公手成幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレボブ・リー・スワガーの最新作は、何とJFK暗殺の謎に迫ります。
何で今更JFKなのかというと、今年は暗殺後50周年だから、ということのようです。
日本人にとってはあまりピンと来ない事件でしたが、アメリカ人にとってはトラウマとも言える出来事だったのでしょう。
丁度日本人にとっての赤穂浪士討ち入りのようなものでしょうか。
(そういえばスワガー・シリーズには赤穂浪士を題材にしたような作品もありましたw)
実は本作の大きな部分を、暗殺の真犯人の独白手記が占めます。
謎を犯人自らがバラすのってミステリとしてどうよ?と思って、前編を読んだ時点での星は2つにしました。
しかし後編になると真犯人vsボブの構図が鮮明になって、単にJFK暗殺の謎解きだけに終わらないところが、流石と言うべきでしょう。
とはいえ、見所のアクションシーンは最後の最後にチョロっと出てくるだけなので、アクションシーンを期待する向きには不満かもしれません。
(そしてミステリとしては、先に書いたように真犯人が謎をバラしちゃうので・・・・)
シリーズのファンとしてはこんな作品があっても許せる気はしますが、小説自体としては若干低調な出来という気もします。 -
Posted by ブクログ
芯の通った緊張感をベースに展開されるのが、父と息子の物語である。複雑な関係が悲しい結果に終わってしまった父子たちの家族ドラマの間に、事件の背後関係が見え隠れする。
上巻は40年前の“その日”から始まり、ボブ・リー・スワガーが過去の真実と向き合う決心をする現在パートと、アール・リー・スワガーが殉職する銃撃戦までが交互に描かれる。この銃撃シーンが臨場感抜群で、暗く静かな現場という設定が逆に、張り詰めた緊迫感を増幅させているようで、すごく印象に残った。
下巻はアクションシーンが多くなる。陰謀と謎が浮き沈みしながら、徐々に事件全容が浮かび上がってくる。ここにきて一気に、銃とスナイプに関するマニアック的な目線が増えてくる。スワガー・シリーズに惹かれる理由がそれなので、待ってましたとばかりに更に読書ペースが加速する。(ガラガラヘビの理由については鳥肌モノ)
ラストのサプライズの必要性は正直疑問だが、全体的にいい構成だと思う。過去と向き合う展開に家族ドラマを持ってくるのはありがちだが、少し斜めから捉えた視点に、作中で展開される以上の膨らみを感じて満腹感この上ない読書となった。まだ二作目ではあるが、完成度の高いシリーズという実感は揺るぎないなあ。 -
Posted by ブクログ
★3.5
純粋な小説というより、ドラマを小説化したノベライズ本を読んている様な気がするのは、作者が、元々脚本家であるという事と無関係ではないかもしれません。でも、中身は面白くないという事では無く、1900年代と2010年代の話がリズミカルに繰り返されるので、むしろスムーズに読めたかもしれません。
話としては、事実も取りまぜながら書き上げられたフィクション。シャーロキアンなら一目瞭然(一読瞭然)なのかもしれませんが、若かりし頃、シャーロック・ホームズを多数読んではいるものの、シャーロキアンという訳では無いので、描かれている背景とか、意味合いをつかむのがちょっと難しかったかも。でも、ホームズ作品の知識が皆無でも、この本を読み進めることは出来ます。
この次の作品もある様です。読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
「ダーティーホワイトボーイズ」で登場した人物たちがキーマンとして再登場。これから読む人は、「ダーティーホワイトボーイズ」を読んでからの方がより楽しめますよ。
とはいえ、過去と現在が入り組んで語られるので、状況を把握するのに時間がかかるのも事実。一度状況や人間関係が理解できれば、面白さは倍化してゆきます。
下巻も楽しみです。
PS.
警察本部と警官が無線で連絡し合う場面で使われる「Negative」を「否定的だ」と不自然な日本語に訳しているが(P93他)、これは航空管制官なども言い間違いや聞き間違いを防ぐために、「No」の代わりに使われているのも知らない(⁉)翻訳者って…ここは素直に「ダメだ」でOKでしょう。 -
Posted by ブクログ
「極大射程」以来のスティーヴン・ハンター。
以下はネタバレありの感想。
文庫本32章700ページを超える分量にも度肝を抜かれるが、6章(150ページ)あたりで正義側の主要登場人物のほとんどが殺される。(と、思わされる)
罪悪感を持たぬ殺人者と罪悪感に苛まれる刑事が出会うという設定もナイス。
そして本書の魅力は、トンデモナイ悪人を描きながらもリアリティぎりぎりの人物造形と彼らの内なる心の葛藤や気持ちがなぜか共感もしくは理解出来るという作者の職人技にある。
本書の主人公、悪の権化ラマーは凶暴だがバカではない。無理矢理脱走犯仲間にされたリチャードは彼を以下の様に狡猾な無秩序の天才と称する。「ラマーは常に考えている。何か課題を与えたら、彼は真っ先に、しかも正しくそれを解決するだろう。とはいっても、それは普通の人間のやり方ではない。他人より自分が多くを得られる様に解決するのだ。それが彼の唯一の道徳律であり、何の後ろめたさも疑問も持っていない。彼は情熱的かつ揺るぎない確信を持ってその道徳律を行使する」
解説の鵜條芳流氏の言葉。「悪い男に限って人の心を捕らえて離さない。華麗な悪の前では、正義さえも霞んで見える時がある。アメリカンヒーローを描いて来た男は、どうやらそれに気付いてしまったようだ。悪が栄えた試しなし。だが、栄えないからこそ刹那で美しい」
一方の正義側キャラは48歳のハイウェイパトロールの巡査部長パド。妻子がありながら部下の奥さんと不倫、再び良き家庭を取り戻したいと願いながらも、目先の欲望に負けて自己嫌悪に陥る日々。
そして、前半の魅力的キャラは人質となった老夫婦。リタイアして狩猟が趣味だった夫は、悪にも怯まない。巨悪に対して卑屈にならず勇敢にも対峙しようとする。
分厚い文庫本を終始飽きさせることなく引き付ける筆力は流石です。