あらすじ
しのびこんだ米軍基地で突然の銃撃。混乱の中、故郷(シマ)いちばんの英雄が消えた。英雄の帰還を待ち望みながら沖縄(ふるさと)を取り戻すため立ち上がる、グスク、ヤマコ、レイ。長じて警官となり、教師となり、テロリストとなった幼馴染たちは、米軍統治下の時代のうねりに抗い、したたかに生き抜こうとする。第160回直木賞、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞、三冠達成の傑作!
圧倒的熱量。
奪われた故郷を取り戻すため、
3人の幼馴染たちが米軍統治下の沖縄を駆け抜ける!
感情タグBEST3
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2018年直木賞(下半期)受賞作
1950年代の沖縄の物語
戦果アギヤーのリーダーでコザの英雄オンちゃん
オンちゃんの弟で荒くれ者のレイ
オンちゃんの親友でいい意味で普通のグスク
オンちゃんの恋人ヤマコ
埃っぽい情景が浮かぶ中で熱い人間模様が描かれる。ちょっと垣根涼介のワイルドソウルを読んだ時の感情を思い出したな
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ー われら沖縄人はみんな、いまのわたしやおまえとおなじ。呼吸もできずに青ざめているのさ。だがもっとたちが悪いのは、われわれが慣れる生き物ということでな。選択の自由のなさにも、海の底のように息苦しい生活にも慣らされて、地上に顔を出せばうまい酸素があふれていることも忘れてしまう。大切なのは、なにも疑問を持たない状態におちいらんことさ ー
ずっと、ヒリヒリする作品。
何かが起きそうな、何かを起こしたくなるような。
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最初は読みづらくて失敗したかなと思ったけど、どんどん没入していく感じがありました。
登場人物の汗が額にしたたる感じまで自然と想像ができる本で、映像としてみたいと思えました。
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沖縄の本土復帰前に、こんな悲劇が起こっていたとは…。
日本の復興は、多くの犠牲の上に成り立っていることを忘れないためにも、多くの人に読んで欲しい直木賞受賞の一冊だと感じた。
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直木賞受賞のニュースを見てから、ずっと読みたかったけど全然古本屋に出回らず後回しになっていた作品。
大好きな沖縄の暑さ、湿気までも伝わるとともに、知らぬふりをしていた戦後の沖縄の状況が痛いほど伝わった。
アメリカ人と結婚してアメリカに住んでいる私に出来ることはなにか考えさせられた。
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先日、沖縄に行ったこともあり贔屓目があるかもしれないが、非常に面白い上巻だった。沖縄の地理も頭に入っていたので地名が出ても、あのあたりかなと想像ができ、絵が浮かんできた。
戦果アギヤーと言われる戦後沖縄の英雄たち。オンちゃんを中心に、グスク、ヤマコ、レイの生き様が描かれる。アメリカの占領下での厳しい生活の中、内地に住む私たちの感覚と違う現地の人の心がよくわかり、彼らの矜持というものが垣間見えてくる。
灼熱の太陽に爽やかな南風。しかし、どこか悲しい空気が漂う沖縄と言う土地を感じた。
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真藤順丈の宝島を読みました。
終戦後、返還前の沖縄が舞台です。
アメリカの倉庫から物資を盗む戦果アギヤー、ねずみ小僧のように恵まれない人に物資を置いていきます。
その、英雄がオンちゃんで、そのオンちゃんを慕う三人の物語です。
オンちゃんが好きなヤマコとレイとグスク
ヤマコは女給から先生になり、レイはヤクザ、グスクは警官とそれぞれの道を歩んでいきます。
米軍の兵士の治外法権のような理不尽なことは、当時本土にも伝わってきましたが、ニュースでは傍観者のようでしたが、この本を読むと当事者の憤りが伝わってきました。
451ページはなかなか読み応えがありました。
お勧めの本です。
Posted by ブクログ
9月に映画を見てから読み始めた。
戦後の沖縄を舞台に、米軍に対抗しながら生きてきた沖縄人の慟哭が詰まった内容だった。
飛行機墜落のシーンつらすぎ…。
他にも辛いシーン、暴力的なシーンがたくさんある。苦手な方は要注意。
あーあ。なんか疲れたな。(いやな疲れではない)
届きそうで届かない英雄オンちゃん行方不明の真実。
後半に続く。
Posted by ブクログ
どんな小説か、言い表すのが難しい……!
