あらすじ
それは、あまりに儚く、あまりに永い、「一瞬」――。
わずかな一瞬で悪夢に陥る、バトンミス。期待された400メートルリレーで勝利を逃した高校女子陸上部が、どん底から這い上がる!圧倒的感動を呼ぶ、青春陸上小説。
高幡高校陸上部の女子リレーチームは、バトンのミスによりインターハイ出場を逃していた。
傷が癒えないメンバーを抱え、それでも来年に向けて、新しいメンバーで再始動。
しかし、選手の怪我、校則違反・部則違反、チームメイトの家庭問題、恋愛問題、他校ライバル選手への嫉妬、そして将来の進路の悩みなど、次々に試練が。
さらに正規メンバー枠の争奪戦もし列になり……。
果たして彼女たちはインターハイに出場できるのか――。
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100分の1秒が勝敗を分ける短距離競技は、天国も地獄も紙一重だ。
個人競技でありチーム競技でもあるリレーの魅力を、とことんまで描いた!
悔しさも、涙も、喜びも、ときめきも全部乗せ!のド直球な青春陸上物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「風が強く吹いている」「一瞬の風になれ」など駅伝もの、リレーものには名作が多いが、本書もその列に加わった。
初めは冒頭に登場する春谷風香が主人公かと思ったが、本書の主人公は特定個人ではなく、都立高幡高校陸上部の女子4継リレーチーム全員。
風香が入学・入部してから1年半の春夏秋冬の学校生活や部活動を通じて、それぞれの少女が抱える環境、過去、競技への思い、人間関係、悩みなどがそれぞれの視点で端的に語られ、それらが絡まり合い、もつれ合いながら大会でのレースにぶつかっていく。
幡高メンバーの誰もスーパーエースでないのもいい。(他校にはいる)
南関東や全国にぎりぎり手が届くか届かないかの状況ゆえに、部員たちは挑み、励み、耐え、挫折し、悩む。
最下級生から最上級生になっていく一年一年、立場の変化に戸惑い、先輩と自らを比べて自身を失い、それでも最善を尽くし成長していく。
チームの集大成となる最終盤のレース。
たった50秒足らずの濃密な時間。
4人のランナーがそれぞれの想いを背負い、限界を超えていく。
高校最後のレースに培ったすべてを懸ける咲、その日4本目となるレースに疲労の限界を破りゾーンに突入するあかね、久しぶりの100Mのレースに突如覚醒する百々羽、弱気を克服し潜在力を発揮するイブリン。
予想を覆す活躍は周囲の人々を、そして読者を興奮の渦に巻き込む。
下級生気質で、故障で走れなかった風香は何かを感じ、次期主将に立つ。
彼女たちにはまだ次の1年が残されている。
Posted by ブクログ
読書しながらスポーツをしている気分になりました。
陸上にあまり興味がなかったのに、この本を読んで陸上というスポーツに興味が出ました。
手に汗握る展開にページを捲る手が止められませんでした。
青春×スポーツの組み合わせはいいですね。
Posted by ブクログ
高校陸上部の女子チーム。視点が次々と変わり、それぞれの想いと葛藤が丁寧に描かれる。
個人として、チームとして限界を超えようともがく姿に胸を打たれる。
疾走感と情熱に満ちた、青春スポーツ小説の傑作ではないでしょうか。
Posted by ブクログ
何が差をつけるのか?
