富野由悠季のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
完結。1巻に比べ更に一歩奥へすすんだ独自の解釈を表現してきている印象。劇場版Zに移っていない部分をTV版ZのみならずCCAまでの宇宙世紀シリーズ全体を視野に入れて構築されているのが非常に魅力的。劇場版にない部分をそれまではTV版の解釈でやっていたのに更にオリジナルで展開することもあり、一部やりすぎという印象を受ける展開もあるものの、映像作品をこれ異常ないくらい尊重して創られているため納得させられてしまう。
特にディジェに注目してなぜアムロがガンダムに乗らないのかという部分を題材として扱う回なんかは作者の視点が鋭すぎて敵わない。アムロの立ち直り時期としてもシャアのクワトロ期としても、「その時期の」彼らという視点がよく現れている。
良い意味で問題作なので、作者の考えが読み取れなくても納得できるように各話に対する作者インタビューが効果的。
巻末の声優インタビューも魅力的な作品であることを保証しているし、ガンダムシリーズのサイドストーリー物としては最高級のものだと思える。宇宙世紀シリーズが少しでも好きな人は必読すべきである。 -
Posted by ブクログ
一冊ごとに何かしらハッとさせられるシーンが存在する物語。
今回は現代の日本の姿がジオン共和国に投影されていることに気がついてハッとなった。
ジオン共和国の兵士の鬱屈はまさに某タモ神のソレだったと思う。
ミネバのジオン兵に対する一喝はオタメゴトでしかないのは分かるが
だからといってそれらの事象を切り捨ててるのは、むしろ楽な方への逃げのような気がした。
バナージの「みんなのため」という青臭くも直感的な叫びは
ジュドーを彷彿させるもので心地よかった。
フロンタルの現実路線は彼がシャアではないことの証明だろうと思う。
じゃあ、彼は一体ナニモノ?
人間なのかい?
次で終わり? -
Posted by ブクログ
原作ではあまり語られていないニュータイプ観にこの時点からより突っ込んでいるのが最も違いとして印象的。本編で分かりにくいところがどんどん具体化されていくため原作ファンにはたまらないと思える。
脱出用コアブロックの成立理由を立てたりジムの活躍で盛り上げたりとメカニック設定の面でもツボを抑えてくる。
ジャブロー到着の盛り上げ方やミライとブライトの関係、ウッディ大尉の活躍、セイラの動揺と魅せ方の面でも丁寧で心情をつかみやすいため原作以上に話をつかみやすい。
ジャブロー戦自体では子供たちの爆弾処理の回とジャブロー内での戦闘を直結させることでテンポが良い。またシャアだけが有能に見えたり、アムロとシャアのお互いの認識の仕方に差をつけたりと興味深い魅せ方をしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアニメは小学校の頃に見たし、劇場版も見ていたから知っていたけど、ラストシーンに近づくにすれてバッタバッタと登場人物が死んでいく。
でも、ラストはアニメ版とも劇場版とも異なっていた。
富野由悠季がガンダムで伝えたいことって何なのだろう?
根底としてあるのは、いつでも人種差別問題。アースノイドとスペースノイド。母なる星に住むアースノイドは、宇宙へ暮らすスペースノイドを見下す傾向にあり、その反発が戦争に変わる。戦争を起こす両者に正義があり、そして協調がない大人たちは両者が互いに敵となる。
それと、その戦争に巻き込まれる少年。その少年は少年であるがために、純粋な子供気持ちがあり、また大人たちに現実を突きつけられて、その狭間で足掻いていく。足掻きながら新しい道、人が建前でなく直感的に理解し合える、分かち合えるニュータイプという存在に覚醒していく。
しかし、結局はそれも戦争の道具として消費されて消えていく。誰かの記憶に残りながら。
現実と理想と可能性、そして相対的に見れば変わらない、しかし、絶対的に見えれば革新している、そんな現実をイメージさせようとしているのかな。
飛躍しすぎ?
内容は十分に面白かった。
エゥーゴ、ティターンズ、アクヒズと互いに牽制し、策略を企て、三つ巴の戦いになっていく。
その最終戦で次々と死んでいく。悲劇の主人公ジェリドも最後にニュータイプに覚醒したように思えるが、それに上回る急成長を遂げたカミーユに無残にも敗北する。
カミーユなどの兄貴分であったアポリー中尉も戦死。カツも脱出ポッドに攻撃され、潰されて死亡。エマ中尉も死亡。エマ中尉が「まだ恋をしていない」と死に際に思ったことはアニメ版や劇場版では読み取れなかった。
戦争中に 「・・・みんな死んでいく・・・。こんな死に方・・・嬉しいのかよ!満足なのかよ!誰が・・・誰が喜ぶんだよーーーー!」 とカミーユが叫べるのも大人に成りきれていない、戦争に利用されているためなんだろうな。