コニー・ウィリスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いきなり登場人物が当然のように動き出すので
シリーズの続編かと思っていたら、これが初めですか。
14世紀へのタイムトラベル(なにかがおかしい)と
21世紀のパンデミックの混乱が並行で描かれ、
どちらも何が起こって、どうなってしまうのか
気になるのだが、21世紀は周りが自分勝手、非協力的で
かきまぜられて話が進んでいかないし、
14世紀は、時代の隔たりがもたらす
絶望的なほどの違いに、一歩間違えば命を失いかねない
文字通り孤立無援な中、なんの手がかりもなく
当然、進展はゆっくりと時間をかけて。
21世紀は突然の未知の恐怖へ必死にならなければ
ならないはずなのに、個人の主張で
なぜかコミカルにうつる(あの母親のせいか?)。
一方で14世紀は準備万端なはずなのに、
ずれていることで徐々に深まる孤独と恐怖に
さす当時の登場人物の光?というコントラストもある。
上巻では、わからず無駄・冗長な描写と思えるところも
先に『航路』を読んだから、
たぶん何かに収束していくのではないかと期待し、
それ以上に動きだしは遅いけど、
ドンドン引き込まれていく加速感、上巻は★3つだが、
下巻で★は増えるのか? -
Posted by ブクログ
既読の本の中のどこかで(もしかしたら解説かも)紹介されていて、
たしか傑作と表されていた気がしたので、ボリューム満点だけど読んでみた。
文字通り“象徴的”なラストだった・・・。
臨死の中で人は何を見て、何を体験するのか。
それは統一されたイメージなのか、それともメタファーか。
はたまたもうひとつのリアル(現実)なのか・・・。
日本で言えば三途の川のあっち側とこっち側ってのが有名(?)だけど、
本書ではちょっと違った切り口で医学的にドラマチックに解説されて興味深い。
雰囲気はアメリカのテレビドラマ、『グレイズ・アナトミー』みたいな感じ。
序盤はあんまり進展しないんだけど、なんだかんだでいつの間にかめくったページがたくさん。
正直こんなに長くなくてもいいんじゃなかろうかと思いながら読んでいたけど、
先述のラストを体験した今、途中もっとちゃんと読み込めばよかったな・・・
と、意味もなく反省。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前に読んだ同タイトルの本とは打って変わってSFもの。
2060年,オックスフォード大学の史学生は,自分の研究テーマのためのタイムトラベルを使って時空を超え,実際の時代に赴いていた。本作の登場人物は,ドイツによる空襲下の第2次世界大戦中のロンドン。ある者は,疎開先のメイド,ある者はデパートの店員,ある者は新聞記者としてその時代の生活に溶け込み自らの研究を行っていた。それそれ現地での思わぬトラブルに巻き込まれ,2060年に戻れるはずの出口が失われてしまっていた。果たして元の時代に戻れるのか・・・・
上下段で768ページと大長編で,当時の人々の生活風景が丹念に描かれています。でも,とにかく長い・・・。
結局,本作では元の時代に戻ることができず,続編の「オールクリア」,「オールクリア2」に続くことになります。この2作も相当の長編のようで,いつ読むことになるかはわかりませんが,気長にいきます。 -
Posted by ブクログ
タイムマシンが生み出す、パラドックスに対する意識が素朴すぎて、なかなかついていけない部分がある。
時間の複雑系が、タイムトラベルしてやってきた人間の歴史への影響を打ち消す働きをするという設定だが、その設定があまりに人間中心主義的。
後の歴史を変えるような歴史の転換点に関して、時間の複雑系が、歴史を変えさせないために様々な働きをする、ということになっているのだが、何が「後の歴史を大きく変えたことになるのか」の判断は、所詮、それぞれの価値観によって変わるし、そうした価値観のひとつとして、たとえばアリの視点などだって考えられるだろう。人間にとってはどうでもよいできごとでも、人間がやってきて踏まれるか踏まれないかというのは、アリにとってはとても大事なことで、そうした様々な観点を時間の複雑系が斟酌しているなどというのは、まさに(人間中心主義的な)「神」のような所業だ。
結局、信仰を持つ持たないということは、そうした自己中心的な見方を持つ持たないということと大きくかかわっているように思われる。アメリカ人に信仰を持つ者が多いということと、彼らの自己中心的な世界観とは密接に関わっているのだろうし、そのような意味で、信仰を持たないものがより多いヨーロッパや日本の人々は、アメリカ人に比べ、良くも悪くも(ピアジェの言う)より脱中心的な世界観を持つようにも思える。もっともベイトソンが強調したように、信仰によって見えてくるものがあるのかもしれないが。
