あらすじ
【ストーリーが動き出す第4話を立ち読み公開中!】「はぁ私たちはなんだか私たちって」いつも何かが欲しくって。中2女子・ちーちゃんとナツの日々日常。「空が灰色だから」の阿部共実、初の長編新作。
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愛すべきお馬鹿キャラって、やっぱり憎めない可愛さがありますよね。
本作に登場する中学2年生・ちーちゃんも、人よりちょっとお馬鹿で、親友のナツと旭ちゃんにいつも助けられています。
本作はそんな3人のほのぼのした日常を描いた学園コメディ作品…ではありません。
本作のキーパーソンは、お馬鹿で明るいちーちゃんではなく、ちーちゃんの親友「ナツ」です。
落ち着いていて面倒見の良いナツですが、漠然としたもやもやを抱えていました。
頭は良くない。見た目もパッとしない。言いたいことを言える性格でもない。恋人もいない。家も貧乏で欲しいものが手に入らない…
友達もちーちゃんみたいな、「こっち側」の子しかいない。
徐々に雲行きが怪しくなってきます。
いつも3人でいる旭ちゃんは、今は「こっち側」にいるけど年上の彼氏もいるし、頭もいいし。家もお金持ちだし、どうせ妥協して私たちとつるんでいるのだろう。
段々とナツと周囲の人たちとの歯車がズレてきます。
そんなある日、ちーちゃんが学校で周りを巻き込む大事件を起こしてしまうのです。
この事件が、ナツの運命を大きく変えることになるのでした…
可愛い絵柄とタイトルにつられて読んだ本作ですが、本当に何かが足りなかったのはちーちゃんではなかったようです。
決して爽やかな読後感ではありませんが、ひとたび読めばこの不思議で息苦しい世界観から抜け出せなくなること間違いなしです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公はクズだ。
語弊を恐れず断言するが、思春期の自意識と不公平感ばかりが肥大した実にリアルで、自分の黒歴史を蒸し返されてあちこち痒くなるようなタイプのどこにでもいるクズ。何故なら主人公のナツは自嘲と自虐はしても自省と自戒は絶対しない。自分の言動を反省し周囲に申し訳ないと装うモノローグも、結局の所ケチな自尊心を守るためのフリでしかないというのが後の描写で浮き彫りになる。
同じ団地に住む幼馴染のナツとちーちゃん。中3になっても割り算もまともにできないおバカなちーちゃんを内心見下し、もっと上のランクの友達が欲しいと望んでいたナツ。
その「何かが足りない」「本当は自分はもっと高い所へいけるはずだ」という不満が過剰なまでの饒舌さで語られる。ナツのモノローグは自嘲と自虐、現状への不満で埋め尽くされ、致命的に周囲への想像力を欠いている。
あとほんの少し想像力を働かせて、近しい友人や家族への思いやりを持てば変われるのに、現状を蔑ろにし楽な方へ易き方へ無難に流されてばかりのナツは決してそれをしないのだ。
彼女にも同情すべき点はある。が、それをさしひいても擁護はできない。彼女は恐らく旭ちゃんが離れていった本当の理由も見えず、ちーちゃんを独占してひと時の安息を得るはずだ。
そしてそこそこの高校へ進み、中学の時と同じ失敗はしないと無理して背伸びし、新しい友人を優先しちーちゃんを蔑ろにする。そんなナツでもちーちゃんは赦すのだろう、多分。何度裏切られても繰り返し笑って迎えるのだろう。友達だから。大好きだから。そんなしょうもないナツの友達……もとい無条件の逃避先でいてあげられるのは「ちょっと足りない」ちーちゃんしかいないから。
足りないもの同士が足りないものを補い合おうとする行為を人が共依存とよぶのだとしても。
しかしナツにはちーちゃんしかいないが、ちーちゃんにはナツしかいない訳じゃない。
おねえや旭はじめよき理解者に恵まれているちーちゃんが、あえてナツの友達でい続けてくれている理由に、ナツ自身が向き合う日はくるのだろうか。
Posted by ブクログ
・「ちょっと足りない」の意味が変容していく
・オツムが「足りない」アホの子ちーちゃんの、ホンワカ萌え漫画のごとく始まる
・パッと見、表紙絵もそのホンワカ印象を助長している(よく見ると描かれているのは、100点・ゲーム機・お金・・・)
・しかし「足りない」のは、私だけが恵まれていない、私は人より劣っている、というような欠乏感を指すようになっていく
・ナツはちーちゃんより「もっと」足りない。ちーちゃん「は」ちょっと足りない、これはナツと対比してのこと
・ちなみにナツは携帯を持っていて、ちーちゃんは持っていなかったりする
・ちーちゃんってアホの子キャラに対するアンチテーゼになってる? ガチでアホな子は、人の金を盗むくらい倫理観がない可能性があるよ、そんないいもんじゃないよ、っていう
・ストーリー後のナツの学校生活を考えるに、絶望しかない
・私はあまりナツに共感できなかったが、それでもこの漫画には心を抉られる思いがした。「ナツの気持ちがわかる」と言っていた友人は、読んだ後2、3日立ち直れなかったと話していた
どこまでも...
