コニー・ウィリスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前に読んだ同タイトルの本とは打って変わってSFもの。
2060年,オックスフォード大学の史学生は,自分の研究テーマのためのタイムトラベルを使って時空を超え,実際の時代に赴いていた。本作の登場人物は,ドイツによる空襲下の第2次世界大戦中のロンドン。ある者は,疎開先のメイド,ある者はデパートの店員,ある者は新聞記者としてその時代の生活に溶け込み自らの研究を行っていた。それそれ現地での思わぬトラブルに巻き込まれ,2060年に戻れるはずの出口が失われてしまっていた。果たして元の時代に戻れるのか・・・・
上下段で768ページと大長編で,当時の人々の生活風景が丹念に描かれています。でも,とにかく長 -
Posted by ブクログ
タイムマシンが生み出す、パラドックスに対する意識が素朴すぎて、なかなかついていけない部分がある。
時間の複雑系が、タイムトラベルしてやってきた人間の歴史への影響を打ち消す働きをするという設定だが、その設定があまりに人間中心主義的。
後の歴史を変えるような歴史の転換点に関して、時間の複雑系が、歴史を変えさせないために様々な働きをする、ということになっているのだが、何が「後の歴史を大きく変えたことになるのか」の判断は、所詮、それぞれの価値観によって変わるし、そうした価値観のひとつとして、たとえばアリの視点などだって考えられるだろう。人間にとってはどうでもよいできごとでも、人間がやってきて踏まれるか -
Posted by ブクログ
コニー・ウィリス、「ドゥームスデイ・ブック」「航路」はあんなに面白かったのに、「犬」は読めなかった。
今回はどうなんだろう、と思いつつ・・・。
話のディテールはそれなりに面白いのだが、タイムトラベルものなので、時間的順番が錯綜し、
かつ、同一人物が別名を名乗っていたりするので、誰が誰なのかよく分からないというのが読んでいて苦しい。
途中から、過去から戻れなくなった三人が、いかに現在に戻ってくるのか、なぜ戻れなくなったのか
というお話なのだなということが判明する。またこの巻は、この三人が互いに互いをいかに見つけるのかという話なのだということもわかってくるのだが、すれ違いが起こったりして、それがい -
Posted by ブクログ
タイムトラベルが可能になった近未来で歴史調査の一環として女学生が中世ヨーロッパに時間遡行する。行った先で彼女は病に侵され、元の時代では謎の病が蔓延し街は隔離される。パンデミックSF。
舞台は近未来と中世が交錯する物語で、外国の著者ならではの綿密な描写。つまり長い。慣れていないと冗長にすら感じる描写の数々。特に大人の喧嘩にはうんざり。
しかしその文字数のおかげで中世ヨーロッパの場面はまるでその時代を見てきたかのような光景を見せてくれるし、様々な予防を行っていたのに関わらず病に感染した女学生と現代で猛威をふるう病との間に関係があるのかという謎は私たちをぐいぐい引っ張ってくれる。
物語には少ない文量 -
Posted by ブクログ
ブラックアウト
よくできているが長い。無駄が多い。後半は飛ばした。面白くなくて飛ばしたのではない。早く読み終えたくて飛ばした。シェイクスピアの台詞のとこなど、そもそもシェイクスピアを知らないので退屈なだけ。読み飛ばしても問題ない。
いわゆるすれ違い物。『有楽町で逢いましょう』みたいなものだ。じらしにじらしイライラさせられる。この先どうなるのだろうと不安にさせる。とにかく結末を知りたい。先へ先へと読み進む。
で、最後がこれ? つまり完結していない。続きの『オールクリア』がないと完結しない。『ブラックアウト』と『オールクリア』は正編続編の関係ではなく、前編後編の関係なのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(日本人から見た)欧米人のテンポで書かれているため、
その感じに慣れていないと読み辛いかもしれません。
特に前半は誰がだれやら?(名前だけの登場の人もいたり、
あまり人物について詳しい描写が無く、想像がしにくい)
ストーリーは、夢のある・・という類ではありませんが、
中世史に興味がある方はもちろん、無くても、面白いと思います。
主人公は最後どうなってしまうのか?と読み進めて、
ホッと出来るような、それにしてもあまりにも救いが無いような、
でもその救いの無さがリアリティがあって良かったと思いました。
読書好きなら子供でも読める内容、逆に読書好きじゃないと、
なかなか読み切れない一冊(二冊)かも?