戦後の沖縄で、若者たちが命を燃やして暴れまわる物語、といえばいいのか…
あるいは、「沖縄」というものに魂があるのであれば、それを描いているとでもいえばいいのか。
うまく言い表せないけれど、これは大作。
近年の小説の中で、これだけ骨太な物語を持つ長編は稀なのではないかなあ。
なんとなく村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』を彷彿とさせる。
主要人物たちの名前がカタカナだからなのか、彼らの倫理観がぶっ飛んでいるからなのか、物語の中でくりかえされる破壊と狂騒の熱量が似ているからなのか、、、
早く下巻を読んで、読み終わったらいま上映している映画も観てみたい。
Posted by ブクログ
いやいや、読んでいて想像できないくらい辛い。
沖縄の事はいろんなところで目にするが、学んだつもりだか、これは。。
積ん読の下の方にあって、私には読めないだろうと思った。でも幼なじみたちがそれぞれ警察官、教師、テロリストになると言う話は興味があって買ってしまったんだろうと。
映画化にもなると言うこと、戦後80年。目を背けてはいけない本。
移動中、一気に上巻読み終えて。
いや、辛い。
そんな陳腐な言葉しか出てこない私が情けない
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感想は下巻にて✎☡
✎︎____________
ふたつの目を開いて、命があるかぎりは走らんね。
生還こそがいちばんの戦果、だからおまえらはその命を持ち帰らんね。(p.42)
われら沖縄人はみんな、いまのわたしやおまえとおなじ。呼吸もできずに青ざめているのさ。だがもっとたちが悪いのは、われわれが慣れる生き物ということでな。選択の自由のなさにも、海の底のように息苦しい生活にも慣らされて、地上に顔を出せばうまい酸素があふれていることも忘れてしまう。大切なのは、なにも疑問を持たない状態におちいらんことさ(p.83)
おまえたち若いのはきっちりと刑期をつとめて、大手をふって社会に出ていかなくちゃならない。塀の外でのこれからの人生にこそ、おまえたちの本物の闘争が待っているんだからな。(p.147)
これからの闘争はどんな局面でも、玉砕であってはならん。生きて前進することでしか輝かしい〝戦果〟は得られん。それを世界のどの民族よりも知っているのが、われら沖縄人ではないかね(p.152)
この世界には、いったん転がりはじめたら止められないものがあるさ。貧乏とか病気とか、暴動とか戦争とかさ。そういうだれにも止められないものに、待ったをかけられるのが英雄よ。この世の法則にあらがえるのが英雄よ(p.156)
そもそも教養があって、法や人権を重んじられる人間は兵士に向いていない。素朴な田舎者をためらいなく敵を殺せる機械に変えるのが軍隊というところだから。(p.208)
この島にかぎっては、みんながみんなそうなんだよね。
自分だけやあらん。だれにでも大事な人を奪われた過去がある。
消えかけた希望を、離散や死別を、失った過去をひきずりながら。
それでもたいていの島民が、きちんきちんと日々の暮らしを営んでいる。
現実と向きあって、明るく、強く、生活や仕事に根を張っている。
それが大事なことだと知っているから。さもなければ過去の亡霊にとらわれて、死んだように生きることになると知っているから。
毎日生きなきゃならない。毎日生まれたばかりのように。(p.253)
おれは最近、思うんだよな。ほんとうに目の仇にしなくちゃならんのはアメリカーよりも日本人なんじゃないかって。デモで声を上げるのが民主主義の基本だなんて復帰協は言うけど、この島の人権や民主制はまがいものさ。本物のそれらはもうずっと本土のやつらが独り占めにしてこっちまで回ってきとらん(pp.306~307)
日本人だって無関心な人だけやあらん。本土にだってこの島の政策に異議を唱える人はいて、そういう人たちとあたしらの点々としたつらなりが、暗いところから見上げる星座みたいにだれかを励ますときがあるんだよ(p.308)
どんなときでも淘汰できないもの、君たちはそれをなにより大切にすることです──(pp.337~338)
魂を落としたならなんべんでも魂込めをしたらいいのさ(p.443)
恨みや憎しみで目を曇らせたらならんよ(p.444)
たびかさなる弾圧や戦争を生きのびた年寄りが口にする〝なんくるないさ〟に勝るほどの助言はそうそうあるもんじゃないさ(p.444)
Posted by ブクログ
5/22〜6/1
最初はちょっと読みにくく、「これは離脱コースかな…」と思ったけど60?ページあたり(キャンプ嘉手納らへん)から面白くなってきたぁぁああ!