コンマ1の世界が天国と地獄を味わう。
積み重ねたものは裏切らないけど
自分の身長の伸び悩みなど
どうしよぅもないものもある
結果が全てではないけど
全てなんだよなぁ
心が動きました。
Posted by ブクログ
巨大仏や海の変な生き物やら石ころやらの本を書いてきた宮田珠己さんの2冊めの小説。1冊めの「アーサー•マンデヴィルの不合理な冒険」は不思議な世界を描いた珠己さんらしいファンタジーでしたが、これは高校の陸上部の女子の群像劇。珠己さんらしいクスッと笑えるところもないストレートな青春小説でどうなんだろうと読み始めたらグングン引きこまれた。
主人公を決めず400mリレーのメンバーそれぞれの視点で描かれたことで、スレ違いや苦悩とそれだからこその結束が見事に描かれている。珠己さんに脱帽です。
Posted by ブクログ
正直なところ、陸上という全く興味がないジャンルだったので期待度低めで読み始める。
そもそも男性作家の描く少女像は気持ち悪いことが多く、それだけでどうかなと思っていた。
でもずっと好きで読んでいる宮田珠己氏だし、本が出たら買うことにしている。しかも小説だ。
ごちゃごちゃ言わずに読まなくては。
そう思って読んだ。
結果は疾走感あるいい小説だった。
軽快で軽過ぎず、読んでいて辛過ぎない、等身大の少女たち。
それぞれの性格もうまく書き分けられていて、日頃から本を読む著者が読者の立場に時々たちながら書いているのかなと思うような中だるみ一切なしの面白い小説だった。
早速高校生の娘にも勧めた。
Posted by ブクログ
敬愛するタマキングが2作目の小説上梓、しかも長編!うれしい限りです。
以前エッセイで北京五輪の4継のことに触れていた、熱く語っていたので陸上ものはずっと温めていたテーマなのだろうと推察する。今日から世界陸上、今までと少し違う視点で競技を楽しめそうだ。
Posted by ブクログ
高校で陸上をする女子たちの内面を綴りながら、それぞれが自分の記録に向き合い、リレーチームの中でどう自分を活かしていくか考えている姿に思わず応援してしまう。強豪陸上部から声がかかる選手だとしても、全国で注目を浴びるスター選手ではない彼女たちがどのように自分の記録と向き合い成長していくかを一緒に経験できる。一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
#そして少女は加速する
#宮田珠己
#一瞬の風になれ 女の子版だけど、こちらは陸上部の少女たちの群像劇。彼女たちそれぞれの成長を見ていて、何人もの親目線を一度に体験させてもらえた気分。ラストのレースは遠慮なく泣けたよ。
#読書好きな人と繋がりたい
Posted by ブクログ
「一瞬の風になれ」を彷彿とさせる陸上小説。
5人の少女の苦難と成長の物語。
どんなに調子良く進んでいても、運が必要。
自分が肉離れを起こすかも知れない、メンバーがミスするかも知れない。私には日頃の努力はもちろん、極限状態に打ち勝てる精神力を得ることで、勝負の土俵に上がれるスポーツ…?!と思いました。
また学年が上がるにつれ競技者としての成長だけではなく、視野が広がり自分のことだけではなく他の人の様子まで見れるようになる成長ぶり。高校生ってこんなに変わるんだとしみじみ思いました。
個人的には、風香の結愛や唯とのその後の関係がもう少し読みたかったです。
あとエンジェル先輩がもっとみたかった…!
エンジェル先輩だけで1作読みたいくらいです。
Posted by ブクログ
中堅高校陸上部の女子選手たちの群像劇。率直に言うと、おもしろかった!少女たち一人一人が順々に登場し、独白、本人視点の会話を綴った短いまとまりがどんどん積み重なり、クロスしながら物語が進んでいく。陸上という奇跡の起きない競技の残酷さと才能ある者への妬み、嫉妬、羨ましさ、などドロドロした気持ち、言葉がじとっとまとわりつく前半は、なんとも読むのに労力がいった。が、軋轢が誤解や悩みやらをそれぞれが超えて、もしくは飲み込んだ先に、良い方向に歯車が回り出した途端、ぱっと読んでるこちらも軽やかにページをめくり、一人一人を応援してしまった。
蛇足ながら、これは子供に読ませたい。こういう想い、経験をしてほしいなというか、そういう世界が身近にあることに気づいてほしいと、そう思った。
Posted by ブクログ
ロスです…
世界陸上ロスです…
大会が終わってもう2ヵ月も過ぎてるだろ!ってツッコまれそうですが、ロスはロスなのでしかたないです
400m準決勝の中島佑気ジョセフの最後の追い上げに興奮しました!
村竹ラシッドのポーズはカッケーし、号泣インタビューにはもらい泣きです!
そんな中、一番はやっぱりシドニー・マクローフリンです!
見ましたかあの走りを!
あの美しいフォームの走りを!
400m決勝でのあの走りを!
コーナーからホームストレートに出てくるところで横並びになって引き離していくあの走りを!
世界歴代2位となる47秒78で優勝したあの圧倒的過ぎる走りを!
もー、惚れ惚れする走りです!
あー、もう興奮したらレビュー書くのが面倒くさくなりました
かわりにYouTubeでマクローフリンの走りをもう一回見よっと