真藤順丈のレビュー一覧
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真藤順丈の宝島を読みました。
終戦後、返還前の沖縄が舞台です。
アメリカの倉庫から物資を盗む戦果アギヤー、ねずみ小僧のように恵まれない人に物資を置いていきます。
その、英雄がオンちゃんで、そのオンちゃんを慕う三人の物語です。
オンちゃんが好きなヤマコとレイとグスク
ヤマコは女給から先生になり、レイはヤクザ、グスクは警官とそれぞれの道を歩んでいきます。
米軍の兵士の治外法権のような理不尽なことは、当時本土にも伝わってきましたが、ニュースでは傍観者のようでしたが、この本を読むと当事者の憤りが伝わってきました。
451ページはなかなか読み応えがありました。
お勧めの本です。 -
購入済み
とにかく勢いがある
いろいろな問題点も目につくが、とにかく勢いがあって終盤のクライマックスへの盛り上がり、迫力が凄まじい。史実上の実在の人物を交えてリアル感を出しながら、沖縄独特のファンタジー要素を交えた、虚実一体の作りがすばらしい。ただ終結部分、伏線を回収して謎解きをするのはいいが、ファンダジーっぽくなってしまったのは、やや残念である。
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「夜の淵をひと廻り」真藤順丈
うっわ〜〜‼︎ びっくりでした。
お・も・し・ろ・い〜〜と呟きながら一気読み。本のグループの方からの紹介で手に取った作品です。シンドウジュンジョウさんと読むのですね。もちろん初読み作家さんでした。
『驚愕のサイコ・ミステリ』って、ネットにはありました。サイコといえばサイコでもあるけど、私自身は、かなりユーモアのある作品だと思いました。もちろん、かなり酷い事件もあり、ブラックではあるのですが。なんといっても語り口が面白い‼︎
9つの連作短編なのですが、そのうち、4つは書き下ろしです。
1作目の『蟻塚』も書き下ろしなのですが、ワタクシは、もうこの1作目で、ガシッ -
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毎年夏、三出版社による文庫まつりをものすごく楽しみにしている。
今年はどの文庫がエントリーされるのか、6月に入るともうワクワクソワソワしてくる。
本来は、夏休みに入る高校生を中心とする若い人たちが対象なのだろうが、私にはそんなことは関係ない。
読んだことのない作家の作品に触れる絶好のチャンスなのだ。
真藤順丈さんもその一人。
今まで読んだことがない上に、今年(2019)のカドフェスにエントリーされたのがデビュー作だったので、迷わず購入リストに加えたのだった。
いやいやいやいや、なんだこれは。
頭をぶん殴られて目を覚まさせられたような。
でもずっと夢を見ていたような。
物語に没入している途 -
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「日本の根幹を支える農業・林業・畜産を描く絆と再生の物語」
などという帯文から堅苦しい内容を想像してたらとんでもない!
中身はエンターテイメントに徹した、ロック魂炸裂のクライムノベル。
離農を考える二十代後半の農夫・林野省の役人の若い女性・牧場の手伝いにくる小学生の視点でそれぞれ語られているのだが、一人称視点の文体が全く違い、引き出しの多さに驚かされる。私は特に「第二次間伐闘争」の女性支点の、ニュートラルでポエティックな文体が好みだった。
キャラクターも立ちまくり!村中から頼りにされる最強の農夫(70目前)をはじめに、後家や古女房にモテまくりの色香匂い立たせる美青年、補聴器の上からヘッドホン -
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ネタバレ真藤順丈氏の2008年、第15回日本ホラー小説大賞作を加筆訂正した2010年文庫版。
とにかく感動的なこの作品がホラー小説とされているのは、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』が少年チャンピオン・コミックスでは当初「恐怖コミックス」とジャンル分けされていたのと同じ理屈でしょうね。
『ブラック・ジャック』の少年チャンピオン・コミックスでのジャンル分けが内容に即して「ヒューマンコミックス」になったならば、この作品もヒューマン小説でしょうかね。
この作品をホラー小説とするのは、ホラー小説を期待した人にも不誠実だし、この感動的な作品に対しても不誠実だという気もします。
ザック・スナイダー監督のホラー映 -
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2011/11/19。ホラー小説大賞受賞作。遺体の骨や皮や脂肪などを使って遺族のための日用品を作る『遺工師』という架空の職業がでてきます。遺体を解体するとこはスプラッタな、グロい描写。しかしホラーなのは、この職業にまつわる部分くらいで、ストーリーとしては家族愛というか、あたたかみを感じるとこがあり、いい意味で裏切られた作品でした。
ホラー小説大賞ということで"怖さ期待"を持ってみんな読むと思うから、怖さという意味では評価は低いかも。
でも興味深いテーマだし、三兄弟のキャラクターとストーリーが良かった。読後感はサッパリとした感じ。すごく印象に残る作品。スプラッタが大丈夫なひ