坂本あおいのレビュー一覧

  • ハティの最期の舞台

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    ミステリとしての「真相」は意外なものではないし、特に目新しさがあるわけでもないけれど、しみじみとした余韻が心に残った。そうだよねえ、若いってことは未熟で愚かで、それでいてむやみなエネルギーがあって、何かのはずみで、歩いている道の崖の側に転落してしまうかもしれない危うさをはらんでいるんだよね。それを見つめる大人たちの悲嘆が胸に痛い。なかでも保安官デルの造型が強い芯になっていると思った。

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    2018年10月11日
  • 幸せなひとりぼっち

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    人は死を恐れるが、たいていの人が一番恐れるのは、
    自分以外の人に死がおとずれることだ。死のもっとも
    恐ろしいところは、それがつねにわれわれを
    素通りしていくことだ。そしてわれわれは、
    ひとりあとに残される。

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    2018年10月09日
  • 新アラビア夜話

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    海の中で高波が来たらちょいと体を浮かせるような、クロールの息継ぎがビシリと決まるとか、いわゆるシャッターチャンスの瞬間をわかってらっしゃる作家だなあ、と思たら「ジキル博士とハイド氏」を書いた人だった。多分自分が翻訳物を初めて買った本がこれだった気がするの。だからしつこい位に何度も読み直してる訳で、二人で息の合った社交ダンスを踊るような、ガラス越しに手を合わせるような、変な一体感と恍惚感がありました。ボヘミアの
    王子がロンドンにて「遠山の金さん」をやるシリーズもの。楽しい。ちょっとずつお話が続いている。

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    2018年07月18日
  • ハティの最期の舞台

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    いやー、読みすすめるのがたいへんつらい小説であった。だって、当事者の一人称なんですよ? しかもこのハティという女の子が、ちょっと魔性の女なんだよね。彼女にどの程度感情移入できるかで、好き嫌いがかなり変わってくるかも。あとピーターね。自分で自分をどんどん追い詰めていないか? もう少しうまく逃れる手もあったんじゃないかい。全体として人間性の極端な登場人物が多かった気がする。

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    2018年04月12日
  • ハティの最期の舞台

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    デキがいいことは間違いないのだけれど、読後感が甘い切なさじゃなくてなんかこう激しい寂寥感なのがつらい。その理由を述べたいがネタバレになってしまうので言えません。

    ただ、ワカモノ(に限らないけど)よ、いい恋をしよう!

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    2018年03月05日
  • 幸せなひとりぼっち

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    父の本。面白いよ、と薦められたので。
    確かに面白かった。何が面白いって本人が至極真面目に取り組んでる様程可笑しなものは無いんだろうな。

    それにしても妊婦が安定期に入ったとは言えバス旅行に行こうとか言いだす辺り海外だなぁ、と思う。今の日本もそうなのかなぁ?まあ彼らの感覚的には首都圏住んでる人がちょっとゆっくり温泉入りたいから熱海か箱根に行こうか、ぐらいの感覚なのかもしれないけど。
    そして施設に入居することを強要するって…ある意味怖いけど一人暮らししている人なんかにはありがたい規則だなぁ。日本だったら反対に入居希望者が続出して何年待ちとか出そうな気がする。

    オーヴェの心臓が大きすぎる、は確かに

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    2017年05月11日
  • 出口のない農場

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     イギリス人著者によるフランスの農場を舞台にしたミステリ。しかも、主人公は、ロンドンからやってきたいわくありげな青年。シートベルトは血だらけで、トランクには死体という、極めて不穏な状況での登場。物語の出だしとしては極度に不安で緊張を強いられるが、その緊張は留まることを知らない。

     獣用のトラップに脚を噛まれ重傷を負ってしまった主人公は、得体の知れない農場に運び込まれ、敵意むき出しの農場主と、彼を介護する二人の娘たちと出会い、逃避行の唐突な展開を、利用すべきと思いつつもその農場の不可解な緊張状態に疑惑を抱き始める。

     フランスの実存主義作家の第一人者ジャン・ポール・サルトルの状況劇『出口なし

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    2015年12月27日
  • 出口のない農場

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    ネタバレ

    評価もジャンル分けすらも難しい。確かにハヤカワミステリという括りで出版されてはいるが…。
    そもそも怪我を負った主人公が農場から出れない、という掴みがある意味違う。いつでも出れるし、街に買い物に行ったりする。出れないのではなく出ない、でありこの農場で暮らすことによって曲がりなりにも”家族”を体感するひと夏の出来事が、この家族に隠された忌まわしい過去によってついに崩壊するまでを描く。
    そのため、ストーリーにはさほど起伏は無いので、そういう意味でサスペンスを期待すると大外れとなる。しかし、緻密な人物描写と濃厚な背景描写で読んでいて主人公の心情に共感できるので全く退屈しない。
    同時進行で主人公の逃亡?

