アイザック・アシモフのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレニューヨーク市で発生した宇宙人惨殺事件を見事解決した刑事イライジャ・ベイリ。乗り馴れない飛行機に乗ってワシントンに呼び出された彼が命じられたのは、宇宙人の国家・惑星ソラリアで起こった前代未聞の殺人事件の捜査だった。徹底した人工統制で一人一人が広大な土地を所有し、多数のロボットに身の回りの世話をさせて生きているソラリアは、生身の人間同士が直接会うことがほとんどない社会。夫婦ですら滅多に会わないこの社会で、殺人など起こるはずはないのだが・・・地球とは全く異なる価値観に戸惑いながら、再開したR・ダニール・オリヴォーと共に捜査を進めるベイリが掴んだ真相とは?
前作「鋼鉄都市」でバディを組んだイライジャ・ベイリとR・ダニール・オリヴォーが再び登場して難事件に立ち向かう、アシモフお得意のSFミステリ。前作同様、「ロボット工学三原則」の縛りの中で、ロボットが絡んだ殺人に対してどのように論理的なおとしまえを付けるのか?が、ポイントの一つです。前作よりも「ロボット工学三原則」が孕む矛盾に一歩踏み込んだ内容になっていて、ミステリとしてもSFとしてもなかなかの出来前。
それに並んで大きなポイントになるのが、実にユニークなソラリア社会の構築ぶりです。徹底して人口を抑制し、あらゆる労働をロボットに任せた結果、人間は皆極端な対人恐怖症に陥り、子を生し育てることが「汚らわしい」とまで認識されてしまう社会。そんな非人間的な(地球人の感覚で、ですが)社会においても人間同士のいざこざや思想対立はやっぱりあって、不穏な動きへと繋がっていく・・・。はじめて宇宙人の社会を目の当たりにしたベイリは、鋼鉄のドームに閉じ込められて暮らす地球人同様に宇宙人社会も既に袋小路に突き当たっていることに気づくのです。そして、どちらも現状を打破しなければ共倒れになりかねない、ということにも。
作品のタイトルにもなっている「はだかの太陽」は、鋼鉄のドームの中から飛び出したベイリが目にする広い世界を象徴する、物語の要所要所にも登場するシンボル的な存在です。その太陽の光に導かれて、事件の解決とその結果だけではなく、地球人類がその後なすべき困難な課題についても直視するようになるベイリ。この作品が単なるミステリではなく、「SFミステリ」の名作として前作とともに長く語り継がれている理由が、このラストシーンの壮大なヴィジョンに端的に現れています。
鴨的には、前作よりもSF的なメッセージを強く感じる作品だと思います。地球人ベイリの価値観の変化が物語の重要なファクターを占めるせいか、R・ダニール・オリヴォーの活躍はかなり控えめ。ほとんどベイリのお守役に徹しています(^_^;その方が、ベイリの無鉄砲さと大胆さを際立たせることができるからでしょうね。 -
Posted by ブクログ
SFミステリの金字塔「鋼鉄都市」の続編となる本書。ニューヨーク市警の刑事ベイリとロボット刑事ダニールの新たな活躍が描かれます。
「鋼鉄都市」の舞台は地球でしたが、今回の舞台は、宇宙国家のひとつ「ソラリア」。人類を支配するスペーサー(かつて宇宙に進出した人類の子孫)の世界です。地球での人類は、外壁に囲われた世界に住むがゆえに、広大な空間、そして太陽を怖がる傾向にあります。狭くて暗いところが安心するようですね。
一方、ソラリアのスペーサーは、通信手段の発展/熟成によって、人々の肉体的な接触が途絶えた世界。スペーサーの生活はロボットによって支えられ、人と人の交流は、今でいうテレビ電話を高度化させたヴァーチャル上で行われます。その技術は、実際に目の前に話し相手がいるように錯覚するほど。しかし、実際に肉体を通して交流するわけではないため、スペーサーが実物の人間と出会うことは、かなりの精神的な苦痛を与える模様。
…なんというか、どちらも引きこもりの社会です。
本書と前作で描かれるこれらの世界がなんとも素敵なんですよね。ロボットが発達するほどの近未来なんだから、人類の進歩に前向きであっていいはずなのに、地球の人類もスペーサーもなぜか引きこもっていて、どうも停滞の匂いしかしない。せっかく宇宙に進出したのに、これじゃあ未来がない。
…と、このあたりを根っこに描かれるのが、本書の結末です。なんだかアシモフにしてはやたらメッセージ性が強く少々驚いたりもしましたが、読後は「はだかの太陽」という表題にしっくりくること間違いなしでしょう。続編の「夜明けのロボット」への繋がりもとても気になります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読したが、恐ろしいほど覚えておらず新鮮な気持ちで読めた。1章は、前書の続編で登場人物もほぼ同じまま、ミュールによる第二ファウンデーションの探索とその結果を描いている。2章は、第二ファウンデーションによる心理学的な支配を危惧する第一ファウンデーションによる探索を描いている。アシモフらしくどんでん返しがある訳だが、なんと精神を操られて全てのことが第二ファウンデーションの手のひらで転がされていた!っていうのはご都合主義的やしないかと感じた.続編発表まで、長い時間かかったのはアシモフもご都合主義の塊のような第二ファウンデーションの扱いに苦労したからではと邪推した.
