著者は「宝島」「ジキルとハイドなど」のスティーヴンスン。
悪漢が闊歩するヴィクトリア朝ロンドンで、ボヘミアの魅力的な王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐の冒険譚です。
しかし…この作者は、スティーブンソン、スチーブンソン、スティーヴンソン、スティーヴンスン。。などなど翻訳者さんにより表記が違う
...続きを読むので、検索するときに非情に見つけづらい!!ヽ(`Д´)ノ
『自殺クラブ』
自殺志望者が集まる秘密結社『自殺クラブ』を巡る3つの物語。
ロンドンに滞在するボヘミアの王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐が訪れたバーで、人々にクリームタルトを配って回る若者が現れた。若者は、生きることに絶望して「自殺クラブ」へ入会し、最後の散財をしているという。興味を示したフロリゼル王子は、自分も自殺志望者だと偽りその怪しい組織へと潜入する。
そこではクラブの会長が会員たちを集めて、トランプゲームにより殺される者と殺される者を選び出していた。
クラブ参加者の命運を見た若者は自殺を思いとどまるが、ある夜フロリゼル王子が殺される者のカードを引き当ててしまう。
/「クリームタルトを持った男」
自殺クラブを解体させたフロリゼル王子だが、会長の影響力はまだ強かった。
アメリカ人青年スカダモアは、美しい女性から逢引の誘いを受ける。すっぽかされたスカルダモアが家に戻ると、自分のベッドに男の死体が残されていた。
呆然とするスカダモアの前に友人ノエル博士が現れた。ノエル博士はスカダモアの大きなトランクに死体を詰めさせ、旧知のジェラルディーン大佐を紹介する。スカダモアはフロリゼル王子とジェラルディーン大佐の一行に加り、税関も素通りできた。
しかしこの死体は、自殺クラブ会長を追っていたフロリゼル王子の手の者だったのだ。
/「医者とサラトガトランクの話」
街を歩いていたリッチ中尉は、優雅な二輪馬車の御者により不思議な屋敷に送り届けられた。屋敷の中は紳士たちの賭博場だった。そして屋敷の主は客たちの様子を観察するかのように屋敷を回っている。
ホストの目に叶ったのは、リッチ中尉と歴戦の老兵オルック騎兵少佐の2人だった。
ホストの正体はジェラルディーン大佐で、フロリゼル王子が自殺クラブ会長との決闘の立会人として、信頼できる紳士を探していたのだった。
/「二輪馬車の冒険」
『ラージャのダイヤモンド』
世界で6番目に有名なダイヤモンドを巡る4つの物語。
最後にサラッと書かれていたフロリゼル王子のその後が…(@_@;) 王子なにやってんの…
60歳になるトマス・ヴァンデラー卿は「ラージャのダイヤモンド」と呼ばれる素晴らしいダイヤモンドを持っていた。贅沢三昧により破産寸前となった若い妻は「ラージャのダイヤモンド」を含む財宝を夫から盗み出そうとする。
ヴァンデラー卿の秘書のハリーは、ヴァンデラー夫人から丸い箱をある場所に持っていくように頼まれる。その場へ向かうハリーをヴァンデラー卿と、夫人の従兄弟が追いかけてくる。
走って逃げるハリーは、侵入した他人の家の裏庭で、丸い箱の中の宝石をばらまいてしまう。
/「丸箱の話」
ヴァンデラー卿の「ラージャのダイヤモンド」を拾ったのは有能な若い学者で聖職者のロールズ師だった。ロールズ師はダイヤモンドの美しさに魅了されてネコババしようとする。
ロールズ師がダイヤを持っていることを知った持ち主のトマス・ヴァンデラー卿とその弟で元軍人のジョン・ヴァンデラーは、ロールズ師を狙う。
やがてロールズ師は、ボヘミアの若くて魅力的な王子フロリゼルと知り合いになり助けを求める。
/「若い聖職者の話」
銀行員の若者フランシス・スクリムジャーに、匿名の素封家から援助の申し出がある。どうやらスクリムジャーはその匿名者の私生児で、彼の言うとおりの結婚をすれば財産をもらえるらしい。
しかしこの話には「ラージャのダイヤモンド」を巡る人々の出し抜き合いが隠されていた。
/「緑の日よけがある家の話」
ロールズ師の持っていたラージャのダイヤモンドは、いまはボヘミアの王子フロリゼルの手に預けられた。
外交特権のあるフロリゼル王子だが、このまま持っていては国際問題になる。だが持ち主に返せば罪に問われる者、理不尽な処遇を受ける者が出てきてしまう。思考を巡らす王子の前に刑事が訪れる。
さあ、いかにすべきか。
/「フロリゼル王子と刑事の冒険」