コニー・ウィリスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに海外SF作品を、、、、と手を出したのが運の尽き。
かなりの長編作品にぶち当たってしまいました。ただ、海外タイムスリップモノは、よだれが出る程好きなジャンルなので、全3部作の1作目は楽しんで読めました。
【内容】
2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。
メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、
マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。
ところが、現地に到着した三人はそれぞれ思いもよらぬ事態にまきこまれてしまう…
3人のお話が断片的に出てきて、その合間合間に、よくわからない謎の人物(彼らもタイムスリップしているっぽい)たちの動きもまみえる。
何よりも、第二次大戦中のロンドン描写が、すごく活きている。
痛々しい表現などはあまり無いのですが、主人公3人を取り巻く人たちの空襲被害などは主人公たちと一緒に、読んでいて胸が張り裂けられそうになります。
日本の戦時中と比べると、やっぱり先進的だなぁと感じさせられずにはいられない。
みんな地下鉄で移動してるし。
この作者、コニーウィリスは、初めて読みましたが、他の作品も手を出してみたい。
新☆ハヤカワ・SF・シリーズは、とにかく高い。1冊2000円くらいするので、SF素人には手が出しづらいのが傷。 -
Posted by ブクログ
いつもの如く前半はドタバタが描かれる。キブリンを送り出した2054年のイギリスでは突然ウィルスが猛威を奮いネット技術者が人事不省に陥りキブリンが1320年に無事に着いたのか判らなくなる。過去に着いたキブリンは当然1320年に到着したと思いこみ、上手いこと領主館に転がり込み姉妹の面倒を見る羽目になる。ホドビン姉弟程ではないにしろロズムンド、アグネス姉妹も中々の曲者。中世の風景に驚きながら日々を過ごしていく。前半での読みどころは「キブリン到着のずれはどれくらいなのか?」「キブリンは自分の降下点を知る事が出来るのか?」の2点だけ。しかし!「オールクリア」を読んで学習済みの私には後半怒涛の展開が有るに違いないと思いながら読み進むと!遂にキブリンがヨーロッパ中にペストが蔓延した1348年にいる事が判明!ここからのスピード感が凄い、ダンワージーは直ちに救出の準備に取り掛かり、前半やんちゃな少年として描かれていたコリンは物凄い行動力を発揮、同じく前半単なる女たらしとして描かれていたウィリアムは病に倒れたダンワージーに関わる全ての部署の看護婦を掌握(籠絡?)、あっという間に病院を脱出、ネットの実行まで漕ぎつける。「オールクリア」でのコリンの成長を知っている私にとっても納得の大活躍!一方1348年は領主館の家族・召使が次々に病に侵されなんとロズムンド姉妹も倒れ家族は全滅、それどころか村全体が死に絶えてしまう。中世に降下した時に助けてくれた牧師までもが死んでしまうシーンは涙なくしては読めない、もう泣ける、泣ける、SFでこんなに泣けるなんて!
ラスト、ダンワージーとコリンが回収に現れるが、全ての死を見届けたキブリンは精神的に大きく成長を遂げ「大人」になって帰って来る。ヒロインの成長する様を描いた大河ドラマとも言えるし、タイムトラベルが授業の一環となっているオックスフォード大学が舞台の時間SFとも言える。ここから「ブラックアウト」「オールクリア」に繋がると思えば感慨もひとしおである。あぁ、素晴らしい物語を読んだ満足感でいっぱいです。(も一度ブラックアウト読まなきゃ!)
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Posted by ブクログ
人気作家コニー・ウィリスの2010年の新作。
続編「オールクリア」とともに、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した大作です。
未来(今回は2060年)のオックスフォード大学の史学部で、タイムトラベルが出来るようになっているという設定の長編としては、3作目。
1作目「ドゥームズデイ・ブック」ではペストが蔓延した中世へ、2作目「犬は勘定に入れません」では19世紀ヴィクトリア朝がさかのぼった先でした。
今回は、第二次大戦中に3人の学生が送り込まれます。
メロピーは疎開児童の状態を研究するために、田舎の領主館のメイド、アイリーンとして。
ポリーは、灯火管制(これがブラックアウト)が始まっているロンドンの生活を調べるために、デパートの店員に。
マイクルは、ダンケルク撤退を調査するために、アメリカ人の新聞記者マイクに扮します。
アイリーンは手に負えない姉弟をはじめ子供達に慕われて世話に大奮闘しますが、はしかが流行ってしまい、領主館から出られなくなります。
ポリーは防空壕で催し物を企画する意気盛んな町の人々と知り合い、老いてもハンサムな俳優と劇の読み合わせを楽しむひとときも。
マイクルは少しずれた地点に出てしまい、あれやこれやで勇敢だが少々いかれている老人の船で現場に到着。取材する側ではなく、はからずもダンケルクの英雄となってしまう。
歴史を改変することは出来ないという理論があるのだが、絶対とは言いきれず、マイクルが歴史を変えたのではと悩むことに。
それぞれ、時期も場所もずれているのですが、なかなか帰還することが出来ないためにお互いを探し、大空襲のさなか、やっと合流します。
別な時代に来た緊張を抱えつつ、細やかに描かれた情景の積み重なりから、またまた大変な危機に直面する彼ら。
戦時下の勇気ある人々との助け合いに、いきいきとした感情が伝わるのが、さすがコニー・ウィリス!