それでも若干難しい場面はあったけど、日本人として考えさせられる場面もあり……
早く下巻読みたい〜〜
Posted by ブクログ
戦後の沖縄を舞台にした仲間4人のお話でした
沖縄って大変だったんだなと感じた
米軍相手の商売で成り立っていた感じかな
仲間たちはそれぞれ成長しそれぞれの道を行く
英雄の行方が気になってしょうがなかったです
生死もわからなかったし・・・
下巻も楽しみです
Posted by ブクログ
まだ沖縄が日本に返還される前の時代、
在日米軍の基地から物資を奪う戦果アギヤーと言われる集団。
そんな若者たちの魂の物語。
想像以上にエンタメ要素も盛り込まれ、引き込まれる内容だった。
英雄と呼ばれた戦果アギヤーはどこへ消えたのか?
読者を引き止めるしっかりとした謎を根底に、
当時の沖縄の現実をしっかりと描く構成力。
どれをとっても引き込まれる物語であった。
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伝説の戦果アギヤー、おんちゃんはカデナ基地を襲撃した後に行方不明になる。
行方を探るグスクとレイとヤマコ、アメリカーやヤマトへの怒りを胸に違う道を歩み、返還へと向かう時代を見つめ、最後におんちゃんが残した予想外の戦果の意味を知る。直木賞受賞の歴史エンタメ。
島津藩の侵略から現代に至るまで、日本政府やアメリカの統治の中で人と扱われぬ日々を生き、時代に翻弄される沖縄の人々の怒りを代弁したような、とても読み応えのあるお話でした。特に、返還では政治家の間で交わされた約束で、島民の悲願だった基地は残ると知った時のヤマトへの絶望とやるせなさ、それは現代までつながっているお話なのだと思います。まぎれもない宝島、その宝を吸い尽くして知らぬ顔を決め込む我らのなんと醜いことか。
これはもうもちろん佐古忠彦さんのカメジローシリーズ(映画)と一緒にどうぞ。
Posted by ブクログ
当時の沖縄にいた戦果アギャー、グスク、レイ、ヤマコ、そしてコザの英雄オンちゃんを中心としたミステリー。実際あった事件や人物も登場し、語り部(ユンター)を通した第三者目線から語られるストーリーは非常に新鮮に感じた。本土と沖縄の人の間にある意識の差など、沖縄問題に揺れる今だからこそ読むべき一冊だと感じた。
Posted by ブクログ
直木賞
山田風太郎賞
沖縄書店大賞
細谷正充賞
数年前に単行本に挑戦するが、読みづらく数ページであえなく断念。
映画化されたということで、再度手に取る。
全編、沖縄の語り部(ユンター)が語っているという形なので、正直読みやすいとは言えない。多くの言葉には沖縄弁のルビが振られており、それも読みにくさを増す。途中でまた断念しそうになった。
しかし、この書き方により、沖縄で起こっているという臨場感が感じられる。この本の作者が東京出身とは驚きだった。
血なまぐさいシーンが多く、私は得意ではないが、戦中戦後の沖縄を知ることができてよかった。
とりあえず下巻に進みます。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作ということで、前から興味はあったのをやっと読み始め。
今の所、宝島感はないストーリー展開。
所々に沖縄弁(あってんのかな?)の台詞があって意味というか意図が分からない部分がなんか、入って聞けないなぁと最初は思ってたけど、意外となれるもんだな。
ストーリーの戦後沖縄。教科書程度の知識と勝手な想像での世界観とは異なり、生きるだけでも大変な世界。色々考えさせられる。
話の展開からしてもどう考えても所謂ハッピーエンド機なならない予感しかしないな。
どうでもいいけど、上と下の厚さが違いすぎてびっくり。
Posted by ブクログ
「戦果アギヤー」と呼ばれる米軍施設から物品を強奪して市井の人々に配っていた、現地の英雄について描いた作品。
妻が出身なこともあり、沖縄に興味がある為読んだが、結構難しかった。内容が理解しづらい、ということはないが、独特な表現が多く、読んでも目が滑る感覚で、あまり中身が入ってこなかった。
とはいえ、直木賞受賞作であるので、流石のエネルギーは感じた。コザ・そして沖縄に住んだ人々の魂の叫びがこの作品には詰まっている。
Posted by ブクログ
「宝島 HERO’s ISLAND」。
文庫で上下巻。
