コニー・ウィリスのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
☆4.5
結構シリアスな展開な作品なので確かに読むのは疲れるけども、じゃあそこで読むのやめられるかってんだ。
だって希望が欲しいじゃないか。
その希望をくれるのがコニー・ウィリスじゃないか。
二つの時代で起こる感染症。
14世紀はメカニズムが判明していない故に、21世紀は世界が発展してるが故に、感染は広がる。
特に21世紀パートはコロナを経験した今、事実に即してると思えるほどの描写。
トイレットペーパーのくだりとかも、笑っちゃうけどフィンチは真剣そのもの。
貧乏くじな彼、結構好き。
下巻は特に第三部に入るともう怒涛の展開。
優しい人も、嫌いな人も、聡明な人も、人の話聞かない人も、尊敬する -
Posted by ブクログ
テレパス同士がコミュニケーションできるようになり、混乱度はさらに上がる。そして伏線がどんどん回収されていく。CBや大叔母の言動の背景が明らかになっていくのだが、予想の範囲かなと思いつつも、「うわっ! !ややこし! 」と思うくらい真相もごちゃごちゃしている。とはいえ、背景も含めて物語は交通整理ができていくのだが、本当にこの背景で上巻の登場人物の言動に矛盾は生じていないのだろうかと心配になる(検証は面倒だから私はしない)。 上下巻合わせて約1000ページの長編である。でも、登場人物がそれほど多くないからか、読みやすかった。コニー・ウィリスらしい作品である。
-
Posted by ブクログ
笑える方のコニー・ウィリスの長編作品。EEDという脳外科手術を受けるとパートナーがまるでテレパシーのように気持ちを共有できるようになる。主人公のブリディは恋人のトレントとEEDを受ける。もちろん正常に気持ちを共有できるようになりはしない。ブリディはトレントと接続できずに、同僚のCBとつながってしまう。手術の失敗だけではなく、ブリディの一族の過干渉や詮索好きの同僚など、ブリディは常に気を抜けない状況で手術を受けトレントと接続しようとする。なお、「クロストーク」とは混線の意味がある。ブリディの頭の中の混線と、現実世界の家族などとのつながりというかもつれ合いがドタバタと展開するストーリーは他人だから
-
Posted by ブクログ
前半の、ユーモアも交えつつ、あっちへ行ったりこっちで隠れたり、みたいなドタバタ劇も楽しかったけど、本下巻では、結構展開がスリリングになってくる。物語の核心に近付いていきつつ、でも本巻の中盤でまさかの主人公死亡事態が発生して、どうなるのかと思いきや、そこからは謎解きの面白さも加味しながら、感動の結末へ突き進む。主人公亡き後とはいえ、二章に一章は死後の世界における主人公の活躍が描かれるから喪失感はさほど無く、悲しみのカラーってよりは、むしろ次の世代に託された希望のカラーのイメージの方が強い。かなりの長編だったけど、翻訳の妙もあって、どんどん読み進められる良品でした。
-
Posted by ブクログ
(上下巻を読んだ感想です)
若き認知心理学者のジョアンナは、マーシー総合病院で臨死体験者の対面聞き取り調査を行い、臨死体験の科学的仕組みを解明しようと試みる。だが、死後の世界を信奉するノンフィクション作家のマンドレイクもまた臨死体験者への取材を行っており、彼女の調査の妨げになっていた。そんな折、神経内科医のリチャードから彼が立ち上げる新規プロジェクトへの協力を求められる。そのプロジェクトは、擬似的な臨死体験を発生させ、その状態の脳の動きを観察するというもの。リチャードへの協力を決めたジョアンナであったが、プロジェクトの遂行には不適合な被験者が多く、深刻な被験者不足に悩まされる。プロジェクト遂行 -
Posted by ブクログ
このオックスフォード大学史学部シリーズ、タイム・パラドックスを起こす可能性がある時点には時間旅行できないという設定で、面倒くさいパラドックスは回避されている。それゆえ、過去から帰れなくなってしまったというほかは延々と戦時の生活が描かれるのだが、物語も最終局面に向かって、時間旅行の問題が前景化してくる。
1940年に閉じ込められた(本巻では41年に年が開ける)、マイク、アイリーンことメロピー、ポリーの3人は、2060年のオックスフォードにメッセージを送ろうと偽装した広告記事を新聞にのせたり、様々な努力をするのだが、そうした帰還のための努力が効を奏しているなら、すでに回収チームが来ているはず -
Posted by ブクログ
2060年のオックスフォード大学史学部、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズ、『ブラックアウト』の続編であるが、長くなってしまったのでひとつの長編を『ブラックアウト』『オールクリア』、すなわち第二次大戦中のロンドンの灯火管制とその解除をタイトルに2分冊にしたもの。日本語訳ではさらに『オールクリア』も2分冊になってしまった。
評者も最近、フランケンシュタイン産業のロンドン、裏ロンドン、クラーケン神のロンドンなど結構ロンドンに行っているのだが、オックスフォードの航時史学生もたくさんロンドンに行っている。第二次大戦下のロンドンに。
そ