梨とりこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
BLとしてはかなり硬派。重いです。巷でもマスコミを騒がせる麻薬がらみの話なので、当然といえば当然ですが、ヘビーな内容です。
ですが、薫登場のシーンは明るくて、微塵の不安も感じ取ることはできない仕掛けになってます。就活する薫が満員電車で運命の出会いをする場面は、とても印象的。憧れの職業と、憧れの先輩大曽根への思慕が、淡々と描かれていて、時折挟まれる暗澹とした心理風景がもの凄く暗くて、どす黒くて、そのギャップに衝撃を受けます。
下手に頭が良いだけ、ほんとどうしようもない井原は、薫の暗黒過去の元凶なんですが、この二人の救いようのない関係が話の殆どを占めています。壮絶だし、リアルに迫るものがあるし、 -
Posted by ブクログ
上下二巻完結。
足かけ9年、構成が取れた内容のある話だった。
常々、物語とは縦糸と横糸で作られていると思う。
縦糸は物語の構成やストーリー。横糸はその時々の登場人物の関係や感情。
描き手はやはり得手不得手があって、どちらかだけが突出している場合が多い。
もちろんそれはそれで面白いんだが、どちらかの糸が抜けていると、全体の形は脆くなってしまう。
BLに限らず、女性が描く恋愛ものって感情面は凄く丁寧に描かれているのに、構成やストーリー性がないものが多いと思う。
その点、木原さんの作品は縦糸・横糸のバランスが非常に上手い。
恋愛だけではなく、ストーリーを楽しめる作家は非常に貴重。
上巻は割と -
Posted by ブクログ
芸人シリーズ。
初めての講談師。
パワハラでメンタルがぼろぼろだった受けが、誘われるままに入っ楽しみ講釈場で聞いた講談に号泣する。
その後、その時に読んでいた講談師の追っかけを経て自分も講談師になるべく入門する。
会社員時代に痩せ細った身体も少しずつ回復してきて最初に習う軍団も覚えている途中である。
久我先生の作品は漫才や落語、そして今回は講談と、他の先生の作品には無い世界が描かれていて、私は元々詳しくないけれどその世界の事が分かりやすく描かれていて良かったです。
でもどうしても恋愛部分が後から付いてくる感じで、今作はそれが顕著でした。受けが自分の気持ち(恋愛)に気づくまでも時間が掛かった