コニー・ウィリスのレビュー一覧
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「ブラックアウト」から「オールクリア1」と同2まででひとつの物語。とにかく長かった。面白かった。終盤に行くまでは少しダラダラとした感じはあるが、それらはすべてラストに向けた伏線である。最後にどんどん伏線が回収されていくのは見事。作者も苦労したと後書きにあるのだけど、特殊な時間の流れかたをする本作品においては、辻褄を合わせるだけでも大変な作業になるのは簡単に想像できる。これで意外というか、ある意味ロマンチックな結末まで用意するのだから、コニー・ウィリスはどんだけすごいんだと思わざるをえない。長くて読むのは大変だけど、読み終えた時の満足度は高い。読む価値はあった。
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西暦2060年の学生3人が第二次世界大戦中の英国にタイムトラベルして、そこで騒動に出くわす物語。何も起こらなければ、大戦中の出来事を実地調査して現代(2060年)に戻るだけの話である。もちろんそれではお話にならないので、タイムトラベル前から突然のスケジュール変更(変更理由は明かされていない)などもあり、何かハプニングが起こることを予感させる。当然だが、過去に送られた3人はそれぞれ想定外の出来事が起こり、現代に戻れない状況に陥る。3人がそれぞれ微妙なすれ違いがあったり、読者をやきもきさせる。「あー、出かけるんじゃなくて、そこで待ってろよ」と何度思ったことか。そんな煮え切らない状況のまま本書は終わる。続きは続編の「オールクリア」でってことだ。3人が過去に置いてけぼりにされている状況からどのように帰還できるのか、次巻を読むのが楽しみである。
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2060年から来た史学生3人(ポリー、マイク、アイリーン)が、第二次世界大戦下のロンドンに取り残され、未来に戻る手段が見つからない。
何が起こっているのかはわかってきたが、なぜそのようなことになったのかはまだわからない。
未来から来た人間が過去に介入することによって歴史を変えることが許されない。
しかし戦時中、何がどう転んで人を死に追いやったり、または失われるはずだった命を助けてしまうかわからない。
また、自分自身が死んでしまうことももちろん避けねばならない。
そのためには一刻も早く未来にも出らなければならないのに、手掛かりが見つかったかと思うと、勘違いだったりすれ違いだったりして、思うにまかせない3人。
ポリーは一度終戦の日のロンドンを体験している。
終戦時にポリーが2人存在するわけにはいかないので、それまでに何とか未来へ帰らなければならない。
デッドラインがあることにより、いよいよ緊迫感を増す物語。
とりあえず話は途中なので、作品についてというよりも、戦時中のロンドン市民の生活についての感想を。
物語のほとんどは1940年、戦争がはじまってドイツに勢いがあったころのロンドンが舞台。
人々は空襲に脅え、ドイツの侵攻を心配しながら暮らしている。
しかし、なんというか、余裕があるのだ。
配給の食事、不足する物資、軍人優先の列車、乱れまくる交通機関。
それでも有志がボランティアで駅の構内でシェークスピア劇をしたり、ありあわせのものでクリスマスを祝い楽しむ。
そういう心の余裕。
時折挟まれる1944年のロンドンの様子。
物資も人手も不足する中、週末に行われるダンスパーティを楽しみにする救急車部隊の女性たち。
ストッキングを何度も繕い、すりきれたドレスをみんなで着まわしながら。
「欲しがりません勝つまでは」とか、「ぜいたくは敵だ」とかとは違う気持ちの在り様。
『人間性を無視した我慢』の強要とは無縁だったんだろうか。
それともここに書かれていないだけなのか。
ドイツがイギリスを制圧するかしないかは、ほとんど五分五分だったようだが、というより若干ドイツの方が優勢だったようだが、イギリス人の、ロンドン市民の強かな強さには、結局ドイツは勝てなかったんだなあ。
シャークスピアやダンスパーティーだもの。
精神の底力が違うよなあ。
戦争中もアガサ・クリスティの本は読まれていたよう。
クリスティ自身もこの作品にチラリと姿を見せる。
へぇ~。こんな人だったのか、とちょっと得した気分。
3人の教官であるダンワージー教授が彼らを連れ戻しに1940年のロンドンに降り立つが、結局時間のずれにのみこまれてしまう。
責任者が自らいろいろと動きすぎだよね。
だから連絡が行き違うわけだし。
あと500ページでこの入り組んだ物語にどう落とし前をつけるのか。
楽しみ。楽しみ。 -
Posted by ブクログ
『ドゥームズデイ・ブック』『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』に続く、オックスフォード大学史学部タイムトラベル・シリーズ第三弾。
今回は三人の史学生がほぼ同時に第二次大戦中のロンドンへ降下する。
タイムトラベルといっても過去へ行くことしかできず、時間旅行者が歴史に影響を与えることはできない。時間旅行も、大学が研究目的で時間遡行装置を管理しているので、誰でもが簡単にいくことはできない。
当時の人たち(時代人)の中で生活をしながら、歴史的事実を見学するだけなのだ。
ポリーは、ロンドンのデパートで働きながら、ロンドン大空襲下の日常生活を体験する。
マイクルは、アメリカ人の新聞記者となって、ダンケルク撤退を取材するはずだった。
メロピーは、ロンドンから学童疎開した子どもたちの生活を観察するために、地方の領主館でメイドとして働いていた。
3人とも、絶対に安全な場所から戦時の様子を調査観察するはずだった。
ところが、日時も場所も予定とは違った場所に降ろされ、どんどん知っている歴史とは違う方に進んでいってしまう。
本当なら定期的に降下点に赴いて、オックスフォードに中間報告をしなければならないのに、次々と思わぬ事態が起こり、けがをしたり病気になったりして降下点に行くことすらままならない日々。
連絡が取れない日が続くと、回収チームが現れて、強制的に2060年に戻されてしまうはずなのに、回収チームが来ることもない。
時間旅行の予定期日が過ぎても迎えに来ない回収チーム。
刻々と悪化している1940年9月のロンドンの戦況。
自分たちが何かタブーを破ってしまったために歴史が変わり、迎えが来ないのか?