どこまでも優しい物語だなぁ…と思えた傑作。
ちーちゃんを見ていると、キリスト的無償の愛を描いたドストエフスキーの『白痴』や遠藤周作の『おバカさん』の主人公を思わずにはいられない。
ちーちゃんは「ちょっと足りない」、だから愛そのもの。
ナツも良かった。
ナツは良い子ではないがクズでもない。
友達に嫉妬して、勝手に縁を切って、反省もしない...うん普通の子だね。
何かがちょっと足りない人、普通の子。
だから最後に旭や藤岡さん達の様な「いい子」側に改心しなくて本当に良かった。
最後のシーン、一見不穏なようだが、ちーちゃんのおかげで全く違う意味を持つシーンだ。
「いい子」は放っておいても旭のような人たちから愛されるだろう。
我々が期待するハッピーエンドの世界観だ。
でもそんな世界で「ちょっと足りない子」たちはどうすればいい?
それをまるっと、ちーちゃんが彼女のすべてを包んでくれる。
あなたが善人じゃなくても、何かがいつも足りなくても、私はずっとあなたを見捨てないよ、
というちーちゃんの愛が、我々に教えてくれる「あなたは欠点のままですでに"足る"に値する」というメッセージ。
その最後の3ページを、読み終わった後でも暫く私は目を離すことが出来ない。
Posted by ブクログ
ほのぼのした日常、と思って油断して読み進めていくと、どんどん心がざわついて重たく鬱。
まさに阿部共実ワールド、独特の空気感で展開していく、何気わない日常の秀逸な描きっぷりが見事。
どこにでもあるような出来事が描かれているけれど、このモヤモヤする感じ、鬱屈した重たい感情とかうまくいかない感じはじわじわくる。
ラストもちーちゃんとナツの笑って一緒に歩いている全てを表したコマで終わっているのが、どうしようもなく絶望的な感じがして胸がえぐられる。
この作者の作品は、ほんわかしているようで、精神的にじわじわとこたえる感じが病みつきになる。
たしかにすごい漫画
最近SNSを題材にしたマンガとかで、嫉妬やコンプレックスというテーマは結構見かけるけど、これは全然切り口が違ってすごいですね。
絵柄と話のギャップとか見せ方とか、唯一無二の雰囲気を感じました。
ナツにはあまり共感せず、むしろ嫌悪感すら抱いたのですが、それはどこか自分の痛い所を突かれたような気持ちになったからなのかもしれません。
なかなか心を抉られました。
他の方のレビューにもありましたが、『私は何もしないただの静かなクズだ』は特にグサッと来ました。
Posted by ブクログ
武富健治の『鈴木先生』にも別の形で描かれていたけど、問題児でも優等生でもなく「普通の子」の抱えるーただし描かれることがなかったー悩みや問題がここにはある。
『鈴木先生』では、とかく問題児というのは良かれ悪かれ目立ってそして特段面倒をみなければならない存在なのだけど、それで悩みを持っているのに先生に気付いてもらえなかったり気付いてもらえても手が回らずにいるなど割りを食うのは「普通の子」だと描かれていたけれど。
こちらの作品ではウサギとカメのような話をベースに更に追い討ちをかけるようなリアルさで心を蝕んでくる。名作ではあるけれど、後味が悪くてもう読みたくはないという気持ちがしてしまうけれど、またいつか読む日のために手元に置いておきたい一冊。
Posted by ブクログ
この作者なので覚悟はしていましたが、やられました…
『私は何もしないただの静かなクズだ』まさに自分を表すのにピッタリの言葉を突きつけられました。
ここまで共感できる物語に出会ったのは初めてで、衝撃的でした。
そこには自分がいた。
「静かなクズ」まさにそれ。
自分から動こうとしないから、現状に甘えているだけで、何も変われない。
長編でこのような話をされてしまうと、ダメージも特大だ。
