宮田珠己のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
陸上強豪校の女子部員達目線で語られる部活動青春譚。
自分は運動が嫌いだった。走るのは特に嫌い。マラソンなんてもっての外でマラソンシーズンの体育の授業は憂鬱だった。運動部なんてとんでもない。陸上部なんてどういう理由で入部するんだろう、理解出来ないと思っていた。根本的に自分とは違う人達なんだろうなと。作中では強豪校故にか才ある子達が集っていた。小さな頃から足が速いと褒めそやされて来た子達。なるほど、輝く素質があったから走るのが好きになり陸上という競技にのめり込んで行くんだなと得心が行った。
走るのは嫌いだ。でも陸上競技を見るのは好きだ。この上なくシンプルな勝負。故に鮮烈。特に短距離走は僅かな時間、圧倒的な速さで駆け抜けて行く姿に強烈に目を奪われる。速い奴が強い。そして作中で知ったのだが、この事実は覆らないのだそうだ。概ね前情報通り順当に勝負がつく。番狂わせはない。そんな世界で登場人物達はコンマ秒を削る為に死力を尽くす。全力で喜び、悔し涙を流す。狂気じみた魅力があり、自分にも素質があったのなら、陸上の世界に足を踏み入れていた可能性もあったかも知れないなと思えた。
最後のリレーは映像が浮かぶようでこちらまでドキドキした。
静けさの中で告げられるオンユアマークの号令、持ち上げられる腰、乾いた空砲、チャチャチャというスパイクがグラウンドを噛む音。Audibleでやや激しめのエクササイズしながら聞いていたのが相乗効果を産んだのかも知れないが、緊迫感や選手の覚醒に鳥肌が立った。
たくさんのキャラクターが登場し、主要人物達には良くないところもあったものの、部活動を通して誰しもに成長が感じられたのが良かった。特に理不尽に屈しなかったアカネとそのアカネを認めてリーダーシップを発揮出来たサキの印象が強く残っている。 -
Posted by ブクログ
四国八十八ヶ所紀行。だいたい、というところに八十八ヶ所巡りに臨む筆者の視点の真骨頂がある。信仰心は無いが、歩いて四国を一周してみたいので出発し、区切り打ちで目一杯観光しつつ、まめや悪天候と夏場の太陽、蜘蛛の巣などに悩まされつつ、色々な出会いと別れの末、64日かけて一周する。
いつか歩いてみたいと思っていたので参考になった。また、筆者含め旅で出会う歩き遍路の皆さんは様々な思いがあり、真面目だったり適当だったり。出立ち含めて堅苦しいお遍路は嫌だし、なるべくなら色々なことをしながら回りたいなと思っていたので、良い先達に会えた気分でした。また、八十八ケ所よりも遍路道の景色や出会いにフォーカスすることで、やはり車や公共交通機関よりも歩きがいいなと思いました。 -
Posted by ブクログ
『そして少女は加速する』は、女子陸上部の4×100mリレーを描いた青春小説。
読んでまず強く残ったのは、バトンパスという一瞬の重さでした。
ほんのわずかな判断ミス、タイミングのズレで、勝利が悪夢に変わる。その現実が、これでもかというほどリアルに突きつけられます。4継で勝利を逃し、どん底に落ちたチームが、そこからどう立ち上がるのか。その過程が丁寧で、決して都合よく進まないのが印象的でした。
特に心を打たれたのは、メンバーそれぞれの視点で描かれる感情。走ることへの向き合い方、仲間への思い、プレッシャーや恐怖。そのすべてが、インターハイ出場をかけたレースの「一瞬」に収束していく構成に、自然と感情移入していました。
陸上を知っている人はもちろん、チームスポーツの経験がある人にも刺さる一冊。
「結果は一瞬、でもそこに至るまでの時間は長い」そんな当たり前だけど忘れがちなことを思い出させてくれる本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイラストレーターの名前は表記されていないが、表紙絵に魅かれて。
ほんの数十秒の勝負に賭けて己を鍛え、成長していく彼らは尊敬せざるを得ない。続編あるのかも。期待。
舞台となる高幡高校の「高幡」は東京都日野市高幡の真言宗智山派別格本山の金剛寺(こんごうじ)、通称「高幡不動尊」のことのようだが、「高幡高校」は日野市にも現実にも存在しない。
なお日野市の架空の学校は、有名な作品に結構登場する。
『ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部』の私立百合ヶ咲女子高
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の都立「程久保」高校。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』の私立「浅川学園」高校。
『しかのこのこのここしたんたん』の「都立日野南高校」 -
Posted by ブクログ
「風が強く吹いている」「一瞬の風になれ」など駅伝もの、リレーものには名作が多いが、本書もその列に加わった。
初めは冒頭に登場する春谷風香が主人公かと思ったが、本書の主人公は特定個人ではなく、都立高幡高校陸上部の女子4継リレーチーム全員。
風香が入学・入部してから1年半の春夏秋冬の学校生活や部活動を通じて、それぞれの少女が抱える環境、過去、競技への思い、人間関係、悩みなどがそれぞれの視点で端的に語られ、それらが絡まり合い、もつれ合いながら大会でのレースにぶつかっていく。
幡高メンバーの誰もスーパーエースでないのもいい。(他校にはいる)
南関東や全国にぎりぎり手が届くか届かないかの状況ゆえに、部員たちは挑み、励み、耐え、挫折し、悩む。
最下級生から最上級生になっていく一年一年、立場の変化に戸惑い、先輩と自らを比べて自身を失い、それでも最善を尽くし成長していく。
チームの集大成となる最終盤のレース。
たった50秒足らずの濃密な時間。
4人のランナーがそれぞれの想いを背負い、限界を超えていく。
高校最後のレースに培ったすべてを懸ける咲、その日4本目となるレースに疲労の限界を破りゾーンに突入するあかね、久しぶりの100Mのレースに突如覚醒する百々羽、弱気を克服し潜在力を発揮するイブリン。
予想を覆す活躍は周囲の人々を、そして読者を興奮の渦に巻き込む。
下級生気質で、故障で走れなかった風香は何かを感じ、次期主将に立つ。
彼女たちにはまだ次の1年が残されている。 -
ニッポン脱力神さま図鑑
- カート
-
試し読み