山元海さんのレビュー一覧
レビュアー
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ネタバレ 購入済み
どこまでも...
どこまでも優しい物語だなぁ…と思えた傑作。
ちーちゃんを見ていると、キリスト的無償の愛を描いたドストエフスキーの『白痴』や遠藤周作の『おバカさん』の主人公を思わずにはいられない。
ちーちゃんは「ちょっと足りない」、だから愛そのもの。
ナツも良かった。
ナツは良い子ではないがクズでもない。
友達に嫉妬して、勝手に縁を切って、反省もしない...うん普通の子だね。
何かがちょっと足りない人、普通の子。
だから最後に旭や藤岡さん達の様な「いい子」側に改心しなくて本当に良かった。
最後のシーン、一見不穏なようだが、ちーちゃんのおかげで全く違う意味を持つシーンだ。
「いい子」は放っておいても旭のよ -
ネタバレ 購入済み
絵は上手なのに…
一巻の物語の始まりでは、謎の女子高生や人間模様、悟が時折見せる影,なにより絵がきれいという点でひきつけられたが、巻が進むにつれ薄くなっていき先が読めてしまい、人間関係も固定化されてしまう。
過去を強制ループするので、登場人物が命をかけるシーン(というか絶対みんな死ぬのでドキドキもしない)も、死ぬ間際に語る言葉も、結局ループして元に戻るのであまり響かない。
謎のウィルスも、それをばらまくマスクの男の正体も、とくに盛り上がりもなく何となく明らかにされてしまう。
というかすぐに予測がついてしまい「ああやっぱりね」という感想になってしまう。
まぁこのあとどんでん返しがあるのかもしれないが...。
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心に残る
美しくて淡い絵柄が全体を一貫して流れる愁いに似た雰囲気と合い、読み終わった後もふとここに帰ってきたくなるような懐かしさを残していく物語。
主人公も少女も気持ちのいい人柄で彼らの言動はまさに清流を眺めるよう。 -
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