(2014/12/27)
Posted by ブクログ
勉強が苦手で、身体も同年代より小さく、精神的にもやや幼い"ちーちゃん"こと南山千恵。家も裕福とはいえず、"足りない"ところばかりとも見られる。それでも、天真爛漫で元気いっぱいのちーちゃんは優しい姉や友達の"ナツ"や"旭"など周りの人々に助けられて日々を明るく過ごしていく。
そんななか、クラスメイトであり女子バスケ部員である藤岡さんたちが部員から集金していた3000円が失くなる事件が起こる…。
ちーちゃんの幼なじみのナツが抱える心情に、中学生や思春期のモヤモヤや鬱屈がよく現れている。自分の良いところや恵まれているところになかなか気づけず劣等感を抱いたり、恵まれているように見える周囲の友達にドロドロした羨ましさを抱えていたりする。そして、自分と同じように"足りない"ように見えるちーちゃんを見ることで安心している。
しかし、ナツとちーちゃんの違いは現状への不満の抱え方や素直さだと思う。ナツは『足りない足りない足りない足りない…』と自分が既に持っているものに目を向けずに、無いものばかりを見ている。対して、ちーちゃんは(欲しかった靴のサイズが大きすぎた、お小遣いがすぐなくなるなどの理由で「ちーばっかり!」と他愛ない不満をもつことはあっても)たいてい、今持っているものに満足したり、ちょっとしたことに喜んだりしている。
また、勉強が苦手だったりお箸が上手く持てなかったりしたときに周りに教えを乞う素直さもある。
ナツとちーちゃんだけに限らず誰にだって"足りない"ものはあるが、ちーちゃんの不満の抱え方や素直さがちーちゃんを"ちょっと足りない"という状態にしているのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
スピリッツで連載している『月曜日の友達』の凄まじい才気の爆発ぶりに驚いて、とんでもない新人が現れたと思ったらけっこうベテランだった。この漫画は、知的障害の女の子が主人公で、非常に戸惑ったのだが読んでいくと友達のチエが心の闇の更に奥深くまで覗きこむような展開にびっくりした。表現の違う形で才気が爆発していた。最後のお互いに名前を何度も何度も呼び合って気持ちを通わせるところは、よくオレが運転していると子供が何度も何度も「パパ」と呼びかけて「はいよ、うーちゃん、なあに?」と返事するのを思い出して涙が出た。
友達のメガネの子やヤンキーの子みたいにまっすぐ生きられたらそれはいいし、チエみたいなのがリアルだけど、彼女らも見えないところで闇を抱えているかもしれない。そんなことを肌に触れるように感じさせるすごい漫画だった。
ちーちゃんがいなくなって、ナツが探し回ってうろうろするクライマックスの展開のクールなこと、かっこいい。これを通した編集者もすごい。
Posted by ブクログ
重たい…。
素晴らしい心理描写とストーリー展開だけど、二度と読みたくない。
特に心に残ったのが、さんざん自分を責めて反省したあとにちーちゃんと再会したナツの言葉。藤岡から盗んだお金を返そうとしているちーちゃんに「……返さなくていいよ、藤岡さんになんて」。
自分も共犯者のくせにそういうこと言うなんて完全にクズだけど、でも罪を裁かれる場もなく開き直れる性格でもなければ、ああやってズルズル逃げてしまう気持ちはわかるんだよなぁ…。
もちろんクズはクズなんだけど、あそこでナツが当たり前の反省から逃げることでずっと周囲からは距離を置かれるだろうし、仮に受け入れられたとしてもナツ自身は複雑な感情の上でしか接することができないんだろうなー…、とか。
二択を最悪の形で、しかも長く続く形で間違えたのが哀しいし、苦しい。
