三田誠広のレビュー一覧
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名前はよく知っているのに、実はあんまり良く知らない人物って多いですよね。そんなわけで、今度は空海について書かれた本を読んでみました。
空海という人が、いかに飛び抜けた人であったのかが分かる本でした。空海の足跡だけではなく、当時の政治や宗教や、そして日本における仏教についてもざっと知ることができて、勉強になりました。
実は、空海という人について知りたくて読んだというより、最近読んだ三田誠広さんの小説が面白かったので(菅原道真や在原業平の小説)、もう少し三田さんの本で平安時代を勉強しようと、この本を手に取ったというわけなんですが、さらにさらにいろいろと読みたくなりました。しばらく、私の平安ブ -
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ネタバレ20世紀文学を実存と構造という概念で読み取いている。選ばれたのが大江健三郎と中上健次だ。大江健三郎は実存主義文学の旗手である。その彼が万延元年のフットボールでは構造主義を取り入れているという解説はなるほどと思えるほど鮮やかな解説だ。同時に中上健次の文学作品を解析して実はこういう構造となっているのだという論旨も鮮やかである。
三田を見直した。その彼があとがきでこう書いている。
「文学はただのひまつぶしでもなければ、気晴らしの娯楽でもない。時として文学は、読者を悲しませ、嘆かせ、思い課題を背負わせることもある。
むしろ作者(および主人公)と読者とが、苦悩を共有するために、文学というものは存在して -
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主人公の「僕」は、大学入学後まもなく、学生運動組織である「B派」のオルグに何となく応じてしまい、そのままB派の一員に収まります。やがて彼は同じ組織の戸川レイ子という女子学生と、やはり成りゆきで同棲することになり、その後も主体的な個の連帯を謳う全共闘に、括弧たる思想的根拠を持たないまま、乗り換えていきます。そんなある日、母親が彼のアパートを訪れて彼の知らないうちにレイ子と会い、いつの間にか彼女と結婚する道筋が引かれていることを知らされます。
組織の中で主体性を喪失するのではなく、最初から主体性を持たないままに行動し続ける若者の姿を描いたのが評価された作品ということですが、本書の延長線をずっと進 -
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高校生とも違う、大人とも違う『大学生』のもやもやを描いた物語。
音楽やバンドの話をスパイスにいわゆる三角関係の恋愛を描いていた話なんだけど出てくる人が抱える悩みや劣等感がリアルだなって感じた。
中学時代はアコースティックギターと歌を共通の話題として仲良くしていた3人。だが、大学生になり各々が違う道を歩み出すとお互いに距離感が生まていく。
「僕」は音楽を続け、親友の2人は国際ボランティアに精を出す。「僕」は社会に対して何も生み出していない自分をどこか下に見て2人の世界の邪魔をしないように気遣うし、2人は音楽の道を歩み始めた「僕」を遠い目で見始める。
大学生は自由だ。そして大人でなければ子供 -
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ネタバレ上司の不祥事により自分も
片田舎に左遷された。それならそれで、ここで結果を出そう。
自分も頑張った。他の人も巻き込んだ。このままいけば、売上前年比200%増も可能だ……。
勝気な主人公は周囲の人間を
能力のない、つまらない人間と決めてかかり、そのなかで最大限努力する。俺はここから抜け出すと。
しかし、不幸にも大きな挫折がふりかかる。
「こんなに頑張っているのに…なぜうまくいかない…」
所長にさとされた。
「お前は若い。焦るな、といってもわからないだろう。
頑張りすぎたお前に言うのは酷だが、
やはりやり過ぎた。無理しすぎたんだ…。」
ここで主人公は今までの生き方を振り返る。つらい作業だ。 -
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「親鸞」を読んで仏教に興味を持ったので、わかりやすい解説本はないかと探していたら題名が目についたので買って読んでみました。なぜ三田誠広が仏教なのか? はよくわかりませんが、冒頭の「大乗仏典は楽しい、面白い!」ということから始まり、かなり楽しく面白く、またわかりやすく読めます。仏教の歴史からいろいろなお経の意味(描いている世界)まで、へーっと思うことが筆者独特の親しみやすい語り口で書かれていて、難しく感じる部分はありません。最後の章が「超解明『般若心経』早わかり解説」となっていて、わずか262文字のお経の意味を少しずつ順に解き明かしてくれて、何となく般若心経を唱えたり写経したりしてみたくなります
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人生とは何かという難問を解明するための思考モデルとして、実存と構造という概念を紹介した本。生きづらい時代にも関わらず、人生航路の指針となる思考モデルが用意されていない。現代の若者こそ知的ツールとしての思考モデルが必要ではないか、と述べられている。
二つの世界大戦、社会主義革命や軍事政権による独裁体制によって、素朴に国家や社会体制が信じられなくなった時代にわたしたちは生きている。あるいは、急速な産業の発達、都市の拡大により、共同体の崩壊が起こり、生きて行く為に必要な親族社会や郷土を失った多くの人々が、自ら異邦人と感じ、虫けらのように生きていると感じずにはいられなくなった。それが20世紀という時 -
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創作のために文学史を効率よく整理した書。
①ロマン主義(物語的、記号的)から自然主義へ
近代小説(リアリズム)のはしり
<イギリス>
・「ドンキホーテ」(ロマンス批判)
・「高慢と偏見」(個性的な人物)
・「嵐が丘」(ロマンス風だが同上)
<フランス>
・バルザック「人間喜劇」
・デュマ「モンテクリスト伯」
・フロベール「ボヴァリー夫人」
・ゾラ「居酒屋」
↓ロシアは仏語圏だったため影響
<ロシア>
・ツルゲーネフ「猟人日記」(ハムレット型、少年的、無能者)
・ドストエフスキー「罪と罰」(哲学青年系)
・トルストイ「戦争と平和」(したり顔の大人的)
↓経済、文化、思想状況がロシアと似ていたため