坂本あおいのレビュー一覧

  • 生存者

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    ニルス13歳、ベンヤミン9歳、ピエール7歳の三兄弟は、湖畔のコテージで水泳競争をしたり森で探検したりして過ごす。
    両親は、彼らを見ているようでいて関心がないのがわかる。
    三兄弟は、楽しんでいるようには見えなくて、ただ時が過ぎるのを待っているような気がして仕方ないのだが…。

    彼らの少年時代を振り返りながら…それはベンヤミンの記憶だったが、思いだしながら現在と過去を行き来する。
    20年後、母親の骨壷を持って湖畔のコテージに戻ってきたのは…。
    彼ら兄弟は、何を思ったのか。
    両親をどう思っていたのか。
    そのなかでもベンヤミンの歪んだ記憶が修正されたとき、こんなにも記憶に蓋をするような出来事だったのか

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    2023年09月03日
  • 幸せなひとりぼっち

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    無愛想で融通がきかない頑固なオーヴェ。
    最初はなんだこのジジイ、近所にいたら絶対会いたくないタイプだ…と思いながらも読むとクスッと笑えるシーンがあり、オーヴェもそんなに嫌じゃなくなります。

    ご近所さんと付き合っていくうち、むしろこのオーヴェの頑ななところ、一途なところが可愛く思えてくるので不思議です。向かいの家のパルヴァネ1家も良い人達ですが、個人的にはイミーが可愛くて好きです。猫を体温で温めるシーン大好き。

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    2023年06月10日
  • もっと遠くへ行こう。

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    ジュニアは、『もう終わりにしよう』の映画に引きづられて、脳内でジェシー・プレモンスが演じてくれていました。

    ジュニアは自覚なくヘンを自分の所有物だと思っている節があって、そういうとやぞ!が無数に転がっていた。あまり強調されていないので、ジュニア寄りの感覚を持っている人は、ヘンの行動原理が分からないのでは。そもそもこの小説を選んで読む人に、そんな鈍感な人はいないか。

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    2023年05月17日
  • 幸せなひとりぼっち

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    映画"OTTO”は、スウェーデン発の本書を原作とする映画のリメイク。
    OTTOにじんわりと良さを感じたので、原作を読むつもりで本書を読んだ。

    もちろん基本的な話の流れはOTTOと同じ。
    ただ、OTTOにはOTTOなりの、本書には本書なりの細部があり、それぞれのエピソードが、それぞれに良い。
    ややもすると偏屈じじいの暗黒面に陥りそうになった時に、本書を読む。または、映画を見直すことによって、偏屈になって自分の視野を狭めることよりも、相手を受け入れることが大事だという視点を思い出すべきだ。

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    2023年04月17日
  • 幸せなひとりぼっち

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    映画を見る前に予習で読みました。
    オーヴェは初見変人だが、信念のある人間でした。

    ちょっと日本語訳がわかりづらいなとおもったけど、その辺りはオーヴェのような癖のある感じを表現するためか?と捉えて読みました。

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    2023年03月06日
  • 幸せなひとりぼっち

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    オーヴェの周りにいる人と同じように
    読み進めるうちに彼に対する印象が変わっていった。
    苦手に思っていた最初の頃は読むスピードも遅く
    だんだんと好きになって行く中盤にはグングンと読むスピードが上がっていった。

    最後は
    人生ってそういうものなんだね
    と 悲しい気持ちとホッコリする気持ちが入り混じったような気持ちになりました。

    出逢えて良かった一冊

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    2023年02月13日
  • 幸せなひとりぼっち

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    序盤でつまずき、長年積読でした。
    読み進めていくにつれ、読みやすくなりました。
    オーヴェの良さや温かく個性的な周りの人々、最愛のソーニャ。全てが良かった。
    途中もクスッと笑えるシーンが多々あり
    心がじんわり。
    今年最後にこの本を読めて良かったです。

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    2022年12月31日
  • おばあちゃんのごめんねリスト

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    ネタバレ

    大好きなおばあちゃんが亡くなる直前に手紙を渡すミッションを受けとった主人公。
    そのミッションをこなすうちに見えてくる、同じアパートに暮らす一見変わった人たちの悲しい過去。
    子供向けの物語のように見えて、現実の問題を扱っている深いお話です。

