あらすじ
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まるが、かつてない難しい依頼が舞い込んで!? 第15回日本ホラー小説大賞受賞!
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Posted by ブクログ
真藤順丈氏の2008年、第15回日本ホラー小説大賞作を加筆訂正した2010年文庫版。
とにかく感動的なこの作品がホラー小説とされているのは、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』が少年チャンピオン・コミックスでは当初「恐怖コミックス」とジャンル分けされていたのと同じ理屈でしょうね。
『ブラック・ジャック』の少年チャンピオン・コミックスでのジャンル分けが内容に即して「ヒューマンコミックス」になったならば、この作品もヒューマン小説でしょうかね。
この作品をホラー小説とするのは、ホラー小説を期待した人にも不誠実だし、この感動的な作品に対しても不誠実だという気もします。
ザック・スナイダー監督のホラー映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』を観て「CJ、お前に感動させられるとは思わなかったよ」と同じように、口汚くて凶暴な庵堂三兄弟の三男・毅巳には感動させられました。
心のどこかで不幸な展開を期待していた自分が恥ずかしくなりましたよ。
Posted by ブクログ
真藤順丈さん大ファンです!
この作品はもうすぐ10回目になるくらい読み込んでます!
妹にも読ませた所、ラストシーンで号泣してました。
架空の職業を本当に存在しているかのような表現には驚きました。
ホラー作品というより、ドキュメントに近いです。
私の出会った中で最高の作品です!
Posted by ブクログ
2011/11/19。ホラー小説大賞受賞作。遺体の骨や皮や脂肪などを使って遺族のための日用品を作る『遺工師』という架空の職業がでてきます。遺体を解体するとこはスプラッタな、グロい描写。しかしホラーなのは、この職業にまつわる部分くらいで、ストーリーとしては家族愛というか、あたたかみを感じるとこがあり、いい意味で裏切られた作品でした。
ホラー小説大賞ということで"怖さ期待"を持ってみんな読むと思うから、怖さという意味では評価は低いかも。
でも興味深いテーマだし、三兄弟のキャラクターとストーリーが良かった。読後感はサッパリとした感じ。すごく印象に残る作品。スプラッタが大丈夫なひとには、オススメしたいな。
Posted by ブクログ
ホラー作品らしくちょっとグロい描写がちらほらある作品。
でもすんなり読めたし同作者の他の作品と違ってラストもイイ感じ。
面白かった。
難しいとは思うけど、映像化したら見てみたい作品だと思った。
映画か深夜ドラマとかどうだろう?
Posted by ブクログ
角川ホラー文庫なんて所からだすからいかんのだ。
もっと爽やかな兄弟の再生物語だ!って思います。
まぁ、家業が死体加工で無ければ。
それ込みで読んでも、良い兄弟だなぁって、温かくなれますよ。
Posted by ブクログ
第15回日本ホラー大賞受賞作、角川ホラー文庫化。
オビのコメントに平山夢明氏が寄せていますが
それも分かる気がします。
遺体を解体して「遺工」なる製品を作り出す一家の
3兄弟を軸にした相当に歪みきった青春小説。
当然、遺体を解体するシーンなどは王道の
ケチョケチョのスプラッタなんですが、そこには
猟奇的な視点はなく、あくまでも職人目線で淡々と
描かれている為、ホラー的な恐怖や嫌悪感を
感じさせないのは平山氏の「DINER」に近い。
3兄弟中、一番エキセントリックな三男の「毅巳」
のキャラが壮絶でなんとも切なくなってきます。
