公手成幸のレビュー一覧
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズ第三弾上巻。
前作でラマーの父とボブの父の関係がチラッと出てきたが、本作ではそれをより深く描くべく、物語が展開する。一方では前作でラマーを倒したバドの息子、ラスがボブに会いにやってくる。この、父と息子の物語が入れ替わり立ち替わり描かれる中、不穏な空気をまとったレッドや保安官・ドゥエインなどが絡んできて物語は混沌とし始める。
物語の中心を貫くのは、なぜアール・スワガーが殺されたのか、という点だ。アールはラマーの父、ジミーに殺されたと思っていたらどうやらそうではないらしいことが明らかになるし、アールが最後に関わっていた殺人事件の犯人ももしかすると電気椅子に縛られた黒人の少年ではなかったかもしれない疑惑まで飛び出し、これらが一体どうつながってくるのかが見通せず、先が気になりついページをめくってしまう。
それにしても、アールのカッコよさはどうしたものか。ただの警官でしかないが、毅然とした振る舞いにしびれてしまう。ボブはやや変人めいているが、アールは正統派という印象を持った。 -
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズの番外編。
本作だけ読むと、ボブ・リーの物語との関連性をほとんど見つけることができず、それゆえか日本語版は本作が最初に刊行されたという。この物語は確かに本作だけで完結しており、他の作品を読まなくても問題なく楽しめる。
とはいえ、前作「極大射程」を読んでいれば本作の中に本当にチラッとだけ現れるシリーズとの関連性に、思わずニヤリとなるだろう。本作中に前作との関連性を見出せるのはここのみであるのだが。
本作はタイトル通り、白人のワルどもの物語である。脱獄囚のラマー一味と不本意ながらもそれを追う羽目になるハイウエイパトロールのバドが、お互いの知恵を比べながら、追いつ追われつを繰り返す。
前作とは異なり、かなり下品で、バドもコンビを組む若手巡査の妻と不倫をしているなど、お世辞にも正義の人とは言えない側面を持っている。だからこそ、生々しく、生き生きと描かれているのだろう、登場人物たちの行動や考え、悩みなどが直に伝わってくるようでのめり込む。
ラマーは完全に悪党であるが、切れる頭を持ち、時折見せる優しさなど人間味あふれる側面もあるため、なんとも憎めない。
前作とは趣の違う形で読者を虜にする作品である。この物語がどのように次作以降に関わってくるのか、それもまた楽しみの一つである。 -
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本作の主人公は、ボブ・リー・スワガーというよりは、70年前に活躍し、忽然と記録から姿を消した天才女性スナイパー、リュドミラ・ペトコフであろう。リュドミラ・ペトコフは目的を果たしたのか、リュドミラ・ペトコフの運命は…
スティーヴン・ハンターの読者の冒険心をくすぐるストーリー展開の上手さとスケール感、相変わらずの銃器オタクぶりには舌を巻く。
リュドミラ・ペトコフに何が起きたのかを探るボブ・リーとキャシー、ボブ・リーとキャシーを襲う謎の男たち、幕間劇で語られる事実は…70年の時を超えて、ボブ・リー・スワガーとリュドミラ・ペトコフの二人の天才スナイパーが交錯する時…
吉野仁の解説によれば、『ハバナの男たち』に登場した人物が意外な形で登場するというが、分からなかった。 -
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ボブ・リー・スワガー・シリーズの第9作。冒頭から自然と物語に引き込まれた。
自宅の農場でロッキングチェアで暇を持て余していた68歳のボブ・リーの興味を惹いたのは、1944年に忽然と記録から消えたソ連の女性スナイパーだった。ボブ・リーはモスクワへ飛び、ワシントン・ポスト紙のキャシー・ライリーとその女性スナイパー、リュドミラ・ペトコフの謎を追うのだが…突然、ボブ・リーらを襲う謎の男たち…
1944年と70年後の現代が交互に描かれ、読者はボブ・リーに先駆け1944年の事実を少しずつ知る事になる面白い構成。幕間として描かれている描写は、この先、物語にどう繋がるのか…
今回もスティーヴン・ハンターの銃器オタクぶりには驚かされ、その精確な描写故に物語に迫真性を感じた。
いざ、下巻へ! -
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今になってJFK? ダラスの熱い一日の事件を今になって、さらに新たに新解釈で小説化できるものだろうか?
