堀辰雄のレビュー一覧
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高原のサナトリウムで療養中の節子と婚約者の主人公。確実に死へ向かっている雰囲気はある中、2人のプラトニックな関係の心理描写や情景描写が美しい。
生死感、幸福の形、夫婦(パートナー間)間のあり方などは様々。私がこの2人から感じたことは、お互いが支えるとか支えられるとかではなく、共に時間や空気を共にする...続きを読むPosted by ブクログ -
鳩山郁子の本は8割がた読んでいる。
毎回ため息をつくほど好きなのに、どこか走り去りゆく作者の背にタッチできないような、隔靴搔痒を感じていた。
が、今回は確実に、少しだけ触れた。
もちろん読後、その感触だけ残していつものように作者は逃げていったのだが、触れた瞬間の喜びと、走り去られるに違いない喪失感の...続きを読むPosted by ブクログ -
鳩山郁子のファンなので冷静に善し悪しを論じるのは難しい。
鳩山さんの作品は、言語化しづらい空気とか気配とか光の煌めきをそのまま漫画にしているというか…ただただキラキラした空間に圧倒されてる内に読み終えてしまう感じがします。
今回は原作つきとの事でしたがしっかり鳩山郁子ワールドを堪能できたと思いま...続きを読む -
「美しい村」
前半は田舎の情景描写が主だが後半は専ら絵を描く少女との交流を通したものが主になる。全体的に散在してる印象。実際に起きたことをぽつぽつと書いているような。
「麦藁帽子」
夏を背景に少女に対する想いの移り変わりを描いた作品。彼女への想いにまた気づかされるシーンは印象的。二人はもう交わること...続きを読むPosted by ブクログ -
同名のアニメですっかり有名になってしまった『風立ちぬ』でなく、「かげろうの日記」とその続篇「ほととぎす」を採ったのは、大胆な新訳が売りの日本文学全集という編者の意図するところだろう。解説で全集を編む方針を丸谷才一の提唱するモダニズムの原理に負うていることを明かしている。丸谷のいうモダニズム文学とは、...続きを読むPosted by ブクログ
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ジブリ映画『風立ちぬ』公開記念読書第二弾。表題作の「風立ちぬ」を始め、「美しい村」など五編が収録されている。
「美しい村」(1933)
初夏の軽井沢に滞在した主人公の体験が綴られる。四部構成で、それぞれ順番に発表されている。作者の実体験を元にして順次書かれているので、作者の予想しなかった方向に話...続きを読むPosted by ブクログ