-
Posted by ブクログ
ネタバレ10年ぶりくらいの再読
アシモフらしくミステリとして読むことができ読みやすい。
第一部は,負けるはずのないファウンデーションの絶体絶命のピンチがどのように回避されるかというハウダニット。ベルリオーズが好感の持てる人物だけに哀れ。
第二部は,セルダンプランを脅かすミュールというミュータントの正体を巡るフーダニット。訳者あとがきにあるように,若き日のコンプレックス,感情操作という点でミュールはヒトラーを下敷きにしていると思われるが,ミュールは平和的な統治を進めているように読める。この状況で,トランやベイタたちがセルダンプランを盲信し,ミュールの登場がより良い道ではないかと疑問を抱かないところに違和感を感じた. -
Posted by ブクログ
ネタバレ・第一部 ミュールによる探索
第一ファウンデーションを降伏させたミュールは、自らの銀河帝国設立の妨げとなるであろう第二ファウンデーションの探索を開始した。ミュールによって精神をコントロールされたハン・プリッチャー大尉とコントロールを受けていないベイル・チャニスが探索の任を受けた。チャニスは第二ファウンデーションの場所をタゼンダという星だと推理し、そこへ向かう。タゼンダ近くのロッセムという星で調査を開始したが、そこでプリッチャーはチャニスが第二ファウンデーションのスパイだとして逮捕しようとした。しかし、チャニスはプリッチャーが第二ファウンデーションによって干渉を受けていると言った。そこにミュール本人が現れチャニスこそ第二ファウンデーションの一人だと見破る。しかし、チャニスはプリッチャーのミュールによるコントロールを解除し、ミュールを襲わせようとした。二体一となったミュールは不利と思われたがミュールは宇宙艦隊による攻撃で第二ファウンデーションを滅ぼす準備をしていた。そこに第二ファウンデーションの第一発言者が現れミュールの精神をコントロールした。ミュールはこれ以降、平和愛好家となり帝国を保持した。
・第二部 ファウンデーションによる探索
トランとベイタの孫であるアーカディ・ダレルは父のダレル博士とその友人の話を盗聴器を使って盗み聞きしていた。電子神経学者であるダレル博士とその同僚の教え子であるペレアス・アンソーアにより、一部の人間が第二ファウンデーションから精神に干渉をうけていると報告された。そこで第二ファウンデーションの情報を求めてミュールの宮殿での調査を行うことにした。ホマー・マンはミュール研究科として有名であるためこの任に当たることとなった。ミュール宮殿のあるカルガンへ出発したホマー・マンはその途中ロケットに隠れていたアーカディを見つけた。盗聴した内容からロケットに潜り込み、結局、共にカルガンに到着した。アーカディの機転もありカルガンの君主ステッティン卿に会い、ホマー・マンはミュール宮殿の調査の許可を得た。しかし、ステッティン卿は第一ファウンデーションへ戦争を起こし、ホマー・マンとアーカディを拘束しようとした。ホマー・マンは捕らえられたが、アーカディはステッティン卿の愛人のカリアによって助けられトランターへ逃げることができた。その途中、トランター人であるプリーム・パルヴァーとその妻と出会い、姪として警察から逃れるのを助けてもらいトランターまで同行することとなった。カルガンと第一ファウンデーションの戦争は、カルガン人の第一と第二ファウンデーションに対する恐れにより士気が下がり、カルガンの敗北として幕を閉じた。無事カルガンから帰還したホマー・マンは第二ファウンデーションは存在しないと言った。しかし、ホマー・マンは精神に干渉を受けていることがわかった。ペレアス・アンソーアは第二ファウンデーションはカルガンにあると言った。ダレル博士は第二ファウンデーションはターミナスにあると言った。ダレル博士が開発した精神の干渉を防ぐ装置である精神空電装置を用いて第二ファウンデーションの人間に攻撃をかけることが可能であり、これを行った結果、アンソーアが苦しみだした。アンソーアは第二ファウンデーションの人間であり、ダレル博士をスパイしていた。精神空電装置により第二ファウンデーションの脅威は取り払われた。最後にすべては第二ファウンデーションの計画通りだった。今回の件で第一ファウンデーションは自らの独自性を信じ、第二ファウンデーションを恐れることがなくなった。結果、セルダンプランは守られることとなった。また、第二ファウンデーションの第一発言者はプリーム・パルヴァーであった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ミュールによる探索』