そんな疑問で本書を首を捻りながら手に取る読者は多いだろう。そうした懐疑的な多くの視線を切り裂いて、スナイパー小説の第一人者である巨匠スティーブン・ハンターが、アメリカ最大の事件に対し真っ向ストレート勝負を試みた。
その志もあっぱれだが、その切り口もこんなにも鮮やかだとは、誰に予想できたろうか。ここのところ、失礼ながら鳴かず飛ばずのボブ・リー・スワガー・シリーズで、スナイパー小説の王道から逸れたような作品を書いていたこの作家が、こんなにも原点に立ち戻って、しかもあの傑作『極大射程』の続編という形でメインストリートもど真ん中に戻ってきた快挙の一作を作り出してくれたのである。かつてのハンター・ファンが泣いて喜ぶ傑作、胸のすく快作に仕上がっている。これはことによるとハンターの代表作と呼べる新機軸となるかもしれない。
ボブ・リー・スワガーも初老となったが、かつてのベトナムの特殊部隊兵士、銃撃のプロフェッショナルとしての勘は衰えることを知らない。今回は、まるでハンターの分身のような銃器アクション作家が、まるで『黄昏の狙撃手』そのままに車で轢き殺されるところから始まる。彼が調べていたのは、実はJFK事件の真相だった。彼の死を調査すべく依頼されたボブ・リーは、依頼以上に銃器のプロフェッショナルとしての観点から、ダラスのJFK暗殺事件の真相に多くの疑問を感じる。
リー・ハーベイ・オズワルドの犯行説を最も疑問視させた魔法の銃弾の解析が、銃弾のブロの視点から見ると意外なものであり、オリバー・ストーンの映画とは全然別視点からハンターの作品は発射された弾丸の謎に迫る。第三の銃弾とは本作品のオリジナリティを高らかに掲げたロマンであり、タイトルである。
その向こうに見え隠れする車椅子のスナイパー、極大射程の残党たち。そしてあのダラスではなく、現代の対決と復讐劇へと誘うプロットの見事さ。事実とフィクションによって糾われる縄のごとく、ボブ・リーの運命は、世界最大レベルの暗殺劇の中心軸へと下降してゆく。これは宿命の舞台劇でありながら、もはや歴史に対峙するプロフェッショナルたちの叙事詩そのものである。
ここのところ隠れがちだった。そもそものハンター小説の文学性、高密度性が戻ってきた感がある。ハンターは『極大射程』の緊迫した空気を蘇らせてくれた。読後も興奮冷めやらぬ何やらほてりすら感じさせるハンター世界の新たなる地平が見えるかのようだ。しばしスワガーのサーガから足が遠のいていたかつてのファンたちに、改めて再集結を促したくなる傑作小説が、厳然とここに存在する。 -
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ボブ・ザ・ネイラーシリーズ最新作。
シリーズ最高傑作!「極大射程」を超えた!は明らかに言い過ぎ。「極大射程」の20年後の世界、且つ「極大射程」におけるボブの立ち位置を上手に、本当に上手いことJFK暗殺事件にはめ込んで、ザプルーダーフィルムやウォーレン委員会でよく知られた事実を元に作者の想像(創造?)を重ねて1級のサスペンスに仕上げています。
上巻の終わり近く、ボブの決め台詞「狩りの時間だ。」が出てくるとゾクゾクします。
徐々に謎を解き明かし核心に近づいていくボブ、ラスボスはボブを「最期の地」に誘い込もうとする。
そして罠にはまったと思いきや。
またもや丘の頂からボブ・ザ・ネイラーの大反撃が始まる!この辺は1種のお約束事です。
怪獣が街を破壊する、キャリーがステージを火の海にする、と同様のカタルシスがあります。
大銃撃戦は終わるが本当に悪い奴はまだ生きている、と思いきや、最後の一撃。これもお約束。
安心して読めるサスペンスアクション巨編って言ったら変な誉めかたでしょうか。
大変面白かったですが、私の中でこのシリーズ不動の1位は「極大射程」に変わりありません。2位は「ブラックライト」3位が「狩りの時」かな。本作は次点。
ベトナムが遠くになるにつれボブの動機付けが弱くなるのは致し方のないところ。そこにJFK暗殺事件を持ってきたのは作者の慧眼。久々に楽しめましたよ。 -
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下巻を読み切っての第一声は、やはり、物凄く面白かった!!
