堀辰雄のレビュー一覧

  • ビルディング(乙女の本棚)作品集(乙女の本棚)

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     乙女の本棚シリーズから、ねこ助さんの「ビルディング 乙女の本棚作品集」です。収録されてるのは、新見南吉『赤とんぼ』、中島敦『山月記』、太宰治『魚服記』、堀辰雄『鼠』、夢野久作『ルルとミミ』のイラストの中から、ねこ助さん自身が選んだ作品です。このほかに描き下ろしとして、夢野久作『ビルディング』が新たに収録されています。

     これまでの「乙女の本棚作品集」(しきみさん、ホノジロトヲジさん)と同様、『ビルディング』以外の作品については本編を読むことはできません。イラストを眺めながら、あぁ…そうそう、こんなストーリーだったなぁ…と、思い出す感じですので、本編を読まれてからこの作品週を手にしたほうがよ

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    2025年12月18日
  • 鼠(乙女の本棚)

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    2025/11/05
    p.16
    見ると、あと足りないのは、ただ女の首だけだった。そこで彼はそれを搜すためにマッチに火をつけた。そして何本も何本もそれを無駄にした。だが、その石膏の首は、その疊の上にはどこにも見あたらなかった。とうとうしまいには、彼もあきらめて、火のついたマッチを手にしたまま、疊の上からひょいと顏を持ちあげた。と同時に、彼は思はずあっと叫んだ。彼の手にしていたマッチのかすかな光りが、彼の前の虚空に、彼の搜していた石膏の首を(しかもそれは人間の生首の大きさぐらいあった!)白くぼやっと照らしたのである。

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    2025年11月06日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    軽井沢という異次元で流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。「風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない」ゆっくりとひんやりした時間に浸れる一冊。

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

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    2025年09月08日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    主題というか、メインのストーリーの周りをなぞって形作るような不思議な作品でした。情景描写が本当に美しいし、暑い夏に軽井沢の涼しい風を感じました。悲しいけど、生きなければ

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    2025年07月30日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    いつかこういう小説を書けたらなと思う、自分にとっての恋愛文学は半永久的にこの作品で在り続けるような気がしている

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    2025年11月30日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    生と死をすぐ側に感じながら流れていく日々、自然。「悲しみに似たような幸福」

    どこか夢のような香りのする作品、、と感じたりもしたが、主人公の感情の機微は美しい自然の描写とともに痛いほど伝わってくる。

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    2025年01月06日
  • 鼠(乙女の本棚)

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    少年の、しかも大正時代に生きていたと感じるような少年の描写と石膏を亡くなった母親の面影と重ねる少年。石膏が少年にそっと接吻。
    生きているような唇に少年は愛情と恐怖とのへんな工合に混じり合った、世にも不思議なエクスタシーを感じだしていた。で終わっていて最後の絵がこのまま石膏と一緒に少年も永遠の眠りにつきそうな幸せとは感じられない不思議な絵で終わっている。

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    2024年08月14日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    「風立ちぬ」

    幸せと悲しみはこんなにも隣り合わせなのだ
    悲しみがないとほんとうの幸せを感じることはできないのかもしれない

    そして物語は、「人々がもう行き止まりだと信じているところから始まる」

    かなしみの感情は常に自然に包まれる
    人間などいかほどのものでもないのだ、、、

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    2023年11月26日
  • 燃ゆる頬

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    いざ燃ゆる頬を君が頬に

    涙が止まらなかった。原作も読みたいです。こんなに美しく描けるものなんだなぁ…

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    2023年04月21日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    私は死について考えるのが嫌いだ。
    祖父母、両親、飼い犬の死を想像するだけで、
    どうしようもない喪失感に駆られて涙する。
    どうして死なんてものがあるのだろうかと
    避けられない死が怖くてたまらない。

    けれど『風立ちぬ』に出会って、最愛の人の死を受け入れるヒントをもらった気がする。


    「帰つて入らつしやるな。さうしてもしお前に我慢できたら、死者達の間に死んでお出(いで)。死者にもたんと仕事はある。
    けれども私に助力はしておくれ、お前の気を散らさない程度で、屡々遠くのものが私に助力をしてくれるやうに――私の裡で。」

    作中で「私」が出会うリルケの『レクヰエム』の一文だ。 
    敢えて「死者」と呼ぶこと

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    2023年02月04日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    病魔におかされた妻との愛おしい生活を、一日一日、繊細に書き込んでいく愛の記録、愛と死、静かにゆっくりと再生へと乗り越えていく物語

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    2022年11月07日
  • 風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子

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    ネタバレ

    高原のサナトリウムで療養中の節子と婚約者の主人公。確実に死へ向かっている雰囲気はある中、2人のプラトニックな関係の心理描写や情景描写が美しい。
    生死感、幸福の形、夫婦(パートナー間)間のあり方などは様々。私がこの2人から感じたことは、お互いが支えるとか支えられるとかではなく、共に時間や空気を共にすることの尊さのようなものを感じました。多分、何度も読み返したくなる作品だと思う。ジブリで映画化されているようですが観ていないので、このまま小説の世界観を大切にした方がいいのかな? 

