書かれた物語集。自殺クラブから始まり、ボヘミアのフロリゼル王子が関わる一本の大きな物語が、いくつもの短編で紡がれていく。
最初は一体何の関係があるの?という物語でも、少し読み進めると、あーここに繋がるのか!という感じ。
あとがきにもあったが、19世紀ロンドンは経済発展著しく、他の国からすると、魔都のようでまさしくアラビアンナイトの世界だったのかもしれない。
今のロンドンはガス燈でもないし、暖炉の使用が禁止されてから霧の都でも無くなったけど、それでも夜はビクトリア朝を思い起こす画がある。
中学生の姪っ子にお薦めしたい。 -
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慣れるまで読みにくい本だった。
もうすぐ8歳のエルサの理屈っぽく夢見勝ちな性格そのままのような文体。
「◯◯のような~」がやたらに長く頻繁に出てくるのだ。その引用がハリー・ポッターや知らない本の引用だったりするとお手上げ。
登場人物も多く、それぞれが強烈な個性を持っているので気になりストーリーを追うのが止まる。
複雑な架空の世界と現実が混じりあってわからなくなり、戻って読み直す。
エルサをはじめ登場人物それぞれが抱えているものがひとつでもテーマになるほどの社会問題が盛りだくさん。
けれど!読み続けると後半のおもしろさに驚く。諦めずに最後まで読んで良かった~。
バラバラだった登場人物たちと架空の -
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インドでは毎日180人もの子どもが行方不明になる。年間ではない。月間でもない。毎日である。その衝撃的な事実を基に、元ジャーナリストである著者が書いたのが本作。
雑多で混沌に満ちたインドのスラム社会を、探偵に憧れる少年ジャイの視点からリアルに、時にコミカルに描いた話題の作品である。作家の深緑野分さんがTwitterでべた褒めしているのを見て手にした。
主人公ジャイをはじめ、優等生の女の子パリやムスリムの少年ファイズなど、スラムに生きる本作の子どもは皆したたかで、たくましい。貧困問題、女性差別、宗教問題、そして誘拐事件…扱うテーマは複雑で重いが、暗くなり過ぎないのは、登場人物の彼らが希望を捨て -