コニー・ウィリスのレビュー一覧
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久しぶりに海外SF作品を、、、、と手を出したのが運の尽き。
かなりの長編作品にぶち当たってしまいました。ただ、海外タイムスリップモノは、よだれが出る程好きなジャンルなので、全3部作の1作目は楽しんで読めました。
【内容】
2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。
メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、
マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。
ところが、現地に到着した三人はそれ -
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いつもの如く前半はドタバタが描かれる。キブリンを送り出した2054年のイギリスでは突然ウィルスが猛威を奮いネット技術者が人事不省に陥りキブリンが1320年に無事に着いたのか判らなくなる。過去に着いたキブリンは当然1320年に到着したと思いこみ、上手いこと領主館に転がり込み姉妹の面倒を見る羽目になる。ホドビン姉弟程ではないにしろロズムンド、アグネス姉妹も中々の曲者。中世の風景に驚きながら日々を過ごしていく。前半での読みどころは「キブリン到着のずれはどれくらいなのか?」「キブリンは自分の降下点を知る事が出来るのか?」の2点だけ。しかし!「オールクリア」を読んで学習済みの私には後半怒涛の展開が有るに
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人気作家コニー・ウィリスの2010年の新作。
続編「オールクリア」とともに、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した大作です。
未来(今回は2060年)のオックスフォード大学の史学部で、タイムトラベルが出来るようになっているという設定の長編としては、3作目。
1作目「ドゥームズデイ・ブック」ではペストが蔓延した中世へ、2作目「犬は勘定に入れません」では19世紀ヴィクトリア朝がさかのぼった先でした。
今回は、第二次大戦中に3人の学生が送り込まれます。
メロピーは疎開児童の状態を研究するために、田舎の領主館のメイド、アイリーンとして。
ポリーは、灯火管制(これがブラックアウト)が始まって -
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SFで、第二次世界大戦の歴史ものだが、その世界を細部に至るまできっちりと描いていて、その中で登場人物が生き生きと動き回る。
「ブラックアウト」のみの登場人物と思っていた人が、こちらでもしっかりと活躍する。話に無駄がない。
コニー・ウィリスはホント長編向きの作者だ。
今、「オールクリア 2」の3/4くらいまで読み進んできたところ。だんだんと明らかになって来ているが、まだ結末がどうなるのかわからない。残りを読み終わるのが惜しいような気がしている。
「あ、あのときは実はこうだったのか」とタイムトラベルの醍醐味を味あわせてくれる。タイムトラベルものでは昔読んだ小松左京の「時の顔」が秀逸だったが、こ -
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これならばわたしにもわかる。なるほどSFですね。主題はタイムパラドクスであり、メイントリックもタイムパラドクスなんだもの。そして真犯人は執事でも無害な老婦人でもなく…だと!うわー拍手喝采。そして巻頭の引用が思い起こされるわけさ。いわく「神は細部に宿る」…お見事でした!
まあしかしこの小説の楽しいところはこまごまと散りばめられたイギリスミステリとヴィクトリア朝(追記してオクスフォードw)に関する小ネタやお遊びでもあるわけですが。これは確かにニヤニヤしたくなる。そしてそれらが結構伏線めいた働きもしているところがまた楽しい。ニヤニヤ。
ジャンルなど気にせず「面白そうだな」だけで手に取ってほしい、そん -
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大好き!映画化してほしい。
ヴィクトリア朝もドロシー・セイヤーズも大好きな私にとってドンピシャなお話でした。
上巻は説明なしの冒頭とのんびりした川下りで、ヴィクトリア朝に興味の無い人は退屈だったでしょう。予想外のフィンチ登場で上巻は終わりましたが、下巻までくればスルスル読めるはずです(上巻の引きが最高)。あの日コヴェントリーで何があったのか?消えた鳥株の行方は?あっという驚きはないかもしれませんが、犬も猫も誰も死なない、誰も不幸にならない大団円です。中世から現代まで時を駆け抜けてヴェリティを探すネッドにしびれます。ロマンチック。そしてユーモラス。完璧な執事フィンチにやられて、ウッドハウスのジー -
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遂に読み終わってしまいました、怒涛の完結編。こんなに待ち焦がれた最終巻もありませんよ、ホンマに。
「オールクリア1」まで拡げるだけ拡げた風呂敷が次々に畳まれていく、しかも綺麗に丁寧に。
新たに1995年(帝国戦争博物館)が挿入され、これがまた涙を誘います。約束通りあきらめずに何年も(8年!)ポリーを探し続けたコリンの愛情と執念。そして、タイムパラドックス上止むを得ない事ながら苦渋の決断をしたアイリーンの使命感とホドビン姉弟への愛情。
「悪名高きホドビン姉弟、恐怖のホドビン姉弟、恐るべきホドビン姉弟」全編を通じて大迷惑の姉弟が、アイリーンの愛情に応えて最後は時を超えたメッセンジャー役を演じます。