コニー・ウィリスのレビュー一覧

  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    上質なラブコメSF歴史小説。

    最初はタイムラグ(タイムトラベルを頻繁に繰り返すと起きる症状)の主人公ともども、めまぐるしい状況を把握するのにとまどった。しかし一八八八年に移り、軽妙でどこかコミカルな調子の会話・展開の物語が、読んでいて素直に楽しくなってくる。
    当時の習慣や風景描写、妙に詩を引用する人々など、コミカルながらも上品さを感じるこの書き方は日本の小説にはない独特さ。

    いつまで経ってもなかなか眠れない主人公が可哀相になるのが上巻。

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    2012年12月26日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ペストの蔓延する中世にタイムスリップ。未来のこちらもパンデミック。パラドックスのややこしい話もない。なのにこの話の厚みはどうだ。かといってひたすら暗いわけでなく、秘書のフィンチやら悪ガキのコリンが素晴らしく、ハリソン・フォードで断固映画化すべきだ。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプルだけれど読みやすい。ハードではない。コリンが出てくる続編を切に希望。コニー・ウィリスは二冊目だがファンになってしまった。

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    2012年10月14日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    上/下巻 気になってはいたけれど、タイトルと表紙を見る限りどうも踏み切れずに本屋さんに行く度に手に取っては戻し、手に取っては戻しを繰り返し結局買ってみた作品。あまり期待してなかったけど結構面白かった。タイムトラベルもののSFだがそれだけではなくミステリーの要素もあり歴史も絡んでてんやわんやな感じ。
    今どこに誰がいて、何をしなきゃいけなくて、など時間軸と場所と行動の絡みが面白い。もう猫一匹で大騒ぎです。

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    2012年09月23日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    上/下巻 気になってはいたけれど、タイトルと表紙を見る限りどうも踏み切れずに本屋さんに行く度に手に取っては戻し、手に取っては戻しを繰り返し結局買ってみた作品。あまり期待してなかったけど結構面白かった。タイムトラベルもののSFだがそれだけではなくミステリーの要素もあり歴史も絡んでてんやわんやな感じ。
    今どこに誰がいて、何をしなきゃいけなくて、など時間軸と場所と行動の絡みが面白い。もう猫一匹で大騒ぎです。

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    2012年09月23日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    タイトルに惹かれて手に取りました。

    序盤=参った。読むのしんどい・・・。→長らく積読
    中盤=ちょっと面白くなってきたかも
    後半=一気読み

    という感じでした。

    SFなのかミステリなのか。
    タイムパラドクスの解釈が面白かったです。

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    2012年08月27日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    それ以前がのほほんと見える程、後半1/2が盛り上がって面白い。が、やはりそれまでが長い。
    それでも上巻に比べると現代パートが短めですっきりしていて読みやすい。もっとも、現代パートはキャラでもたせてるとしか思えないが(そして、何者なんだウィリアム)。

    固まった吐瀉物とかが平気で出てくるあたり、キレイなだけではない、作者の意思を感じる。

    救いはコリンにある。そして、コリンのちょろまかさを表現している大森望がいい仕事をしている。

    ダンワージーは確実に自分を責めすぎである。

    最後、キヴリンが口数が少なく、ちょっと怖い感じで終わるが、もっとゆったり語って終わって欲しかった。最後だけいきなり早送り

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    2012年04月10日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    ネタバレ

    出だしが読みづらくて、一度挫折。
    でも今回は途中から一気読み。近未来と中世、どちらも臨場感あってハラハラする。
    中世に流行したのあの病気は、こんなのだったのねって初めて知った。

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    2011年12月02日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    SFでいっぱい賞を取った名作。中世史を研究する女性がタイムマシンで、1320年にいくはずが、手違いでペストの流行する年へ。現代の方も疫病が流行し、助けにいけないという話。
    SFというより、文芸作品という感じ。死を前にした時の、神の沈黙と人間の尊厳は、遠藤周作の「沈黙」につながるものを感じた。
    また、主人公の女性が思う、「イエスキリストもタイムマシンでやってきたが、送り出した側が座標を特定できなくなり、迎えにいけなくなった。それでキリストが見捨てたのか、と叫んだ」という想像は、なんか真実味がありました。

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    2011年11月28日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    2057年。タイムトラベルが可能になった未来で、一匹の猫の命を救ったことからはじまるドタバタ劇。

    タイムトラベルにより時差ボケならぬ時代ボケ(タイムラグ)で、疲労困憊したネッド・ヘンリーの描写から物語は始まります。
    そもそも主人公のネッドが冒頭から朦朧としているので、読んでいるこっちも何がどうなってるんだか分かりにくい始まりでした。
    「主教の鳥株」がタイトルにある花瓶なんだろうなぁ、ネッドはこれを過去まで行って探してるんだろうなぁ、という曖昧な認識のまま読み進めていきましたが、ネッドの意識がしっかりしていき事態が見えてくるにつれて、こちらも物語にのめりこんでいきます。

    イギリス文学の引用が

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    2011年11月07日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    読み始めは、物語を把握するのに苦労した。
    主人公が、タイムトラベルによるタイムラグ(時差ぼけ)で、状況認識が曖昧な状況が随分続く。
    歴史に関するコネタが続くので、知識があればより楽しめる作品。
    知識が無くても、登場人物が皆個性的で、人間関係を追うだけでも楽しめた。
    歴史のズレが起こった謎と、主教の鳥株の行方を絡めた推理もの・・・の体だが、物語の中のタイムトラベルに関するルールが明かされるのが後半過ぎて、推理を楽しむのは難しい。

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    2011年03月03日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    名作ドゥームズデイ・ブックの続編(?)。
    今回はドタバタ劇に終始しており、その分読み終わっての感動等はないが、予定調和の世界で安心感があり、読んでいてとくにかく楽しい。