それとも2060年の方に何か重大な事件でも起こってしまったのか?
状況がつかめないまま、1940年に取り残されてしまったのではないかという不安を抱える3人。
第2次大戦中の日本のこともよく知らないのに、イギリスのこと、全然知りませんでした。
学童疎開のことは知っていたけど、ダンケルク撤退って何?とか思って読んでいました。
当時のイギリス(ロンドン)の様子もよくわからないうえ、3人の視点で場面がころころ変わるので、最初は取っ付きにくかったです。
でも、やっぱり面白い。
時代人にあやしまれないように、降下する先の時代の勉強を物凄くしてから出かけていくのに、やっぱりいろんな勘違いや、理解できないことが日常的にあるのです。
例えば車の運転。
郵便を出すということ。封筒に封をしたり、切手を貼ったり。
デパートの回転ドアをくぐること。
どの史料にも当時の人々はガスマスクを持って歩いていたと書いてあったのに、誰一人持ち歩いていない!こと。
それぞれの理由で降下点が使用不能になってしまった3人は、誰かの降下点を一緒に使わせてもらおうと、少ない手がかりを元に互いを探し始める。
そもそも時間旅行は、事前に綿密な計画を立て、しっかりリサーチして絶対に安全だと確信が持てない限り行われないはずなのに、今回は変更に次ぐ変更で事前学習も中途半端なまま。変更の理由は誰も知らされていない。
一体オックスフォードで何が起こっているのか。
そして、時間旅行の責任者であるダンワージー教授がほとんど出てこない。
忙しすぎて、何処にいるのやら。みんなが探しているのに、誰も見つけることができない。
ダンワージー教授に何が起こっているのか。
ちらちらと出てくる、1945年ころのロンドンにいる学生たちはどうかかわってくるのか。
ポリーに恋している高校生、コリンは何をしようとしているのか。
謎が全く解けないうちに700ページ超えのこの巻は終わりです。
ブラックアウト=灯火管制
続編はオール・クリア=空襲警報解除
2作合わせてヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞したのも納得の、読み応えのあるSF作品。
息をするのも忘れるほどに、深く世界にはまり込んで読みました。 -
Posted by ブクログ
二つの時代の疫病の蔓延で、物語は加速する。
わかっているのよ、創作だということも
すでに700年前に結果が出ているということも。
でも年代が判明した瞬間、
あの人(達)が亡くなった(とわかった)時
何度か震える一行があった。
なによりキヴリンの最後の一言は、
文字通りにとってよいのだろうか。
途中、若さゆえ活き活きと頼もしくもあった
最終盤では、それがわずらわしくもあるコリンが
成長して出るなら、シリーズは全部読まないとね。
もちろん空襲警報も読みなおそう。
他の方感想に「長い」とあるが、確かに長い。
(いや、今年ようやく読み終わった『レ・ミゼラブル』
各巻冒頭100ページに比べたらなんでもない)
でも、それだけ情報が与えられているなら
登場人物たちが身近な「あの人」に
感じられるだけの、異常ななかでも
なんでもない日常の一コマになるのではないかと思う。
混乱のなかで、アメリカ人団体に巻き込まれ、
いつまでもトイレットペーパーに頭を悩ませる
フィンチ君とか。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
二日がかりで一気に読みました。
臨死体験が薬によって再現できる、という設定の元に認知心理学者の主人公が擬似臨死体験のプロジェクトに参加することになるのですが、そのうち自身がその被験者となり、そこで行った先は何とあの歴史上有名なアノ場所だった!と分かるところで第一部が終了します。この辺りで上巻の半分強、ここまでは多少冗長な展開なところもありましたが、そこから先の上巻の終わり、そして衝撃的な第二部のくくりを経て最後へと続くところはまさにノンストップノベルという感じ!訳者があとがきで作者コニー・ウィリスは常々日本の宮部みゆきだと言っているのだが、と書いてますが、まったく同感です。衝撃的な展開が第二部で来るのでその後どうなるのか、とても気になって気になって読み進めて、最後も裏切られませんでした。(最後に「え〜?」という展開の小説もありますしねえ)
医学ミステリやドラマぐらいの医薬品の名前や作用、アメリカのERの物騒さなど背景に忌避感がないのなら、読んできっと楽しめると思いますよ。久しぶりに海外翻訳物でアタリを引いた感じです。