羽海野チカのレビュー一覧
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購入済み
今読んでいる中で、などではなく、本当に今まで読んできた中で一番好きな漫画です。人の描き方がとても温かく、また物語も面白く、一部の隙もなく完成された、すごい作品です。将棋のことはわからなくても私のように面白く読めるので、そこは心配いらないです。
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ネタバレ零ちゃんもなんだかんだでクラスメートに馴染んできたみたいで微笑ましい。
ひなちゃんもつぐみちゃんだけじゃなく友達がいて嬉しい。
素敵なシチュエーションできちんと告白も出来たし。
確かに物語の流れ的に、零ちゃんとあかりさんなのかと
読んでいる側も思うことがあった。
ひなちゃんがそう思うのも無理はないし、
保護した猫のような気持ちで大事に思っていた零くんを
男の人として見るというのは難しくて
もっともっと大事な存在だっただろう。
ふたりの気持ちをちゃんと伝え合うことが出来てほっとした。
あづさ1号も面白い。
零くんの『敵』がいろんな人がいる描写が良いし
電車や水での戦況の表現が秀逸。
真っ黒い部屋などの表現も、羽海野先生自身が
こうやって真剣に向き合い藻掻きながら
この漫画を生み出してくれているからこそ
出てくる表現なのだろうなと思う。
田中さんも恰好良い人だなぁ。
この年齢で奥さんの仕事にも育児にも理解があって
積極的に関わってきた上で棋士としての結果を
出しているのは凄いことだ。
幸せを手に入れて、図太くなれたけれど
麻痺にも似ていて、ざりざりと身を削りながら
すぐにとぷんと集中できていたことができなくなって。
それでも「手放すな」と先生が力強く言ってくれるのがいい。
ハチクロでも、時間は有限でやりたいことは沢山で
人として幸せになることと両立するのも難しくて
という悩みが描かれていたなとふと思い出す。
勝つとか強いとか、そのゴールはどこなんだろう。
今だって十分勝っているし強いのに。
じゃあ名人になりたいのか、なったら納得できるのか。
息詰まりそうなところで感想戦がてらご飯に誘ってくれた田中さんが
お父さんを知っていること、下の息子が零ちゃんと同い年なことを言ったあと、
ぽそりと「ここまで本当によくがんばったんだな」
と言ってくれたところで泣いた。
失くしたものも失くしたくないものも、全部持ったまま生きていっていい。
罪悪感なんて覚えなくてもいい、幸せになって欲しいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ羽海野先生の描く動物はみんな可愛い。
マニーちゃんも可愛いし、ドラフト会議が開かれて
貰えず悔しくても嫉妬に繋がる訳でもなく
ちょっとずつ町全体が明るくなるこの町の人たちも素敵。
誰かの事を特別に思うと天国と地獄が
いっぺんにやってくるって面白い言い方だな。
幸せを誰かにねだれない彼女たちというのも
切ない表現。
確かにゴールがどこかすら分かりはしないのだ。
釣具屋さんに2人で寄るシーンも好き。
丁寧なお店の描写が良い。
零くんの思惑なんかばればれな大人ぶりも
人が良いふたりだからこそつい仲良くなっちゃうのも
好きなところだ。
島田さんの鳥の例え話も良かった。
才能には種類があるから、本人がどうかは置いておいても
すいーっと簡単にしているように見える人もいれば
がむしゃらに努力しているように見える人もいる。
どの道その虫が血肉になった魚を食べるのに
と思うけれど、やっぱりお腹から虫がでろんと
出てくるのはちょっと嫌かもしれない。
男どもでやりますから、と言い
結局都会っ子だなーと言いつつ一人で捌く島田さん
やっぱり恰好良いのだ。
あかりさんなら島田さんを支えてくれそうな気もするし
そんなあかりさんだからこそ先生にべたべたに甘やかしてあげて欲しい気もして難しい。
今は取り敢えず、三姉妹にまともな大人の男の人がいると生活がどうなるのか
を見せてあげてるだけでもほっとする。
ハチクロの時間軸的に、将棋がうまくなっているなら
ハチクロ完結後なのかなと思うが
それにしてはではどういう団体として出場しているのか気になる。
同一職場から5人というルールの筈だが。
ハチクロメンバーのその後が多少分かるのは
ファンとしては嬉しいものの、
ハチクロを読んでいない人からするとどうだったのだろう。
かなり突然キャラの濃い棋士じゃない人の話が出てきた感じではないかと思うが。
零くんが自分のしたいことを伝えて頼むということが
できるようになって良かったし、
ひなちゃんに素敵な友達が出来ているのも良かった。
ちゃんと間に合うように学校に戻れて本当に良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハチクロでも、