無知な友人を隠れミノに私腹を肥やした時点で手遅れだったのかもしれないけど、それでもやはり。
匿名
人としてダメだとわかっていても自分の心にナツのような思考はやはり存在するので、読んでいて胃がキリキリしました。
ナツにとっての最悪の事態が、ナツのいないところで進行していくのは恐怖すら感じた。
Posted by ブクログ
悲しい漫画だった。
特にナツの視点から考えると、救いがない。
最後だってちーを道連れにしただけだ。
ちーだけは人を頼れるから変われそうだったのに、ちーはナツとの約束は絶対守るから、ずっとこの町にいて、公園で砂場遊びして無邪気に二人で日が暮れるまで遊ぶ。
そして悩みは無視し続ける。
一緒にいて特に楽しかったこともなく、ナツの利己的な気持ちだけで関係が続いてしまう。
作中で何度も言われている
「みんな満足はしていない。けどそれを理解して受け入れている。
それを理解できていないからちょっと足りていない」
ということ。
たしかにそれもあるだろうけれど、それ以前に持って生まれたものに明らかな違いがある。
だから持って生まれた者たちや、そういった差が気にならない程度には持っている人達にはまずナツの気持ちを十分にすら理解できない。
どんなジャンルであれ、差が存在することを理解し乗り越えた者は共感して、助けてくれるかもしれない。
けどナツにそういう考えが出来ない。
だからこの漫画で一番悲惨な状態にいるのはナツだ、ちーよりは知的能力があるけど、認めることがてきない、保守、努力やらで現状を後天的に変えられるかもといった考えが微塵もない。
非常に心にくる漫画だった。
生まれ持った差はどうしようもなく残酷だなと。
しかし、親の教育のやり方によってはここまでにはならなかったのではないかなとも思った。
おもしろかった。
せめて、知識をつけようと思うことができれば。
Posted by ブクログ
「他の子は新しいものを買ってもらってるのに、何で自分は買ってもらえないんだろう」と、ナツと同じことを考えたことがある。大人になっても欲しいものがすぐに手に入るわけじゃないし、欲しい物のためにお金を稼ぐことが必要になる。お金を稼ぐようになっても、収入の差によって買える買えないにも差が出る。大富豪じゃない限りこの考えは付きまとうのではないかと思う。
Posted by ブクログ
月曜日の友達が最高だったので、他の阿部共実作品も読んでみようと思って読んだ。
月曜日の友達もこの作品も友情の話だ。しかしこの作品における友情(ナツからちーちゃんに向けられる友情)は限りなく依存に近い。
この話の主人公はちーちゃんではなくナツだと思う。
ナツはちーちゃんのお世話を焼き、周囲にほめられることで自分の存在を確認する。
少しでも自分をみくびった人間は、たとえ長期間の交際があっても、あっさり切り捨てる。
臆病で自己主張が苦手、しかし誰よりも強い承認欲求を内心秘めていて、その欲望が、リボンを買ったら綺麗だねとみんなに褒められるのではないか、というどんどん歪んだ方向へ捻じ曲げられていく。
しかし傍からみれば、ナツは落ち着いていて優しい性格の持ち主だ。
正直ナツが自分に、ある側面で死ぬほど似通っているので、読んでいる間、ああナツはどのような破滅を迎えるのだろうと溜息をつきながら読んだ。そしたらあの結末である。正直、予想していたどの展開よりもキツかった。
ナツはどうやったら救われたのだろう。
Posted by ブクログ
amazarashiの「月曜日」という歌がきっかけで阿部共実さんの「月曜日の友達」を知り、本作を読んだ。物語前半は日常描写で平穏な展開だが、物語の中盤にちーちゃんが起こしたある出来事から状況が一変。読み進めていくのが辛く感じる場面も。読み終えたとき、「ちょっと足らない」のはちーちゃんなのかと考えてしまった。思春期の心のひだの描写がホントに見事。いろいろと自分のことも思い返してしまった。
