作品一覧
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4.7全1巻1,320円 (税込)堀辰雄の傑作少年文学『羽ばたき Ein Marchen』を壮麗にコミカライズ。 二人の少年――ジジとキキをめぐる美しく残酷なおとぎ話。 “ジジは普通の餓鬼大將とちがつて、ただ誰よりも腕力が強いだけではなく、それと同じくらゐに誰よりも美しかつた。その慓悍な眼ざしと、その貝殼の脣とが、他の仲間たちの上に異常な魅力をもつてゐるのだ。ジジは彼の貧乏なことをも彼の魅力の一つにしてゐるやうな少年だ。” “ジゴマのジジをキキといふ少年が追ひかけてゐた。キキは身體の小さなくせに、頭の大きい少年だ。そのとき、突然ジジが石につまづいて、はげしく倒れた。そして死人の眞似をした。するとキキは、彼を捕縛すべき警官の役割を放棄して、ジジの肩に手をかけながら、女の子のやうにやさしく聞いた。 ――ジジ、どこも怪我をしない? ” 原作小説と鳩山郁子の描き下ろしあとがきのほかに、文筆家・長山靖生氏による堀辰雄が生きた時代と本作の作品世界を楽しく学べる解説文も収録。 『羽ばたき Ein Marchen』という名作を多角的に楽しめる一冊。
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4.81巻1,540円 (税込)戦時下の空に、機密を運ぶ任務を担いながら、無数に散っていった軍鳩(ぐんきゅう)。 どこにも帰り着くことができなかった彼らの魂と、少年ダヴィーの心の交流を描く。 魂を激しく揺さぶる傑作ダークロマン、大容量の描きおろしを加え、待望の刊行! 古屋兎丸、心酔。 「生ける通信兵器として訓練された彼ら。 傷つきながら飛ぶ姿に心の奥底が震えた。 鳩山さんの紡ぐ言葉、物語、少年たちは鳥肌が立つほど美しく、痛い。」 ヴァイオレット・スプリング・シティへと向かう寝台列車。 両親と旅行中の少年ダヴィーが出逢ったのは、奇妙な制服を身に着けた満身創痍の少年たちだった。 息も絶え絶えな彼らから預かったのは、一本の“通信管”。 この出逢いが、ダヴィーの運命を、少年たちの未来を変えていく。 美しく静謐な筆致で紡ぐ、希望と救済の一大スペクタクル。
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-全1巻1,210円 (税込)美しくも妖しい魅力を放つ少年たちを描いた鳩山郁子の作品は、 漫画マニアのみならず、10~20代の女性たちにも支持されています。 単行本未収録の2作品と新規コミックエッセイ4ページを加え、 カバーイラストも新たに描き下ろし[新装版]として刊行。 ▼収録作 星的、菫的/青く塗られた青のなかに/銀輪の心臓/緑陰の幕間から/孔雀料理/水琴滴/エレクトリックローズ/Limonea Act I/Limonea Act II/リチア電気石譜/卓上噴水/セルリアン・ベリテ/薄荷の諧楽(シンフォニー)/音楽/初収録:MIDORI Act.I/MIDORI Act.II/MIDORI Act.III/ATELIER/The curtain fall
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4.4全1巻1,320円 (税込)少年作品の名手・鳩山郁子、待望の傑作集。描き下ろし「ゆきしろ、ばらべに」に加え、「ニオラの黒い騎士」「ルケッタ」「すみれとピッケルハウベ」「白い金平糖の島」など珠玉の小・中篇と、1987年発表の貴重な初期作品「少年ロンド」を特別収録。刹那にのみ許された「少年の季節」を封じ込めた、宝石のような傑作集、ついに登場です。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ鳩山郁子の本は8割がた読んでいる。
毎回ため息をつくほど好きなのに、どこか走り去りゆく作者の背にタッチできないような、隔靴搔痒を感じていた。
が、今回は確実に、少しだけ触れた。
もちろん読後、その感触だけ残していつものように作者は逃げていったのだが、触れた瞬間の喜びと、走り去られるに違いない喪失感の予感とが、同時に感じられたこの読書体験だけは、憶えておきたい。
内容についてはもう、わざわざ書かない。
何度でも読み返すだろうから。
原作小説の展開のあとに、18ページほど、鳩山郁子なりの解釈が描かれているのだが、
ここだけで萩尾望都「残酷な神が支配する」の達成に、届かんとしていると思う。
鳩山 -
購入済み
鳩山郁子のファンなので冷静に善し悪しを論じるのは難しい。
鳩山さんの作品は、言語化しづらい空気とか気配とか光の煌めきをそのまま漫画にしているというか…ただただキラキラした空間に圧倒されてる内に読み終えてしまう感じがします。
今回は原作つきとの事でしたがしっかり鳩山郁子ワールドを堪能できたと思います。
解説まで含めて一個の作品。 -
Posted by ブクログ
耽美で少しレトロ。とても繊細。そんな短編集。
グリム童話を原作とした表題作「ゆきしろ、ばらべに」は森の奥で『お父さん』と住まう少年たち、ゆきしろとばらべにのお話。二人が冬のある日、道に迷った熊さんを家に入れてあげるのですが、この熊さんがなんとなくエロい。
「ニオラの黒い騎士」寄宿学校に存在するらしい『騎士会』についての考察。
「ルケッタ」修道院の裏手にある菜畑で葉を摘む少年と、彼が出会った白い十字架を探す少年の話。
「すみれとピッケルハウベ」病に倒れ、部屋で伏せる祖父の枕元に、すみれの実と薬包紙で作った『すみれ爆弾』を置く少年。無邪気なのか違うのか。ピッケルハウベが意味深で、ゾッとした -