コザが舞台の中心になる小説を読むのは、池澤夏樹「カデナ」に続いて2冊目。
時代的にも近いので、互いの理解が進んだ。
20年のスパンの物語なので、人も変われば時代も変わる。
Bob Dylan「Blowin' in the Wind」……。
本格ミステリとは違うが、いわゆる謎の引っ張りと、その真実が明かされる構成も、いい。
が、もっともいいと思ったのは、地の文の語り手が、土地の語り部、というところ。
口調はのんきだが、厳しい現実を見聞きしてきたことがわかる、ゆんたく。
語り部が、いわばカメラを当てるように視点人物(主に3人)に憑依して、語るのだ。
うがひゃあ! あきさみよう! たっぴらかすよ! かしまさんど! とか、言葉がいちいち上等ですね。
Posted by ブクログ
第160回直木賞受賞作品。
独特の文体で語られる物語は正直読みにくく、自分の好みではありません(笑)
しかし、テーマ自体は、沖縄の戦後史という形で、メッセージとして刺さってきます。
戦後から返還前の沖縄の物語、沖縄の人々の苦悩、哀しみが感じられる物語でした。
上巻では、
戦後の沖縄で、米軍基地から物資を盗み、人々に配る「戦果アギヤー」。
英雄のオンちゃん、グスク、レイ、3人を見守るヤマコ。
嘉手納基地を襲撃し、米軍に追われ、結果オンちゃんは行方不明に。
オンちゃんをの行方を思う3人。
ヤマコは女給から教師へ。レイはヤクザ、グスクは警官となって、それぞれの道を歩んでいきます。
行方不明のオンちゃんは?
そういった中で語られる、戦中、戦後の沖縄の現状。
沖縄人たちの思い、憤りが伝わってきます。
沖縄の基地問題の根っこの部分がわかります。
Posted by ブクログ
終戦後から、アメリカからの返還までの沖縄の現実。1972年沖縄返還から、50年が過ぎました。
アメリカ統治下の沖縄がどのような生活だったか、どんな圧迫を受けていたか、沖縄の戦争は終わっていなかった様子が、ノンフィクションのように迫ってきます。
今まで、この時代の沖縄の作品は初めて読んだと思います。沖縄の尊厳を守るように戦う人達。
アメリカ兵により理不尽な犯罪。ベトナム戦争の基地としての役割。
三人の友人達のそれぞれの立場からの戦いを描きますが、彼らに悲壮感を感じない。強かさな生きる力を感じる。
それは、真藤さんの文体や、沖縄の方言を豊富に使いながら沖縄に寄り添った創意によるところかと思う。
なんだけど、読み慣れるまでストーリーが読み取れず苦戦しました。
Posted by ブクログ
沖縄本土返還50周年を機に読んでみた。
国のせいで苦難が多くて本土のこと許してくれるんやろうか。
4人の幼馴染がそれぞれヤクザ、警察官、教師になって行方不明になった英雄の謎を追う。
Posted by ブクログ
沖縄返還50周年、そして慰霊の日(6/23)に合わせて。最初はちょっと途惑うが、島言葉を織り交ぜた語り口が特徴的。時代の波に翻弄される4人の沖縄人の物語。アメリカ占領下の象徴的な事件・事故を絡ませながらの展開は、瀬長亀次郎の登場あたりから俄然熱を帯びてきて、ページを捲る手が止まらなくなる。即下巻へ。
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ウージ(砂糖黍) 振り払えない数多の記憶 ユンター(語り部) 雄々しく呼吸を深めて 戦果アギャー(戦果を挙げる者) 怠りなく準備をして 嘆きや憤りが混淆(チャンプルー)された表情は張り詰め過ぎて あの戦争を生き抜いた島の女の金科玉条 意識の海を泳ぎ回る思念の魚を網にかけて、舌で鱗の一枚一枚を剥がすように吟味した。 どんな語り部(ユンター)でも太鼓判を押すだろう 稀代のアジテーターの面目躍如 ふした臥した男は衰弱し過ぎてた 与那国島の西崎から眺める夕陽の美しさ 悪霊(マジムン)達にも追いつかれない速度で走ってきた トロフィー・スカル グスクは城(キャッスル)という意味らしいね 軍司令部(ライカム)の主導で アメリカと琉球を架橋するのさ 壜ビール ちき知己を頼って 胸の高鳴り(チム・ドンドン) なき英雄の為の弔歌 しょこう曙光 ぎのわん宜野湾 ちき知己 擦り減った心身を癒すじう慈雨のような言葉に ごうぜん傲然と見下ろしている こうしょう哄笑 ユタの信仰や紐帯ちゅうたいになっていくもの ウタキ(御嶽おたけ) せいそう盛装の紳士淑女が杯を交わし