今回のボブ・リー・スワガーはJFK暗殺の真相に迫る探偵という役回りを演じるのだが、お約束のスナイプ・アクションも十分楽しめる。JFK暗殺から50年。まさに今しか無いというタイミングで描かれたボブ・リー・スワガー・シリーズの最高傑作。
JFK暗殺事件の謎に迫るボブ・リー・スワガーと事件の黒幕の回顧録が交互に描かれ、次第に事件の真相が明らかになり、両者が時を同じくした時…
もちろん、JFK暗殺事件の事実を捻じ曲げることなく、スティーヴン・ハンター独自の潤色を加え、読者が納得する真相が描かれている。また、ボブ・リー・スワガーがその真相究明にこだわる理由さえも、すこぶる奮っている。
上巻の感想にも書いたのだが、読み切ると扶桑社ミステリーが突然『極大射程』を復刊させた意味が理解出来る。『極大射程』の答えが本書であり、67歳になったボブ・リー・スワガーが己れの忌まわしき過去と対峙し、対決するのだ。
『極大射程』から20年。ここまで、ストーリーを盛り上げたスティーヴン・ハンターという希代稀なる銃器オタク作家の着想は本当に凄い。
本書を読む前に『極大射程』と『四十七番目の男』の二作は読んでおく事をお勧めする。 -
Posted by ブクログ
凄い!のひと言!ボブ・リー・スワガー・シリーズの最高傑作。冒険小説、スナイパー・アクション、ミステリーの要素がふんだんに盛り込まれ、過去のシリーズを集大成したような素晴らしい作品に仕上がっている。どのくらい面白いかと言うと、横山秀夫の『64』よりも面白いと言ったら、分かり易いだろうか。久々に読むのが勿体無いと思った。
『四十七人目の男』で、ついにボブ・リーも終わったかと思ったのだが、『黄昏の狙撃手』で復活し、『蘇るスナイパー』で文字通り完全に蘇った。その後、ボブ・リーは息子のレイ・クルーズに代を譲り、隠居するのかと思われたのだが…
今回は66歳のボブ・リーがJFK暗殺の真相に迫るという興味深いストーリー。かつて『極大射程』で大統領暗殺犯の汚名を着せられたボブ・リーがスナイパーという視点でJFK暗殺事件の真相に迫るというのだから面白い。
銃器やスナイパーに関する著作を書いている作家が車で轢き殺される。被害者の作家はJFK暗殺の真相の暴露本を執筆予定だった。被害者の妻に轢き逃げ事件の調査を依頼されたボブ・リー・スワガーは、事件の調査を進めるうちにJFK暗殺事件の真相に迫っていく…まさか、まさかの連続。扶桑社ミステリーが『極大射程』を復刊させた意味が理解出来た。
蛇足であるが、自分は数年前にJFK暗殺事件の現場になったダラスのディーリー・プラザを訪ねた事がある。この作品にもテキサス教科書倉庫ビルの佇まいやホームレスが物乞いしたり、JFK暗殺事件に関する『陰謀の歴史』なるグロテスクな写真雑誌を売り付ける様子などが正確に描かれており、当時を思い出した。 -
Posted by ブクログ
この五つ星は「極大射程」に始まるスワガーシリーズに進呈。
日本での紹介1作目は「ダーティホワイトボーイズ」だった。ミステリーランキングで評判がいいので買ってはいたけどさほど好みとは思わずほったらかしていた。何となく読んでこりゃ面白いと調べてみた書評サイト、よくぞまあ茶木さん「順番通りに読むべき」とすすめてくれた事よ!シリーズ1作目「極大射程」にひっくり返った。海兵隊のスナイパーが主人公?私には関係ないわと思いこんでいたお馬鹿さん。でもその時読まなかったおかげで本来の発表順で読めたことがこの上なくありがたい。
主人公をはじめとする人物造型がすばらしい。時間が行き来する凝ったプロットなのに読みやすく、先へ先へと誘われる。読書の至福ってこういう事だよね。
この最終作の解説者が書いていた、これは銃礼賛の書ではなく銃への挽歌だというくだりに深く頷いてしまった。「戦争」「軍隊」「銃」を書いてこれほどにフラットな(思想性を排した)まなざしをもてることに驚嘆した。
登場人物が皆ストーリーのために存在しているのではない輝きを放っている。とりわけ本書のダニー・フェン、まぶしいほどの若さそのもの、第1作ですでに死んでいると知っているのに、息を詰めて運命への道を追ってしまう。シリーズを最初からもう1回読むのも楽しみ。まぎれもなく傑作。