Posted by ブクログ
読み終えてからタイトルに対してなるほどと思った。
初めはちーちゃんが主人公だと思って読んでたけど。。
なかなか後半は読んでて辛い感じだったけど、面白かった。
Posted by ブクログ
良い・悪いとかの意味とは関係なく、確かにこの漫画は「スゴイ」。1冊完結の短い物語なのに、心が揺さぶられ、突き刺さる。
単純にハッピーな物語ではないので、読むのはちょっと注意。でも一度読んでこのスゴさを体験することはオススメします。
ナツに共感
ナツの黒い感情には共感するところが多々ある。
「私は他の人よりも不幸だから」という言い訳をして自分を正当化するところ。
自分から変わるのが怖くて、一歩を踏み出すことが出来なくて、友人が変わってしまうことを恐れるところ。
自分より上の人間にへりくだり卑屈で陰鬱になるところ。
卑屈に生きていくのはもう嫌だ。けど、それと同じくらい、一歩を踏み出すのが怖い。
Posted by ブクログ
【ネタバレあり】
女子中学生のゆるふわ日常漫画かと思いきや、とんでもない闇深漫画だった。
2015年このマンガがすごいオンナ編の1位ということですが、たしかにすごい。好きか嫌いかはさておき。私は嫌いじゃなかったです。ナツの抱える鬱屈や劣等感、周りに置いていかれているという焦燥感から、自分と同じ「足りてない」ちーちゃんに依存していく……私たちずっと友達だよね、って。自分も中二時分にだいぶ身に覚えのある感情だったから、ゴリゴリ神経抉られた。誰しもこういう感情は多かれ少なかれ持ってるんじゃないかなぁと思う。大人になった今でもきっと。
ナツの犯した罪に罰や許しは与えられず、罪悪感を抱えたままちーちゃんにさらに依存していくことで救いを求めるという、なんとも闇深エンドだ…。未来が狭いと嘆く中学二年生の少女が、このままずるずると闇に落ちて行かず、その感情をうまく飼いならせるようになればいいんだけどな。
はじめて読んだ漫画家さんだけど、繊細な背景の描写や丸っこくて可愛らしいキャラが突然ぐにゃっと歪んで荒々しいタッチにかわる、その狂気じみたギャップが、結局好きです。
Posted by ブクログ
注 大変な鬱漫画(読切)である
言及されていないが恐らく主人公は発達障害なのだろう
誤解を恐れずに言えばほぼ全てのスペックが平均より下
唯一、この子は優しい
主人公は「ちえ」だ
ちーちゃんと呼ぶキャラクターは数人しか出て来ない
この本のタイトルは「ちーちゃんはちょっと足りない」
数人の該当者で読み終えた人は恐らくそれが誰目線なのかわかる。その人物が「ちょっと足りない」と放っている。
絵柄でなんとか保っているがもはや白井智之の世界
表現されていること以外を読もうとする僕みたいな面倒くさい人はとてもでないが読まんほうがいい
子供にも見せるべきではない
心が、とても疲れる
とっても嫌な話、視野広く生きよう
読み終えて気分が悪くなりお陰で酒を昨晩飲まなかった。いい本だ…
Posted by ブクログ
周りと比べてしまうよな。生まれた環境、頭の良さ、誰かが当たり前に持っているものが自分たちには喉から手が出るほど欲しくて、周りのせいにしたくてどうしようもない自分に気付いている
見下していた相手が自分にない素直さで友達を作ってるってナツが知ったら余計塞ぎ込んでいきそうだし、ちーちゃんとナツは友達のままいられなさそう
Posted by ブクログ
次男くんがポチった1冊
「心が強い時に読んだ方がいいよー」と言われた
え、『ちょっと足りない』ちーちゃんのホンワカ日常漫画じゃないの?