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    2022年12月31日
  • もっと遠くへ行こう。

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    ネタバレ

    海外の本にしては登場人物も少なく名前も覚えやすいし、区切りも多いのでとにかく読みやすい。
    ずっと不穏な空気で区切りの最後にいつも気になる一言を言ったりするので、気になって一気に読みたくなる。

    最後の方はジュニアはAIかなんかなんだろうなとは思い始めるけど、ちゃんと気持ちをもっているし本物のジュニアが帰ってきてもヘンは本物のジュニアよりAIのジュニアに気持ちを持って行かれている。

    最後はヘンもヘンのAIを送り込んでるのかな?

    あとカブトムシはなんなんだろ?

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    2022年11月26日
  • もう終わりにしよう。

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    先に少しネタバレを見てしまっていたが、それでもかなり面白く読めました。
    内容は暗く救いようのないストーリーですが。
    書面通りに受け取るべきかどうなのか、いろんな解釈ができるところが良いですね
    オチへの匂わせなのか、それとも読者の反応を楽しんでるのか、、
    一文一文が鍵のような、そうでないような、、
    表紙に騙されるとか言われてますが、私はかなり内容に沿った表紙なんじゃないかと思いました。すごく悲惨ですがどこかブラックユーモアな内容な気もするし。

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    2022年09月22日
  • もう終わりにしよう。

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    わたし/ジェイク
    カップル/結婚
    ひとり/孤独
    現実/空想
    パートナー、家族、友達がいない人。
    空想の世界に生きる人。
    終わりにするのは何に対する別れ?

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    2022年08月05日
  • 出口のない農場

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    ネタバレ

    法人類学者デイヴィッド・ハンターと同じ作者だったので。

    秘密を抱えて逃げてきた男と、
    秘密を抱えて逃げることのできない女。
    読んだことはないはずなのに、
    映画化もされていないのに、
    こんな映画を見たことがあるような気がした。

    いや、映画ではなく、アメリカのドラマ、
    異常心理の犯罪を追うFBI行動分析班「クリミナル・マインド」で
    似たような話を見たのかもしれない。

    パリで英語教師をしていたイギリス陣の男性は、田舎に逃げてきて足に怪我をしたため、
    とある農場に留まることになってしまった。
    助けてくれた女性は、息子、父、妹とともに暮らしているが、
    町の人々とは付き合いをしていないらしい。
    女性

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    2022年06月30日
  • 新アラビア夜話

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    著者は「宝島」「ジキルとハイドなど」のスティーヴンスン。
    悪漢が闊歩するヴィクトリア朝ロンドンで、ボヘミアの魅力的な王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐の冒険譚です。
    しかし…この作者は、スティーブンソン、スチーブンソン、スティーヴンソン、スティーヴンスン。。などなど翻訳者さんにより表記が違うので、検索するときに非情に見つけづらい!!ヽ(`Д´)ノ


    『自殺クラブ』
    自殺志望者が集まる秘密結社『自殺クラブ』を巡る3つの物語。

    ロンドンに滞在するボヘミアの王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐が訪れたバーで、人々にクリームタルトを配って回る若者が現れた。若者は、生きることに絶望して

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    2022年05月10日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    インドのスラム街を舞台とした少年探偵ミステリー。インドのお話をきちんと読んだの初めてだったのですごい色々びっくりした。衛生状態めちゃくちゃ悪い。治安も悪い。とにかくひどい。このことを知れただけでも貴重な本

    9歳の少年ジャイの目線で物語が進むんだけど、合間に入る三人称の物語がキツい。訳者さんのあとがきでもあるけど、作者のジャーナリストとしての視線がすごい反映されていて読んでいて苦しくなる。
    でも、ジャイの視点は明るくて元気で、なんかまたそれがキツいよなぁ。
    いやぁ、すごい物語だわ。

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    2022年02月18日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    ネタバレ

    ハヤカワミステリー文庫から出版されていること、エドガー賞の候補作、タイトル…それでもあえて先に言っておく重要な感想は、この小説は所謂ミステリー小説ではないってこと。そこを大きく期待してしまうと「で、オチは?」とのたまう無粋関西人のような感想を持ってしまうと思う。