この小説に関して、さらに言うなら、コニー・ウイリスが想像している時間の神は、人間どころか、連合軍が戦争に勝つことが正義だという観点で作動しているとも言ってよさそうだ。
この小説の時間観をさらに批判するなら、人間が自由に、あるいは偶然に行う行動の選択が、その未来を変えるという考え方と、過去は変えられないはずだという二つの考え方が、タイムトラベルによって、未来と過去が双方向的になった時、必然的に矛盾を生じさせるはずなのに、その点に関して、作者は、確固たる見方を持たずに、この長い長い小説を書いてしまったということなのだろう。
このような点に関して作者の設定があいまいなのに、登場人物が、その時間の仕組みに対して不安をいだき、ひたすら悶々としているのに違和感を感じた。
そのファンタジー世界にかんして、厳格な世界観のルールを定めた上で、そのルールの中で葛藤する人々を描いていこうとした、ル=グインや小野不由美などの域に、コニー・ウィリスがまだたどりついていないということをはからずも示してしまったように思われる。
この小説には、そうした世界観の問題とは別に、読んでいて誰が誰だかさっぱりわからない、ということも、その読みやすさを損なわせている。
各章は時間軸がばらばらになって、複数の登場人物がそれぞれ別々の場所で動いているというのに、さらにそれぞれが偽名を使っていて、本当のところ誰なのかわざわざわからないようにされている。読み進めるうちに、それが主要登場人物三人が、別々の時間にいるということがやっとわかっていくのだが、それまでがとにかく長い。主要登場人物のうち、二人が女性なのだが、彼女たちのキャラもあまりたっていないので区別もしにくく、感情移入もしにくい。
最後まで読み終われば、それなりに感動もあるのだが、上記のようにネガティヴな部分が多すぎる上に、内容の割に全体の長さも異様に長すぎて、楽しみの効率はかなり悪かったように思う。 -
Posted by ブクログ
コニー・ウィリス、「ドゥームスデイ・ブック」「航路」はあんなに面白かったのに、「犬」は読めなかった。
今回はどうなんだろう、と思いつつ・・・。
話のディテールはそれなりに面白いのだが、タイムトラベルものなので、時間的順番が錯綜し、
かつ、同一人物が別名を名乗っていたりするので、誰が誰なのかよく分からないというのが読んでいて苦しい。
途中から、過去から戻れなくなった三人が、いかに現在に戻ってくるのか、なぜ戻れなくなったのか
というお話なのだなということが判明する。またこの巻は、この三人が互いに互いをいかに見つけるのかという話なのだということもわかってくるのだが、すれ違いが起こったりして、それがいらいらさせる。
こういう、「いらいら」感が、うまくいったときの快感に変わるのだろうけれど、待てない性格の人にはネガティヴな感覚のほうがより強くなりそう(僕もそう)。でもとにかくこの巻は無事読み終えた。 -
Posted by ブクログ
タイムトラベルが可能になった近未来で歴史調査の一環として女学生が中世ヨーロッパに時間遡行する。行った先で彼女は病に侵され、元の時代では謎の病が蔓延し街は隔離される。パンデミックSF。
舞台は近未来と中世が交錯する物語で、外国の著者ならではの綿密な描写。つまり長い。慣れていないと冗長にすら感じる描写の数々。特に大人の喧嘩にはうんざり。
しかしその文字数のおかげで中世ヨーロッパの場面はまるでその時代を見てきたかのような光景を見せてくれるし、様々な予防を行っていたのに関わらず病に感染した女学生と現代で猛威をふるう病との間に関係があるのかという謎は私たちをぐいぐい引っ張ってくれる。
物語には少ない文量で表現可能なものと膨大なページを必要とするものがある。この作品が後者であることを願って後編を読む。 -
Posted by ブクログ
ブラックアウト
よくできているが長い。無駄が多い。後半は飛ばした。面白くなくて飛ばしたのではない。早く読み終えたくて飛ばした。シェイクスピアの台詞のとこなど、そもそもシェイクスピアを知らないので退屈なだけ。読み飛ばしても問題ない。
いわゆるすれ違い物。『有楽町で逢いましょう』みたいなものだ。じらしにじらしイライラさせられる。この先どうなるのだろうと不安にさせる。とにかく結末を知りたい。先へ先へと読み進む。
で、最後がこれ? つまり完結していない。続きの『オールクリア』がないと完結しない。『ブラックアウト』と『オールクリア』は正編続編の関係ではなく、前編後編の関係なのだ。