うぅ、苦しいね
あの子は持っていて 私は持っていないもの
優しさ
可愛さ
裕福さ
恋人
etc
…
…
そんなん比べだしたらキリないけどね
中学生のナツの孤独さをギューってして埋めてあげたいよ
何の情報もなしにラストのページを見たら
ハッピーエンドにも見える。
ちゃんとストーリーをわかったうえでの あのラストシーンはちょっとこわい。
Posted by ブクログ
ちょっと天然なちーちゃん、クールな旭、優しいナツが過ごす楽しい学園生活の中で引き起こす騒動、そしてストーリーの中盤で起こる盗難事件をきっかけに明かされる、ナツの中にある貧乏な家庭やコギャル藤岡に対するコンプレックスと生きづらさ。ちょっとだけ何かが足りないと不安や嫉妬に揺れ動く十代の、物語。
ピントが外れた言動をしていても周りから愛されているちーちゃんと周りを気にして本心を表現出来ず自分の状況にコンプレックスを抱き卑屈になるナツの対比、ナツの閉塞感に共感しました。
Posted by ブクログ
すばらしい.これはこれで日常系でしょう.日常だからドラマみたいに話がオチたりしないのです.もしかしたらナツちゃんも軽めの発達特性があるとかそういう設定があるんかもしらんが,なんにせよ人はこういうことを考えるねえってシーンばっかりでよいです.ナツと同じように,たぶんちーちゃんにせよ旭さんにせよそれぞれなりの自己嫌悪があるし,他人への屈折した感情があるし,幼い期待をもったりするんでしょう.でもそれはまったく同じものってわけでもないもんねえ.
Posted by ブクログ
鬱漫画でしか得られないエネルギーがある。
誰もが強く生きれるわけじゃ無いんだよなぁ、、
ラストはハッピーエンドに見せかけて何にも解決してなくて死!!!
じわじわと…
一話ごとにじわじわと話が重くなっていくのがとても面白かった。
現実離れしたような展開より現実味のあるリアルな鬱作品が好きな人にオススメできる作品だと思いました。
Posted by ブクログ
ちょっと足りないの意味が読んだ後変わる作品。
前半はゆるーい日常系。
後半は心を抉られる日常系になる。
ナツというキャラクターに感情移入できるかで作品の評価は大きく変わると思う。
周囲と自分を比較して、自分の心の醜さを見つめ続けて、そんな自分と周りの人たちは合わないと思ってしまう。
他のキャラクターたちがキラキラしている分、ナツの心のどろどろや、痛みが鮮やかに描かれる。
心理描写もさることながら、ストーリー展開が上手い。
うわっ、この気持ちわかる…と思った自分がいた。
読み手のこれまでの幸福度や不安も抉り出す見事な作品。
ナツにヘイト集まりがちだけど
その理由は十分わかってるし、その上でコメントすると私は旭ちゃんにも引っかかる。
友達のこと庇ったり言いたいことをはっきり言える所はは素敵だけど、ずるい所が垣間見えます。
恐らく元々ナツのこと好きじゃないよね。
ナツにも嫌われる要因はあるんだけど一度も注意したり指摘してくれなかったから、まあ本当に興味ないんだろうなって思いました。
興味なかったり嫌っていてもそれは別にいいんだけど、友達がいないからそれでもつるむのなんかずるいよね。
パッと見仲良くしてるんだけど言動の節々からそれ伝わってくる。
他にも色々あるけど、私は旭ちゃんみたいな人の方が苦手かな…
Posted by ブクログ
緩やかに、ナチュラルに人間として堕落・崩壊する様子の描写が秀逸。鬱だと感じる間もなく堕ちているため、読後になって初めて後味が良くない感じが押し寄せた。だが、個人的には胸糞悪いと感じず、人間的でリアルで良い作品だと思う。
Posted by ブクログ
阿部共実さんの作品は「月曜日の友達」を過去に読んだっきり。 この『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んでみたが、確かにすごいね… 特に後半は… 阿部共実さんの他の作品もいずれ読んでみたいな。
