真藤順丈のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ個人評価は星3.5。四捨五入して星4。
上巻の混沌とし続けた流れから、一つの結末に向けて流れに変わっていきストーリー自体楽しめた。
オンちゃんについては、いきなり出てきても興醒めしちゃうだろうし、出てこなかったそれはそれで、拍子抜けしちゃうという、難しい状況だと思ってたから、結果いい落とし所というか、それなりに納得できる結末だと思う。
主人公達とそれを、取り巻く複雑な人間関係が平行線のままな部分はリアリティあるけど、バトル(?)パートは割と、まあ、まあという印象。それはそれでいいけれど。
後は、けっこう感情的なシーンのセリフに沖縄弁(?)が入って、意味はなんとなく分かるけど、細かいニュアンス -
Posted by ブクログ
70〜80年代の中南米が舞台。謎の異能群をめぐるクライムサスペンス。
貧困や暴力に喘ぐ青年たちの成長譚と、人生の黄昏を迎える専門家の2つの視点を楽しめる。
某有名作品のスピンオフだが、単体でも楽しめる作りになっている。独特のスペイン語のルビには、チェ・ゲバラの旅行日記「モーターサイクル・ダイアリーズ」を思い出した。しっかり中南米の空気に浸れるよい演出だと思う。
そして、リサリサの能力が強すぎる。他の異能もどれも魅力的で、タイトルに相応しい内容だ。
ラストにウォークマンから流れる曲が粋!ベン.E.キングの「“スタンド”・バイ・ミー」。これにはファンは泣かざるを得ない。 -
-
Posted by ブクログ
沖縄という島、そしてそこで生きた島人の魂の叫びの作品だった。
特に内容が難しいわけではないもののこれまで読んだ小説の中でも読みづらさではかなり上位だった。それは、馴染みのない単語や表現が連発するからだ。しかしこの作品の圧倒的なラストを読むと、直木賞を受賞するのも納得する。
正直最後以外は読むのがきつかったが、最後を読むためにあったと思う。
あまりに非現実的な展開に、読んでいて冷めてしまうものと、余計に盛り上がるものがあると思うが、この作品は圧倒的に後者だった。とても現実では起こりえないことでも、もはやこの作品のなかで、それが事実であるかどうか、などはあまり重要なことではない。この幻想的な世界 -
Posted by ブクログ
何作かでてるジョジョ小説。今回は真藤順丈によるリサリサ譚 。
おもしろかったです。2部までの波紋から3部以降のスタンドに移行する世界はそういえば本編では語られてなかったなー。そして主要キャラでありながらその後が語られてないリサリサのお話というのもかゆいところに手が届く感じ。ジョジョ本編に齟齬がでないようにうまく物語が成立して出来上がってるのがお見事。
ただ文章が重厚で読み応えがあり、作者の得意フィールドである中南米世界観なので普段小説読みつけない人が読むと小難しく感じるのはあるかもしれない。
あと、老齢リサリサがいまいち想像つかないなあ。せっかくだから表紙、とまではいかなくても中表紙でも荒 -
Posted by ブクログ
伝説の戦果アギヤー、おんちゃんはカデナ基地を襲撃した後に行方不明になる。
行方を探るグスクとレイとヤマコ、アメリカーやヤマトへの怒りを胸に違う道を歩み、返還へと向かう時代を見つめ、最後におんちゃんが残した予想外の戦果の意味を知る。直木賞受賞の歴史エンタメ。
島津藩の侵略から現代に至るまで、日本政府やアメリカの統治の中で人と扱われぬ日々を生き、時代に翻弄される沖縄の人々の怒りを代弁したような、とても読み応えのあるお話でした。特に、返還では政治家の間で交わされた約束で、島民の悲願だった基地は残ると知った時のヤマトへの絶望とやるせなさ、それは現代までつながっているお話なのだと思います。まぎれもない -
Posted by ブクログ
☆4.0
生まれながらに頭に大きな瘤を持つ男は、戦後のアジア各地で都市伝説のように「墓頭(ボズ)」の名を裏社会に刻みながら時代を駆け抜けた。
その瘤は産まれそこねた双子の兄弟の体を包含し、その死体を墓として呪いのようにボズを"自ら以外の周囲の死"に呪縛し続ける。
彼の人生は瘤の死体を取り除くという命題に縣けられていた。
周囲の人物たちに死をもたらすのは、自分が墓である―頭の瘤に死体がある―ためだと考えていたからだ。
死んだ友人の伯父に支援され、異能を持つ子どもが集まる「白鳥塾」に滞在した間も、子どもたちからでさえ特殊な存在として捉えられていた。
この白鳥塾でのいくつもの -
Posted by ブクログ
「おれらの朝はばか早い。」
のっけの一文でもう心を掴まれた。
ミナギという村に暮らす人々の話である。
タイトルと表紙からすると銃をぶっぱなして戦う西部チックな物語のようだが、想像とは全然違うものだった。
鮮やかに輝く田園風景や、山を包み込む木々の青さ。
ミナギで暮らす人々の顔が映画のように頭に浮かぶ。
心温まる農業の話とも取れるが、想像とは違うものの物騒である事には変わりはなかった。
何章かに分かれていてそれぞれの主人公は違うものの、読み進めていくとすべてが繋がる気持ち良さ。
オチも無理矢理感がなく心地よく読み終える事が出来た。
少し難点なのがミナギの人達の言葉がかなり訛っており会話文が