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    2010年10月09日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    前述のとおり。
    文庫本なので上下二冊の分冊になっています。
    が、二冊とも購入したほうがハードカバー一冊よりも安いはず。

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    2009年10月04日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    推理小説なのか、それともSFなのか迷う作品。
    たぶん、SFより。


    タイムトラベルが可能になった未来で、主人公はオクスフォードの学生。
    タイムトラベルの技術そのものは、過去のものを未来に持ち込めないという時空の自浄作用のようなものの存在によって、企業からは見放された、あまり活発なものでなくなってきています。

    それでも、過去に正確に何があったのか、そういったことや、過去に訪れた人たちによって未来が変えられ、その変更された未来を修正するために、歴史そのものが過去に干渉する。

    そんなさなか、主人公がしなくてはいけないのは、死ぬはずではなかった猫が殺されそうになっていたため、未来に持ち込まれてし

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    2009年10月04日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    上巻読んでいたときは「だから担当教授の言うことはちゃんと聞けよ!」とか、教授に対しても「愛弟子が心配なのは分かるけれど、倒れた同僚にももっと優しさを示せよ!」とか思ったけれど、下巻はそんなことを思う間もなく事態が進んでいく、という感じ。読み終わって泣きはしなかったけれど、遣る瀬無さ無念さが胸に沁みる。

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    2010年03月27日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    タイムトラベルが可能となった近未来。
    オックスフォード大学の女子学生キヴリンは実習の一環として14世紀に赴く。
    ところがキヴリンは到着と同時に病に倒れ、
    一方彼女を送り出した21世紀のオックスフォードでも
    伝染性疾患が蔓延し…

    所謂タイムトラベルSFですが、SF色は薄く、
    中世の描写の方がかなり詳細。
    文章が冗長だと感じる部分もあるのですが、
    それ故に登場人物に感情移入出来る部分もあり、
    物語の後半、中世のパートで
    ペストによってばたばたと人が死んでいく場面は
    云い様のない悲しさを感じました。
    快い読後感というのとはまた違いますが、
    悲惨な状況に立ち向かってゆくキヴリンの芯の強さが印象的な物

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    2009年10月04日
  • リメイク

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    結論からいうとおもしろかったんだけど、SFを読みなれてないせいと、映画にそれほど詳しくないのとで、全体として、たぶん、話の七十パーセント、いや六十か?、くらいしか理解できてない気がした。読み終わってすぐ、もう一度読み返そうかと思った。実際、最初の一章は読み返した。わからなかったんだけど、でもでも、おもしろかった。感動した。アリスが懸命に踊るたくさんのシーンで。ラストで。やっぱりこの作品でも、登場人物はたちは「あきらめない」。アリスは不可能を可能にするし。トムもシニカルだけど、不可能なことなんてないんだ、って言うし。 コニー・ウィリスの、この冷静に現実はわかってるんだけど希望は捨てないって感じが

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    2011年09月18日
  • リメイク

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    近未来のハリウッド。デジタル合成によるキャラクターの貼り付けによってリメイクされた作品ばかりが作られ、まともな実写作品は作られなくなって久しい。そんなデジタル切り貼りのバイトで学費を稼ぐトムは、とっくに廃れたミュージカル映画のダンサーを志望するアリスに出会う。叶うはずのない夢を馬鹿にするトムだったが、彼女の純粋さがやがて思いもよらない奇跡を生み出す...

    作者らしく饒舌で狂騒的なテンションの高いSFロマンティックコメディ。ひょっとしたら映画化を意識しているのか、いつものような大長編にしていないのが功を奏していて、映画マニアでなくても楽しめる映像的で音楽的な洒落た作品。
    が、いろんな映画のミュ

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    2025年12月03日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ネタバレ

    「オックスフォード史学部・シリーズ」1作目(下)。

    タイムトラベル物だけど、SFチックな部分にはあまり焦点が当たってない。
    ジェラシックパーク(映画)を見た時、現代に蘇った恐竜が生きて動いてるってどんな風だろうとワクワクしてたら、始まってすぐに恐竜から逃げ惑うばっかりになって、思ってたのと違ったのを思い出した。

    ダンワージー先生が迎えに来て、ドラマチックな感動と涙の再会とならないのがリアルだな。
    素晴らしい終わり方だったけれど、そこまでが随分長く苦しかったので、帰ってからの話も読んで、ゆっくり安心したい気持ちにもなった。

    コリンがMVP。

    ベイジンゲームどうしたー!!
    てっきり、「旅行

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    2025年09月19日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    ネタバレ

    『犬は勘定に入れません』を先に知ったが、シリーズの2作目だったので、まずは1作目を読むことにした。


    「オックスフォード史学部・シリーズ」の1作目。

    2054年のイギリスが舞台で、過去へのタイムトラベルが可能になった世界だ。
    意味が解らない単語も出てくるが、特に説明はされない。

    だれもかれもが話したい時にいないし、いても質問に答え(られ)ないから、物語が遅々として進まない。
    おかげで、ダンワージーのイライラや不安がよく分かった。

    「あらゆる予防措置をとったことはわたしが保証する」なんていえる人間は、必要な予防措置を思いつくことすらできてない。

    キヴリンは無事に中世から戻ってこられるか

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    2025年09月19日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    アメリカの作家「コニー・ウィリス」の長篇SF作品『ドゥームズデイ・ブック(原題:Doomsday Book)』を読みました。

    「ヒュー・ハウイー」の『ダスト』に続きSF作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    歴史研究者の長年の夢がついに実現した。
    過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。
    オックスフォード大学史学部の女子学生「キヴリン」は、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。
    だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった…はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?
    ヒューゴー賞・ネビュラ賞

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    2022年11月04日