阿部共実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ重たい…。
素晴らしい心理描写とストーリー展開だけど、二度と読みたくない。
特に心に残ったのが、さんざん自分を責めて反省したあとにちーちゃんと再会したナツの言葉。藤岡から盗んだお金を返そうとしているちーちゃんに「……返さなくていいよ、藤岡さんになんて」。
自分も共犯者のくせにそういうこと言うなんて完全にクズだけど、でも罪を裁かれる場もなく開き直れる性格でもなければ、ああやってズルズル逃げてしまう気持ちはわかるんだよなぁ…。
もちろんクズはクズなんだけど、あそこでナツが当たり前の反省から逃げることでずっと周囲からは距離を置かれるだろうし、仮に受け入れられたとしてもナツ自身は複雑な感情の上でしか -
ネタバレ 購入済み
どこまでも...
どこまでも優しい物語だなぁ…と思えた傑作。
ちーちゃんを見ていると、キリスト的無償の愛を描いたドストエフスキーの『白痴』や遠藤周作の『おバカさん』の主人公を思わずにはいられない。
ちーちゃんは「ちょっと足りない」、だから愛そのもの。
ナツも良かった。
ナツは良い子ではないがクズでもない。
友達に嫉妬して、勝手に縁を切って、反省もしない...うん普通の子だね。
何かがちょっと足りない人、普通の子。
だから最後に旭や藤岡さん達の様な「いい子」側に改心しなくて本当に良かった。
最後のシーン、一見不穏なようだが、ちーちゃんのおかげで全く違う意味を持つシーンだ。
「いい子」は放っておいても旭のよ -
Posted by ブクログ
空灰のシリーズ的な感じです。
前作と同じく、かわいらしい話、後味の悪い話、痛くて辛い話などなどの短編が描かれています。
・短編:おねがいだから死んでくれ
「ぼっち」とか「コミュ障」というものの本質について触れたような気がします。
人と感性が合い、同じものを好きになれるということは、当たり前のように思えて、実はとても幸せなことなのではないでしょうか。
これはその「当たり前」ができない少年の話です。
少年は性格が悪いと言われ、傷つきますが、そもそも彼は物事を意図的に悪く言っているというよりは、本音を隠せないのです。
好むものやそもそもの価値観などが違いすぎて、クラスメイトと同じ感想を持つこ -
Posted by ブクログ
以前、ここで未知庵先生の『未知庵の三時のお水』を紹介し、絶賛させてもらった
その時は、あまりにもカオスな内容っぷりに、「もしかして、この先生は阿部共実先生を超えるモノを持っているのでは・・・」と期待半分恐怖半分の印象を抱いた
しかしだ、この『死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』をいざ読んだら、未知庵先生には申し訳ないが、それは勘違いでしかなかった、と思い知らされた・・・いや、ある意味、未知庵先生は一線をまだ越えてないのだから、喜んでいるのかもしれない
下手に断定は出来ないが、恐らく、この漫画のインパクトあるタイトルは最多文字数だろう
しかし、 -
Posted by ブクログ
向いている、向いてない、は別にして、阿部先生にはこの手の、シンプルに笑える個性の破綻したキャラが絡む事による相乗効果で笑いを生む、コメディを描いて欲しい、と思ってしまった
恐らく、そう思った理由は、この『ギャラクシー6』自体が底の抜けた面白さを提供してくれたからってのもあるが、大部分を占めているのはやはり、先に『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んで、相当、気分が奈落近くまで沈んでしまっていたからだ
同時発売の漫画を読む時は順番を間違えちゃならんな、と学習
内容はともかく、あらすじの通りで、男女6人+1がギャンギャン騒いで、青春を存分に楽しんでいる感じ。イチャイチャがないってのが、逆に好印象を -
Posted by ブクログ
確かな描写力、無駄の無い表現力。得意ではない絵質から繰り出される独特の世界観には何か奪われるものがあります。
オムニバスなんで、一つ物語を切り抜いて感想を書いていきたいと思います。
気に入った話は2つあります。第31話 嘘つき 第35話 別に大丈夫やけどな
この巻は特に面白い物語が多く好きです。
第31話 嘘つき
いとこのお姉ちゃんと弟くんの物語。
よくあるような夏休みの田舎のワンシーン、お姉ちゃんと一緒にスイカを食べ、お風呂に入り、花火をし、カラアゲを食べ。夜風を浴びながら星を眺めて一緒の布団でおねんねします。
そんな中でも飛び出す嘘つき、お姉ちゃんは弟くんをなんでもかんでも嘘つきだって決め