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愛すべきお馬鹿キャラって、やっぱり憎めない可愛さがありますよね。
本作に登場する中学2年生・ちーちゃんも、人よりちょっとお馬鹿で、親友のナツと旭ちゃんにいつも助けられています。
本作はそんな3人のほのぼのした日常を描いた学園コメディ作品…ではありません。
本作のキーパーソンは、お馬鹿で明るいちーちゃんではなく、ちーちゃんの親友「ナツ」です。
落ち着いていて面倒見の良いナツですが、漠然としたもやもやを抱えていました。
頭は良くない。見た目もパッとしない。言いたいことを言える性格でもない。恋人もいない。家も貧乏で欲しいものが手に入らない…
友達もちーちゃんみたいな、「こっち側」の子しかいない。
徐々に雲行きが怪しくなってきます。
いつも3人でいる旭ちゃんは、今は「こっち側」にいるけど年上の彼氏もいるし、頭もいいし。家もお金持ちだし、どうせ妥協して私たちとつるんでいるのだろう。
段々とナツと周囲の人たちとの歯車がズレてきます。
そんなある日、ちーちゃんが学校で周りを巻き込む大事件を起こしてしまうのです。
この事件が、ナツの運命を大きく変えることになるのでした…
可愛い絵柄とタイトルにつられて読んだ本作ですが、本当に何かが足りなかったのはちーちゃんではなかったようです。
決して爽やかな読後感ではありませんが、ひとたび読めばこの不思議で息苦しい世界観から抜け出せなくなること間違いなしです。
Posted by ブクログ
主人公はクズだ。
語弊を恐れず断言するが、思春期の自意識と不公平感ばかりが肥大した実にリアルで、自分の黒歴史を蒸し返されてあちこち痒くなるようなタイプのどこにでもいるクズ。何故なら主人公のナツは自嘲と自虐はしても自省と自戒は絶対しない。自分の言動を反省し周囲に申し訳ないと装うモノローグも、結局の所ケチな自尊心を守るためのフリでしかないというのが後の描写で浮き彫りになる。
同じ団地に住む幼馴染のナツとちーちゃん。中3になっても割り算もまともにできないおバカなちーちゃんを内心見下し、もっと上のランクの友達が欲しいと望んでいたナツ。
その「何かが足りない」「本当は自分はもっと高い所へいけるはずだ」という不満が過剰なまでの饒舌さで語られる。ナツのモノローグは自嘲と自虐、現状への不満で埋め尽くされ、致命的に周囲への想像力を欠いている。
あとほんの少し想像力を働かせて、近しい友人や家族への思いやりを持てば変われるのに、現状を蔑ろにし楽な方へ易き方へ無難に流されてばかりのナツは決してそれをしないのだ。
彼女にも同情すべき点はある。が、それをさしひいても擁護はできない。彼女は恐らく旭ちゃんが離れていった本当の理由も見えず、ちーちゃんを独占してひと時の安息を得るはずだ。
そしてそこそこの高校へ進み、中学の時と同じ失敗はしないと無理して背伸びし、新しい友人を優先しちーちゃんを蔑ろにする。そんなナツでもちーちゃんは赦すのだろう、多分。何度裏切られても繰り返し笑って迎えるのだろう。友達だから。大好きだから。そんなしょうもないナツの友達……もとい無条件の逃避先でいてあげられるのは「ちょっと足りない」ちーちゃんしかいないから。
足りないもの同士が足りないものを補い合おうとする行為を人が共依存とよぶのだとしても。
しかしナツにはちーちゃんしかいないが、ちーちゃんにはナツしかいない訳じゃない。
おねえや旭はじめよき理解者に恵まれているちーちゃんが、あえてナツの友達でい続けてくれている理由に、ナツ自身が向き合う日はくるのだろうか。
Posted by ブクログ
武富健治の『鈴木先生』にも別の形で描かれていたけど、問題児でも優等生でもなく「普通の子」の抱えるーただし描かれることがなかったー悩みや問題がここにはある。
『鈴木先生』では、とかく問題児というのは良かれ悪かれ目立ってそして特段面倒をみなければならない存在なのだけど、それで悩みを持っているのに先生に気付いてもらえなかったり気付いてもらえても手が回らずにいるなど割りを食うのは「普通の子」だと描かれていたけれど。
