阿部共実のレビュー一覧
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中学に上がった途端、小学校からの友達が「中学生」の顔になって、自分は自分のままの水谷は違和感を覚えている。月曜日が嫌い、と彼女は周囲の風景や空気感と共に、自分の月曜日嫌いを文学の様にモノローグで表現する。身体を動かす事が好きで、泳ぐのを止めてしまうと死んでしまうマグロの様に彼女は動き続けようとするが、奇抜な行為と周囲には面白がられるだけ。水谷の中には肉体表現としての落ち着きのなさとは相反して、文学的な表現力を抱き持っていると知っている友達は居ない。誰もが「解り易さ」でしか物事を理解しない。
色白で小柄な月野透と言う少年が同じクラスに居るのに気付く。月野はクラスで浮いている。彼の異質さは彼の中 -
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ネタバレ時々しか載っていないけどスピリッツの連載で一番楽しみだ。単行本で改めて通して読むと、お姉さんの存在や月野の兄弟の存在に主人公と月野の気持ちのあり方に強く影響していることが描かれていた。連載では、主人公と月野の関わりばかりを追っていた。
人物の絵も背景も、効果も漫画の記号性と絵としての写実性のいいところを思う存分最大限活用している感じがする。主人公の言動やモノローグの率直さと共通するそのセンスの凄さに圧倒される。
それに比べるとオレの表現のなんと硬くて狭いことかと、すごく見習いたいと思うのだが、その狭くて硬いからこそ表現できている部分もあり、真似したからといってうまくできるものでもなく -
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主人公はクズだ。
語弊を恐れず断言するが、思春期の自意識と不公平感ばかりが肥大した実にリアルで、自分の黒歴史を蒸し返されてあちこち痒くなるようなタイプのどこにでもいるクズ。何故なら主人公のナツは自嘲と自虐はしても自省と自戒は絶対しない。自分の言動を反省し周囲に申し訳ないと装うモノローグも、結局の所ケチな自尊心を守るためのフリでしかないというのが後の描写で浮き彫りになる。
同じ団地に住む幼馴染のナツとちーちゃん。中3になっても割り算もまともにできないおバカなちーちゃんを内心見下し、もっと上のランクの友達が欲しいと望んでいたナツ。
その「何かが足りない」「本当は自分はもっと高い所へいけるはずだ」と -
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ネタバレスピリッツで連載している『月曜日の友達』の凄まじい才気の爆発ぶりに驚いて、とんでもない新人が現れたと思ったらけっこうベテランだった。この漫画は、知的障害の女の子が主人公で、非常に戸惑ったのだが読んでいくと友達のチエが心の闇の更に奥深くまで覗きこむような展開にびっくりした。表現の違う形で才気が爆発していた。最後のお互いに名前を何度も何度も呼び合って気持ちを通わせるところは、よくオレが運転していると子供が何度も何度も「パパ」と呼びかけて「はいよ、うーちゃん、なあに?」と返事するのを思い出して涙が出た。
友達のメガネの子やヤンキーの子みたいにまっすぐ生きられたらそれはいいし、チエみたいなのがリ -
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武富健治の『鈴木先生』にも別の形で描かれていたけど、問題児でも優等生でもなく「普通の子」の抱えるーただし描かれることがなかったー悩みや問題がここにはある。
『鈴木先生』では、とかく問題児というのは良かれ悪かれ目立ってそして特段面倒をみなければならない存在なのだけど、それで悩みを持っているのに先生に気付いてもらえなかったり気付いてもらえても手が回らずにいるなど割りを食うのは「普通の子」だと描かれていたけれど。
こちらの作品ではウサギとカメのような話をベースに更に追い討ちをかけるようなリアルさで心を蝕んでくる。名作ではあるけれど、後味が悪くてもう読みたくはないという気持ちがしてしまうけれど、ま