小林信彦のレビュー一覧
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大学入学後数年の間に買うだけ買って読まずに放っておいた文庫本のうちの二冊。両方とも古本だが、『紳士同盟』の方、今はなき江古田青柳書店の店主の手癖による値段が残っている。竹島書店、いいお店だったなぁ。
今更こうした本にコメントを記すといるのもちょっと恥ずかしい。
「コン・ゲーム」という言葉が小説の中に頻出する。このシリーズが話題になったにもかかわらず日本語として定着しなかった。「コンフィデンス・ゲーム」、「信用詐欺」のことなのだが、カモられた人がカモられたと気付かれないようカモる、という詐欺哲学を有する長島老人の下に集まった男達がノルマ目指して知の限りを尽くして仕掛ける罠の数々。ちょっとムリ -
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Posted by ブクログ
ネタバレいろんな人のエッセイ読んだけど、一番コロナについて(政治批判も含めて)書いてあったわ。
安倍嫌いは相当のもの。うなづける部分も多々あり。
そして著者の交友関係の広いことにも驚く。
なんと江戸川乱歩の葬式に出たとか(一緒の時代を生きてたのに驚いた)私の好きなえみちゃん(上沼恵美子)のことも褒めてるし、中野翠氏とも繋がっているのね。
1時から放映されてるBSプレミアムの映画も楽しみにしてるとこも親近感。
黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」も観たくなった。
志村けん、渡哲也、柄本佑、宍戸錠、坂本九ちゃんのも言及してあり、読み応えじゅうぶん。 -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩、他『栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック』角川文庫。
三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場した古今東西の名作集、第2弾。残念ながら今回も抜粋作品が多い。
江戸川乱歩の『孤島の鬼』『黄金仮面』『江川蘭子』は抜粋。全文掲載は『押絵と旅する男』と『二銭銅貨』の2編。中でも『二銭銅貨』は傑作中の傑作。この時代にこれだけのレベルの暗号ミステリが創られたとは信じられない。何度読んでも面白い。
小林信彦の『冬の神話』、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』『ハムレット』も当然の如く抜粋。
小沼丹の『黒いハンカチ』は江戸川乱歩と同じような系統の小気味良いミステリー。時代を感じつ -
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10の短編それぞれで、少しずつ違った手法で著者を笑いに引き込みます。
ただ、その方法がときに実験的過ぎ、また元々かなり難度の高い(マニアックな)パロディを得意とする人だけに、何処まで付いて行けたのかが気にかかるほどの作品です。
「素晴らしい日本野球」には別の思い出がある。日本通を気取るフラナガンが無茶苦茶な日本野球論を語るおかしさなのだが、この作品が発表された当時、パロディーと気がつかなかった某大学教授が、真面目な反論を私の読む地方紙に掲載してしまった。実はこの作品を知ったのはこの新聞記事が先で、後から原作を読むことになってしまった。内容はともかく、誰も新聞記事を止めようとしなかったほど -
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ホラーのカテゴリにしてしまうと、構えてしまうかもしれない。この本を初めて読む人は、そこまで構えなくてよい。ワタクシの場合「純文学書きおろし」という宣伝文に完全にだまされたクチである。
放送作家とジャーナリストが「架空の怪物」を作り上げていき、それが本物になり、作った当事者を襲い始める。怪物は架空の人物なのか実在の人物なのか、それに憑依した何かなのか、はたまたそこを取り巻く大衆心理なのか。襲ってくる恐怖も見えるものから見えないものになっていくあたり、現在のネットを絡めた話ではないかと錯覚する。
オウム真理教事件より3年前、ましてやインターネットが出来るよりも5年ほど早く、こういう恐怖を描いて -
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舞台や映画関連の仕事と関わりが深くなってきた昨今、本書のタイトルを目にした瞬間「これは面白い視点の本のようだなぁ」と購入を瞬決した一冊。女優論を展開した本だとの思いがあったわけだが、購入して見ると、この文庫、週刊文春に連載されていたエッセイ49編に女優を巡って品田雄吉と行った対談、それにタイトルとなった小文をまとめたものと知り、ちょっと拍子抜け。しかし、いざ読み始めると、軽妙なエッセイながら味わい深いものばかりで一気に読み上げてしまった秀逸な文庫でありました。
前半は女優・俳優・監督などに視点を置いた映画関連の話、後半は物書きとしての日本語関連の話をまとめ、全体を通して時事問題にも触れてい