あらすじ
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まるが、かつてない難しい依頼が舞い込んで!? 第15回日本ホラー小説大賞受賞!
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Posted by ブクログ
真藤順丈氏の2008年、第15回日本ホラー小説大賞作を加筆訂正した2010年文庫版。
とにかく感動的なこの作品がホラー小説とされているのは、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』が少年チャンピオン・コミックスでは当初「恐怖コミックス」とジャンル分けされていたのと同じ理屈でしょうね。
『ブラック・ジャック』の少年チャンピオン・コミックスでのジャンル分けが内容に即して「ヒューマンコミックス」になったならば、この作品もヒューマン小説でしょうかね。
この作品をホラー小説とするのは、ホラー小説を期待した人にも不誠実だし、この感動的な作品に対しても不誠実だという気もします。
ザック・スナイダー監督のホラー映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』を観て「CJ、お前に感動させられるとは思わなかったよ」と同じように、口汚くて凶暴な庵堂三兄弟の三男・毅巳には感動させられました。
心のどこかで不幸な展開を期待していた自分が恥ずかしくなりましたよ。
Posted by ブクログ
平成22年8月25日初版発行。。。ま?ま。
ホラーなのか、そうか。
三人兄弟の話。三兄弟だから、まぁそうなのだが。
全体通すと次男が主人公かと思うのだが、ドラマなところは長男と三男のスポットに太さがあったり。
とはいえこの分量で散らかっているとか半端な感じはなく、大賞受賞作らしい読ませる作品。
長男→インサイダー
次男→バランサー
三男→アウトサイダー
ふむ。
Posted by ブクログ
第15回ホラー小説大賞受賞作(2008)ですが、少しも怖くないです。三兄弟の<聖職>がグロいのだが、体の解体とかがあるにせよ職業としての作業であり、法医学の解剖と同じ事だ。法医学の解剖はもちろんホラーにはならないし、架空の職業という点で、なんとかホラー小説と呼べるかなというとこ。
もちろん殺戮するだの、暴行するだの派手な話は全く無く、そういうのを求めている人はつまらないと思う。
遺工師という架空の職業の設定は面白いが、いっこうに物語が進展しないので、もしかしてアイデアだけで終わるの? と、危惧したりもした。が、117ページから黒塗りのリムジンとともに物語が動いていく。そしてなかなか熱いドラマがあり、最後は怒涛の展開で、感動有り、エグいシーンありで、なかなかGood。三人が目的に向かって働いているところの描写がとてもよかった。
中盤から終盤だけなら佳作の部類に入ると思う。家族の再生の物語として楽しめる。
ホラー的な楽しみも少しはあるかも。
最後には、読んでよかったと思えた作品です。
ただホラー小説大賞は「粘膜人間」と逆が正解じゃないかな。こっちが長編賞くらいだと思います。
Posted by ブクログ
ホラー小説大賞ということと、表紙の見た目に惹かれて購入。
「遺工」という架空の職業のことを書いているのに、リアリティがあって、最初は死者の骨で櫛を作ったりするなんて・・・って思っていたのに、
中盤で登場するお客さん(おじいさん)の台詞で、絶対におかしいことを言っているけど遺族としては凄く真剣で、死んでも一緒にいたい気持ちが伝わってくる。
亡くなった奥さんの骨で作った日用品に囲まれて最後まで一緒にいたいんだな、と。
あとは、汚言症という謎の病気持ちの三男が割りと良いとこ取っているかんじ。
次男は主人公っぽいけど語り部的な役割しかなくて本人の印象は薄い。
長男は一番常人離れしてて“そういうもの”としか思えないというか・・・。
死体を扱うせいで、全体的にグロいし、三男の汚言症のせいで汚い言葉使いが多いけど、さらっと読むにはいいかんじ。
でもホラーじゃない気がする。