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    2022年08月18日
  • 風立ちぬ・美しい村

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     切なくて綺麗で、アホな感想ですけど蛍みたいな話に感じました。

     「ずっと後になって今の生活を思い出せば、どれだけ美しいだろう」
     この言葉が好きすぎて、さも自分の言葉のように誰かに言いいます。

     ジブリ版の「風立ちぬ」も好きやったんですけど、ジブリ版は物語すぎてちょっと違うなと思いました。
     ジブリ批判ではなく、ただの好みですごめんなさい。宮崎駿さんサイコー!

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    2022年02月22日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    美しい村〜風立ちぬ。

    美しくて、純粋で、心が癒される。

    意識的に一文を長くしつつ、これほど自然に伝わるのは、さすが堀辰雄。

    「風立ちぬ、いざ生きやめも」
    よく誤訳だと聞くが、堀辰雄らしくていいと思う。彼は、意識的に訳したんだと思う。

    最後に、こんな素晴らしい作品を残してくれた堀辰雄に感謝したい。

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    2021年06月22日
  • 風立ちぬ

    購入済み

    生と死

    死の影に追われているからこそ、より一層、生を実感する。きっと叶わないと分かっていても、それを口には出さない。悲しいけれど、それ以上に透明感や美しさが際立つ作品だと感じた

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    2021年03月07日
  • 風立ちぬ・美しい村

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    「私たちの今の生活ずっとあとになって思い出したらどんなに美しいだろうって…」サナトリウムにいる病床の節子が言うのだ。なんとピュアな、とても幸せで切ない言葉。ハイカラ、軽井沢、サナトリウム、恋と死。堀辰雄の描く、儚く切ない世界観は、晩年病床にあった堀自身の生への執着を投影している。この美しさはなかなか書けない。透き通るような世界、軽井沢にこんな素敵な時代と場所があったのかと思うほど魅力的だ。いや、自分にもこんなピュアな時代はあったろうか。映画化しても演じられそうな現代女優が思いつかない。それくらいピュアな恋愛小説。当然ながら悲しい結末へ。すっかり汚れちまった自分に涙が出てくる。 

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    2021年03月03日
  • 羽ばたき Ein Marchen

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    ネタバレ

    鳩山郁子の本は8割がた読んでいる。
    毎回ため息をつくほど好きなのに、どこか走り去りゆく作者の背にタッチできないような、隔靴搔痒を感じていた。
    が、今回は確実に、少しだけ触れた。
    もちろん読後、その感触だけ残していつものように作者は逃げていったのだが、触れた瞬間の喜びと、走り去られるに違いない喪失感の予感とが、同時に感じられたこの読書体験だけは、憶えておきたい。

    内容についてはもう、わざわざ書かない。
    何度でも読み返すだろうから。

    原作小説の展開のあとに、18ページほど、鳩山郁子なりの解釈が描かれているのだが、
    ここだけで萩尾望都「残酷な神が支配する」の達成に、届かんとしていると思う。
    鳩山

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    2020年08月02日
  • 羽ばたき Ein Marchen

    購入済み

    鳩山郁子のファンなので冷静に善し悪しを論じるのは難しい。
    鳩山さんの作品は、言語化しづらい空気とか気配とか光の煌めきをそのまま漫画にしているというか…ただただキラキラした空間に圧倒されてる内に読み終えてしまう感じがします。
    今回は原作つきとの事でしたがしっかり鳩山郁子ワールドを堪能できたと思います。
    解説まで含めて一個の作品。

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    2020年07月18日
  • 風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子

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    「美しい村」
    前半は田舎の情景描写が主だが後半は専ら絵を描く少女との交流を通したものが主になる。全体的に散在してる印象。実際に起きたことをぽつぽつと書いているような。
    「麦藁帽子」
    夏を背景に少女に対する想いの移り変わりを描いた作品。彼女への想いにまた気づかされるシーンは印象的。二人はもう交わることはないのだろうか。昔を回顧するものが多い?
    「旅の絵」
    堀辰雄の神戸旅行の様子を描いている。形容しがたい鬱々とした心の沈みを感じる。その分ハイネの詩が深く感ぜられる。
    「風立ちぬ」
    常に漂う死の気配と、しかしその中で感じられる生の喜び。死を感じながらも、2人が共有する愛、幸福があまりにも儚くて愛しく

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    2016年11月13日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

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    同名のアニメですっかり有名になってしまった『風立ちぬ』でなく、「かげろうの日記」とその続篇「ほととぎす」を採ったのは、大胆な新訳が売りの日本文学全集という編者の意図するところだろう。解説で全集を編む方針を丸谷才一の提唱するモダニズムの原理に負うていることを明かしている。丸谷のいうモダニズム文学とは、
    1 伝統を重視しながらも
    2 大胆な実験を試み
    3 都会的でしゃれている
    ということだが、堀辰雄の「かげろうの日記」は、「蜻蛉日記」の現代語訳ではなく歴とした小説である。言葉遣いこそ王朝物語にふさわしい雅やかな雅文体をなぞっているが、主人公の女性心理はまぎれもなく近代人のそれであり、自意識が強く、

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    2015年04月13日