彼が愛する女性に渡した自分の口汚い言葉を
「変換」した手紙には、正直苦しく切なく、
ホロリとしそうになった。
そんな俗世離れした奇妙な兄弟達の業や苦悩を
乗り越える過程をこんな方法で描くなんて到底
自分のような人間には発想すらつかない。スゲーなー。
Posted by ブクログ
死者の弔いのため、遺体を解体し様々な製品を創り出す「遺工」を家業とする庵堂家。
父の七回忌を機に、長男、正太郎のもとに久々に集まる次男の久就と三男の毅巳。
「遺工」で創りだされるのは、櫛や茶碗や箸、財布などなど、日常的に目にする身近な物ばかりだ。
最近では、遺骨をダイヤモンドに加工する技術もあるのだから、近い将来は箸や茶碗に姿を変えていつでも家族を見守ることが出来る、なんてことがあるかも知れないな~。
ある事件をきっかけに三人で最初で最後の仕事をすることになる。
解体シーンは、なかなかのスプラッター激しめでグロだが、グロ以上に三兄弟のキャラクターに愛着がわいてくる。
この感じはグロの巨匠平山夢明に、通ずるものがあると思っていたら、解説が平山さんで解説だけ読んでも面白い。
ホラー要素は無かったが彼の「宝島」も読んでみたい。
Posted by ブクログ
いまや直木賞作家となった著者の手による初期作。ホラー大賞受賞だから、それなりのクォリティは期待できるけど、本作もなかなか。読み始め、死体損壊のグロいだけの物語かと思ったら、なかなかそうは問屋が卸しません。さすがというべきか、読み始めの印象とは違う展開を見せ、何だか芸術の域にまで上っていく。グロテスクだけど不思議な印象の佳作。
Posted by ブクログ
少なくとも私の基準の中では、"ホラー"、という要素は微塵も感じられないので、受賞に限って言えば、それがふさわしいかと訊かれると甚だ疑問だが、とても"上手い"小説であることは間違いない。
"遺工師"なる架空の職業を創り上げ、出てくるキャラクターはブッ飛びまくり、そして思わず顔をしかめてしまうドぎついスプラッター描写がてんこ盛り、と、これだけ見ればどこにも着地できない迷い子になってしまってもおかしくない設定だが、そこにきっちり家族の絆といったベタなドラマも放り込みながら、作品として見事に昇華させている。
死体をバラしていく工程のディテールなんかはどうやって取材したんだろう…、と気になったり。
ただラストは個人的にはちょっとやり過ぎたんじゃないか、という感がある。
締めに向けてインパクトを重視したい気持ちも分からないではないが、もっと抑制を効かせた展開の方が読後感は厚くなったのではないだろうか。
文庫版解説の平山夢明氏はなんだかピッタリ。
1つ、細かいことだが保釈に関する記述で明らかな事実誤認があるのが気になり、残念。
単行本ならまだしも、文庫にするなら誰か気付かないと。
Posted by ブクログ
2015年、6冊目。
真藤順丈初読み作品。
第15回日本ホラー小説大賞受賞作。
遺体を用いて生活用品を創る「遺工士」という架空の職を生業とする「庵堂家」の男三兄弟の物語。
家業を継いだ長男。家を出、東京でサラリーマン生活をおくる次男。知人の葬儀会社で働くも、暴力衝動を抑えきれずにいる三男。三人は先代である父の七回忌を前に、久々に顔を揃える。
コレを
「ホラーか?」と問われれば。
「No!」と答えるでしょう。
「では、何か?」と質問を重ねられたら。
「エンターテイメントなヒューマンドラマだ!」と答えるでしょう。
「遺工士」という職業柄、スプラッター場面は度々出てくるが、ソレがメインで話が展開して行くのではない。
「生」と「死」が密接に交わる、特殊な環境下での家族(兄弟)再生と成長。それが、三兄弟それぞれの視点を行き交いながら、ホラーはもちろん、喜劇も、悲劇も、ヴァイオレンスも、絡めて進んでいく。
そして、たどり着くのは……。
読後感としては、平山夢明『DINNER』に近いかな?!