第二ファウンデーションの場所を探すミュール。ミュール配下の将軍プリッチャーとチャニスの探索。惑星ロッセンでプリッチャーが第二ファウンデーションの干渉を受けていると話すチャニス。二人の前に現れたミュール。第二ファウンデーションの第一発言者の登場。精神制御戦。
『ファウンデーションによる探索』
ミュールの死後独立を果たしたファウンデーション。第二ファウンデーションに対する反感。第二ファウンデーションの場所を特定する為に反対派のダレルがカルガンへ送ったホマー・マン。彼に勝手に着いていってしまったダレルの娘アーカディア。カルガンの第一市民ステッティン卿の野望。銀河帝国の皇帝になるためにアーカディアとの結婚を画策。アーカディアの逃亡。カルガン軍によるファウンデーション攻撃。ファウンデーションの勝利。明かされた第二ファウンデーションの場所。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全銀河はトランターを首都とする銀河帝国に支配されていた。ハリ・セルダンは心理歴史学の研究の結果、銀河帝国の衰退とそれに続く暗黒時代を予言した。帝国側から危険思想として裁判にかけられたハリ・セルダンは多くの研究者を伴って銀河百科事典の編纂を目的に銀河の辺境の星ターミナスに追放された。
各章ごとに主人公を替えながらハリ・セルダンが創ったターミナスの組織、ファウンデーションがいかに危機を乗り越え発展していくかが描かれる。
・第一部 心理歴史学者
ガール・ドーニックがハリ・セルダンに出会い共にターミナスへ追放される。ファウンデーションの始まり。
・第二部 百科事典編纂者
ファウンデーションが創られてから50年後、ルイス・ピレンヌはファウンデーションの代表者として銀河百科事典の編纂に心血を注いでいた。銀河帝国の支配力が低下し、辺境の星々が独立の機運を見せていた。ターミナスの近く、アナクレオンも銀河帝国から独立し、ターミナスを併合しようと企んでいた。ルイス・ピレンヌは銀河帝国の権威を信じ、銀河百科事典の編纂を遂行することにこだわっていた。この危機を回避するため市長サルヴァー・ハーディンはクーデターにより権力の奪取を決意する。
・第三部 市長
ターミナスの市長、サルヴァー・ハーディンはファウンデーション内部の反対分子による突き上げと、アナクレオンによる外部からの圧力にさらされていた。これを一気に解決するために宗教を利用することにした。この頃、銀河の辺境ではすでに文明は衰退し、原子力エネルギーは過去のものとして忘れさられていた。そこに唯一高度な文明を維持するファウンデーションの存在を一種の宗教として広めることで支配権を確立し生き残ろうとした。この信仰心を利用してサルヴァー・ハーディンは内外の脅威を一掃した。
・第四部 貿易商人
貿易商人のリマー・ポニェッツは惑星アスコーンに貿易商として潜入していたファウンデーションのエージェント、エスケル・ゴロヴを助けに向かうことになった。アスコーンの人々は科学技術の成果や原子力を完全に排除していた。アスコーンの君主ファールとの交渉の結果、鉄を金に換える金属変成機と交換にエスケル・ゴロヴを取り戻した。この金属変成機を使用しているファールを立体録画して自分たちの安全を保障させた。
・第五部 豪商
