小林信彦のレビュー一覧

  • 完訳 ブッダチャリタ

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    ネタバレ

    今作『ブッダチャリタ』は1~2世紀頃にインドで活躍した仏教詩人アシュヴァゴーサ(馬鳴)による仏伝です。漢訳では曇無讖によって『仏所行讃』として翻訳されています。

    現在語られるブッダの生涯の大元となったアシュヴァゴーシャの『ブッダチャリタ』。物語としても非常に面白い作品でした。

    漢訳の『仏所行讃』は私達日本仏教においても大きな影響を持っていたことでしょう。浄土真宗の開祖親鸞もこの作品を読んでブッダに思いを馳せていたのでしょうか。ロマンがありますね。

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    2024年08月23日
  • 素晴らしい日本野球

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    発語訓練」改題。パスティシュものの嚆矢で、想像力の暴走が楽しい。フラナガン物が秀逸。初出の「ブルータス」から注目。奥の細道」や唐獅子源氏」につながる。まねて「シンポジウム制服」として大学の学部学科内容紹介を兼ねて、各科で制服の意味を論じるという作品を書いた。「カノッサの屈辱」に通じるものがある。

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    2019年02月20日
  • 怪物がめざめる夜

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    ネタバレ

    「私」とミスターJとの同性愛関係を疑っていた愛人が、死んだはずのミスターJの影に怯えて精神を病みそうになる。それを阻止するため「私」は愛人とアナルセックスを試みる…わかったようなわからないような、馬鹿馬鹿しく人を食ったオチが気に入った。

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    2017年03月07日
  • 素晴らしい日本野球

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    それまでのくすぐりを散りばめたお楽しみ箱だったり、思いの滲み出る東京物語だったりとは違って、虚構世界の構築ぶりが好事家にはSFである!ってカテゴライズされそうな新ジャンルの小林信彦だった\(^o^)/

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    2015年11月24日
  • 世界の喜劇人

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    今や古典とよべる名著。小説家・評論家小林信彦氏のデビュー作と言ってもいい原点の作品。彼の涙ぐましい努力によって「マルクスブラザース」は甦ったと言っても過言ではない。「お笑い」とか「面白」とかを語るんであれば、最低限読んでおかねばならないテキストである。

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    2009年10月04日
  • 紳士同盟(新潮文庫)

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    大学入学後数年の間に買うだけ買って読まずに放っておいた文庫本のうちの二冊。両方とも古本だが、『紳士同盟』の方、今はなき江古田青柳書店の店主の手癖による値段が残っている。竹島書店、いいお店だったなぁ。

    今更こうした本にコメントを記すといるのもちょっと恥ずかしい。

    「コン・ゲーム」という言葉が小説の中に頻出する。このシリーズが話題になったにもかかわらず日本語として定着しなかった。「コンフィデンス・ゲーム」、「信用詐欺」のことなのだが、カモられた人がカモられたと気付かれないようカモる、という詐欺哲学を有する長島老人の下に集まった男達がノルマ目指して知の限りを尽くして仕掛ける罠の数々。ちょっとムリ

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    2009年10月04日
  • 小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏

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    映画・Tvの元気だった頃、浅草演劇からTVに出て行った芸人について触れている。特に渥美清についての逸話が新鮮であった。

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    2025年04月16日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    第2弾。本家の内容はすっかり忘れてしまったけれど、それでも江戸川乱歩と太宰治のお話は良かったと。

    で、今回あらためて江戸川乱歩の面白さを認識した。
    太宰治はそこそこ読んでいるけれど、ミステリー好きなのに、乱歩はほとんど読んでない。

    これからのんびりと読んでみようと。
    春になったら、古本屋さん巡りに出かけよう。

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    2025年02月26日
  • 私の東京地図

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    「東京」というけど、皇居の西と東、江戸・戦前・戦後、住んでるか仕事場か・・・人により全然違うもの。
    そして、時代を現代にソートしてみても、メディアで一括りに語られる「東京」と、個人的な「東京」もまるで違う。僕の好きなJリーグでいえば、FC東京もあれば東京ヴェルディという東京を冠した2チームはバチバチのライバルである。
    作者の「私は東京をあまり知らない」という書き出しは、そういうことなのだと解釈しました。東京の全てを知ることはできないし、知る意味もあまりない。だから『私の東京地図』なのだ。
    僕の知らない東京がたくさん書かれていた。

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    2023年09月17日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場する本の原文が集められていて、いろんな本の入り口として触れるにはとても良い本でした。

    普段詩を読まないので寺山修司や木津豊太郎の詩を読めたのと、意外と読まないシェイクスピアに触れられたのがよかったです。

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    2023年02月12日
  • とりあえず、本音を申せば

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    高島俊男さんが
    「小林信彦さんはおもしろいねぇ」
    としみじみおっしゃっていたことを
    思い起こす。

    2020年の世相を小林信彦さんの
    視線、感性で綴られておられる
    「週刊文春」の名コラム集

    少し前のことであるのに
    なんだか ずいぶん遠い昔にあった
    ことのように感じてしまう
    それだけ 世の中の出来事の
    移り変わりの速さが加速している気がする

    私自身は 小林信彦さんの「辛口」度が
    大好きです。

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    2022年05月25日
  • 日本橋に生まれて 本音を申せば