……、と思っていたら、巻末解説は、その平山夢明というサプライズのオマケまで付いてきた。
そこまで含め、折に触れ、読み返したくなるであろう作品。
Posted by ブクログ
グロテスクな描写が続くわりに、生理的な嫌悪感は全くわかなかった。ホラー小説なので、それが良いことなのか悪いことなのかは微妙なところ?ホラー&グロテスクというよりは、変人気味の兄弟の話として捉えた。悪趣味と思ってはいても、さおりの剥製を一目見たい。
Posted by ブクログ
平成22年8月25日初版発行。。。ま?ま。
ホラーなのか、そうか。
三人兄弟の話。三兄弟だから、まぁそうなのだが。
全体通すと次男が主人公かと思うのだが、ドラマなところは長男と三男のスポットに太さがあったり。
とはいえこの分量で散らかっているとか半端な感じはなく、大賞受賞作らしい読ませる作品。
長男→インサイダー
次男→バランサー
三男→アウトサイダー
ふむ。
Posted by ブクログ
読み終わった一番最初に感じたのは、はたしてこれはホラー小説なのだろうかという疑問だ。
確かに描写はホラー小説的な部分もある。
刺激的か?と聞かれたら「かなり」と答えるだろう。
でも、ホラー小説か?と聞かれたら答えに迷う。
一度は挫折して投げ出した物語だった。
時間を置いて再度挑戦したのだけれど、何故か今度は最後まで読み通すことが出来た。
もしかしたら読みきれるだけのエネルギーを必要とする物語なのかもしれない、と少しだけ思ったりもした。
Posted by ブクログ
第15回ホラー小説大賞受賞作(2008)ですが、少しも怖くないです。三兄弟の<聖職>がグロいのだが、体の解体とかがあるにせよ職業としての作業であり、法医学の解剖と同じ事だ。法医学の解剖はもちろんホラーにはならないし、架空の職業という点で、なんとかホラー小説と呼べるかなというとこ。
もちろん殺戮するだの、暴行するだの派手な話は全く無く、そういうのを求めている人はつまらないと思う。
遺工師という架空の職業の設定は面白いが、いっこうに物語が進展しないので、もしかしてアイデアだけで終わるの? と、危惧したりもした。が、117ページから黒塗りのリムジンとともに物語が動いていく。そしてなかなか熱いドラマがあり、最後は怒涛の展開で、感動有り、エグいシーンありで、なかなかGood。三人が目的に向かって働いているところの描写がとてもよかった。
中盤から終盤だけなら佳作の部類に入ると思う。家族の再生の物語として楽しめる。
ホラー的な楽しみも少しはあるかも。
最後には、読んでよかったと思えた作品です。
ただホラー小説大賞は「粘膜人間」と逆が正解じゃないかな。こっちが長編賞くらいだと思います。
Posted by ブクログ
読む前の注意としては、食前食後30分以内は読まない方がいいかも、と
想像力は部分部分使わないで下さい、という事でしょうか?
死体を遺族の意向によって加工する生業を父親に持った三兄弟。
7回忌にようやく全員集まった三兄弟の
14日間…と、おまけ? な日々。
三人兄弟の視点で、くるくると変わっていきます。
とりあえず、長男は父親の職業をついでいるので
そちらの視点に行くと、もう想像力は使わないで下さい状態。
思わず細部を考えてしまって、叫びたい気持ちでした。
そこまで想像してしまった脳内にも叫びたいですがw
兄弟の謎に、仕事の謎に、自分達がどうすればいいのかという謎。
一番切実に困ってそうなのは、二男でしたけど…。
それほどにも仕事合ってないのなら、次がどうの言う前に
辞めた方がいいかと。
が、せめて連絡はしましょうw
ある意味、全員が全員一途ではありますが
何か方向間違ってる気がします。
Posted by ブクログ
ホラー小説大賞ということと、表紙の見た目に惹かれて購入。
「遺工」という架空の職業のことを書いているのに、リアリティがあって、最初は死者の骨で櫛を作ったりするなんて・・・って思っていたのに、
中盤で登場するお客さん(おじいさん)の台詞で、絶対におかしいことを言っているけど遺族としては凄く真剣で、死んでも一緒にいたい気持ちが伝わってくる。
亡くなった奥さんの骨で作った日用品に囲まれて最後まで一緒にいたいんだな、と。
あとは、汚言症という謎の病気持ちの三男が割りと良いとこ取っているかんじ。
次男は主人公っぽいけど語り部的な役割しかなくて本人の印象は薄い。
長男は一番常人離れしてて“そういうもの”としか思えないというか・・・。
死体を扱うせいで、全体的にグロいし、三男の汚言症のせいで汚い言葉使いが多いけど、さらっと読むにはいいかんじ。
でもホラーじゃない気がする。
Posted by ブクログ
一応ホラーらしいけれど、私にはどうにも『グロ』とか『スプラッタ』にしか・・・。
これが、本当にある職種でなく、全部作者が考え出した職種と職の工程であるという部分は驚き!
しかしあまりにリアルでゲンナリ。
中盤までは良かったんだけど後半からなんか、『おいおい、盛り込みすぎじゃね?』っていう展開になり、読み切りましたが、中々ハードで面白いかとは違った意味で凄い作品でした。