こちらの作品ではウサギとカメのような話をベースに更に追い討ちをかけるようなリアルさで心を蝕んでくる。名作ではあるけれど、後味が悪くてもう読みたくはないという気持ちがしてしまうけれど、またいつか読む日のために手元に置いておきたい一冊。
Posted by ブクログ
勉強が苦手で、身体も同年代より小さく、精神的にもやや幼い"ちーちゃん"こと南山千恵。家も裕福とはいえず、"足りない"ところばかりとも見られる。それでも、天真爛漫で元気いっぱいのちーちゃんは優しい姉や友達の"ナツ"や"旭"など周りの人々に助けられて日々を明るく過ごしていく。
そんななか、クラスメイトであり女子バスケ部員である藤岡さんたちが部員から集金していた3000円が失くなる事件が起こる…。
ちーちゃんの幼なじみのナツが抱える心情に、中学生や思春期のモヤモヤや鬱屈がよく現れている。自分の良いところや恵まれているところになかなか気づけず劣等感を抱いたり、恵まれているように見える周囲の友達にドロドロした羨ましさを抱えていたりする。そして、自分と同じように"足りない"ように見えるちーちゃんを見ることで安心している。
しかし、ナツとちーちゃんの違いは現状への不満の抱え方や素直さだと思う。ナツは『足りない足りない足りない足りない…』と自分が既に持っているものに目を向けずに、無いものばかりを見ている。対して、ちーちゃんは(欲しかった靴のサイズが大きすぎた、お小遣いがすぐなくなるなどの理由で「ちーばっかり!」と他愛ない不満をもつことはあっても)たいてい、今持っているものに満足したり、ちょっとしたことに喜んだりしている。
また、勉強が苦手だったりお箸が上手く持てなかったりしたときに周りに教えを乞う素直さもある。
ナツとちーちゃんだけに限らず誰にだって"足りない"ものはあるが、ちーちゃんの不満の抱え方や素直さがちーちゃんを"ちょっと足りない"という状態にしているのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
昔読んだけど、登録してなかったわ。
名作。
でも閲覧注意。決して元気のない時には読んではいけない。
鬱マンガの金字塔ではなかろうか。
鬱マンガ数あれど、ただ酷いこと、センセーショナルなことを並べたてるだけの作品が大半。
そんな中、短編集「空が灰色だから」で異彩を放つ阿部共実の初期作品は表層だけではなく心に染み込んでくる暗いものが読者のハートを潰しにくる。
阿部共実にしては長尺ながら、一般的なマンガとしては超短編な全1巻という尺がちょうどよく、エッセンスがギュッと詰まったオススメ作品かと。
ちょっと古い作品だけど、楽しい以外のマンガも読みたいと思ったら「タコピー」とかに手を出す前にこちらを読んでみては。
Posted by ブクログ
注 大変な鬱漫画(読切)である
言及されていないが恐らく主人公は発達障害なのだろう
誤解を恐れずに言えばほぼ全てのスペックが平均より下
唯一、この子は優しい
主人公は「ちえ」だ
ちーちゃんと呼ぶキャラクターは数人しか出て来ない
この本のタイトルは「ちーちゃんはちょっと足りない」
数人の該当者で読み終えた人は恐らくそれが誰目線なのかわかる。その人物が「ちょっと足りない」と放っている。
絵柄でなんとか保っているがもはや白井智之の世界
表現されていること以外を読もうとする僕みたいな面倒くさい人はとてもでないが読まんほうがいい
子供にも見せるべきではない
心が、とても疲れる
とっても嫌な話、視野広く生きよう
読み終えて気分が悪くなりお陰で酒を昨晩飲まなかった。いい本だ…
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少年・青年マンガ
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