貿易商人のホバー・マロウは三隻の貿易船が行方不明となる事件が起きたコレル共和国に調査のため出発した。元商人のジェイム・トゥワーと共にコレルの近くまで来た時にファウンデーションの宣教師が助けを求めてくる。コレルとファウンデーション双方の法律を順守するため乗組員たちの反対を押し切って宣教師をコレルに引き渡した。コレルの主席であるアスパーと会見を果たしたマロウは、宗教ではなく貿易によって両国の関係を改善させようとした。コレルでは銀河帝国製の銃や戦艦が存在し、いまだ銀河帝国の存在が確認され、その脅威の存在も知られることとなった。しかし、コレル自体には科学技術の下積みはなく現在あるものを維持するだけだった。ターミナスに戻ったマロウは宗教によるファウンデーションの勢力拡大を望むジェレイン・サットと対立することになった。マロウ自身はすでに宗教の役割は終わり、貿易がこれに代わると考えていた。サットは宣教師をコレルに引き渡した罪でマロウを裁判にかけた。しかし、マロウは宣教師は偽物でコレルの秘密警察の者の変装だと見破った。これによりマロウは釈放され、後に市長と祭司長を兼任することとなった。 -
Posted by ブクログ
1万と2千年続いた銀河帝国の衰退期、膨大な集団の行動を予測する心理歴史学者ハリ・セルダンは、銀河帝国の滅亡から続く三万年の暗黒時代を1千年に圧縮するため、ファウンデーションを建立。ファウンデーションはセルダンが予測するプランに従い、その勢力を着実に拡大していく。セルダンすらも予測できなかった突然変異体ミュールの出現により、ファウンデーションは一度打ち破られるが、セルダンが設立したもうひとつのファウンデーション(第二ファウンデーション)の活躍により、危機は回避される。しかし、今度はセルダンプランを影から操る第二ファウンデーションに対し、ファウンデーションが牙を向けることになり…
ここまでは、1942年から1950年にかけて発表された銀河帝国興亡史の三部作で描かれます。本書はその続編。32年ぶりに刊行された本書では、ファウンデーションの設立から500年が経過し、セルダンが予言した1千年の折り返しが幕開けとなります。
順調にプランが運ぶことに疑惑を抱いたファウンデーションの首都ターミナスの青年議員ゴラン・トレヴィズは、絶滅したはずの第二ファウンデーションが実は存続しており、未だに影から歴史を操っていると推測。ターミナス市長のブラノは、プランに疑義を示す彼をターミナスから追放する。一方、第二ファウンデーションの高官ジェンディバルは、トレヴィズの動向をきっかけに、第二ファウンデーションに干渉する未知の存在を察知することになり…
三部作で魅せた物語にぐいぐい引き込むシナリオは本書でも健在。32年ぶりの続編なのに衰えないなぁ…と感服しましたが、「面白かったんだけど、なんだか複雑な気分」というのが読後の感想。なぜならば、あれほど三部作で大事にしてきたプランをあえて御破算とさせているからです。プランとそれを死守する登場人物を温かく見守ってきた一読者としては、納得し難いところです(しかも、ぽっと出の存在にすべてを横取りされるようなかたちでは尚のこと…!)。
解説によると、本書では、アシモフが描くロボットシリーズや他の作品を銀河帝国興亡史と統合し、ひとつの壮大な宇宙未来史を構成させているとのこと。この宇宙未来史は、本書に続く「ファウンデーションと地球」で全容が俯瞰できるらしい…読まねば。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『将軍』
ファウンデーションの存在に気がついた銀河帝国の若き将軍ベル・リオーズ。ファウンデーションの指導者たちは貿易商人ラサン・デヴァーズを使い侵攻を食い止める。帝国の支配に反感を持つ同行貴族のドゥーセム・バー。ドゥーセム・バーに協力を依頼し進行を食い止めようとするラサン。リオーズを監督にきた皇帝の寵臣ブロドリック。ブロドリックがリオーズに送ったメッセージを使い罠を仕掛けるラサンとバー。
『ザ・ミュール』
世襲制になり腐敗するファウンデーション。ファウンデーション付近の惑星カルガンがミュールと名乗る人物に占領される。ファウンデーション市民のトランとベイタ夫妻が助けた道化マグニフィコ。ミュールに占領されるファウンデーション。ミュール暗殺を目指すプリチャード大尉。帝国のかつての首都トランターで第2のファウンデーションの場所を調べるトランとベイタ、学者のエブリング・ミス。衰弱したエブリングが語り始めた第2のファウンデーション。正体をあらわすミュール。