    既定のジャンル枠にとらわれず、現代インドのスラムの闇も病みも汚れをも、子供目線で照らしつける小説とだけ頭の隅に置いて読めば、この本にどっぷり嵌れると思う。

    行方不明となった同級生を探す、無邪気な少年探偵団たちが次第に自信を失い、世界の無情にさらされ、ついには「僕はもう探偵じゃないから…」と言わせてしまう、なんともニヒルな成長譚。

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    2022年02月16日
  • 新アラビア夜話

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    19世紀のロンドンを舞台に、アラビアンナイトを下敷にして書かれた物語集。自殺クラブから始まり、ボヘミアのフロリゼル王子が関わる一本の大きな物語が、いくつもの短編で紡がれていく。
    最初は一体何の関係があるの?という物語でも、少し読み進めると、あーここに繋がるのか!という感じ。
    あとがきにもあったが、19世紀ロンドンは経済発展著しく、他の国からすると、魔都のようでまさしくアラビアンナイトの世界だったのかもしれない。
    今のロンドンはガス燈でもないし、暖炉の使用が禁止されてから霧の都でも無くなったけど、それでも夜はビクトリア朝を思い起こす画がある。
    中学生の姪っ子にお薦めしたい。

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    2021年12月19日
  • おばあちゃんのごめんねリスト

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    慣れるまで読みにくい本だった。
    もうすぐ8歳のエルサの理屈っぽく夢見勝ちな性格そのままのような文体。
    「◯◯のような~」がやたらに長く頻繁に出てくるのだ。その引用がハリー・ポッターや知らない本の引用だったりするとお手上げ。
    登場人物も多く、それぞれが強烈な個性を持っているので気になりストーリーを追うのが止まる。
    複雑な架空の世界と現実が混じりあってわからなくなり、戻って読み直す。
    エルサをはじめ登場人物それぞれが抱えているものがひとつでもテーマになるほどの社会問題が盛りだくさん。
    けれど!読み続けると後半のおもしろさに驚く。諦めずに最後まで読んで良かった~。
    バラバラだった登場人物たちと架空の

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    2021年12月14日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    インドでは毎日180人もの子どもが行方不明になる。年間ではない。月間でもない。毎日である。その衝撃的な事実を基に、元ジャーナリストである著者が書いたのが本作。

    雑多で混沌に満ちたインドのスラム社会を、探偵に憧れる少年ジャイの視点からリアルに、時にコミカルに描いた話題の作品である。作家の深緑野分さんがTwitterでべた褒めしているのを見て手にした。

    主人公ジャイをはじめ、優等生の女の子パリやムスリムの少年ファイズなど、スラムに生きる本作の子どもは皆したたかで、たくましい。貧困問題、女性差別、宗教問題、そして誘拐事件…扱うテーマは複雑で重いが、暗くなり過ぎないのは、登場人物の彼らが希望を捨て

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    2021年09月08日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    刑事ドラマが大好きな少年ジャイが子供の失踪事件を追いかける。刑事ドラマの知識で事件を見たりする幼さや暮らしている地域で起こる失踪事件に対して思うことの怖さが徐々に増していく展開の面白さ。ジャイと友人たちとの探偵ごっこのようなものとそれを続けることで見えてくる現実。失踪事件がどんどん身近になってくるにつれて緊張感を増していく。インドの貧富の差や、暮らしに対する考え方、宗教、差別と様々な物語どんどん浮き彫りにされていく。ジャイが目にする現実が物語の中だけでありますようにと願いたくなるけれど世界で日本であることだと読み手も現実を見る。

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    2021年05月02日
  • 新アラビア夜話

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    『自殺クラブ』3篇『ラージャのダイヤモンド』4篇の二部構成で、各篇のメインキャラクターは異なっているがボヘミアのフロリゼル王子がストーリーに絡む。「これで(とわがアラビア人の著者は言う)「~の話」は終わる」と各章は締めくくられる。最初よくわからず?となったが、読み直してから意味がわかった。フロリゼル王子の視点で書かないことで、突然わけのわからない状況に置かれたメインキャラクターのきもちになれてワクワクした!
    『宝島』と『ジキル博士とハイド氏』と同じ作者とは思えない、荒唐無稽なファンタジー!

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    2021年04月18日