Posted by ブクログ
誰かの「一番」になれない不安はいつまでも付き纏う。ちーちゃんとナツは同じ団地に住む幼馴染、優等生の旭とは中学からの連れ友。ちーちゃんのぶっ飛びキャラは読めば解るとして、ちーとずっと一緒のいるナツは、ちょっと足りないお騒がせ問題児なちーちゃんの事を心のどこかで蔑んでみている。旭は独立独歩で自分をしっかり持っていて、どんな相手にも自己主張が出来る。ちーちゃんは独特のキャラで、クラスのどんな相手にも「ちーちゃん」と言う存在として認められており、あちこちに窓口を持っている。ナツだけが、ちーちゃんを通してしか外界と繋がれない。それに気付いてしまって、学校に行きたくなくなったり、旭とは別世界の住人なんだと世を拗ねてみたり、消えてしまいたくなったりする。他者を通して否応なく突きつけられる自分と言うちっぽけな存在。表題は「ちーちゃん」なんだが、この作品の本質は大した特徴もない自分に気付いてしまうナツの物語。
Posted by ブクログ
怖かった…ちーちゃんがお金をナツに渡すあのコマがずっとトラウマみたいに忘れられない。ラストは理解がやや追いついていないけど完璧に理解しない方がきっとわたしにとってはいいのかな、と思ったり。
Posted by ブクログ
『空が灰色だから』以来の阿部共実。この方が描く女の子の、化けの皮が剥がれていくような瞬間が好きで、これがよく見かける「リアルな作品」という感想にまとめられると思う。私もそう思う。
今回の場合はそれがちーちゃん、と見せかけて「どうせ私だけがクズですよ」のナツちゃんだった。「お前こんなに闇を抱えていたのか!?」と言いたくなると同時に、やはり人はみんなこんな感じだとも肌で感じるので自然と受け入れられてしまう心地良さがある。だからこそ、グレてたっぽい藤岡さんが「私だって欲しいものが沢山あるけど手に入らない、みんなそうだ」と言ったのにはグッときた。そこまで分かってる彼女はやっぱり人間として成熟とは言わないまでも成長しているのかもしれない。結局最後までナツちゃんの成長は感じられず、モヤモヤはするけど、その居心地の悪さ含め人間関係のチグハグ感を表現できていてすごい。
ナツちゃんがなんの変哲もなく「自殺でもしよっかな」って言った時に今の自分を俯瞰できた気がする。そう、自殺することを生きるための選択肢に入れている人は、案外周りからはこんな風にしか見えないものなのだ。そういう意味ではナツちゃんのモノローグにはとても共感できた。
これも良いテンポ
ちょっと、いわゆるアホの子っぽい主人公。可愛らしい絵柄で、作風も含め、あらゐけいいち氏の作品などを連想します。もっと他の作品も読みたいです。
Posted by ブクログ
子供脳ちーちゃんと友達の話
とにかくちーちゃんが幼いので友達にいじられまくりだけどカラッとしていて明るい日常が流れる
でも…安倍共実さんの作品なので重~い場面が出てきます(^^;)
そんなギャップが楽しめる作品
Posted by ブクログ
都会ではない普通の町に暮らす、中学2年生のちょっと足りないちーちゃんと普通のなっちゃん、斜に構える旭ちゃん他クラスのみんな、お姉ちゃんたちの日常を描く。
前半は普通の毎日、そこから少し歪んで、それぞれに変化を生む。
不安感がヒリヒリきて、ちょっと怖い、それがこの作品の味かもしれない。
Posted by ブクログ
読む前と読後の感情がこんなに忙しい作品があるのだろうか。なんとも暗い気持ちになる。後味はとても悪い。足りないものを数えたらきりがないけど、数えてしまうのが人間だと言われているようなきがする。なにも考えないことが幸せとも限らないし。どちらがしあわせだろう。
最初は
つまんねーコメディー漫画といった感じなのですが後半はまさかのどんでん返しでした。ナツさんという人物はまるで自分そのもので涙が止まりませんでした。ちーちゃんという人物にも自分に当てはまる箇所がいくつかありました。絶望や劣等を味わったことのない人には向いてません。