公手成幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西欧ミステリ地味に読んでるんだが『瘢痕』が読み辛い。事件の奇抜さから派生する事案がよく解らない。これが自分がノルウェーの背景を知らなさすぎるからなのか、単純に主人公の記者に感情移入がしにくいからか…火事で子供を失い自分も顔に瘢痕を負っている事に根ざすものが伝わってこないと言うか。
ラストで、彼が子供を失った後から精神が停止していた、と言う描写があり、ここから瘢痕を負った事から来る彼の葛藤はこれ以降の作品に描かれて行くのだろうが…ノルウェーの作品なのだが、日本と同じ様に「アメリカかぶれ」と言うか、アメリカの文化が普通に入って来ている国の様で、その点で「北欧」の作品を読み、北欧の国の文化に触れる、と言う鮮度があまり感じられなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレJFK暗殺事件と主人公の過去をうまく組み合わせた話を紡いだものではあるが、アメリカ人ほど、思い入れはないことと、予備知識並びに過去の作品における脇役たちの立ち位置を覚えていないことと、黒幕のモノローグが何故はさまれているのかわからず、謎の答えが最初から用意された上巻ではど正直、どうかなと思っていたが、下巻からは何とか盛り返した感があるが、やはり実話を下敷きにしたため、あまりに無茶はできず、主人公も老いて、あまりに何度も幸運にも尻の金属に助けられるということで、いつものアクション感は乏しい。また、最後には何故、モノローグをはさむ必要があったのかがよくわかるのだが、そうでなければ結末に至らない物語の作り方にはやはり無理が多かったと思う。
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Posted by ブクログ
スワガー・サーガ以降のシリーズはイマイチだという巷の評判に惑わされて長らく手を出していなかったが、本作品の完成度は全盛期に匹敵するということで期待して読んでみた。結果的にはフツーの評価に落ち着いたが、なんとも言えぬ歯痒い読後感が後を引く作品ではある。
上巻は吸引力が強い。ボブ・リーが老いたという軽いショックはあるにしても、サーガで経験した緊張感が蘇ってきてわくわくしながら読める。JFK暗殺という手垢のついた王道ネタの扱い方に、この作者のこだわりのスタンスが見て取れる。CIAやマフィアなどのザ・陰謀説には目もくれず、狙撃という観点のみで、あの日あの現場で何が起こっていたのかに迫っていく。この着眼点は斬新で新鮮。シューターの目線から公式報告の矛盾を突き、角度や速度の細かなポイントを検証していくシーンは読み応え抜群。そこに作家事故死の捜査が加わり、ボリュームのある展開にどんどん入り込んでしまう。
がしかし、黒幕の回顧録の開始と共に、ストーリーは二手に分かれ、それぞれ独走していく。回顧録は冗長で飽きやすいかも。狙撃に対するボブ・リーの推論を裏付ける形で、小さな伏線や手掛かりがひとつに繋がっていく様は面白いが、よくよく考えるとやっぱり無理がある。歴史的事件の謎のピースに、自作のシリーズ・キャラを当てはめるのって頓珍漢よね。フィクションとノン・フィションが入り乱れ、もはやSFの範疇じゃないかとさえ思えてくる。
多分、ボブ・リー・シリーズだと認識して読むことが正解なのでしょう。あくまでもシリーズ優先のストーリーなので、その意味での決着には納得できる。でもなあ。黒幕との対峙は別の機会にした方がよかったんじゃないの。JFKネタだけを堪能したかった。 -
Posted by ブクログ
ボブ・リー・スワガーシリーズの外伝ということで『ブラックライト』を読む前に読んでみた。序盤はなんだかだらだらそれほど緊張感のない逃走劇という感じを受けたが、後半になるにつれ気付けば引き込まれていた。
不倫をやめられないパドのだめっぷりに腹が立ち、反面ラマーの仲間思い(?)な所になんだかほっとする。でも悪役なんだよなと思う。愛着が沸くわけでもないし、頑張れとも思えない。ただパドもそうとも思えない。複雑な気持のまま最後まで読んで、結果としてはまぁ楽しめた。
ボブ・リー・スワガーに関しては本当に2~3行、彼の父親がラマーの親父を殺したとか何とかで出てくるだけ。この作品が『ブラックライト』にどうつながるか楽しみ。 -
Posted by ブクログ
『極大射程』、『ブラックライト』でもちらっと触れていた、ベトナム戦争でのある事件の詳細がやっと語られる。
上巻はダニーが主人公のような展開。彼の正義感やボブとの師弟関係など、読み応えはあるが、アプローチ部分が長すぎる(後々ここが重要になってくるのだが)のと、ベトナムでのパートがくどく感じたので、退屈のあまり飛ばし読みすることもしばしば。
下巻に入ると一気に展開が加速する。背後に隠された策略と、それに迫るボブ。この辺りのプロセスはいつもわくわくしながら読んでしまう。事件の骨格が二転三転する時のハンドルさばきがスムーズなのは、読者にとって非常に有難い。
そして大きな見どころは、スナイパー同士の攻防だろう。今までもボブを狙うスナイパーは登場してきたが、今回はレベルが違う感じ。静寂の中で相手を追い詰める狩りの緊張感は、本シリーズでしか味わえない醍醐味のひとつ。静と動のコントラストが抜群で、スローモーションで映像をイメージできる作者の描写もまた素晴らしい。
クライマックスのインパクトが大きいので、ラストが余計ドタバタしてるように見えた。少ないスペースに詰め込んで、無理矢理押さえつけたような印象を持ってしまったのが残念だが、骨太の秀作シリーズという評価は変わらず。