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    ネタバレ

    細かい感想と評伝がたくさんあって、それがおそらくもうあり得ないくらい遠くて、でも今につながっている。昭和が遠い。昭和は長い。平成は昭和の半分、令和もそろそろ5年。

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    2022年05月02日
  • 生還

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    大病された事を知らず、タイトル買い。「怪人オヨヨ大統領」書いた方が!後遺症無く、 文を書けるように戻れて良かったと感じました。

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    2022年03月03日
  • とりあえず、本音を申せば

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    ネタバレ

    いろんな人のエッセイ読んだけど、一番コロナについて(政治批判も含めて)書いてあったわ。
    安倍嫌いは相当のもの。うなづける部分も多々あり。
    そして著者の交友関係の広いことにも驚く。
    なんと江戸川乱歩の葬式に出たとか(一緒の時代を生きてたのに驚いた)私の好きなえみちゃん(上沼恵美子)のことも褒めてるし、中野翠氏とも繋がっているのね。
    1時から放映されてるBSプレミアムの映画も楽しみにしてるとこも親近感。
    黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」も観たくなった。
    志村けん、渡哲也、柄本佑、宍戸錠、坂本九ちゃんのも言及してあり、読み応えじゅうぶん。

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    2021年05月25日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    江戸川乱歩、他『栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック』角川文庫。

    三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場した古今東西の名作集、第2弾。残念ながら今回も抜粋作品が多い。

    江戸川乱歩の『孤島の鬼』『黄金仮面』『江川蘭子』は抜粋。全文掲載は『押絵と旅する男』と『二銭銅貨』の2編。中でも『二銭銅貨』は傑作中の傑作。この時代にこれだけのレベルの暗号ミステリが創られたとは信じられない。何度読んでも面白い。

    小林信彦の『冬の神話』、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』『ハムレット』も当然の如く抜粋。

    小沼丹の『黒いハンカチ』は江戸川乱歩と同じような系統の小気味良いミステリー。時代を感じつ

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    2018年10月30日
  • 素晴らしい日本野球

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    10の短編それぞれで、少しずつ違った手法で著者を笑いに引き込みます。
    ただ、その方法がときに実験的過ぎ、また元々かなり難度の高い(マニアックな)パロディを得意とする人だけに、何処まで付いて行けたのかが気にかかるほどの作品です。
    「素晴らしい日本野球」には別の思い出がある。日本通を気取るフラナガンが無茶苦茶な日本野球論を語るおかしさなのだが、この作品が発表された当時、パロディーと気がつかなかった某大学教授が、真面目な反論を私の読む地方紙に掲載してしまった。実はこの作品を知ったのはこの新聞記事が先で、後から原作を読むことになってしまった。内容はともかく、誰も新聞記事を止めようとしなかったほど

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    2017年11月08日
  • 怪物がめざめる夜

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    年末の大掃除で、我が家で“発掘”された“積ん読”本を読んだ。面白かった。
    買ってすぐ読んでいたら、より面白かっただろうなと思う。
    HP・メール・ツィッター・Facebookを誰もが利用する現代で、もし、この物語が展開されたら、もっともっと恐ろしいことになる……。

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    2017年08月28日
  • 怪物がめざめる夜

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    ホラーのカテゴリにしてしまうと、構えてしまうかもしれない。この本を初めて読む人は、そこまで構えなくてよい。ワタクシの場合「純文学書きおろし」という宣伝文に完全にだまされたクチである。

    放送作家とジャーナリストが「架空の怪物」を作り上げていき、それが本物になり、作った当事者を襲い始める。怪物は架空の人物なのか実在の人物なのか、それに憑依した何かなのか、はたまたそこを取り巻く大衆心理なのか。襲ってくる恐怖も見えるものから見えないものになっていくあたり、現在のネットを絡めた話ではないかと錯覚する。

    オウム真理教事件より3年前、ましてやインターネットが出来るよりも5年ほど早く、こういう恐怖を描いて

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    2015年01月10日
  • 伸びる女優、消える女優

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     舞台や映画関連の仕事と関わりが深くなってきた昨今、本書のタイトルを目にした瞬間「これは面白い視点の本のようだなぁ」と購入を瞬決した一冊。女優論を展開した本だとの思いがあったわけだが、購入して見ると、この文庫、週刊文春に連載されていたエッセイ49編に女優を巡って品田雄吉と行った対談、それにタイトルとなった小文をまとめたものと知り、ちょっと拍子抜け。しかし、いざ読み始めると、軽妙なエッセイながら味わい深いものばかりで一気に読み上げてしまった秀逸な文庫でありました。
     前半は女優・俳優・監督などに視点を置いた映画関連の話、後半は物書きとしての日本語関連の話をまとめ、全体を通して時事問題にも触れてい

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    2014年02月21日
  • 森繁さんの長い影

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    4年前の週刊誌連載のクロニクル。4年前に民主党の政権獲得が有ったのは覚えているが、新型インフルエンザのことはすっかり忘れていた。同じ話題の繰り返しと、ぼやきが多いのが少し気になるが、このシリーズが、当分の間読めるのはうれしい。映画と喜劇に関するこの人の目利きぶりは、相変わらず凄い。

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    2013年08月16日