恋敵になる人たちはどの人も個性的で魅力的で
最後にはぐちゃんが選んだ人はちょっと意外なような
でもしっくりきた。
ライオンでも、林田先生も島田さんもどちらも素敵で
どちらもあかりさんに似合うと思ってしまう。
いつかあかりさんもこの二人のどちらか、
それともまた他の人を選ぶ時が描かれるのだろうか。
先生は同い年の島田さんを尊敬していて身近にも感じていて
そんな人がライバルになるなんて思っても見なかっただろう。
ちょっと気の毒だが、確かに自分が預かり知らないところで物語が始まってしまうよりはマシだ。
あかりさんのことは先生も助けたのに、
腕に痣が残っているのを見てしまうと何故か
負けている感じがしてしまう。
そう思ってからの記憶を飛ばしてお世話になった上
「ま 次は先生のおごりって事で」
は流石に島田さんが恰好良すぎる。
あかりさんの中には先生も島田さんもふたりともいて
温かい思い出になっているのだな。
二海堂くんのエピソードもとても良い。
前向きに試合に挑み、棄権扱いになりつつも
良い試合をして周りに羨ましがられ。
みんなが本気で将棋を好きだからこそ生まれる物語だ。
滑川さんは真面目だし、良い弟がいるのだな。
兄弟仲が良いのは微笑ましい。
身体にまとわりつくように降る雨の描写も心に残る。
香子の話も切ない。
彼女ばかりが悪かったという訳でもない。
子供だったし無理も無い。
そして好きになった人の見舞いを見舞い
一人ぼっちで零の住むマンションの窓の明かりを探す。
泣きながら祈る姿が悲しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおじいちゃんの言うとおり、零くんは大人相手に
一歩も引かずここまで来たわけだから
確かにただの妻子捨男なんて敵ではないかもしれない。
結束してるつもりで出口のないルールに取り込まれ
いつの間にか父親を中心に動かされる怖さ。
だからこそ他人が加わって常識に引き戻されるのも大事だ。
将棋の一戦をこんなに面白く描けるの、笑ってしまう。
単にギャグではなく人間像の奥行きも見えてくる。
そして捨男に対して零くんが将棋に喩えて
「あなたは短期展望しかない」
「詰んでからが長くて汚い」
とはっきり言うところが良いし、
カッコウという地雷を踏まれてキレるのも
感情的にならず詰めていくのも恰好良い。
「これ以上長引くなら前向きに面倒な方へ持っていく」
という宣告も良かった。
そこまで言われても諦めず、折角の日曜日を台無しにしてくる。
しかも、子供を連れて。
人でなしとしか言いようが無いが、頭が悪いからこそ
娘たちの拒絶が本気でショックだったのならまだ良かった。
おじいちゃんが零くんを仲間のように思ってくれていたというのは嬉しくなる。
思い詰める部分をひなが助けられるだろうという考えも好き。
脳のハードディスクがパーテーション分けされてない
という表現が面白い。
全部がぐるんぐるんになって同時にいろんな事を考えてしまう。
散漫になるのではなくて同時進行で、行動もぶっ飛んでくるのが笑えた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人のことを勝手に品定めして
勝手に見繕おうとしている零くんがおかしいのに
先生の勘違い突っ走りぶりのオチが笑える。
あかりさん達を本当に薩摩に招待したのか。
気分転換になっていたらいいな。
雷堂さんの気まずさを肝練りのイメージ画像で表現していて面白い。
戦いの描写を将棋としてきっちり描きつつ
知識のない人にも画面で伝えてくれる。
奥さんも優しい人だな。
自分より雷堂さんを幸せにしてくれる人なら
身を引くが、そうではないから別れないという愛の深さ。
滑川さんは実際にいたら怖すぎるけれど
キャラクターとしては愛らしい。
陽のイメージの強いビアガーデンなのに
一緒に行くとどんな雰囲気になるのか気になる。
夏祭りの空気感が溜まらない。
突然の夕立、トラブルで急に距離感が近づいて
ずぶ濡れになってテンションが高くなって。
幸せな気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「何をしたのか解らせる」のは大事だが、
本人が「理解するまい」と決めているのを
手をかけて手厚く構ってやるのは可笑しい
という意見も尤もだと思う。
その人のせいでHRが増え授業が減り
宿題が増え、なのに加害者とその親が被害者面で
学校に文句を言うのが凄い。
あかりさん、かき揚げをナチュラルに差し入れて
しかも汗びっしょりでやってくるのが色っぽくて
先生が固まってしまうのも分かる。
ひなちゃんが楽しそうな零くんを見て
高校への漠然とした不安が消え、