冒頭でダンワージー教授が非常に忙しそうにしていて、どたばた喜劇のような始まり。その理由は何だったのか?
オックスフォードで何か起こっているのか?
高校生のコリン少年(ポリーに恋している)は、どう絡んでくるか‥?
それらの答えがすべて続編待ちというのが~つ、つらい‥
「オールクリア」は警報解除という意味なので、すっきり解決するんでしょうね!!?
続編が出るまで我慢してから読んだから、まあもうすぐなんですけど(笑) -
Posted by ブクログ
SFで、第二次世界大戦の歴史ものだが、その世界を細部に至るまできっちりと描いていて、その中で登場人物が生き生きと動き回る。
「ブラックアウト」のみの登場人物と思っていた人が、こちらでもしっかりと活躍する。話に無駄がない。
コニー・ウィリスはホント長編向きの作者だ。
今、「オールクリア 2」の3/4くらいまで読み進んできたところ。だんだんと明らかになって来ているが、まだ結末がどうなるのかわからない。残りを読み終わるのが惜しいような気がしている。
「あ、あのときは実はこうだったのか」とタイムトラベルの醍醐味を味あわせてくれる。タイムトラベルものでは昔読んだ小松左京の「時の顔」が秀逸だったが、こちらの方が精緻に書き込んでいるので迫力がある。
読み終わって。
あれだけ広範囲に話を広げまくって、それをきっちりまとめるのだから恐ろしい人だ。
あーあ、もう読み終わってしまった。名残惜しい。
今回は、お盆休みということで、家族が旅行に出た静かな時間にじっくり楽しめた。
こういう小説は、骨折して入院したりしたときには救いの神だ。
「骨折って良かった」と思ってしまうかも。
年取って骨折してもこういう本を事前に用意しておけば、惚けずにすむかもね(目が丈夫だったらの条件付きなので当方は厳しそう)。 -
Posted by ブクログ
これならばわたしにもわかる。なるほどSFですね。主題はタイムパラドクスであり、メイントリックもタイムパラドクスなんだもの。そして真犯人は執事でも無害な老婦人でもなく…だと!うわー拍手喝采。そして巻頭の引用が思い起こされるわけさ。いわく「神は細部に宿る」…お見事でした!
まあしかしこの小説の楽しいところはこまごまと散りばめられたイギリスミステリとヴィクトリア朝(追記してオクスフォードw)に関する小ネタやお遊びでもあるわけですが。これは確かにニヤニヤしたくなる。そしてそれらが結構伏線めいた働きもしているところがまた楽しい。ニヤニヤ。
ジャンルなど気にせず「面白そうだな」だけで手に取ってほしい、そんな小説。いやはや面白かった。 -
Posted by ブクログ
大好き!映画化してほしい。
ヴィクトリア朝もドロシー・セイヤーズも大好きな私にとってドンピシャなお話でした。
上巻は説明なしの冒頭とのんびりした川下りで、ヴィクトリア朝に興味の無い人は退屈だったでしょう。予想外のフィンチ登場で上巻は終わりましたが、下巻までくればスルスル読めるはずです(上巻の引きが最高)。あの日コヴェントリーで何があったのか?消えた鳥株の行方は?あっという驚きはないかもしれませんが、犬も猫も誰も死なない、誰も不幸にならない大団円です。中世から現代まで時を駆け抜けてヴェリティを探すネッドにしびれます。ロマンチック。そしてユーモラス。完璧な執事フィンチにやられて、ウッドハウスのジーヴズシリーズも読みました。本当に好きなお話です。 -
Posted by ブクログ
遂に読み終わってしまいました、怒涛の完結編。こんなに待ち焦がれた最終巻もありませんよ、ホンマに。
「オールクリア1」まで拡げるだけ拡げた風呂敷が次々に畳まれていく、しかも綺麗に丁寧に。
新たに1995年(帝国戦争博物館)が挿入され、これがまた涙を誘います。約束通りあきらめずに何年も(8年!)ポリーを探し続けたコリンの愛情と執念。そして、タイムパラドックス上止むを得ない事ながら苦渋の決断をしたアイリーンの使命感とホドビン姉弟への愛情。
「悪名高きホドビン姉弟、恐怖のホドビン姉弟、恐るべきホドビン姉弟」全編を通じて大迷惑の姉弟が、アイリーンの愛情に応えて最後は時を超えたメッセンジャー役を演じます。
そしてそして待ってました!満を時して回収チーム、コリンが登場、全員が帰れないのはちょっと悲しい、でも素晴らしいエンディングでした。新しい仕掛けは何も無い、タイムトラベルとタイムパラドックスだけでこれだけ読み応えのある大長編にしてしまう、コニーウィリス凄いです。
昨年10月に「ブラックアウト」を読んでから約9か月、1770ページ!(ページ数勘定したら卒倒しそうになります)読み応えありました。暫くは余韻に浸りたいと思います。