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    2015年12月21日
  • 花嫁になるための4つの恋物語

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    大好きなヒストリカルのスピンオフがこんなに揃うなんて、凄くお買い得。私の一番はロレッタ作品でした。

    『愛の誓いはひとつだけ』"あなたを夢見て"のデレク・クレーヴンがちょい役で…。ヒロインがイマイチで、ヒロイン母のロマンスの方が好感持てそう。
    『眼鏡の花嫁が愛を見つけるまで』スピンオフでは無い。
    牧場主クリントと7人の弟に眼鏡の花嫁ドジッ子レイチェルが、ドタバタほのぼのの良い話。
    『悩める伯爵と赤毛の魔女』"悪の華に口づけを"の脇役バーティ登場。その他の面々も消息が知れて、後日談としても楽しめます。精神の病で余命短いとされる伯爵と、「伯爵婦人の地位と病院

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    2015年12月19日
  • 出口のない農場

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    ルース・レンデルを皮切りに英国ミステリづいている。これはタイトルから脱出サスペンスものかと思ったら、まったく違っていた。謎めいた雰囲気たっぷりのページターナーで、ヨーロッパでベストセラーだというのに納得。

    正体不明の逃亡中の男が、森で罠に捕らわれて怪我をする。目が覚めると農場の納屋に運び込まれていて、娘が介抱してくれていたのだが、この農場の様子はどうもおかしい…。

    この男がなぜ逃げているのか、また、農場が隠している秘密がなんなのか、並行して語られていく。先へ先へと引き込まれていく書き方で、どっぷり読みふけってしまった。不穏でダークな味わいではあるけれど、英国ミステリらしく、あくまで上品。最

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    2015年11月04日
  • 花嫁になるための4つの恋物語

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    4作の短編集。リサ・クレイパスの名前に惹かれて買ったが、4作品ともなかなか良かった。クレイパス「愛の誓いはひとつだけ」には懐かしい”クレーヴンズ”とデレクが出てきて嬉しかった。安定の内容。キャサリン・アンダーソン「眼鏡の花嫁が愛を見つけるまで」は彼女らしい可愛らしくてほのぼのとしたハートウォーミングな作品。ロレッタ・チェイス「悩める伯爵と赤毛の魔女」が一番印章に残った。陰鬱なダートムアを舞台にダークな雰囲気なのに作品内容は暖かく、女性と医学の組み合わせも珍しかった。キャスリーン・ウッディウィス「巡り会うまで」短い作品ながらスピンオフの元ネタの「炎と花」を読んでみたいと思わせた。2015.4

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    2015年04月10日
  • 新アラビア夜話

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    ネタバレ

    勧善懲悪というか信賞必罰が貫かれているので
    読後にモヤモヤせずに済む。
    また狂人が出てくることもないので、感情移入もしやすい。

    読むにあたって知っておくべきこともないので、
    頭を使わずに読める本として非常に面白い。
    ただ読後に何か考えさせられる本か、というと違うと思う。

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    2012年09月09日
  • 新アラビア夜話

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    イギリスの最も素敵だった時代にぴったいの不思議なおとぎ話。
    なんてことはないきっかけが、一夜のうちのめくるめく冒険に変わっていく…。
    これで思い出したのが、以前友人から唐突にもらった坂田靖子氏の
    漫画。(彼女はとにかくイギリスの最も素敵だった時代を描くのがうまい)日本では20世紀、漫画・コミック文化が華やぎこのようなお話にはたくさん恵まれているため、逆に重宝されないジャンルかもしれない。しかしイギリスならでのブラック・ユーモアは、一読の価値あり。

    クリームタルトが食べたくなる。

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    2010年05月10日
  • 新アラビア夜話

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    『自殺クラブ』は子供のころにあかね書房のシリーズで読んだっけ。懐かしい!訳文も小説の世界を壊さない、実に雰囲気のある訳文だと思う。それにしてもフロリゼル王子の行く末がなんとも・・・

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    2011年09月16日
  • 幸せなひとりぼっち

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    ネタバレ

    映画「オットーという男」は見てました。
    原題と違うことは忘れてて買ってしまいました。
    覚えてたら買わなかったでしょう。
    買ったけど読むのやめようかと思いましたが読みました。

    映画の細かいところまでは覚えてないけど、
    だいたい同じ話だと思います。
    読み終わって、「映画見たから読まなくても良かったな」と思いましたが、お話としてはいい話です。

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    2025年10月29日
  • ブリット=マリーはここにいた

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    夫に浮気された63歳のブリット=マリー。恐ろしくきれい好きで、リストに沿って日々の行動が決まる。途中までは読みにくかったけど、160ページを過ぎたあたりから急に面白くなって、次の展開が気になるようになってきた。最初は辛抱して読み進めたら、続きは面白い一冊。ブリット=マリーとボーリの人たちは幸せになってほしい。

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    2025年03月22日
  • 生存者

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    構成が見事で
    今と過去の話が交互に描かれていきます。

    つまり本の1番最初がエンディングなので
    全部終わって読み返すと
    こうなるのかとなりました

    家族愛とは
    母親、父親、兄弟
    難しい話でしたが終わってみればスッキリした

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    2025年03月11日
  • もう終わりにしよう。

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    いや、まさかなと思った結末で冷や汗でた。

    考察を読むと、なるほどここまで深く読み取れるのかと、まだまだ自分の読解力の低さに少し悲しくなった。

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    2025年02月01日
  • ザ・メイデンズ ギリシャ悲劇の殺人

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    あ〜っ、そっちか〜!面白いし嫌いじゃないけどそういうオチを用意するならもう少しいい感じにミスリードしてほしかった〜!あからさまに怪しくて疑いの気持ちが拭えない。主人公の猪突猛進ぶりが見てられない。真相を暴いたところで希望も何もない。だれも救われない。

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    2025年01月22日
  • 幸せなひとりぼっち

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    最初は頑固な老人に共感できなかったが、読み進めるうちに、彼にはそれなりの道理や理屈があって、分かりづらいけれど愛も確かにあるということに、どんどん引き込まれていった。読み終わった後に温かい気持ちになった。結末を知っていてももう一度読みたい3.6

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    2024年12月19日