しかも具体的な目標も見つけられたのが嬉しくなった。
おじいちゃんもひなちゃんを子供扱いして
「子供はそんな事考えなくてもいい」とは思わない
とはっきり言った上であっさり「行きなさい」
と言ってくれるところが恰好良い。
詰将棋をしながら勉強を見てくれる零ちゃんも、
それを見て静かだと感じるひなちゃんも、
しんとしていて外を見たら雪が降っているという感覚も
すごく素敵で沁みる描写だ。
生まれ育った町で幼馴染がいるのが普通の
東京下町っ子のひなちゃんからしたら、
岩手も四国も遠過ぎるし、寂しいだろうな。
でも、消えていくものばかりじゃない。
自分でそれに気がつけるのも偉い。
自分が正しいか間違っているかは
他人が決めると思っていた零ちゃんにとって
不安で泣きながらでも「私のした事は間違ってない」
と言えるひなちゃんは本当に光だったのだ
と思うと泣けてくる。
土橋さんのお母さんが落ち込む姿も泣けたが、
本人はすごい人たち同士の対話の末
将棋ってすごい、に辿り着いて一緒に研究する
という話になって、そこに夢中で負けについては
そこまでかかずらっていない感じなのもまた良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ零くんが幸田家に挨拶に行く話は印象的。
けじめで挨拶に来ただけでもう来るつもりもなく、
タロウと会えるのも最後だと零くんは思っているのだろう。
後ろめたいままではなくて、まぁもういいか
と思えるようになったなら、やり直した甲斐はある。
3分先は光、
いっこいっこやるしかないと人から貰ったものを大事に
前を向けるようになったのがとても良い。
脇役の棋士の読み切りはどれも本当に素敵で
短くてもぐっと引き込まれる。
深海で得体の知らない生き物を見る、静かで怖く
深い描き方にぞくっとした。
生ぬるい雨の匂いという表現も好き。
父親を家にあげなければ良いのにと思ってしまうが。
零ちゃんが早めに着いてくれて良かった。
深刻な空気が分からずコーンクリームコロッケを食べながら
コーンクリームの歌を歌っているモモちゃんがリアル。
あかりさんだって長女とは言えまだ歳若く、
事がことだけに冷静でいられる訳もない。
相手がきっちり社会人であることも知らない男に
はっきり事実を突きつける零ちゃんがすごいし、
協力してくれる先生たちも好きだし、
妻子捨男のネーミングがぴったり過ぎる。
「他人の気持ちを考える人間」が
「何も考えてない人間」に勝てる訳が無い。
だから空気が読めない桐山、という先生の言い草は
ちょっと酷いものの、
すきな女の一大事に「空気読んでて何も出来ませんでした」
じゃ男に生まれた意味がない、というのが恰好良い。 -
Posted by ブクログ
3月のライオンは全巻軒並み素晴らしいですが、この15巻はまあ本当に傑作でした。何かに必死になって頑張ってる人には絶っ対に刺さる1冊だと思います。
15巻の始まりのエピソードは、前巻に引き続いて文化祭のフィナーレイベントが描かれますが、これがもう超激甘テイストで、零とひなのこれまでを見てきた読者には軽傷で済んだとしてもキュン死でしょう。
そして獅子王戦。田中七段の弟子で、初登場の野火止あづさ六段が零の対戦相手として描かれますが、これまた多分に漏れず魅力的なキャラクターで、羽海野先生の懐の深さを改めて感じました。
見た目はいかにも真面目な陰キャで、唇を噛み締めながら延々と脳内対話を繰り広げる、「元天才」棋士。しかし読み進めていくうちに、陰キャって何ですか?って気持ちになる。誰がどう定義してるんですか?そもそも陰キャって悪なんですか?とか、陰キャなんてクソみたいに浅い言葉と概念で他人を勝手に枠にはめて悦に入る浅ましさに吐き気を覚える思い。何より野火止六段は極めて魅力的ですし、そう描き切る羽海野先生は人の本質を見抜き人をよく理解する卓越した人間観察者だと思います。気付けば対局中に我を忘れて肌着姿になっているほどに永遠と脳内対話をする野火止六段ですが、彼が心で話しかけてくる特殊能力を持つ田中七段の弟子というのがまた面白い。「努力なんて好きでしたこといっぺんもねーよ」と吐き捨てつつ、どんなときも迷うことなく自ら獣道を選ぶ。そして、そうすることで成し得た結果をもって、あいつ必死すぎwと嘲笑うやつらに目にものを見せようという、あまりに健全なプロセスで、あまりに勇猛果敢な気概を見せるその姿は、本気で頑張ってる人間のかっこよさしかなかった。
そしてそんな野火止六段から「天才」の評判を奪った桐山零も、自分の知らない種類の苦労や努力をしてきた人の背景に想いを馳せて、「こんなに重い荷物を背負って自分は頑張ってきたんだ」と思っていた自分のことを恥じる。ああなんて素敵なんだ。全員。どのキャラも本当に素晴らしい描き方で、相変わらず素晴らしい作品であることをまたひとつ見せつけられました。